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作品名:続・不可思議情報の私的考察 作者:ツジセイゴウ

第11回   むやみに漢字を使うな
テレビでは相変わらず漢字クイズが人気である。読みの難しい漢字を出題しては、当てた人を皆で「スゴーイ」と声をそろえて褒める。漢字検定試験の方も相変わらずの人気ぶりである。毎年何十万人もの人が受験するという。
筆者も時々、そういうクイズ番組を見るが、まあ漢字検定2級レベルでほぼ日常生活に支障はないように思える。準1級から上のレベルになると、ホントどうしようもない漢字ばかりが出てくる。ほとんど当て字のような読み方、新聞でもまずお目にかからない難しい漢字、そんな字を覚えていることに一体何の意味があるのであろう。
少し前置きが長くなったが、あまり漢字を多用することは日本固有の文化を損なうと言ったら、言語学者に叱られるであろうか。そもそも漢字は、奈良時代に「漢」の国から輸入された文字で、外来語なのである。当時、中国は日本から見れば素晴らしい超先進国で、意のある日本人は皆中国に留学し、中国の文化を持ち帰って日本国内に広めた。当時の文章は漢文が当たり前で、漢文のできる人はそれこそ一握りのエリートであった。
筆者が問題と考えるのは、言語を制する者は国をも制するという点である。他国を侵略し征服した者が、その国を実効的に支配するのに用いた最も有効な方法は、その国の言葉を使用禁止にし、自国の言葉の使用を強制することである。古くは植民地時代、旧宗主国は植民地で自国語を公用語として使用することを強制した。その名残が今でも、中南米におけるスペイン語、アフリカにおけるフランス語、そして世界的に広まった英語として残っている。さらに、第二次世界大戦中には、フランスに侵攻したドイツはドイツ語の使用を強制し、台湾に攻め入った日本は日本語を公用語とした。
たかが言葉ぐらいでと思われるかもしれないが、中国に行けば、日本が漢字を使っていることで、日本はもともと中国の属国であったと真剣に信じている人もいるという。そういえば、お隣の韓国では、以前は使っていた漢字の使用をやめ、ハングル一本に統一した。これはエライと思う。
この点、日本人はおおらかと言うべきか、今でも何のはばかりもなく堂々と漢字を使わせてもらっている。本来なら中国に著作権使用料を払わなくてはならないところだ。前編第15回「なぜ治らない日本の西欧崇拝」でも書いた通り、日本人はどうも自分よりすぐれた文化に甘受されやすい傾向があるようだ。古くは中国、近代では西欧、いずれも他人が作ったものをホイホイと受け入れ、自分で適当に加工してあたかも自らが作ったモノのように使ってしまう。全く主体性のない民族である。
かく言う、この文章も漢字だらけでした。ゴメンナサイ。


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