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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第98回   第九十七話 反撃開始!影の拘束を破れ!

シオンとサヤカの戦いで発生した火災で格納庫のスプリンクラーが起動。そのスプリンクラーの水を浴びてハヤテの力は封印され、コンタに僅かな勝機が生まれた。果たしてコンタはどの様に戦うのだろうか。

「今のお前なら契約者の力がなくても楽に倒せる」

四人のハヤテが口を揃えてコンタを侮辱する。そんなハヤテを見てコンタはファイブセブンを構えながら言い返した。

「その油断が命取りにならなければいいけどね?」
「試してみようじゃないか」

そう言ってハヤテは左手の手裏剣をコンタに向かって投げた。勿論四人全員が投げた為、どれが本物なのはコンタには分からない。四つの手裏剣が同じ速さで自分に迫ってくる、コンタは落ち着いて飛んで来る手裏剣を見る、そして高くジャンプして回避する。

「フン、ジャンプで回避とは単純な行動だな」

頭上のコンタを見上げながら呆れるように言うハヤテ。横一列に並んでいる四人のうち両端にいる二人が左右に跳び、真ん中にいる二人が上下に跳ぶ。コンタは四方に跳んだ四人のハヤテを狙って発砲する、だが当たらずに床に命中しただけだった。

「クッ!スプリンクラーの水でうまく狙えない!」

スプリンクラーはまだ起動したまま、そのせいか頭上から雨のように降ってくる水に視界を奪われ、うまく狙えないでいた。

「よっと!」

着地して辺りを見回すコンタ。四人のハヤテの姿は無かった。

「何処に隠れた!?」

叫びながらハヤテを探すコンタ、その声には怒りが混ざっていた。

「フフフフ、ここだ」
「!」

後ろから声が聞こえ、振り返るとハヤテが自分に向かって走って来た。コンタは向かって来るハヤテに向かってファイブセブンを撃った。弾はハヤテに命中した、だがハヤテは弾が命中した瞬間、まるで煙を掻き消した様に消えた。

「・・・・!アレは分身?」
「正解」
「!!」

背後から声が聞こえ、後ろを見るともう一人のハヤテが現れてクナイを投げてきた。だがそのクナイはコンタには当たらず床に刺さった。

「アンタもスプリンクラーで視界を奪われたのか、僕には当たってない・・・・・・ッ!?」

ハヤテの方を向いてファイブセブンを撃とうとしたが、体が動かない。まるで金縛りにでもあってる様な感じだった。

「う、動かない・・・・どうして・・・・?」
「ハハハハ、よく見てみろ」
「見ろって・・・・・・」

動けないコンタが目だけを動かして床に刺さっているクナイを見た。よく見ると、そのクナイはコンタの影に刺さっていたのだ。

「影に刺さってる?」

コンタが動かなくなった事を確認したハヤテはゆっくりと歩いてきた。更にコンタの左右からは分身体も現れて自分に向かって来る。

「影縛りだ、これでお前はもう動く事はできん」
「ク、クソッ!」

必死で体を動かそうとするコンタ。だが影縛りによって指すらも動かすことができないコンタ。そうしている間にも三人のハヤテはゆっくりと近づいてくる。

「動け!」
「無駄だ、お前では影縛りから逃れられん、諦めてその首を差し出せ」
「嫌だ!」
「往生際は悪いぞ?」

必死で体を動かそうとするコンタを見て手で玩具の様にクルクルとクナイを回すハヤテ。

「僕はアンタに全てを奪われた、これ以上アンタには何も渡さない!!」
「口で言ってもお前はもう逃げる事はおろか、体を動かす事もできないんだぞ、現実を見ろ」

三人のハヤテがコンタを囲み、正面にいる本物のハヤテがクナイをコンタの頬につけて軽く引く。コンタの頬に切傷が生まれ血が垂れた。

「・・・・クッ!」
「お前のような子供を殺すのは少々気が引けるが、お前も傭兵だ、殺される覚悟はしているだろう?」
「・・・・・・」
「あの世に行ったら両親によろしく言っいてくれ」
「・・・・・・」
「どうした?死の恐怖のあまり声も出せなくなったか?」

