20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第83回   第八十二話 開戦準備

時計は12時を回り、各師団はユピローズに到着、それぞれの持ち場に待機している。後からやって来た師団長もエミリアの指示をうけて自分達の持ち場につく。そして、神竜隊もテントの中で待機している。

「今何時だ?」
「午前1時15分だよ」

時間を聞くマサシ、腕時計を見ながらそれに答えるコンタ。神竜隊は全員が黒と紺色のタクティカルスーツに着替えて自分達の武器を手入れし、持ち物を確認している。

「それじゃあ作戦の内容をおさらいするぞ?」

マサシは武器の手入れをしながら隊員達に作戦の確認をし始めた。

「まず奴等の重装侵略要塞機ベンヌが見えたら第6師団の戦闘機部隊が護衛を蹴散らしながらベンヌに攻撃を仕掛ける。その間に第7師団の部隊がベンヌの装甲の1箇所に一斉攻撃を加えて装甲に穴を開ける、俺達とエミリア様は主力部隊の護衛を受けながら開いた穴から中に突入する。いいな?」
「中に入った後は?」

ジゼルがベンヌに突入した後の事を聞くと、マサシは黒龍刀を鞘に収めながら言った。

「俺達はエミリア様と一緒に敵を倒しながらブリッジへ向かい制圧する」
「その後に降伏を勧告してベンヌを着陸させて、戦いは終了、だね?」
「そうだ」

マサシの言う事を引き継ぐようコンタが話す。その時エミリアがテントの中に入ってきた。エミリアは大剣と背負い、長い髪を束ねていた。

「準備はできた?」
「ハイ、神竜隊、いつでもいけます」

マサシ達は準備を終えて立ち上がり1列に並んだ。

「全員これが最後の戦いになります。油断せずに全力で作戦に取り組んでください」
「「「ハイ!」」」

神竜隊は一斉に返事をして敬礼をした。すると、エミリアがジゼルの腰についているトンファーに目をやった。

「ジゼル、新しいトンファーは気に入った?」
「あ、ハイ」

ジゼル以外の隊員達はジゼルの方を見ると、彼女の腰に新しいトンファーがついていた。

「ジゼル、そのトンファーは?」

シオンがトンファーの事を尋ねると、ジゼルはトンファーを取って話し出した。

「アイシャさんがあたしの新しい武器だって、たしか『RS34−T メタトロン』っていうトンファーだって言ってた」
「メタトロン?」

以前見たミカエルと少しだけ外見が違うトンファーを見て少し首を傾げるマサシ。

「ミカエルと同じようにG36 バレットが内蔵されているんだけど、このメタトロンには聖天使の力を送って破壊力を上げる事ができるみたいなの」
「聖天使の力を?」
「うん、あたしが聖天使人だって知った後にその力を武器に使えるようにって、ミカエルを強化した物だって渡してくれたの」
「そうか、あの人も俺達のことを考えて作ってくれたんだな」
「うん」

開発部の人間も戦う者達を考えて様々な武器を作ってくれている。そして次元移動装置の件も、マサシ達は開発部の人達に改めて感謝した。その時、テントに一人の傭兵が飛び込んできた。

「社長!」
「どうしたの?」
「報告します!ヘルデストロイヤーらしき軍団がこちらに接近中です!」
「「「!!」」」

遂にきた、そう心の中で思いながら驚く神竜隊とエミリア。

「規模は?」
「レーダーによると、空中、地上両方を足して約90000です」
「90000・・・・ざっと2個軍団てところだな」

その数を聞き驚きながら規模を計算するマサシ。驚いていたのはマサシだけではない、ジゼル達も驚きの表情を隠せないでいた。

「とんでもない数だな・・・・」
「確かヘルデストロイヤーの社員数は50000だったはずだよね?」
「ああ、その内10000人は地球に残っていたはずだ、つまりラビリアンに来ているのは40000人のはずだ。なのに今は90000人・・・・」

コンタがマサシにヘルデストロイヤーの人数を確認するように訊くと、マサシはラビリアンと地球にいる人数を思い出しながら説明する。

「つまり、奴等のうち50000人はこの世界の人達って訳ね」
「多分、ほとんどがゼルキアスの人達でしょうね・・・・」

ヘルデストロイヤーの戦力の半分以上がラビリアンに住む人達と考え腕を組みながら言うシオンとそのほとんどが制圧されたゼルキアスの人間ではないかと考えるネリネ。

「それから、地上から歩兵隊と戦車隊、空中から戦闘機隊が確認されています。あと・・・・」
「あと?・・・・・・どうしたの?」

言葉が途切れた傭兵を見て尋ねるエミリア。

「空中の戦闘機隊の中央におかしな空間があるんです・・・・」
「おかしな空間?」

よく分からずに聞き返すマサシ。

「ハイ、戦闘機隊の真ん中の空間だけポッカリと空いているんです。まるで何かのスペースを空けているかのように・・・・」
「ん〜?」

腕を組みながら考えるマサシ。その時、エミリアがマサシ達の方を見て言った。

「皆、とにかく出撃準備に入って。私はレーダーでその空間を調べてみるわ」
「分かりました。皆、行くぞ」

マサシに言われて神竜隊の隊員達が一斉にテントから出た。そして残ったエミリアは傭兵の方を見た。

「とりあえず、そのレーダー画像を見せて」
「ハ、ハイ、こちらへどうぞ」

エミリアは傭兵に案内されてレーダー装置の配備されている別のテントへ向かった。





テントから出て数分後、神竜隊の隊員達は広場にあるジェット輸送機に乗り込んでいた。

「ねえマサシ」
「ん?」

ジェット輸送機を眺めているマサシにジゼルが声をかけてきた。

「この大きな飛行機であのベンヌに乗り込むの?」
「いや、この輸送機は俺達がベンヌに近づくまでの足にすぎない」
「じゃあどうやって乗り込むの?」
「輸送機から飛び降りるんだよ」
「ええ!?で、でも輸送機から飛び降りたら風に流されたり敵の攻撃を受けちゃうんじゃ・・・・」
「ああ、だから飛び降りてすぐにレベル・5を使うんだよ」
「!!」

