ベンヌの格納庫に着いたコンタとシオンは戦闘機の出撃を止める為に制圧を開始した。だが二人は自然の四塔(フォースド・ガイア)のハヤテとサヤカが近づいている事に気付いていなかった。
「くらえ!」
コンタは走りながら2丁のファイブセブンを連続で撃つ。弾は全て敵の操縦士達に命中している。操縦士も持っている拳銃で応戦するが、走っているコンタには命中しない。
「ぐわあ!」 「がはっ!」
操縦士達は次々にコンタの銃弾の前に倒れていく。コンタは全ての弾を撃ち尽くしたらコンテナの陰などに隠れ、新しい弾倉(マガジン)を叩き込む。そしてすぐにコンテナの陰から飛び出し再び攻撃した。
「フッ!タア!」
一方シオンは愛用の大型ナイフで操縦士達を攻撃していた。拳銃でシオンを狙う操縦士達、接近戦では銃よりもナイフの方が有利な為、操縦士達は引き金を引く前にシオンに倒されていく。
「ク、クッソー!」
操縦士の一人がシオンに銃口を向けて引き金を引いた。だがシオンはその銃撃を軽くかわし攻撃してきた操縦士に向かって走っていく。操縦士は驚きながら連続で引き金を引いた。しかしシオンは走りながら全てかわし一気に操縦士に近づく、そして持っている大型ナイフで操縦士を攻撃した。
「ぐはぁ!」
操縦士の体に大きな切傷が生まれ、操縦士はゆっくり倒れ動かなくなった。シオンが周りを見て状況を確認していると、彼女の背後から別の操縦士が拳銃を構えながらゆっくりと近づいてきた。そして彼女の後頭部に狙いを突け、引き金を引こうとした、次の瞬間。
「ヤァ!」
シオンは振り向きながら持っていた投げナイフを操縦士に投げつける。投げナイフは操縦士の胸に刺さり、操縦士は膝をついてうつ伏せに倒れた。
「背後から女の子を攻撃するなんて、男として最低よ」
シオンは倒れた操縦士に一言言うと、再び前を向き走り出した。その頃コンタはコンテナにもたれて休んでいた。彼の周りには大量の薬莢、そして襲ってきた敵操縦士が沢山倒れていた。
「コンタ!」
もたれているコンタに駆け寄るシオン。そんなシオンに気づいてコンタは彼女を見て言った。
「ハァ・・・・シオン姉さん、大丈夫ですか?」 「ええ、なんとかね。アンタこそ大丈夫?かなり息が上がってるけど」 「大丈夫です、少し無理しちゃいましたけどね」 「そう、アンタがそう言うなら大丈夫ね」
シオンは壁にもたれているコンタの隣に座り、同じようにもたれながら周りを見る。
「粗方片付いたわね」 「ハイ、でも敵の数人が逃げちゃいました。すぐに新手が来ますからあまり休んでいられませんね」 「いいのよ、私達の任務はあくまでこの格納庫の征圧なんだから」 「ええ、分かってます。もし敵が来たらまた戦えばいいんですからね」 「まあ、来ないほうが助かるんだけどね」 「ハハハハ、言えてますね」
二人が休みながら話していると、二人が入ってきた入口の方から誰かの声が聞こえてきた。
「暢気(のんき)だな、お前達」 「本当、全然怖がらないからつまんな〜い」
突然の声に驚き立ち上がる二人は出口の方を見て武器を構える。そして奥からゆっくりとその声の主が現れた。
「あ、あなた達は!」 「サヤカ!ハヤテ!」
突然現れた自然の四塔(フォースド・ガイア)に驚きを隠せないコンタとシオン。ハヤテとサヤカは出口から出てくると立ち止まって笑いながら言った。
「会いたかったわよぉ、シオン、コンちゃん♪」 「僕達は会いたくなかったですよ。それからそのコンちゃんって言うのやめてください!」 「相変わらず敵でも目上の者に対しての言葉使いはいいな?」 「ありがとうございます・・・・」
サヤカとハヤテにからかわれながらも冷静に対処するコンタ。それに引き換え、シオンは少し熱くなっている。
「どうしてアンタ達がここに居るのよ?」 「当然でしょ?ここは私達の拠点なんだから。そんな事も分からないのぉ?」 「うるさい!」 「シオン姉さん、落ち着いてください」 「・・・・・・分かってるわよ」
コンタに注意されて冷静さを取り戻すシオン。ゆっくりと深呼吸したシオンは鋭い目でハヤテとサヤカを見る。
「自然の四塔(アンタ達)と出会うかもしれないと予想していたけど、アンタ達二人には出会いたくなかったわ」
シオンはシェルメリン村でのサヤカの行為、コルヘルス武術学園でネリネを傷付けたハヤテを思い出して苛立っていたようだ。
