20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:ココロの傷。 作者:maru

第12回   12
実はこの時の記憶は、はっきりしている部分と不鮮明な部分が入り混じっている。

翌日、私は兄の携帯を見て彼女らしき人へ連絡した。

留守電になったので、事故のことと病院名を簡単に入れて切った。

その日の夕方、彼女が病院へやってきた。

初めて会う兄の彼女。

優しくて凛としている彼女。

私と同い年の彼女。

初めて会うのがこんなかたちでなければ・・・。

すごくつらいのは彼女も同じなのに、彼女と話をすることで私は少し元気づけられたんだ。

それから親戚やら、兄の関係の人たちが続々と見舞いにきてくれた。

しかし、兄はずっと眠っていた。

3日間ずっと眠り続けた。

そして次の日の朝、父が家の様子を見に帰っている間、看護婦が呼びにきた。

「すぐにお父様に戻ってもらってください。」

もう何となく意味はわかった。

父が病院へ戻ると私たち3人は、兄のいる集中治療室へ案内された。

医師が慌ただしく心臓マッサージを始めた。

ドラマなんかで聞き覚えのある「ピッピッピッピッピッ。」っという機械音がだんだん速くなっていく。

「ピーーーーッ。」

医師だか看護婦だかが、時刻を読み上げる。

本当に型式どおり、ドラマのまんまだ。

ドラマのまんまだから、これがどういう事を表しているのかもわかっていたはずだ。

でも、何の感情も湧いてこなかった。

だって、見た目は何も変わっていないから。

5分前も今も同じく、そこに兄は眠っていたから。

いなくなったとか意味がわからない。

私、バカなのかな?

こういうの、現実逃避っていうのかな?


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 2271