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作品名:金魚とウサギ 作者:紗工房

第1回   1
ウサギが金魚に恋をしました。

金魚鉢で太陽の光を浴びて泳ぐ金魚。キラキラとまるで宝石のよう。
ガラス細工のような大きな瞳。
やさしい笑顔。

晴天のさわやかな朝に、ウサギは金魚に言いました。
「僕は君が好きだ。君はどうやったら僕を好きになってくれるのかな?」
「あなたはダメよ。だってあなたは、私のように赤くないわ。」
金魚はすまして答えました。
それを聞いたウサギは、「よし、わかった」と言って、走り去りました。
行き先はどこなのでしょうか?

ウサギは東に向かって、何日も何日も走り続けました。
走り続けたせいでウサギの左前足のつめが、すべてはがれてしまいます。
痛みなど感じません。ウサギは一心に走り続けます。
「赤くなりたい!
そうすればきっと、僕を好きになってくれる。」

着いた先は山の神様のもとでした。
ウサギがわけを話すと、たくさんの赤い実をくれました。
「これを3日間体にすりこめば、お前の体は赤くなるだろう」
と教えてくれました。
ウサギは3日間、この実を体にすりこみました。
するとウサギの体は、見事に赤くなりました。

山の神様に何度もお礼を言ってから、ウサギはまた、走り始めました。
西に向かって何日も何日も走り続けました。
走り続けたせいでウサギの左後ろ足のつめが、すべてはがれてしまいます。
痛みなど感じません。ウサギは一心に走り続けます。
「嬉しい、赤くなれた!
これできっと、僕を好きになってくれる」


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