20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:ラビリアンファンタジー Comical Memorys 作者:ディオス

第5回   番外編 ドタバタお正月騒動!

「新年、明けまして」
「「「おめでとうございます!」」」

マサシを初めとする神竜隊一同が新年の挨拶をする。マサシ、ユウタ、コンタは羽織袴、ジゼル、シオン、レイナ、ネリネは着物を着て横一列に並んでいる。因みに着物の色は、ジゼルが撫子色、シオンが茜色、レイナが菜の花色、ネリネが露草色である。すると、マサシとジゼルがゆっくりと一歩前に出た。

「今年最初の投稿である『ラビリアンファンタジー Comical Memorys』、今回は本編とは違う番外編となっています」
「お正月をメインとした物語。皆さん、最後まで気分を悪くする事なく読んでいってくださいね」

マサシとジゼルが今回の物語の内容を説明していると、その後ろでコンタが後頭部を掻きながら少々面倒そうな顔で言った。

「それにしても、なんで正月早々に番外編なんてやることになったの?」
「仕方ないだろう、正月は一年の初めと言える大切な時。正月をメインとした物語は正月に投稿しないと合わないからな。それに、本編で正月をメインにした物語を作りにくいだろうし」

正月に突然番外編を投稿し、いまいちヤル気の出ないコンタにレイナが言う。すると今度はユウタとシオンが話しに加わってきた。

「まぁ、それも良いんじゃないか?俺達も正月を楽しむ良い機会だろうしな」
「そうね、折角だから思いっきり羽を伸ばしましょう」
「・・・本当に楽しそうだね、ユウタとシオン姉さん」

やたらと楽しそうなユウタとシオンを見上げてコンタは首を傾げながら言うと、レイナが腕を組み前を見て口を開いた。

「大方、本編での出番が減ったから自分達の出られる事に喜んでいるんだろう」
「「!」」

レイナの言葉を耳にしたユウタとシオンは何かが罅割れるような音をさせて固まった。どうやら図星のようだ。

「・・・ええ、そうよ。そのとおりよ!悪い?出番が来て喜ぶ事が!?」

シオンがレイナの方を向き熱くなりながら言い放つ。レイナはそんなシオンに対し冷静な顔でチラッと彼女の方を見る。

「アンタ達はいいわよねぇ!前作と違ってメインキャラクターとして扱ってもらえるんだから!」
「ああ、そうだよ!俺達なんか本編ではまだ名前しか出てきてないんだぞ!」

シオンに続いてユウタも興奮しながらレイナに言い放ってきた。それでもレイナは表情を変えずに二人をジト目で見ていた。

「ま、まぁ二人とも落ち着いて・・・」
「落ち着いていられるかっ!」

二人と落ち着かせようとするコンタにユウタが顔を近づけながら言う。どうやら相当頭にきているようだ。そんな彼等のやり取りを見ながらネリネがマサシに小声で相談してきた。

(ね、ねぇマサシ、四人を止めなくてもいいの?)
(ほっとけばいいよ、アレがアイツ等なりのスキンシップなんだからな)
(そ、そうなの?)

