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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第87回   第八十六話 竜の架け橋作戦

TLW(タクティカル・レーザー・ウェポン)を装備したベンヌに近づけず次々に撃墜されていく戦闘機。彼等に代わってベンヌへの突入口を作るためにマサシ、ジゼル、ユウタ、シオンの四人は姿を変えてベンヌへ向かった。

「気をつけろ皆!敵も俺達を近づけない為に必死に抵抗してくるはずだ!」

ディアボロスの姿をしたマサシがジゼル達に敵の迎撃に注意するように言って再び前を向く。すると、言った直後にベンヌの迎撃がマサシ達に向けられた。

「来たぞ!避けろ!!」

マサシ達は敵の機銃攻撃やミサイル攻撃をかわしながら少しずつ近づいていく。





ベンヌのブリッジではゾークがレベル・5を発動させたマサシ、ユウタ、シオン、そして聖天使の力を発動させたジゼルを大型モニターで見ていた。

「社長!こちらに向かって来ている三匹のドラゴンと聖天使人らしきものが接近中、攻撃していますが、当たりません!」
「・・・・・・あの姿、神竜隊の連中か」

ゾークは腕を組みながらモニターに映るマサシ達を見ている。そして座りながらオペレーターに指示を出した。

「前方のTLWを全て奴等に向けろ、黒焦げにするんだ」
「ハッ!」
「右側と左側、後方のTLWは全て戦闘機の撃墜にまわせ」
「了解しました!」

オペレーターはゾークに言われたとおりにコンピュータを操作した。指示を出した後、ゾークは椅子についている受話器を取り、椅子についているスイッチを押した。

「私だ・・・・」
「社長か、どうしたんだ?」

受話器から聞こえてきた声の主は自然の四塔(フォースド・ガイア)の一人、ゴードンだった。

「神竜隊が動き出した、いよいよお前達の出番だ、準備をしておけ」


そう言って通信が切れる音がし、ゾークもゆっくりと受話器を戻した。





一方外ではマサシ達は機銃、ミサイル、TLWを避けながらベンヌに近づいて行く。

「ダークネスアロー!!」

マサシが手から黒い矢が放たれ、機銃や迫ってくるミサイルを破壊していく。

「チッ!なかなか近づけない」
「ここまで迎撃が激しいなんて思わなかった・・・・」

ベンヌに近づけずに攻撃を回避しながら周りを飛び回るマサシとジゼル。

「とくにTLWはレーザーの発射時間が長いから狙いを修正する事ができる。回避は難しい」
「じゃあどうするの?」
「遠距離攻撃で1つずつ壊していくしかないな」

二人が飛びながら作戦を話していると、後ろからユウタとシオンが飛んできた。

「マサシ!」
「どうだった?」
「お前の思ったとおりだった、TLWがベンヌの上下、左右、前後、あちこちに設置されていた」

実はマサシは作戦開始直後にユウタとシオンにTLWの数を調べるよう頼んでいたのだ。しかもベンヌの全体に設置されているとマサシは予想していた。

「やっぱりTLWがベンヌの主力兵器だったか」
「あのレーザー砲をなんとかしないと、戦闘機は近づく事もできないわ」
「分かってる、しかしどうしたもんか・・・・」

シオンの言う事に頷き、ベンヌを見ながら考えるマサシ。すると、マサシはユウタにある事を尋ねた。

「ユウタ、レーザー砲が全部でいくつ有ったか分かるか?」
「数?・・・・確か俺が確認できたのは26台だったはずだ」
「じゃあ1番設置数が少なかったのは?」
「確か後部が4台だったような・・・・」
「後部か・・・・・・」
「どうしてそんな事を?」
「勿論、数の少ないところを攻める為さ」
「数が少なくてもTLWは1台だけでもかなり厄介だ。レーザー砲は4台、こっちも同じ数だ、1台ずつに狙い撃ちされるぞ」
「心配するな、ちゃんと考えはある」

ユウタの忠告を聞きながら笑って言うマサシ。その顔を見たユウタはどこか安心したような表情でマサシを見た。もっとも顔は竜の顔なので表情は分かり難いが。

「三人とも、後部へ行くぞ!遅れずに付いて来い!」
「「「了解!」」」

声を揃えて返事をするジゼル達。四人は全速力でベンヌの後部へ向かった。敵の迎撃をかわしながら後部に付いたマサシ達。後部を見ると、ベンヌの六つのエンジンが目に飛び込んだ。ベンヌはB2爆撃機をモデルに作られたが、B2爆撃機とは違ってエンジンが四つも多い。しかもエンジン内部を攻撃されないように噴射口は装甲で閉じている。

