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作品名:続・不可思議情報の私的考察 作者:ツジセイゴウ

第13回   ストーカーの恐怖
最近、ストーカーによる被害が増えている。中には、被害者が殺傷されるという痛ましい事件もあった。ストーカーの本質とは一体何なのであろう。ストーカーの多くは恋愛感情のもつれによるものであり、男性から女性に対するものが圧倒的に多いという。こう書くと、単なる横恋慕あるいは片思いじゃないかと思われるかもしれないが、実際には、恋のもつれ以外にも、仕事上や取引上のトラブルからストーカー行為に発展するケースもある。
「スペル」というホラー映画では、主人公の女性銀行員が社内規則に従って貸付の返済繰延べを断ったという理由だけで、顧客から逆恨みされて執拗なストーカー行為を受け、最後は殺されるというショッキングな内容が描かれた。主人公のセリフ、「私は単に上司の指示に従っただけ、何も悪いことはしていない」というのが痛ましい。こんなことで殺されたら、それこそ命がいくつあっても足りない。
少々横道にそれたが、某心理学者によると、ストーカーのうち本当の精神障害による割合はわずか0.5%ほどで、ほとんどはその行動が極端に偏執的であるだけで、精神的には正常という分析がなされている。果たしてそうなのだろうか。前編第3回「人はなぜ遊園地に行きたがる」でも書いた通り、人の脳の働きはドーパミンやセロトニンといった脳内物質によってコントロールされている。そして、この脳内物質は麻薬と似た働きがあり、繰り返し分泌を促しているとだんだんと効き目がなくなり、より強い快感を求めるようになる。ギャンブル依存症や買い物依存症などもこれと同じである。
ストーカー行為も、徐々にその執拗さ、陰湿さがエスカレートしていくことを考えると、どうもこの○○依存症と同じではないかという気がする。追いかける相手に付きまとったり嫌がらせをすることで、その相手が怖がったり、困ったりするのを見ることで快感を覚え、だんだんと行為をエスカレートさせてゆく。仮にストーカー依存症なる病気があるならば、精神病としてきちんと治療し、必要ならば強制隔離という手段も取るべきではないだろうか。
現行のストーカー規制法では、単に被害者に近づくなという「警告」と「禁止命令」があるだけで、ストーカー行為者を緊急的に強制隔離するところまでは認めていない。しかも被害者からの告訴がないと警察も動けないというから、いつも手遅れという最悪の事態になる。被害者が気の毒でたまらない。


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