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作品名:不可思議情報の私的考察 作者:ツジセイゴウ

第41回   人はなぜ高い所に上がりたがる
東京スカイツリーがオープンした。電波塔にある展望台としては世界最高所だそうだ。人はなぜこうも高い所に上がりたがるのであろうか。高所恐怖症でなければ、確かに高い所に上がると気持ちいい。高層マンションでも上層階ほど値段も高い。本来、高い所は危険も多いので嫌われてもよさそうなものだが、実際はその逆である。なぜだろう。
まず生理学的にはどうか。高い所は低い所に比べて気圧が低い。エレベーターに乗ると鼓膜がペコペコするのはそのせいである。気圧が低いと人は気持ちよく感じるのだろうか。でも実際には、低気圧が近づいてくると体の不調を訴える人が増える。それに、気圧のせいならば、外の景色を見なくても気持ちよくなりそうなものだが、そういうこともない。どうも、生理学的要因ではなさそうである。
次に、宗教学的アプローチ。古来より、天には神が存在し、人々は少しでもそこに近づこうとして高い建造物を建ててきた。古くは、ピラミッドやバベルの塔、もう少し新しい時代では教会の尖塔などがある。しかし、東京スカイツリーは信仰のために建てられたのではないし、全く信仰心のない人でも続々と展望台に上がっていることからすれば、どうもこの説でもなさそうである。
さらに権力欲あるいは優越感が原因という人もいる。封建時代には、時の権力者たちが城に天守閣を築き、そこから町を見下ろした。高い建物のなかった時代には、さぞ気持ちよかったことであろう。天守閣は別に城を守るためだけにあるわけではない。その威容を人々に見せつけることで、城主は自らの力を誇示することに用いた。確かに、現代でも高層マンションの最上階は億ションが多い。その部屋を買う人は、私は金持ちですと人々に見せびらかし優越感を感じていると言えば、言えなくもない。ただ、これだと東京スカイツリーに上りたがる人の気持ちに説明が付かない。
最後は最も説得力があるかなという説。人がまだサルだった時代、いつどこから天敵が襲ってくるか分からない状況の中で暮らしていた。いつでも周囲が見渡せる高い所は安全で、そこにいると安心感が得られた。よってサルは高い木の上に上るようになった。その名残が、天敵のいなくなった今日でも人の本能の中に組み込まれていて、人は高い所に上がると気持ちよく感じるのだという。確かに、人がヘビを怖がるのも、人がまだサルだった頃に植え付けられた遠い記憶の名残だという説がある。ただ、仮にこの説が正しいとしても、地上何百メートルもの高さまで上がりたがる理由は説前が付かない。
結局、人が高い所に上りたがる本当の理由はよくわからない。ちなみに筆者は高い所は苦手である。特に足の下がないロープウェイ、観覧車、吊り橋等は全くダメです


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