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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第92回   第九十一話 契約者達の戦い

契約者の力を解放した市松と坂木。二人は自分達の持てる力を全て使いそれぞれの戦いに挑む。市松は妖精種「ゴーレム」の力を解放させ、緑の肌の生物兵器の群れに向かっていく。

「ヘルデストロイヤーの生物兵器・・・・。情報ではラビリアンの人間を使って作られていると聞いている。その醜い姿のまま生かされているのなら、せめて私の手で楽にしよう」

ヘルデストロイヤーに改造されて無理矢理生物兵器として生かされている罪の無いラビリアンの人々を見て、少し悲しみのある声で言う市松。彼等を救済する為に太い岩の右腕を上げて攻撃態勢にはいった。

「シャーーー!」

生物兵器の一匹が市松に向かって走りだした。そして3mほど近づいて高くジャンプして鋭い爪で市松に襲い掛かろうとした。すると市松は岩の右腕で握り拳を作りジャンプしている生物兵器を殴り飛ばした。

「ギャア!」

生物兵器は市松の攻撃で遠くに飛ばされて地面を転がっていき動かなくなった。

「まず1体、次は・・・・」

右から向かって来る3匹の生物兵器の方を向きながら右腕の拳を解き、平手打ちで3匹の生物兵器を同時に薙ぎ払い、地面に強く叩きつけられた。

「これで4体、まだかなりの数がいるな」

市松が周りを見ると、まだ20近くの生物兵器が自分に向かって来るのが見えた。

「仕方ない、まとめてやるか」

市松が右腕を高く上げて再び握り拳を作った。

「神よ、姿を変えらこの世界の人々に救済を、アースクエイク!」

市松は勢い良く右腕で地面を叩いた。すると戦い場所から生物兵器達の方へ向かって地割れが起きた。その地割れは生物兵器達の近くで大きく広がり大きな穴を生み出し、生物兵器達はその穴に飲み込まれるように落ちていった。

「す、凄い・・・なんて力だ」

市松の力に驚きながら彼の戦いを見ていたセリーナ。周りの傭兵や騎士達も同じだ。

「フゥ、これでこの辺りの敵戦力は大幅に削られたはずだ」

軽く溜め息をつきながら右腕を元に戻す市松は無線を取りどこかへ連絡を取り始めた。

「こちら市松、第13中隊応答せよ」

彼が呼び出しをしていると無線から若い男の声が聞こえてきた。

「こちら第13中隊」
「そっちの現状を伝えろ」
「第16中隊の援護でなんとか踏み止まっています」
「そうか。よし、お前達はそのまま持ち堪えろ、私もすぐそっちへ向かう!」
「了解!」

そう言って無線を切った市松はセリーナの方へ駆け寄り彼女に手を差し出した。

「大丈夫ですか?」
「ハ、ハイ・・・・」
「ここの戦力は粗方片付きました。私はこれから別の部隊の所へ向かわなくてはなりません、ここを任せてよろしいですか?」
「構いません、元々ここは私達の持ち場です、行ってください」
「ありがとうございます」

セリーナを立たせた市松はそのまま第13中隊の救援に向かった。

「間に合ってくれ・・・・」





その頃、坂木は契約者の力を解放し、パラメドラでマサシ達が戦った生物兵器スペクターと同じ物と戦っていた。

「行くぞ!」

グリフォンの翼を広げながら空からスペクターに向かって急降下していく。スペクターは坂木に気付き、向かって来る彼に触手を伸ばした。迫ってくる触手を避けながら少しずつスペクターとの距離を縮めていく坂木。

「もらった!」

スペクターに攻撃しようとした瞬間、スペクターの体から太い触手が現れ坂木に迫ってきた。驚いた坂木は急上昇して攻撃を避けた。

「危ない・・・・もう少しで直撃だった」

坂木はスペクター背後に回ってどのように攻撃をするか考えていると、スペクターが坂木の方を向いて体から更に触手を作り出した。

「また新しい触手を作り出したか、神竜隊の報告どおり、奴の体そのものが武器だな」

坂木は自分に向かって一歩一歩近づいてくる赤子の形をした肉の塊をジッと見て言った。

「確か秋円大尉の話では奴の体は攻撃してもすぐに再生してしい、契約魔法も効かないと言っていたな」

坂木が高い位置からスペクターを見てマサシ達から聞いたスペクターの話を思い出している。

「確かスペクターは内部から攻撃には弱いと言っていたな。試してみると」

坂木は再びスペクターに向かって急降下した。勿論スペクターは触手で坂木を攻撃してきた。坂木は攻撃をかわしながらスペクターに近づいていく、だが、攻撃態勢にはいろうとした瞬間、触手の一本が坂木の足に絡みついた。

