20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第99回   第九十八話 再戦(リベンジ)!シオンVSサヤカ!

ハヤテを倒し、両親の仇を討ったコンタ。自然の四塔(フォースド・ガイア)の一人を倒したが、まだサヤカ、リーズ、ゴードンが残っている、まだ油断はできない。

「・・・・ん?今のは爆発音?」

格納庫の中に響く爆発音、コンタがハヤテを倒す時に起きた爆発だ。それを聞いたシオンは耳をピクリと動かした。

「・・・・まさか、コンタ」

シオンがコンタの身を心配し不安そうな顔をする。すると、突然サヤカが気の抜けるような声を出した。

「あ〜あ、ハヤテ負けちゃったのねぇ」
「・・・・!ハヤテ?」
「ええ、私達、自然の四塔はメンバーの生存が分かるように『コレ』を付けてるの」

サヤカはそう言って自分の手首に付けているブレスレットのような装置を見せた。

「これで自然の四塔も私を含めて三人になっちゃったわぁ。残念」

仲間がやられたのに相変わらず気の抜けるような声を出すサヤカを見てシオンは苛立ちを見せる。

「仲間が死んだって言うのに、何も感じないの?」
「全然♪大体、死ぬのはソイツに力が無いからでしょ?自分自身が悪いんじゃない」
「最低ね」
「結構よ、自覚してるから♪」

スプリンクラーの水が降る中、シオンは大型ナイフを右手で構え直した。サヤカも構えなおすシオンを見てM10を取った。

「ナイフでマシンガンに勝てると思ってるのぉ?」
「思ってるわ」
「アンタって意外と馬鹿なのねぇ」
「アンタにだけは言われたくないわ!」

シオンは左手でバックパックから呪符を取ろうとしたが、スプリンクラーの水で呪符が濡れて使い物にならなくなっている。こうなっては、もう武器と契約者の力だけで戦うしかない。しかし、それはサヤカも同じだ。

「そろそろ終わらせましょう、戦いと私達の関係に」
「言われなくてもそのつもりよ!」

そう叫んだシオンは大きく後ろに跳びながら契約魔法の演唱を始めた。

「仇名す敵を焼き尽くせ!フレイムショット!!」

叫んだシオンが左手をサヤカに向けると、左手から火球が放たれた。マサシがUrs(ウルス)と戦った時に使ったのと同じ魔法だ。

「フレイムショットね、だったら私も♪」

自分に向かって来る火球を見てニッと笑ったサヤカも左手を火球に向けた。すると、サヤカもブツブツと喋り出した。

「業火よ焼き尽くしてぇ♪フレイムショット!」

なんとサヤカもフレイムショットを使った。左手から火球が放たれ、シオンの火球とぶつかり爆発した。しかしサヤカの攻撃はまだ終わらなかった、フレイムショットを放った後、再び彼女は契約魔法の演唱を始めた。

「灼熱の柱よ、焼き尽くしてぇ♪マグマタワー!」

演唱を終えたサヤカが左手をシオンに向けた。すると、シオンの足元がなにやら赤くなってきた。

「!!」

危険を感じたシオンは後ろに跳んでその場所から離れた。そして次の瞬間、シオンの立っていた場所から大きな火柱が姿を現した。

「危なかった・・・・」

なんとか攻撃を回避して一安心したシオン。だが甘かった、その火柱からシオンに向かって火の粒が飛んで来た。それに気付いたシオンは咄嗟に身を反らした。当たりはしなかったが、その火の粒が床に落ちた直後、その場所から煙が上がり、ゆっくりと溶け始めたのだ。

「なっ!」
「フフフ、驚いたぁ?」
「とんでもない熱ね・・・・」

シオンが最初に立っていた場所から吹き出た火柱は消え、その場所からマグマがゆっくりと格納庫に広がっていく。だが、スプリンクラーの水でマグマは徐々に固まっていき、格納庫が溶かされる事はなかった。

「あ〜あ、面白いところだったのに、残念」

マグマが固まりガッカリするサヤカ。そんな彼女を見てシオンはサヤカに向かって走り出した。

「ん?」

自分に向かって来るシオンに気付いたサヤカはM10の引き金を引いた。9mm弾が銃口から吐き出されシオンに迫る。シオンはジグザグに動き、弾丸をかわしながらサヤカとの間合いを詰めていく。幸い、スプリンクラーの水でマグマが固まっていた為、彼女が溶かされる事はなかった。

「あらら、やるわねぇ」

弾を回避されているのにもかかわらず、相変わらず気の抜けるような声を出すサヤカ。そして気が付くと、シオンはサヤカの目の前にいた。

「相変わらず、緊張感が無いわね!」

サヤカの性格に苛立ちながら叫ぶシオン、そして彼女の顔を狙って大型ナイフを勢い良く横に振る。

「!」

珍しく驚きの表情を見せるサヤカは瞬時に顔を引き攻撃をかわし、すぐに大きく後ろに跳んで距離を取った。

「・・・・・・」

サヤカはそっと自分の頬に手を付ける。頬に付けた手を見ると、血が付いていた。そしてジワリと血が出て赤い切傷が生まれた。

「惜しかったわね?サヤカ」
「・・・・・・」

自分の頬に傷が付いた事が気に入らないのか、手に付いた血を見て徐々に鋭い目に変わっていく。それを見たシオンはある事を思いつき、ゆっくりと口を開いた。

「まさかアンタ、10年前から傷ついた事が無いなんて言うんじゃないでしょうね?」

シオンは馬鹿にする様な口調で契約を交わした日の事を口にする。それを聞いたサヤカの目から鋭さが消え、驚きの様な目になった。どうやら図星だったようだ。

「これで少しはアンタが殺したシェルメリン村の人々、そして私とアンタの両親の気持ちが分かった?アンタは自分の事を完璧な存在だと特別な存在だと思ってるかもしれないけど、私達と同じ普通の人間、その傷がいい証拠よ」
「!!」

サヤカは手をゆっくりと下ろしてシオンの方を向いた。

「そのシェルメリン村で言ったはずよぉ?私をアンタ達と一緒にしないでと・・・・?」

サヤカの表情から笑顔が消えている、シェルメリン村で戦った時と同じ様に彼女は苛立っていた。

「前にも言ったように、才能の無い奴と一緒にするとイライラするのよねぇ、私・・・・」
「知ってるわよ、だからわざと言ったのよ、アンタを怒らせるようにね」

そう、シオンはサヤカを怒らせるためにわざと彼女を挑発したのだ。一体どうして?シオンは何を考えているのだろうか!?


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 185