Warning: Unknown: Unable to allocate memory for pool. in Unknown on line 0 Warning: session_start(): Cannot send session cache limiter - headers already sent in /var/www/htmlreviews/author/10659/10550/24.htm on line 4 見えない城
20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:見えない城 作者:ながいみち

第24回   24
二度目のイブの夜が来た。もちろん今年も二人で過ごしている。

「ねぇ〜、准一、去年のクリスマスプレゼントは安物の手袋だったけど、今年は・・・じゃーーーん!凄いでしょ!!

ニユ○ロ製のカシミアセーターだよ!准一の好きなモスグリーンだし!似合うよ」愛美はワクワクしながら准一が包みを開くのを眺めていた。

「ありがとう!!すっごく温かそう!好きな色だよ!」

愛美は自慢げに自分のセンスを誇った。
そして二人はいつものノンアルコールシャンパンで乾杯しケーキとチキンを頬張った。

「愛美、次は僕からのプレゼントだよ。」
「え〜っ!!!うっそ〜!」

去年は准一からのプレゼントは無かった・・・と言うより、忘れていたのだ。

女性にプレゼントをしたことなど無い准一にとってそれは仕方ないことであった。だから愛美も文句は言わなかったのである。

しかし今年こそは・・・と、准一はバイト代を貯めてプレゼントを奮発したのだった。

愛美に手渡した物は小さな包み紙だった。赤い包装紙にグリーンと金色のリボンが着けてある。それだけ見ても愛美が用意したセーターより高価だとすぐ気付いた。

愛美はドキドキしながら青紫色のスエードのケースを開けた。
そこには3月の誕生石アクアマリンに小さなダイヤの付いたネックレスが輝いていた。

「きゃーっ!どうしよう!素敵!准一ありがとう!大事にするね。」愛美の誕生石をしっかり調べ店員に何度と無く相談し購入したのだった。

「愛美?知ってた?アクアマリンには愛を育み結婚(幸福)へと導くっていう意味もあるんだって。」

「え〜!!知らなかった!」
「だろう?そう思った。これで僕たちは永遠の愛を誓い合ったってわけだね」愛美は何より准一からのその言葉が嬉しくて嬉しくて仕方なかった。

二人は最高のイブの夜を過ごし、いつもの狭いベッドで准一が腕枕をしてくれた。

そして小さな愛美は准一の胸に抱かれながら夢に着こうとしていた。

その時かすか遠くに准一の声が聞こえた。
「教えて・・・愛美のこと・・・」

「・・・?」
愛美は遠のいた意識を取り戻して准一に、

「今何か言った?」
と、小声で聞き返した。

「うん・・・愛美の本当のこと知りたい・・」
「本当のこと?」

「そう・・本当のこと・・病院を辞めたこと・・・医学部へ入学したこと・・・全部・・」
「・・・・」

愛美は言葉を失った。「母だ・・・母のあの言葉を気にしてたんだ・・ずっと・・・」
准一は、夏休みから聞こう聞こうと思っていたのだがどうしても愛美聞けずモヤモヤしていた。

「・・・・」
愛美はしばらく黙り込んだ。そしてもう嘘をつくことは出来ないと思うと・・少しずつ話し出した。

「私が付き合っていた人は・・・本当は大学の准教授じゃなくて私が働いていた総合病院の先生なの・・。」

愛美は小さな声で准一の胸に向かって言った。

「医者?」
「そう・・・」

「そいつと本気で付き合ってたの?」
「うん・・本気だった・・・」

「じゃぁどうして別れたの?」
愛美は自分の動悸が准一の身体を通して感じた。

「本気だったけど・・・どうしても許せないことがあって・・・」
「許せないって?そいつが浮気したとか?」

「そうじゃない・・・そうじゃないけど・・・その人には家族があったの。でも!それは直接の原因じゃない。私は先生のことが本気で好きだったし、たまたまその人に奥さんが居たということだから・・・」

「それじゃ!そいつは家族がありながら愛美と付き合ったのか??!!許せない!そいつは愛美を騙したんだよ!」
准一の腕に力が入った。

「違う!准一!そうじゃない・・・だって先生は私よりずっと年が上だし・・・父親くらい・・・。だから奥さんや子供が居たっておかしくなかったの。それでも私は好きになったんだし・・それでいいと思ってた・・・・たった半年足らずの付き合いだったけどその間はとても幸せだったし楽しかった・・・。でももう忘れた・・・あのグリーンファイルと一緒に・・・」

「愛美はそれでいいかもしれないけど、同じ男として僕は許せない。それに、もう忘れたって言うけど、そんなに幸せだった付き合いを忘れたなんて・・・」

准一は愛美にどんな辛い過去があるのか本当のことを知りたかった。

「愛美?」
「う・・ん?」

「確か愛美の病院って横浜だったよな?」
「そう・・・横浜○○総合病院・・」

「○○総合病院・・・か・・・」
「准一知ってるの?」

「ううん、知らないけど、横浜ではかなり名の知られた病院だよ、それくらいは知ってる。それでそこの部長級の医者なんだぁ・・・その相手っていうやつは・・・」

「うん・・・」

准一はできるだけ愛美を傷つけないように尋ねた。そしてもうこのことに触れるのはよそうと決心した。
「愛美?僕は今の愛美を愛してる。君が過去にどんな恋愛をしていようが気にならないと言えば嘘になるけど、今は僕を愛してくれている。これからもそうだよね。だから僕は愛美の過去を捨てる。愛美も僕だけを見てて欲しい・・・いいね?」
愛美は小刻みに震える身体を押さえながら小さくうなずいた。しかしその時もう一つ大切な決意を准一に言い忘れていた・・・。それはなぜ愛美が医者になろうとしたということだった。
過去の不倫話に整理をつけるには准一には少々時間が必要だった。もしこの時、最後の一言まで愛美が打ち明けていたのなら・・・二人の人生は大きく変っていたであろう





← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 4144