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作品名:サニーサイドアップ物語(sunny-side up tales) 作者:ブナ

第2回   2
彼女の母は厳しかったが、良いことをすると、とびきりのやさしい笑顔で、褒めてくれる人だった。
彼女はそれがうれしくて、いつも自分が良かれ、と思うことをやった。
その結果が裏目に出て、母親を困らせることも多々あった。
そんな時、母親はいつもこう言うのだった。
「あなたは調子に乗ると、ブレーキがきかないんだから。人の気持ちを考えられるように努力しないとだめよ」


父親が旅立つと、ロズウェルは牛に餌をやり、家を出た。
家の前方に広がる緑一色の牧草地を越え、一年中枯れることのない泉のそばまで来ると、
三本のナナカマドの木があった。
枝にはツグミが止まり、何やらにぎわっている。
彼女はここで一服いれることにした。
ナプザックから朝焼いたばかりのパンをとり出し、口に入れる。
口いっぱいに香ばしい匂いがひろがった。
おいしそうな匂いに気付いたのか、鳥たちが次々と寄って来た。
彼女と一定の距離を保ちながらも、ものほしそうにこちらを見つめている。
「しょうがないわね、これしかないけどあげる」
バンの切れ片を宙にほうると、地面につくより前に、一羽の巨大な鳥がそれをかすみ取った。
「なんて大きい鳥……。こんなの見たことないわ」
呆気にとられた彼女は、開いた口がふさがらなかった。
また鳥たちが騒がないうちにこの場を離れることにした。
見晴らしのきく青い尖った峰まで登ると、そこから先は至る所、森、森、森だった。


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