格納庫を制圧したコンタとシオンはハヤテとサヤカに再会した。格納庫の出入口を全て封鎖され、彼等との戦闘が始まる。コンタはハヤテと、シオンはサヤカとそれぞれ戦いをはじめるのだった。
「さて、一体何処まで俺の動きについてこれるかな?」 「僕だってライトシンフォニアの精鋭です、簡単には負けません!」 「そうか、なら最初から全力で行ってもいいな」 「どうぞ、ご自由に」
作業用クレーンの上で対峙するコンタとハヤテ、そして先に行動にでたのはコンタだった。クレーンから後ろに大きく跳び、クレーンと同じ高さにある渡り廊下の上に着地し、廊下に沿って走りながらファイブセブンを撃ち続けた。だがハヤテは忍者刀で次々に弾を斬りおとしていく。弾倉(マガジン)の弾を全て撃ちつくしたコンタは走りながら新しい弾倉に取り替える。その一瞬の隙をついてハヤテも渡り廊下に飛び移り走り出した。
「クソッ!アイツも渡り廊下に移ったか!」
弾倉を取り替えてファイブセブンを構えなおしたコンタは自分と同じように渡り廊下に移り走り出したハヤテを見て少し焦った。実はその渡り廊下は格納庫の繋がっている一本道、しかもコンタとハヤテは真っ直ぐ互いに向かって走っており、いつかはぶつかる。
(マズイ、このままじゃ接近戦に持っていかれる。接近戦じゃ僕に勝ち目はない!どうしよう・・・・)
コンタは心の中で考えながら走る続けるコンタ。そうしている間にも距離は徐々に縮まっていく。
「愚かな、接近戦では銃よりも刀の方が速い、俺は最初から接近戦に持ち込むつもりだったのだ」
ハヤテが走りながら刀を構え更に速度を上げた。それを見たコンタは一瞬驚きの表情を見せたがすぐに元の表情に戻った。
「仕方ない、一か八かやってみよう・・・・」
コンタは何か策を思いついたのか2丁のファイブセブンをホルダーに納めた。それを遠くから見ていたハヤテは目を細くした。
(アイツ、何をする気だ?)
ハヤテは心の中で考えながらも忍者刀を右手に持ち、空いている左手で腰のポケットから手裏剣を3枚取り出した。そして二人の距離はあと3mという所まで来た。
「くらえ!」
ハヤテは手裏剣をコンタに目掛けて投げた。コンタはジャンプで手裏剣を回避、だがハヤテはこれを待っていたのだ。ジャンプしている間は空中にいるため羽でもない限り攻撃をかわす事はできない、そう考えていたハヤテは一気に距離を詰め、走りながらジャンプをしてコンタの目の前まで跳んだ。
「!!」
一気に距離を詰められ驚くコンタ。
「死ね!」
ハヤテは忍者刀を振り下ろしコンタを斬り付けようとした、しかしコンタは・・・・。
「そうは行きませんよ!」 「何?」 「スピンドル!!」
コンタが技の名前らしき言葉を口にした次の瞬間、コンタは空中で体をもの凄い勢いで回転させた。ハヤテの忍者刀の刀身が回転するコンタに触れ直前で止まった。
「何だと!」
力を入れ、忍者刀でコンタを攻撃しようとしているハヤテ。だが刀を全然動かない。
「これは・・・・風壁か?」
しばらくすると空中にいた二人はまるで弾き飛ばされたかのように後ろに大きく跳んだ。ハヤテはクルッと一回転し床に着地した。だがコンタは回転していた為着地する事ができず、転がりながら壁にぶつかった。
「イテテテテ・・・・!」
後頭部を押さえながら起き上がるコンタ。それを離れて所で見ていたハヤテはゆっくり立ち上がり再び忍者刀を構えた。
「フン、なんとか攻撃を防いだようだな、だが次はそうはいかないぞ」
そう言って忍者刀を前に出して走り出そうとするハヤテ。すると、ハヤテは自分の忍者刀を見て驚いた。
「こ、これは・・・・!」
なんと忍者刀の刃が凍り付いていたのだ。
「いつの間に・・・・・・ッ!さっきのか!?」
体を高速で回転させて自分の斬撃を止めたコンタを思い出した。
「スピンドル、体を高速で回転させながら体から冷気を放出して相手の攻撃を防ぐ技ですよ。もっとも重い攻撃は防げませんけどね」 「フン、成る程、さっきのは風壁ではなく冷気だったのか、やってくれるな」
ハヤテは忍者刀を捨てて空いた右手でクナイを取り出した。
「大丈夫ですか?忍者が刀を失ったら戦力も大幅に削られるでしょう?」 「なめるなよ、刀を失っても俺にはまだ契約者の力が残っている」
コンタは再びファイブセブンを2丁抜いて渡り廊下から飛び降り1階に着地した。ハヤテもそれを追うように飛び降り着地する。
「反撃の隙は与えませんよ!」
コンタは降りてきたハヤテを狙って引き金を引いた。だがハヤテには弾を斬りおとす刀は無い、持っているクナイでは小さすぎる、だがハヤテは避けようとしなかった。
(避けない?まさか死ぬ気じゃ?)
