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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第90回   第八十九話 地上防衛戦

遂にベンヌの中に侵入する事ができたマサシ達。しかし侵入はすぐにゾークに知られ、マサシ達は休む暇さえなかった。

「グングニル発射フロアに侵入者、警備班は現場に向かい侵入者を捕らえよ。繰り返す、グングニル発射フロアに侵入者・・・・」

機内に侵入者を知らせる放送が流れだしサイレンも鳴り、徐々に騒がしくなってきた。

「チッ!もうばれたか」
「まあ、こんな派手な侵入の仕方をすればばれて当然だな・・・・」

ばれた事を悔しがるマサシに仕方がないと腕を組みながら言うユウタ。ゴンドラからは既に傭兵達は降りており、レイナも元の姿に戻っていた。全員が揃った事を確認したエミリアは彼等を見てゆっくりと口を開く。

「皆、ここからが私達の本当の戦いの始まりよ。ここは敵の本拠地、下手に動き回るとすぐに捕まってしまうわ。だから絶対にチームから離れたりしない事、いいわね?」
「「「ハイ!」」」

声を揃えて返事をするマサシ達。そしてエミリアが班の組み合わせを話し出した。

「まず第1班はコンタとシオンと一緒に格納庫へ向かって敵の戦闘機の出撃を止めて」
「ハイ」
「任せてください」

コンタとシオンは役目を聞いて力強く返事をする。

「次に第2班はユウタ、レイナと一緒に管制室の制圧に向かって。管制室を制圧すれば敵も混乱して私達も動きやすくなるわ、勿論外で戦っている戦闘機隊の人達も」
「分かりました」
「了解・・・・」

ユウタとレイナは静かな声で返事をする。

「残ったマサシとジゼルとネリネさんは3班、4班と一緒に私とブリッジへ向かいます」
「「「ハイ!」」」

マサシ、ジゼル、ネリネと残った傭兵達は再び声を揃えて返事をした。

「それではこれより作戦を開始します。武運を!」

その言葉を合図にライトシンフォニアの傭兵達は一斉に散らばった。自分達のやるべき事をやる為に。





一方地上でも激戦が繰り広げられていた。

「このまま敵を食い止めろ!ここを突破されたらサンドリアへの侵入を許してしまうぞ!」

市松が防衛部隊に指示を出しながらヘルデストロイヤーの傭兵と戦っている。土嚢(どのう)に隠れながら敵に向かってG36を撃ち続けていた。

「クソッ!敵が多すぎる。このままでは弾もいずれ切れてしまう」
「大佐!」

匍匐(ほふく)しながらライトシンフォニアの傭兵が市松の元へやって来た。少し慌てた様子だった。

「第13中隊が敵の生物兵器の攻撃を受けて壊滅!他の生物兵器もこちらに向かっているとの事です!」
「生物兵器だと?」
「ハイ、いかがいたしましょう!?」
「・・・・・・」

市松が土嚢にもたれてG36の弾倉(マガジン)を新しいの変えながら考えていると、もう一人別の傭兵が市松の下へやって来た。

「大佐!セリーナ護衛隊長の部隊が生物兵器の襲撃を受けて壊滅的ダメージを受けています!」
「何だと?」

市松は弾倉を叩き込み先に来た傭兵に指示を出した。

「よし、第13中隊のいた所には第16中隊の戦車隊を送れ!セリーナ隊長の所へは、私が行く!」

市松は後から来た傭兵と一緒にセリーナの所へ向かった。その頃、セリーナの部隊はヘルデストロイヤーの生物兵器に苦戦していた。

「隊長!ダメです、まるで効果がありません!」
「クソッ!まさか敵側にこんな魔物がいたとは!」

セリーナはヘルデストロイヤー側に寝返ったゼルキアスの兵士と剣を交えていた。敵の剣を弾いて敵兵士を斬りつけた。

「・・・・ラビリアンの人間でありながら侵略者に寝返るとは、哀れな」

ゼルキアスの兵士の死体を見て哀れに思うセリーナ。すると背後から大きな音と衝撃が響いた。振り返ると、そこにはセリーナ達より一回りほど大きい魔物がいた。鋭い爪を持ち、黄色く光る鋭い目、二本脚で立ち、猫背で濃い緑色の肌をした魔物だ。恐らくガーリムトで戦ったスペクターと同じラビリアンの人間を使って作った生物兵器だろう。

「またコイツか!すでに数人コイツにやられている・・・・」

セリーナは剣を強く握りその魔物を睨んだ。

「クッ!こ、この化け物めー!」

護衛隊の騎士の一人がその魔物に向かって走りだした。

「ま、待て!!」
「うおーーー!」

騎士が魔物に向かって剣を振り下ろした。だが魔物は横に跳んで攻撃を回避し大きくジャンプし鋭い爪を振り下ろし騎士を切り裂いた。

「ぐわあああ!!」
「!!」

殺された部下を見て驚くセリーナ。周りの騎士達も驚いて一歩下がった。そしてその生物はセリーナの方を見た。

「ッ!」
「シャーーー!」

その魔物は鋭く尖った牙の生えた口から涎(よだれ)を垂らし高い声で吠え、彼女に向かって走り出した。

「クッソーーー!」

叫びながらセリーナも魔物に向かって走り出した。そして3m前まで近づいたセリーナは大きく剣を横に振った。だが魔物は軽くジャンプして攻撃をかわしセリーナの背後に回った。

「し、しまった!」
「シャー!」

魔物は腕を上げて鋭い爪でセリーナを切り裂こうとした。だがその時、何処からか銃声が聞こえ、そして魔物はゆっくりと倒れた。

「!?」
「大丈夫ですか?」
「・・・・・・!」

セリーナが声のした方を向くと、G36を構えた市松がいた。

「市松殿、どうしてここに?」
「こちらが壊滅的ダメージを受けたと聞き駆けつけたのです」
「そうですか・・・・」

セリーナはそう言って振り返った。市松もセリーナの後ろを見ると、そこには沢山の護衛隊の騎士、そして第8中隊の傭兵達の死体があった。

「少し来るのが遅すぎましたか・・・・」
「・・・・・・」

二人が落ち込むように倒された仲間達を見ていると、再びさっきの魔物の鳴き声と同じ鳴き声が聞こえた。

「「!!」」

泣き声の聞こえた方向を見ると同じ魔物の群れがこちらに向かってやってくる。

「あ、あんなに沢山!」

セリーナが驚きながら剣を構えると、市松がG36を捨てて前に出た。

「い、市松殿?」
「下がっていてください」

そう言って市松が右腕を上げると、突然彼の右腕が黄色く光だし少しずつ光が大きくなっていく。そしてその光が消えた時、市松の右手は大きな岩の腕に変わっていた。

「い、市松殿、その腕は・・・・?」
「これは私の力です」
「力?」
「そう、私も神竜隊と同じ契約者なのです」
「神竜隊と?」

驚くセリーナに背を向けて市松を岩の腕を下ろしながら魔物の群れの方へゆっくりと歩いていく。

「さあ、かかって来い!我が契約相手、妖精種『ゴーレム』の力を思い知れ!」

そう言って市松は一気に走り出した。空中と地上ではそれぞれ死闘を繰り広げていた。彼ら戦いに勝てるのだろうか?そしてベンヌに侵入した神竜隊はゾーク達を倒す事ができるのだろうか!?


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