「でけぇエンジンだなぁ」

その予想以上の大きさのエンジンを見て驚くマサシ。

「エンジンを攻撃されればあの巨大なベンヌでも撃墜されちまう、やっぱりエンジンの噴射口は閉じてるか・・・・」

ユウタがエンジンを見ながら言っていると、シオンがエンジンの方を指差した。

「あそこよ」

指の先を見ると、エンジンの近くに四つの砲台が付いている。TLWのレーザー砲だ。

「アレを壊してエミリア様達の進路を作るのがあたし達の役目なんだね?」
「ああ、そうだ」

ジゼルが作戦内容を確認するようにマサシに尋ねると、マサシはジゼルの方を見ながら頷いた。

「それでマサシ、この後はどうするんだ?」

ユウタが今後の事をマサシに尋ねると、マサシはレーザー砲を見ながら話し始めた。

「いいか、あのレーザー砲は1度レーザーを発射すると、次のレーザー発射までに少し時間が掛かるんだ」
「次のレーザーを撃つまでのエネルギーを溜めているって事か?」
「多分な、さっき敵の攻撃を回避しながらレーザー発射から次の発射までの時間を計っていたら、約20秒の時間がある」
「20秒か・・・・つまりその20秒以内にあのレーザー砲を破壊して後部に突入口を作るって事か?」
「正解」

ユウタの答えを聞き親指を立てるマサシ。するとシオンがマサシに問い掛けてきた。

「でもレーザー砲の周りには機銃やミサイル発射機構が付いてるわよ。レーザーをかわしてもアレで迎撃してくるんじゃない?」
「勿論可能性はある。戦闘機だったら撃墜されるかもしれない。でも、俺達ならできるさ」

迎撃の心配をするシオンを見ながら元気付けるように言うマサシ。そんなマサシの顔を見たジゼルは彼が黒竜である事も忘れ彼の横顔を笑いながら見ていた。

「そうだね、あたし達ならできるよ、頑張ろう!」

マサシの後押しをするように言うジゼル。そんな彼女を見てシオンとユウタはしばらく黙った後に頷いた。

「そうだな、行くか!」
「ええ、私達がやらなくちゃいないんだものね!」
「そのとおりだ!よし、三人とも行くぞ、レーザーをかわした後も油断するなよ!」

揃って頷く三人。そして四人はTLWのレーザー砲へ向かった。





ブリッジではオペレーターがゾークにマサシ達の行動を報告していた。

「社長、神竜隊が本機の後ろに回りました!」
「フン、後部のTLWが少ない事に気付いたか。後部の攻撃隊に連絡しろ、『神竜隊がそっちに向かった、全力で排除しろ』とな」
「ハッ!」





マサシ達がTLWに向かって飛んで行くと、急のマサシ達に対する攻撃が激しくなった。

「何だ?急に攻撃が激しくなったな」
「どうなってるの?」

攻撃を避けながらマサシの側を飛んでいるジゼルが尋ねた。

「多分奴等が俺達のよろうとしている事に気付いたんだろう。俺達を落とす為に後部の戦力を全て俺達に向けてきたんだ」
「厄介ね」

二人が話していると、ユウタが大声で叫んだ。

「二人とも!前からミサイルだ!!」
「「!!」」

驚いて前を見ると、対空ミサイルが2つマサシとジゼルに迫ってきた。

「ダークネスアロー!」
「レインフェザー!」

マサシが再びダークネスアローで攻撃しミサイルを落とし、ジゼルもコルヘルスでネリネが使っていたのと同じ技を発動した。銀色の翼から無数の羽の矢を放ちミサイルを落とした。

「よし、一気に近づくぞ!」

マサシの合図で四人は一気にTLWに近づく。そして近づいてくるマサシ達を狙ってTLWのレーザーが発射された。

「来たぞ!皆避けろ!!」

四人は一斉にバラバラに避ける。四つのレーザーは1つずつ避けたマサシ達を追うように迫っていく。あと少し追いつかれるというところまでレーザーが近づいて来た、次に瞬間、四人は瞬時に飛ぶ方向を変えてレーザーから逃れた。やがてレーザーが消え、マサシ達は再びTLWに向かって飛んで行く。そして50mの所まで近づいた四人は一斉にTLWに攻撃した。

「ダークネスアロー!」
「シャイニングレーザー!」
「メガソニックブーム!」
「フラムバースト!」

マサシの手から無数の黒い矢が、ジゼルの指に光が集まり指先から青い光線が、ユウタが大きく翼をはばたかせ、翼から真空波が、シオンの口から赤い火球が放たれた。四人の攻撃はレーザー砲に命中し大爆発を起こした。

「やった!」
「これで後部の脅威は消えたな」
「後は装甲に穴を開けるだけね」
「よし、一点に集中攻撃だ!」

マサシが三人に一斉攻撃を指示すると、TLWの設置されていた場所の近くの装甲が開き、中から何かが吐き出された。

「何?」
「アレは・・・・ミサイル?」

マサシとジゼルが向かってくる大型のミサイルを見て少し驚きの表情を見せた。TLWを破壊し、遂に突入口を作る事ができると思った矢先、今度は大型ミサイル。そしてマサシ達は気付いていない、それがただのミサイルではないという事を・・・・。


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