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作品名:ココロの傷。 作者:maru

第14回   14
私は両親にウソをついていた。

学生の頃から付き合っていた彼のことだ。

付き合い当初、両親に彼の話をしたことがあった。

しかし、バイクに乗っていることや夜中に会いに来ることで付き合いを反対され
何度も口論になったので

両親には彼とは別れたとウソをついて付き合っていたんだ。

そして兄が事故にあった日も、彼と会っていたんだ。

私はもう両親にウソをつきたくなかった。

私は今まで兄がいてくれたからこそ、好き勝手やってこれたんだと思う。

でも、もうそれは許されなくなったんだ。

だから彼とは別れることにした。

もう付き合って5年になる。結婚の約束もしていた。

でもだめだったんだ、両親の反対するような結婚はしたいと思えなかったんだ。

彼にしてみれば、あまりに唐突で一方的な別れだったんだと思う。

なかなか別れを受け入れてくれなかった。

私が逆の立場だったらやはり同じだっただろう。

でも終りにしなければいけなかったし、自分の中のすべてを変えることで

兄がいなくなったという事実を少しでもごまかしたかったんだ。

仕事も変えた。復帰してからの腫れものに触るような感じが嫌だった。

このことを全く知らない人たちの中に飛び込みたかったんだ。


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