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見えない城
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第23回
偽りのない愛
年が開けお互いに進級した。
准一は学部内でもトップクラスの成績である。 教授からも慕われ出来るだけ院生として研究を続けて欲しいと常々頼まれている。
愛美は相変わらず頑張り屋で人一倍努力をしている。時には准一に教えてもらうこともあるが、そういう向上心がお互いの理解をより深めていった。
しばらくすると、冬樹にも同じ薬学部の彼女が出来た。 これがなかなか愉快なカップルで周りを楽しませてくれた。薬学部も医学部もレポートや試験に追われる毎日もあるが休暇はしっかり取れた。
夏休みにはそれぞれの実家に遊びに行ったり、温泉旅行にも行った。しかし准一の実家へは一度も行ったことはなかった。なぜなら准一が連れて行こうとしないのだ。
愛美も研究や論文があるからと言って無理にその話題には触れなかった。
夏休みの終わりに、愛美は初めて准一を小田原の実家に連れて行った。 姉は既に大学を卒業して地方の化粧品会社で製品の機器分析の仕事をしていた。
「姉妹そろって理系なのは誰に似たのかしら」と、笑顔で愛美の母親が迎えてくれた。
母親は介護の仕事をずっと続けている。「そろそろ年だから無理はしないでね。」と愛美がいうと、「あらまぁ!あなたにそんなこと言われたくないわよ!勝手に病院辞めて、しばらく黙ってるんだもの。お母さんだって心配したのよ!あの時しばらく連絡なかったでしょ!」
愛美は「余計なこと言わないでよ・・・」と言わんばかりに准一を覗いた。
准一は聞かなかった振りをして、「あっ今日はよろしくお願いします。」と言って、キヨスクで買った土産を出した。
「あらまぁ!気を使わないでね、ゆっくりして行ってね」とニコニコして言った。
そして准一たちは二泊してまた大学へ戻って行った。
夏休みがまだ二日残っていた。愛美はレポートの最後の追込みをしていた。バイトは相変わらず土日の夕方からなのでなんとか仕上がりそうだ。准一も時間に余裕のある時は派遣のバイトをしている。
真面目を絵に描いたようなカップルに周りの学生たちも感心するほどだった。
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