銃撃を避けようとしないハヤテを見て目を鋭くするコンタ。
「フッ・・・・」
ハヤテは小さく笑い、コンタの方を見る。そして弾丸がハヤテに命中しそうになった次の瞬間、信じられない事が起きた。なんと弾丸がハヤテの目の前で軌道が斜め下にずれて床に命中したのだ。
「え?」
軌道がずれた事に驚いたコンタは連続で引き金を引く。だが弾丸は全てハヤテに当たる直前で軌道がずれ、床や壁に命中した。
「ウソ、でしょ?」 「どうした?さっきまでの威勢は何処にいった?」
銃が聞かないことに動揺を隠せないコンタを見て笑いながら言うハヤテ。
「一体どうして・・・・・・」
コンタが銃の効かない原因を必死で考えるコンタ。その時、彼の頭の中にある映像が浮かんだ。弾が当たる直前にハヤテの目の前に見えない壁が一瞬だけ現れたのを思い出した。
(確かアイツの契約相手はサンダーバード、雷を司った幻獣種)
ハヤテの契約相手、弾丸の軌道を変える見えない壁。その二つを考えていたコンタは1つの結論にたどり着いた。
「まさか、電磁波!?」 「ようやく気付いたか」 「電磁波で目の前に壁を作り弾丸の軌道をそらしたって訳ですね?弾丸は鉄でできているから電磁波の前では無力と化す」 「フフフ、子供と言え、さすが神竜隊の一員。理解が早いな」
コンタノ銃撃をそらしていた原因を突き止め、更に焦りを見せた。
(銃が使えないんじゃこちらの戦力は大幅に削られる。これで五分五分か・・・・)
ハヤテは刀を、自分は銃を使えなくなり戦力は並んだ。だが実際、体格や知識と言った点では明らかに自分が不利、それを知ったコンタが汗を垂らした。
(銃が使えないんじゃ契約者の力と契約魔法で戦うしかないか・・・・)
コンタが今後の戦いの方法を考えていると、ハヤテが懐から何かを取り出した。
「これが何か分かるか?」 「?」
ハヤテが見せた物をジッと見ながら首を傾げるコンタ。
「けむり玉?」 「そうだ、だがただのけむり玉ではない」 「どういう事です?」 「こういう事だ」
そう言ってハヤテはけむり玉の短い導火線に人差し指をつけた。すると、指先からバチバチと電気が出て導火線に火をつけた。そしてハヤテはけむり玉をコンタに投げつける。
「!!」
コンタは自分に投げつけられたけむり玉を見て慌てて回避行動をとろうとした、だが間に合わず彼の目の前でけむり玉は爆発した。
「うわぁ!」
爆発に驚き声を出すコンタ。爆発したけむり玉から黄色い煙が出てきた。
「こ、これは・・・・」
突然出てきた黄色い煙に驚き、コンタは思わずその煙を吸ってしまった。すると、突然体に倦怠感と咳が出てきた。
「な、なんだ・・・・突然体が・・・・ゴホッ!ゴホッ!」 「ほぅ、もう効いてきたか、やはり子供のほうが効き目が早いな」 「な、何ですか、これは・・・・」 「そのけむり玉の煙は『オニテングダケ』というキノコの胞子が使われている」 「オニテングダケ?」 「オニテングダケは我が一族が栽培した毒キノコだ。この胞子を吸うと倦怠感と咳に襲われる。だが微量の胞子であればすぐに治まる。しかし微量でも長期間吸い続けると中毒症を起こし、最後には死に至る」 「どうしてそんな事を僕に話すんですか?」
突然オニテングダケの事を詳しく話し始めたハヤテに尋ねるコンタ。すると、ハヤテは意味深な事を言い出した。
「お前の両親も病死したらしいかないか?」 「!?」 「その症状は風邪に似てたらしいな?」 「ど、どうしてそれを・・・・・・?」 「実はオニテングダケの中毒の症状も風邪に似ているんだ」 「な、なんだって?」
驚きながら聞いているコンタ。そしてハヤテはコンタに止めの一言を放った。
「そう、お前の両親はオニテングダケの毒で死んだんだ。ここまで言えば、もう分かるよな?」 「ま、まさか・・・・・・」 「ああ、そうだ。お前の両親を死に追い遣ったのは、この俺だ!」 「!!!!」
戦いの中、ハヤテから両親の死の秘密を聞かされたコンタ、そして両親を殺したのがハヤテだと知るのだった。
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