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作品名:見えない城 作者:ながいみち

第1回   1
階段を駆け上がる足取りも軽く准一は4階にある愛美の部屋へ急いでいた。
バブル全盛期の頃建てられたこのマンションは名前ばかりサマーヒルズと洒落てはいるが、1K〜2DKとさほど室内は広くなく戸数も20件ほどで、ましてや少々交通の便も悪く人気は今一であった。

しかし現在では築十年数経ち賃貸料も低価格な為、自動車を所有する者にとってはなかなか人気の物件になっている。愛美もそんな物件に惹かれた一人である。

地方の大学に通う愛美は一度大学を卒業し就職していたが、その後医学を志し別の大学に再入学していた。

以前の大学は看護系で、卒業後、某総合病院で看護師として勤務していた。しかし一年も満たない内に医学部を志すことになる。

看護大在学中は成績も良く教授から推薦を受け総合病院へ就職したのだったが、申し訳ないことをしてしまった後悔の念はあるものの、自分の信念を貫きたいと医学部への再入学を決心させた。

「ピンポ〜ン、ピンポ〜ン、僕!」

狭い部屋にチャイムが響いた。

「・・・は・・ぃ、」

聞き慣れた声に息使いの荒さを察して准一だと分かった。

愛美がドアチェーンを外すと同時に玄関のドアが開いた。

「偉い、偉い、ちゃんとチェーンしてるな。」

「も〜う、子供じゃないんだから!それに寒いでしょ!」

眠たい目を擦りながら愛美が応えた。


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