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作品名:不可思議情報の私的考察 作者:ツジセイゴウ

第25回   増える草食系男子の憂い
最近、草食系男子が増えていると言われている。草食系男子の定義はないが、おとなしくて自分から女性に声もかけられない、優しくてあまり人と争うことを好まない、自分の世界に閉じこもりあまり他人と付き合いしたがらない等々、要するに草食動物のようにおとなしい男の子を指して言うようだ。
昔は、もてる男と言えば、背が高くて筋肉隆々、胸板が厚くて力持ち、頼りになりそうな体育会系の男と相場が決まっていた。それがいつのころから、そういう男は汗臭くて、やたらセックスをしたがる、危険な男とみなされるようになってしまった。代わって、最近は草食系がもてるようになっているという。
強すぎる女性が悪いのか、それとも頼りない男性が悪いのか、はたまた一種の社会現象あるいは流行なのか。ところが、生物学的にみるとこの傾向は極めて憂慮すべき事態なのである。
動物界では、オスがメスをめぐって争うのは当たり前である。ライオンは、1匹のオスにメスが数匹という形で群れを作る。この群れに入れるかどうかを巡って、オスは激しく争う。そして勝った方が残り、負けた方はおとなしく去る。メスは負けて去るオスに一切の未練を示さず、新しいオスと新たな命を育む。そして残酷なようだが、新しいオスは前のオスとの間に生まれた赤ちゃんライオンを殺してしまうという。どこか、継父が前の夫との間の子供を虐待する人間界の出来事に似ているようにも思えるが、これは嫉妬とかそういう類の話ではない。
自然の摂理として、少しでも強いDNAを残そうという営みなのである。サバンナでの生存競争は厳しい。少しでも足の速い者、少しでも牙の長い者、少しでも力の強い者が生き残る。ボヤボヤしていると群れ全体が危うくなる。それがわかっているからこそ、メスは少しでも強いオスとの交尾を求める。
人間界は動物界と違う、力のあるものだけが子孫を作れるなんてルールはおかしいという人もいるであろう。確かに人間界では、社会的弱者も守られている。よほどのことがない限り、大抵の人は普通に結婚して子供を成すことができる。人間界はサバンナと違い、多少足が遅くても生き残れないということはない。
ただ、あまりにひ弱い男子ばかりがもて始めると、弱い遺伝子が人間界に蔓延するリスクがある。病気に弱い遺伝子、ストレスに弱い遺伝子、生殖能力の弱い遺伝子、こんな遺伝子が蓄積してゆくと遠い将来人間界は大変なことになってしまうかもしれない。生物学的に憂慮すべきと言ったのはそういうことである。
実際、最近不妊に悩むカップルが増えているという。それも男性に原因があることが多いという。すでに、草食系男子による遺伝子の弱体化が始まっているのかもしれない


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