ネリネは四人を見ながらホワ〜ンと汗を掻きながら見ていた。そんな四人を他所にマサシは話を進めていく。

「さてと、それじゃあジゼル、俺達はお節料理の準備をしようぜ」
「え、ええ・・・」

冷静に行動するマサシを見てジゼルは苦笑いをしながらマサシの手伝いをするのだった。この時ジゼルは思った「流石元神竜隊の隊長」と。





それからしばらくしてお節料理の準備が整った。しかも何処からか持ってきたコタツの上にドンと置いてあったのだ。

「さて、皆揃ったな?」

マサシが周りを見ると、全員がコタツを囲む様に座っている。ユウタとシオンもなんとか冷静になりコタツに入っている。

「少しはスッキリしたか、二人とも?」

マサシの質問にユウタとシオンは若干不機嫌そうな声で言った。

「ああ、少しだけな」
「この話が終わったら作者(ディオス)の所に怒鳴り込みに行ってやる事にしたわ」
「そ、そう・・・」

シオンの大胆発言に苦笑いをするネリネ。ジゼルとコンタも苦笑いをしながら二人を見ていた。マサシとレイナは冷静な顔で座っているままだ。

「さて、そろそろお節を食べようぜ」

マサシが箸を配り重箱を一段ずつ机の上に置いていく。重箱の中からは色とりどりのお節料理が姿を見せた。

「へぇ〜、これがお節料理なの」
「色んな料理があるわね」

初めてお節料理を見たジゼルとネリネは興味心身で料理を眺めていた。

「さて、皆食べようぜ」
「待って、マサシ」
「ん?何だよコンタ」

突然のコンタの声にマサシは箸を取るのを止めた。そしてコンタは手をマサシの前に出してニッと笑った。

「何、この手は?」
「お正月に手を出すと言えば一つしかないでしょう?」
「・・・・・・?」

コンタの言いたいことが分からないマサシは首を傾げる。すると、ユウタとシオンが何かに気付いたのかコンタと同じ様に笑いながら手をさし出した。

「何だよ、ユウタとシオンまで」
「マサシ、本当は気付いてるんじゃないのか?」
「え?」
「決まってるでしょう?」

シオンが笑いながら言い、その直ぐ後に三人が声を揃えて言った。

「「「お年玉!」」」
「・・・・・・はぁ〜〜〜!!?」

予想外の答えにマサシは思わず声を上げた。だが直ぐに頭に怒りの血管マークを浮かべて言い返した。

「アホか!何で俺がお前達にお年玉をやらにゃいかんのだ!」
「当たり前でしょう?マサシは神竜隊の隊長なんだから隊員にお年玉を上げるのは当然じゃん!」

納得のいかないマサシにコンタが言い返す。そんなやり取りを見ていたジゼルがレイナに尋ねた。

「ねぇレイナ、お年玉って?」
「お年玉というのは正月に新年を祝って贈る品物だ。私達の世界では子供達に金銭を送る習慣があるのだ」
「お金を?」

お年玉の事を聞いて少し驚くジゼルとネリネ。一方でマサシはコンタ、ユウタ、シオンと今だに言い合いをしていた。

「絶対にイヤだ!」
「何でよ!前作で一緒に多くの敵と戦ったんだからお年玉くらい貰ったって罰は当たらないでしょう!」
「そんなの当たり前の事だろう!大体どこの世界に自分と殆んど同じ歳の奴にお年玉をあげる奴がいるんだ!?」
「どこの世界にチャランポランな隊長の我侭に付き合って苦労してばかりいる隊員にお年玉を上げない隊長がいるのよ!?」
「ここにいますよ、ここに!」

そう言ってマサシは自分を指差しながら叫ぶ。するとユウタが何やらニヤリと笑いながらマサシを見て言った。

「お前、そんなんでいいのか?」
「な、何だよ?」
「今度の地球からの物資輸送の時にお前に頼まれた物資だけ輸送料を跳ね上げるぞ?」
「何ぃ!?」

地球からラビリアンへの物資輸送はライトシンフォニアが行っている、しかもその責任者はユウタ自身。つまり彼の気分次第で物資を輸送する時の値段は自由に変わるのだ。マサシの弱みを握ったユウタはニッと笑い、コンタとシオンも同じ様に笑った。

「くぅ〜っ!お前等なぁ!」

痛い所を突かれて悔しがるマサシ。そんな彼の肩をポンとジゼルが叩いた。

「マサシ、貴方の負けね。現にコンタ達のおかげで貴方が助かったのは事実なんだし、今年くらいはお年玉を上げてもいいんじゃない?」
「ジ、ジゼル・・・」
「流石ジゼル、話が分かるぅ♪」

味方をしてくれたジゼルに思わず上機嫌になるシオン。そしてマサシもとうとう折れたのか俯いて溜め息をついた。

「「「ありがとうございます♪」」」

片手にポチ袋を持ち笑いながら礼を言う三人。マサシは再び溜め息をついて皆の方を向いた。

「さぁ、これでいいだろう?早くお節を食おうぜ・・・」
「待てマサシ」

再びマサシの箸を取るのを止める人物がいた。今度はレイナだった。

「何だよ、まさかお前もお年玉をくれなんて言うんじゃ・・・?」
「いや、私は要らない。それよりも、コンタ達にだけお年玉を渡すのは不公平ではないのか?」
「え?いやお前今お年玉は要らないって・・・・・・あっ!」

何かに気付いたマサシはチラッとジゼルとネリネの方を向いた。そしてレイナの言いたい事を理解した。

「レイナ、お前・・・」
「そうだ、彼女達にだって貰う権利がある」
「「?」」

レイナの言いたいこと、つまり「二人にもお年玉をやれ」と言う事であった。そんな中、マサシとレイナの話をうまく理解できず首を傾げるジゼルとネリネ。





「本当にいいの?マサシ」
「私達までお年玉を貰っちゃって?」
「あ、ああ、いいんだよ。お前達二人にも随分世話をかけたからな、受け取ってくれ」
「そう?それじゃあ、遠慮なく」
「貰っておくわ」
「よかったね、ジゼル、ネリネ」

お年玉を貰い、内心少し喜んでいるジゼルとネリネ、そんな二人を見るコンタ、ユウタ、シオン、レイナの四人。一方で空っぽの財布を逆さまにして残金ゼロを影で悲しむマサシ。

「さて、それじゃあ改めてお節を食べましょう!」
「ああ、そうだな・・・」

お年玉を貰い上機嫌のシオンと逆に暗い声で言うマサシ。各自箸を取りお節を皿にとって少しずつ口に運んでいく。箸を使った事のないジゼルとネリネはポロポロと重箱の中でお節を落としている。

「大丈夫か二人とも?お前達箸を使った事ないんじゃ・・・」
「うん、でも前にマサシとレイナからお箸の使い方を教えてもらったからなんとかなると思う」
「でも、こういう細かいのはまだ難しいかも」

それでも二人はなんとかお節を皿に運びお節料理を味わった。昆布巻き、かまぼこ、栗金団、田作り、数の子など様々なお節料理を楽しみ神竜隊の正月イベントは過ぎていった。そんな中、マサシが箸を置いて話を始める。

「よし、この後は餅つきやカルタ取り、羽根突きとかもやるからな」
「おお、いいね。付き合うぜマサシ」
「おう、羽根突きではさっきのお返しをたっぷりしてやるからな」
「やってみな」

マサシとユウタは笑いながら火花を散らつかせる。そして再びジゼルがレイナに尋ねるのだった。

「レイナ、モチツキやハネツキって?」
「ああ、それはな・・・」

マサシ達は餅つきをしてその餅を食べ、カルタ取りで札を取るときに頭と頭をぶつけ、羽根突きでは負けた方の顔を墨で落書きをしたりなど、普通に正月を楽しむ姿を見せた。この時の彼等は傭兵としてではなく、普通の少年少女として正月を楽しんでいたのだった。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 1543