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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第93回   第九十二話 格納庫へ!!

ベンヌ内に侵入に成功したマサシ達はそれぞれの役目を務める為に各目的場所へ向かった。その中でコンタとシオンの班は敵の戦闘機の出撃を食い止める為に格納庫の制圧へ向かっている。

「この階段を上がれば5階のはずよ」
「急ぎましょう!」

階段を駆け上がるシオンとコンタ、それに続くライトシンフォニアの傭兵達。そして階段の出口に近づいた時、出口の近くの壁に銃創が生まれた。どうやら再びヘルデストロイヤーの傭兵が現れたようだ。

「またですね・・・・」
「どうする?」
「まず敵の数を調べないと・・・・」

そう言ってコンタはタクティカルスーツのポケットから手の平サイズの鏡を取り出し、壁にもたれて鏡だけを出口に出し鏡に映る敵の姿を確認した。

「どう?」
「数は5人、武装はトランペット(ファマス)とMP5ですね」
「突撃銃と短機関銃かぁ・・・・。うん、ここは私に任せてくれるかしら?」
「いいですけど、どうするんですか?」
「こうするのよ」

シオンはそう言ってウインクしながらポケットから「スモークグレネード」を取り出した。

スモークグレネード(発煙筒)
殺傷力は無いものの手榴弾と同様の構造をしており、点火すると白もしくは着色された色の煙を噴き出す。煙幕は敵の攻撃をかわしたり、注意を逸らしたり、信号を送るなど多くの用途があり、軍隊ではよく用いられる。暴徒鎮圧用として、煙ではなく催涙ガスを用いる場合もある。

シオンは安全ピンを抜き、敵の傭兵に向かって投げた。すると、スモークグレネードは敵のすぐ近くで爆発し周りは白煙で包まれた。

「うわぁ!な、何だこの煙は!?」
「え、煙幕か!?エホッエホッ!」

敵の傭兵達は突然の煙に驚きながら噎(む)せていた。それを狙っていたシオンは出口から飛び出し、契約魔法の演唱を始めた。

「業火よ、敵を焼き尽くせ!フレイムショット!!」

演唱を終え、シオンは両手に現れたファイヤーボールを敵に向かって投げた。そして敵の足元に命中し爆発した。

「「「グワアアアア!!」」」

爆発に巻き込まれた5人の傭兵は壁に叩きつけられるなどして動かなくなった。煙が消える頃には全てが終わっていた。それを確認したコンタと仲間の傭兵四人が警戒しながらフロアに出てきた。

「流石ですね、シオン姉さん」
「こんなの朝飯前よ♪」
「ハハハ、そうですか」

笑うコンタを見てシオンも笑っていると、仲間の傭兵の一人が少し慌てたような声で二人に話しかけてきた。

「中尉、少尉!また敵が来ました!」
「「え!?」」

驚きながら話しかけてきた傭兵の方を見る二人、すると、彼等の見る方向から沢山の敵兵士が走ってきた。そしてコンタ達の姿を確認したのか、走りながら銃撃してきた。コンタ達は咄嗟に近くの開いている通路に飛び込んで銃撃を回避した。

「うわああ!」
「危なっ!」

驚いて声を漏らすシオンとコンタ。二人は起き上がり敵の来る方向に壁にもたれた。

「クッソー!もう警備が来たのか」

コンタは再びファイブセブンを抜いていつでも迎撃できるようにした。そんな時、シオンが通路の奥をジッと見ていた。

「・・・・・・」
「どうしたんですか?シオン姉さん」
「静かに」
「?」

静かにするように言うシオンを見たコンタはシオンの耳がピクピク動いているのを見て、自分も目を閉じて耳を動かした。

「・・・・・・」
「・・・・聞こえた?」
「ハイ」
「風が流れ込んでくる音よ」
「つまりこの先で外へ繋がる扉が開いている、という事ですね」
「そう言う事!」

この先が格納庫である可能性がある、そう思ったコンタとシオンは頷いて立ち上がった。その時、再び壁に銃創が生まれる。

「ウッ!でもこのままじゃまたすぐに追いつかれますよ」
「どうにかして奴等を足止めしないと・・・・」

シオンは顎に右手の指をつけて考えると、一緒にいた傭兵の一人が話しかけてきた。

「中尉、ここは我々に任せてください」
「え?」
「我々が奴等を食い止めます、その間に中尉と少尉は格納庫の制圧に向かってください!」
「無茶ですよ!敵の数が多すぎます!」

