「でも、固いぜ。どうやって床を落とすんだよ」 「何かで穴を開ければいいじゃん」 「なにで?」と言ったのは、さっき相場と呼ばれた少年の声だった。 「ここには適当な道具もねえし、穴を開けるとなったらシャベルぐらい必要だろ。ちょっと探してくるわ」 「待てよ、相場。もうここに捨てちゃおうぜ、どうせばれないって」 「だめだ」と、相場が言った。有無を言わせぬ口調だった。 「もし万が一、死体が見つかったらすべてがパアだ。おれたちが苦労して運んできたのも一気に水の泡だぜ。でも逆にいえば、死体さえ見つからなければ全然問題ないんだよ。今までだってそうだったろ?」 「チッ、手間かかるよな」 文句たらたらの仲間に、相場が言い聞かせるように言った。 「倉庫になんか道具があるはずだ。俺探してくる」 仲間のうちの一人がそう言って、扉を開く音が聞こえた。どうやら、「相場」がリーダー的役割を果たしているらしい。 「シャベル、あったぜ」 ほどなくして、彼は嬉しそうな声を上げて扉を勢いよく締める気配がした。 「さあ、ここを掘るぜ。机の陰になってるし、ちょうどいい」
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