「我々ヘルデストロイヤーが全てを手にするためにはまずこの世界を手に入れる必要がある。そのために俺達はやるべき事をやったまでだ」 「だからって罪も無いこの世界の人達を殺してもいいの!?」 「そうね、いいのよ」 「クッ!」
ハヤテとサヤカの残虐さに改めて怒りを知るシオン。その時、コンタがある事に気づいた。
「ところで、あなた達は僕達が入ってきた入り口から来ましたけど、僕達の仲間の傭兵に会いましたか?」 「ああ、勿論」 「彼等はどうしたんですか?」 「殺した」 「「!!」」
あっさりと殺したと言うハヤテを見て驚きを隠せないコンタとシオン。
「アイツ等だって傭兵の端くれだ、死ぬ覚悟くらいはしていただろう」 「そして彼等はハヤテに殺された、可哀想にねぇ♪」 「クッ・・・・なんて人達だ!」 「俺達はそんな甘い世界では生きていない、それは俺達が誰よりも理解しているはずじゃないのか?」
ハヤテの正論に言い返すことができずに黙り込んでしまうコンタとシオン。
「まさかアンタに説教されるなんてね」 「屈辱ですよ」 「フフフ、それはよかった。お前達の悔しがる姿を見るだけで俺達は晴々とする」 「本当、きっもち〜♪」
悔しがるコンタとシオンを見て喜びを現すハヤテとサヤカ。しばらく笑っていると、ハヤテは背中の忍者刀を握りサヤカに言った。
「サヤカ、そろそろ始めるぞ?」 「OK♪」
サヤカはゆっくりと歩き出し、それを見て警戒するコンタとシオン。しかし、サヤカはコンタとシオンの方には行かず、自分が入ってきた入口の近くの壁についている配電盤のような装置に近づいて蓋を開いた。その中には無数のスイッチがついている、サヤカはそのスイッチの幾つかを押した。すると、コンタ達が入ってきた格納庫の出入口にシャッターが下りた。
「入口が!」 「私達が逃げられないようにしたって訳ね」
コンタとシオンが出入口を見ていると、周りの出入口も同じようにシャッターが下り二人が出られないようになった。そして全てのシャッターが下りると、サヤカは握り拳で装置を破壊した。
「これでもうあなた達は逃げられないわよぉ」 「もとより逃がすつもりも無いがな」
サヤカとハヤテがコンタとシオンを閉じ込めて再び彼等の方を見て言うと、シオンとコンタも二人の方を見て冷静に言った。
「そう、私達も逃げるつもりはないわ」 「ここであなた達と決着をつけるつもりでしたからね」
コンタはファイブセブンを2丁抜いてハヤテとサヤカを狙う。シオンも大型ナイフを抜き、バックパックから呪符を取り出した。それを見たサヤカは背中に手を回しM10を抜き、シオンと同じように呪符を取り出した。ハヤテも忍者刀を抜きクナイを取る。
「コンタ」 「ハイ」
シオンがハヤテとサヤカの方を見ながらコンタに語り掛ける。
「サヤカの相手は私が引き受けるわ、貴方はハヤテをお願い」 「分かりました。シオン姉さん、気を付けて」 「アンタもね」
そう言ってシオンは大きく左に跳んだ。それを見たサヤカはニヤリと笑いシオンの後を追う。残ったコンタとハヤテは互いにジッと睨み合っていた。
「覚悟はできてるんだろうな、俺は相手が子供だろうと容赦しないぞ?」 「そんな事ずっと前から知ってますよ、初めてあなたと会った時から・・・・」 「だったら手加減する必要はないな」
ハヤテの忍者刀の刀身に電流がまといだし、クナイにも同じように電流がまとった。
「・・・・・・」 「・・・・・・」
お互いにジッと見て相手の出方を見る。そんな中、最初に動き出したのはコンタだった。高くジャンプしながらファイブセブンの引き金を連続で引く。銃口から吐き出された5.7mm×28弾はハヤテに向かっていく。だがハヤテは自分に迫ってくる5.7×28弾を忍者刀で全て斬りおとした。
「やっぱりアイツには銃は効かないか・・・・」
ジャンプしたコンタは壁に取り付けられている作業用クレーンの上にゆっくりと着地する。ハヤテもコンタと同じように高くジャンプしクレーンの上に着地した。
「この程度で俺に傷を付けることができると思っていたのか?」 「確認しただけですよ、あなたの腕が鈍っていないかどうか」
力を互角、そう見えるが僅かにコンタの方が押されているような感じだ。彼は少しとはいえ、自分より力が上のハヤテを見て汗を垂らした。コンタとハヤテ、シオンとサヤカそれぞれの戦いが始まった、果たしてコンタとシオンは勝てるのだろうか?
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