コンタが説得しようとすると、別の傭兵が持っていたG36を持ち直しコンタに言った。

「行って下さい!この戦いの鍵は少尉達です。私達の使命は貴方達が無事に任務をこなせるようにする為にサポートする事、契約者でもない私達にできる事はこれ位しかありません、私達に構わず、早く!」

傭兵達が必死で説得し、そんな彼等を見てコンタはしばらく考えていると、シオンがコンタの肩にそっと手を置いた。

「行きましょう、コンタ」
「シオン姉さん」
「彼等の言うとおり、この作戦を成功させるには私達の失敗は許されない。ここは彼等に任せて、行きましょう」
「・・・・・・」
「それに、この先が格納庫でなかった場合はすぐに戻ってくればいいだけの事」
「そうですね。それじゃあ、ここはお願いします!」
「「「了解!」」」

コンタの顔を見て頷きながら返事をする四人の傭兵。コンタとシオンは傭兵達に任せて奥へ走った。

「よし!ここは俺達で食い止めるぞ!」
「ああ!」

傭兵達は自分達の武器を取り、通路から少し体を出してG36の引き金を引いた。





コンタとシオンは長い通路を全力で走り出口へ向かっていた。

「光が見えてきました!」
「あそこが出口ね!」

出口を出ると、二人の目の前には沢山のハリアーUがあった。その内の数機はエンジンが掛かっておりいつでも発進できるようになっている。

「ビンゴ!格納庫だわ!」

シオンが指をパチンと鳴らしニッと笑う。すると、ハリアーUを整備していた整備員がコンタとシオンに気付き騒ぎ出した。

「し、侵入者だ!ライトシンフォニアの侵入者が来たぞぉ!」

その声に気付いた周りの整備員達も騒ぎ出し、一斉に散らばった。そして、一人の整備員が近くの台に置いてある電話に手を伸ばそうとした。だがコンタはそれを見逃さず、ファイブセブンで電話を破壊した。

「ヒッ!」

突然電話が壊れ驚きながら床に座り込む整備員。

「よし、さっさとここを制圧するわよ、コンタ!」
「ハイ!」

シオンが腰の大型ナイフを抜き、コンタもファイブセブンを構える。ハリアーUのコックピットから操縦士達が降り、腰の拳銃を抜いた。

「パイロットなのに私達と戦おうなんて、なかなか度胸じゃない!」
「彼等も一応傭兵ですからね」

二人は戦おうとする操縦士達を見て関心しながら左右に分かれて走り出した。敵の操縦士達も別れて走るコンタとシオンを狙いながら拳銃の引き金を引いた。





その頃、コンタとシオンを先に進ませた傭兵達は迎撃し続けていた。

「クソッ!切がねぇ!」
「こっちは弾が無くなった!」
「こっちは手榴弾が切れた!」
「なんとか狐火中尉と月本少尉が戻るまでなんとか持ち堪えるんだ!」
「分かってる!」

四人の傭兵が必死でコンタとシオンが戻るまで敵を足止めしようと頑張っていると、突然何処からか男の声が聞こえてきた。

「残念だが、お前達はもうあの二人には会えん」
「「「!!」」」

突然の声に驚く傭兵達、彼等は辺りを見回しながらG36を構える。すると、天井から何かが落ちてきた。

「ん?」
「何だ?」

四人が落ちてきた物を見ると、それはなんと手榴弾だった。

「なっ!」
「に、逃げ・・・・」

傭兵達は逃げようとしたが、既に遅かった。四人の近くで手榴弾は爆発、傭兵達は爆発に巻き込まれ、壁や床に叩きつけられ動かなくなった。

「フン、他愛も無い」

手榴弾が爆発した場所に誰かが天井から降り立った。なんと、自然の四塔(フォースド・ガイア)の一人、ハヤテだった。

「な〜んだ、もう終わっちゃったのぉ?」

今度は通路の入口から気の抜けるような女の声が聞こえてきた、サヤカだ。

「戦う気など無かったくせに、ガッカリしたような言い方をするな」
「ゴメ〜ン♪でもでも、次はちゃんと戦うわよ」
「当たり前だ、この先には月本と狐火が居る、嫌でも戦ってもらうぞ?」
「分かってる。フフフ、シオン、今度こそ殺してあげるからねぇ♪」

そう言って通路の奥へ歩き出すハヤテとサヤカ、そしてそれに続く数人の敵の傭兵。格納庫に到着したコンタとシオン、だがその背後からハヤテ、サヤカの二人が迫ってきている事に彼等はまだ気付いていない。


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