宇宙もののSFでしばしば登場するワープ航法は理論的には可能である。ワープは光をはるかに超えるスピードで何光年も離れた遠い星に瞬時に到達する方法としてしばしば描かれる。しかし、実際には光より速く飛ぶことは物理的に不可能とされている。 ワープの本当の意味は、空間を「ゆがめる」ということである。 大阪から東京まで行くことを考えよう。普通なら新幹線で2時間半かけて行かなければならないが、日本列島をぐにゃりと曲げて、東京と大阪をくっつけてしまえば瞬時に移動できる。あるいは、東京と大阪の間をぐいっと押し縮めて距離を短くすれば、同じスピードでも短時間で移動できる。ワープ航法とは、これと同じやり方で空間自体を曲げたり縮めたりして飛ぶ方法である。 空間自体がゆがむということは既にアインシュタインが証明しており、実際に観測もされているので、これはSFではなくもう現実である。ただ、そのためには途方もない強い力が必要になるので、そんな力を手に入れる技術が実際に開発できるのかどうかは極めて懐疑的である。 もし高度な知的生命体がワープ航法を開発して実際に宇宙空間で日常茶飯事的に使っているとしたら、宇宙空間における星や銀河の位置が頻繁に動くはずだが、今のところそうした現象は観察されていない。よってはるかに高度な文明をもってしてもワープ航法は開発されていないとみるのが自然である。
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