「しまった!」

坂木は空中で動きを封じられ、少しずつスペクターに引っ張られていく。

「クソッ!放せ!」

必死で抵抗するが触手は足から放れない。そしてスペクターの体から大きな穴が生まれ、坂木を取り込もうとした。だが坂木はその瞬間を待っていたのだ。

「よし!あの穴だな」

スペクターの穴を見た坂木は右手に風が集まり出し、風の球体が作られた。

「くらえ!ウインドショット!」

坂木はその穴目掛けて風の球を投げ込んだ。風の球はスペクターの穴に入り、スペクターの中大きな爆発音を立て、そしてスペクターの体は爆発し、肉片が四方に飛び散った。

「よし!やったぞ!」

主を失った触手は坂木の足を放し地面に落ちた。

「やった!本当に倒しちゃった!」

坂木とスペクターの戦いを見て驚きと喜びを表すシンディ。彼女は改めて契約者の力を知り心強い仲間だと感動するのだった。

「これでデカイのは消えたな、あとは雑魚だけだ!」

坂木はそう言って緑の生物兵器に向かって行く。市松と坂木、セリーナとシンディ、彼等もこの世界の為に、自分達の祖国の為に命をかけて戦っているのだ。





そして空中の要塞ベンヌではマサシ達がベンヌの中を走っていた。コンタとシオンの第1班は格納庫へ、ユウタとレイナの第2班は管制室へ、そしてマサシ、ジゼル、エミリア、ネリネの第3班、第4班はブリッジへ向かっている。

「流石に広いわね」
「何しろ都市一つ分の大きさですからね」

シオンとコンタは第1班の傭兵と共に格納庫へ向かっていた。

「格納庫は5階だってさっき見た壁のボードに書いてありましたよ」
「確かここは3階だったわね、それじゃあ5階に向かいましょう」

コンタ達は5階に向かう為に階段へ向かった。そして階段へ繋がるフロアに着き、敵がいるかどうかコンタがフロアを覗くと、足元に銃創が生まれた。驚いて足元を見て隠れるコンタ。階段からヘルデストロイヤーの傭兵が四人「GIAT ファマス」で銃撃してきた。

GIAT ファマス
フランス陸軍で1977年7月にMAS49/56半自動小銃やMAT 49短機関銃の後継として制式採用した5.56mmの突撃銃。その形状から、フランス軍兵士からは小型の金管楽器であるビューグルを意味する「クレロン」の愛称で呼ばれていた。日本ではトランペットの愛称も使われる。採用から30年が経過するが、改良を施し生産は継続している。フランス軍の正式採用銃であり、ヘルデストロイヤーの主力銃となっている。

ファマスの銃口から5.56mmの弾丸が吐き出され、コンタ達が隠れている壁に命中し銃創が現れる。コンタ達は隠れながらこの後どのように動くか考えていた。

「コンタ、どうするの?」
「ここは僕に任せてください」
「大丈夫?」
「ハイ」

そう言ってコンタはファイブセブンを2丁抜いて飛び出した。コンタに気付いたヘルデストロイヤーの傭兵達はコンタを狙って引き金を引く。コンタは飛び出し、床を転がりながら傭兵に狙いをつけてファイブセブンの引き金を引く、弾は四人の傭兵に一発ずつ命中。傭兵達はファマスの引き金を引きながら仰向けに倒れ動かなくなった。

「終わりましたよ」

コンタは立ち上がり服についているホコリ払ってシオン達を呼んだ。シオン達は警戒しながらコンタの下へ駆け寄った。

「怪我はない?」
「ハイ、大丈夫です」
「よう、よかった」
「狐火中尉、月本少尉」

一人の傭兵に呼ばれて傭兵の方を向く二人。傭兵は壁についていボードを見ていた。

「格納庫はこの階段を上がって突き当たりの右に曲がり真っ直ぐ行った所にあるようです」
「それじゃあ、早速向かいましょう」
「了解!」

シオンの後を追うようにコンタと第1班の傭兵達は階段を駆け上がっていく。地上では生物兵器との死闘が繰り広げられ、空でも激戦が始まろうとしていた。この戦い、果たしてどのような結末を迎えるのだろうか!?


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