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作品名:見えない城 作者:ながいみち

第28回   28
辺りは日が暮れ始めると8月でも肌寒く感じた。

准一は待たせた運転手に、「夕張駅へお願いします。」と伝え隣接するホテルにチョックインした。

冬場はホテルからリフトに乗れ、そのままスキー場へ行ける人気のあるホテルである。財政難に喘ぐ夕張にとって今後、期待したいリゾートの一つでもある。
その夜、准一の幼い頃の話に花が咲き、夜が更けるのも忘れいつしか二人は抱き合って眠りについた。

翌日准一は、レンタカーを借りて支笏湖まで走らせた。

道東道はまるでプライベートロードのように追い越す車もなければ対向車も全くなく、周りの景色もだだっ広い草原ばかりだった。
それから2時間ほどで支笏湖に到着した。途中、千歳川を横目に車を走らせていると大自然の雄大さを身体で感じ、幼い頃よく家族で遊びに来たことを准一は思い出していた。

支笏湖は車で一周出来ない。しかし、湖畔を歩いたり自然を満喫できた。

夕方二人は支笏湖の北側にある丸駒温泉に着いた。そこは露天風呂が湖畔に面しており穴場の温泉であった。准一は早速愛美を誘って混浴風呂へ向かった。湖を眺めながら入る温泉は何とも言えない開放感と緊張感に満ちていた。

准一は改めて見る愛美のうっすら色付いた桃色の肌がとても眩しく思わず抱きしめてしまいたい思いにかられた。

「なにじっと見てるの?」と愛美が照れくさそうに言った。
「う・・・ん、色っぽいなぁ〜って思って・・・」准一は温泉の湯で顔を洗った。

露天風呂は温泉の湯気と湖畔から流れる冷気が微妙に交差して逆上せを防いでいた。

愛美は身体に巻きつけたバスタを突然外すと湖に向かって背伸びをした。准一はびっくりしたが開放感の連鎖で自分もタオルを外すと愛美の背中からぎゅっと抱きしめ、首筋に優しくキスをした。

愛美も後ろに腕を回して「准一、素晴らしい旅行、ありがとう」と呟いた。

翌日は、新千歳空港で他のツアー客と合流しなければならないので、時間に合わせて空港へ向かった。愛美は友人への土産を買う算段でウキウキしていた。

「やっぱりそう言うところはまだまだ子供なんだなぁ〜」と、准一はニコニコしながら眺めていた。鞄一杯に土産を詰め込んだ愛美は満足していた。

「これでオッケー!さぁ准一行こう!」そう言うと、搭乗手続きを済ませて二人はまたいつもの生活へと戻って行った。


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