黙り込むコンタを見て再びクナイを手で回し始めるハヤテ。

「もうアンタとは会話するのも嫌になった」
「ほう、諦めて首を差し出す気になったって事か?」
「何を言ってるの?僕は死なない」
「ハハハハ!この状況でまだそんな寝言を言うか?」
「寝言じゃないよ」
「ん?」
「僕は・・・・死なない!!」

コンタはそう言って自分の倍の背丈を持つハヤテを見上げた

「何を言って・・・・・・ッ!?」

コンタの背後に回ろうと動こうとするハヤテ。だが、足が動かなかった。

「な、何だ!?」

驚くハヤテが自分の足を見ると、なんと足元が凍っており、自分自身の足も凍り付けになっていたのだ。ハヤテがコンタ顔を見ると、コンタはニッと笑っていた。よく見ると、コンタの体から冷気が出ている。

「・・・・シルバーロヴィッシュ」
「契約魔法か!?」
「正解」

コンタは目だけを動かし、足元のクナイに目をやった。コンタの影に刺さっているクナイも凍っており、ゆっくりと罅割れて粉々に砕けた。するとコンタの体から彼を拘束するような感覚が消え、コンタは動けなくなったハヤテに背を向けて歩き出した。

「何!影縛りを解いた!?」
「アンタの影縛りはクナイを相手の影に差して相手を動けなくさせる忍術、だったらそのクナイを凍らせてしまえばいいだけの話。僕は水属性の魔物と契約を交わしているからずぶ濡れであっても僕自身が凍りつく心配も無いしね」
「ま、まさか、さっき俺との会話の時に小声で呪文の演唱を・・・・!?」

ハヤテはさっきの会話でダンマリになっていたコンタを思い出した。ハヤテの方を見ずにゆっくりと歩いていく。気が付けばハヤテの分身体が2体とも消えていた。本物のハヤテが動けなくなってしまった為、分身体も消えたのだ。

「立場逆転だね?」

ハヤテから離れたコンタはハヤテにファイブセブンを向ける。

「クッ!なめるなよ!俺はまだ手を動かせるんだぞ!」

ハヤテは凍っていない右手でクナイを構え直し目を閉じた。するとクナイに風がまといだした。

「俺はサンダーバードと契約を交わしたが、風を操る事もできる!」
「・・・・・・」

風の力を使おうとするハヤテを見てコンタは目を鋭くした。そして、ハヤテは行動に出た。

「消し飛べ!風神嵐刀(ふうじんらんとう)!!」

ハヤテは大きくクナイを横に振った。クナイから風の刃が放たれ、コンタに迫っていく。コンタは慌てる様子もなく風の刃に狙いを定めた。

「受けてみろ!僕達、妖狐の力!妖狐気功弾(ようこきこうだん)!!」

コンタは引き金を引き、銃口から弾丸が吐き出された。だがその弾丸は青白い気をまとっていた、その気は少しずつ大きくなり、やがて狐の形に変わり、ハヤテの風の刃を掻き消した。

「ば、馬鹿な!!俺が、こんなガキにぃーーーーー!!」

迫ってくる気功弾を睨みながらハヤテは叫ぶ。そして青白い気はハヤテを飲み込み、ハヤテの立っていた場所は大爆発して大きな穴が開いた。

「フゥ・・・・」

戦いが終わり、溜め息を付いたコンタはその場に座り込んだ。

(・・・・・・父さん、母さん、仇は討ちました)

心の中で父と母に伝えるコンタ。すると、突然強い眠気に襲われてそのまま仰向けに倒れコンタは目を閉じた。激闘の末、遂にハヤテに勝利したコンタ。自然の四塔(フォースド・ガイア)の一角を崩したが、まだ三人残っている、自然の四塔との戦いはどのような結末を迎えるのだろうか!?


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