二人は古い木靴の中に炭火を入れて、足が冷えないようにしながら急いで帰路についた。 すでに日は傾いて久しく、手に持ったランプの明かりだけが頼りだった。 木の上でトンビが鳴いていた。 帰り道にはもう夜だった。 フクロウがぞっとするような声で二人を呼んでいた。
道を曲がっているところで、キュアリーはなにかの影が家の前を忍び足で動いているのを見た。 そして開いていたはずの干し草置場の扉が閉められていると感じた。 けれど、今は黄昏どき、こんな夜に人がいるはずもないと思ったキュアリーはそのままだまっていた。 そしてロズウェルの方は、向かい風のために頭を下げて歩いていたので何も見ていなかった。 「どうしたの?」 「いや、別に……。 早く家に入ろう」 キュアリーは悪い思い込みをふり払うように首をふり、いえのなかにさっさと入ってしまった。 彼女は家に入るとすぐ干し草置場に行って、扉に閂をかけた。 ふとふり返ると、干し草の山のふちの所にうす汚れた黒い靴が置いてある。 明らかに不自然だった。 商人が履くような靴ではない。 その靴はまるで自分だけでここまで歩いて来たかのような異様な存在感を漂わせていた。 「きっと叔父さんの靴だよね。それ以外ありえないし……」
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