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見えない城
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第25回
第二章 確信
二度目のイブの夜以来これと言って二人の間が、ぎくしゃくすることはなかった。
准一は友達付き合いをするようにと愛美に言われ、できるだけ学内では冬樹らと一緒に行動したり遊んだりした。
そのお陰で入学当時よりは人付き合いがよくなり自分から話しかけることは無くても、無視することは無くなった。
釣りももともと冬樹が好きで誘われた。最初はためらったが、愛美の後押しで仕方なく行ったところこれが面白くなりちょくちょく出かけるようになった。こうして准一の趣味も一つ増えたのである。
愛美も居酒屋ではベテランになり、看板娘になっていた。しかし准一には内緒だった。ああ見えて焼きもち焼きなところもあり、気に入らないと完全無視するからである。
愛美も准一も4年になった。卒業を迎える准一たちには選択肢が迫られた。 大学院へ進むか研究生または就職するかである。冬樹は大学院を希望していた。
しかし冬樹の彼女は別の大学の研究生を希望しており、離れ離れになる話題でいつも言い争いになっていた。しかし、結局結論が出ないまま続いている。
准一は入学当初から就職希望であった。しかし愛美と出会ってから一時は院生に希望しようとした。だがあのクリスマスの夜以来、自分の進むべき道をしっかり決めたのであった。
5月になると准一たちは地元の病院で約1ヶ月病院実習を受けなければならない。 どうしても決まらない学生は大学の付属病院を紹介するが出来るだけ地元へ希望させられた。
准一は千葉の県立総合病院に実習が決まっていた。その他に研究室での実習も始まり、薬学部とはいえ医学部と同じくらい忙しい毎日を送っていた。
「愛美?明日から病院実習だけど寂しがらないでね・・・。頑張ってくるから。」 准一は寂しそうに言った。
「任せておいて!私も苦手な感染症学のレポートをまとめなきゃいけないから頑張るね、だから准一もガッツ!それから綺麗な看護師さんに浮気心出さないように。」 愛美も寂しかったが笑顔一杯で送り出した。
実はこの病院実習の期間、准一は実家に泊まらなければならない。それが一番苦痛だった。
冬樹も准一と同じ時期に実習を受けた。
愛美は4年になると消化器病学を特に熱心に受講した。他に法医学にも興味を示し解剖 学の研究講座へも足を運ぶほどになっていた。
ある日愛美は思った。 「これらを学び、臨床経験豊富な平柳部長にしても父の病気は治せなかったのか・・・」と、現代の医学の儚さを思い知らされた。
とその時、携帯にメールの着信が入った。
「あっ、よー子からだ・・」
愛美は直ぐよー子のメールを開いて読んだ。そして、
「ありがとう!それじゃぁ、今週の土曜、12時半に横浜駅で待ち合わせしよう。」と返信した。
愛美は、よー子からのメールを何度も繰り読み返し、
「これで真実が分かる・・・」と思うと、3年間の重苦しい心にさよならしたい気持ちで一杯だった。
愛美はよー子の都合に合わせて土曜の昼間、横浜駅まで足を運んだ。マンションからは在来線と新幹線を乗り継いでもその時間が一番早い到着時間だったのである。そして駅構内のレストランで待ち合わせた。
3年ぶりに逢うよー子は少し疲れて見えたものの何も変っていなかった。愛美はほっとした。
「よー子、貴重な明け番なのにありがとう・・・」
ほんの少し前によー子は着いており、
「いーよいーよ、友達でしょ。3年ぶりの。」
よー子のその言葉に愛美は何とも言えない安堵な気持ちになった。
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