技術系の仕事をしていたので、転職は簡単だった。
けれど、新しい彼は同じように簡単には出来なかった。
それは当然のことだった。知り合ってすぐ付き合い始めたような人と
何年も付き合った彼とを比べても仕方ないんだ。
「何にもわかってくれない。」なんて当たり前なんだ、知らないんだから。
それでも一人が寂しいから、手頃な人と付き合っては別れたりを繰り返した。
今ならわかってるつもりだ、寂しいから誰でもいいから一緒にいたいなんて
相手にも失礼だ。
でも、その歳になっても私は自分のことばかり考える女だったんだ。
そんな事を繰り返していたある日、あの人に出会ったんだ。
本当は甘えたいのに、なかなかうまく甘えられない私が
その人にはすぐに甘えられたんだ。よりかかることができたんだ。
何を話しても全部受け止めてくれる気がしたんだ。
たったそれだけだった、理由は。
私は彼と結婚することになったんだ。
初めて彼を両親に紹介したとき、母はお風呂場で一人泣いたそうだ。
なぜお風呂場なのかとか、そんなことはどうでもよくて
彼はきっと、兄に似ていたんだ。
顔とかではなくて、雰囲気が・・・。
私は母の涙の訳を、勝手にそう解釈した。
その頃、私が家を出てもう1年が経とうとしていた。
父も母も彼に会ってとてもうれしそうだった。
もう離婚の心配はなさそうだと思った。
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