レベル・5と言う言葉を聞いてジゼルの顔色が変わった。恐らく黒竜に変身したマサシの事を思い出したのだろう。

「ジゼル?どうした?」
「・・・・・・」
「ジゼル?」
「・・・・・・マサシも、変身するの?」
「・・・・!」

悲しそうな目で変身するのかを尋ねるジゼル。マサシもUrs(ウルス)との戦いで変身した自分を見て怯えたジゼルの姿を思い出したのだろう。

「・・・・大丈夫だ、俺は変身しない。約束したからな」
「ゴメンね・・・・・・あたしの我が儘だって事は分かってる、でも・・・・」
「気にするな、突入する時はユウタとシオンが変身する」
「・・・・・・そう」

少し落ち着いたのかジゼルの顔に笑顔が戻り、ゆっくりとマサシに甘えるように抱きつく。そんな彼女をマサシもゆっくりと抱き寄せた。すると。

「ちょっと二人とも・・・・」
「「!!」」

突然声が聞こえ、声の聞こえた方を向くと、そこにはコンタ達がジーっと見ていた。しかも目を細くして。

「これから決戦なのに、なにイチャイチャしてるの?」
「全くだ、戦いが終わった後にでもできるだろう・・・・?」
「「ゴ、ゴメン・・・・」」

細い目で注意するシオンとレイナ。そんな彼女達を見て二人はまた顔を赤くして頭を下げた。

「貴方達、どうしたの?」

エミリアの声が聞こえて彼女の方を見て1列に並んだ。

「どうかしたの?」
「い、いえ、何でもないです」
「そう?」

顔を赤くしているマサシを見て首を傾げるエミリア。他の隊員達を見ると、ジゼルもマサシと同じ様に顔を赤くしたジゼルが彼女の目に入った。それを見てエミリアも「なるほど」っと思いながら微笑んだ。

「準備は終わった?」
「ハイ、いつでもいけます」
「そう、それじゃあ、輸送機に乗り込んで、すぐに出発するから」
「「「ハイ!」」」

エミリアは輸送機に乗り、神竜隊もそれに続いた。機内に入ると、既に十数人の傭兵が座って待機していた。エミリア達が自分達の椅子に座ると、ハッチが自動的に閉まり、輸送機が揺れ出した。どうやら発進し始めたようだ。マサシ達の乗るジェット輸送機が離陸すると、それに続くようにライトシンフォニアの戦闘機「イーグル」も離陸した。

イーグル(F−15)
アメリカ空軍の保有・運用したF−4の後継として開発された、第4世代ジェット戦闘機に分類される、長射程ミサイルの運用能力と高性能なレーダーを持つ双発の大型制空戦闘機である。また、F−15の操縦士は「イーグルドライバー」と呼ばれている。2枚の垂直尾翼を持つとはいえ、平凡な平面形の主翼に水平安定版を組み合わせた保守的な設計のまま、当時としては画期的な機動性を実現した機体である。採用国は2007年現在までに空戦における被撃墜記録はないとしている。単座型と複座型の2種類があるが飛行性能・戦闘能力に大きな差はない。

ジェット輸送機の後ろから数十機のF−15が続く。それを窓から見たマサシ達は驚いていた。

「凄い、こんなに沢山のF−15が飛んでいる光景なんて今まで見たことない」
「ああ、心強いな」
「でも、それってそれだけの戦力が無いと勝てないって事だよね?」
「そうだな・・・・」

神竜隊がF−15を見て心強い味方がいるという事、ヘルデストロイヤーとの戦闘の厳しさを知った。その時、パイロットが大声を出した。

「社長!見てください!」

パイロットに呼ばれてコックピットから前を見ると無数とハリアーUが近づいてきた。距離は約15kmと言ったところだ。エミリアの後ろから神竜隊の隊員達も覗き込んだ。

「敵も沢山いるね・・・・」
「距離も近くもないし遠くもないってところね」
「それにアレ見ろ。敵の戦闘機隊の真ん中、さっきの傭兵が言ったようにポッカリ空いてるぜ」

ユウタが指さした所を見ると確かにその空間だけ戦闘機が1機も飛んでいない。

「貴方・・・・」
「ハ、ハイ」
「この輸送機には光学カメラが取り付けてあったわよね?」
「ハイ」
「電源を入れて」
「了解」

そう言ってパイロットが光学カメラの電源を入れた。すると、操縦席についている小型のモニターがついた。マサシ達がモニターを見ると、何も飛んでいない空間にあの要塞機ベンヌが映っていた。

「な、何!」

フロントガラスとモニターを見比べて驚くユウタ。その時、エミリアがゆっくりと口を開いた。

「あのベンヌにはフルプ迷彩が装備されているみたいなの」
「フルプ迷彩、なるほど、どうりで見えないわけだ」
「そしてフルプ迷彩で姿を隠した状態で核を撃てばパイシーズ聖王国の師団も迎撃ない・・・・」
「そのとおりよ」

マサシの推理に続いてレイナが推理した。フルプ迷彩で姿を隠している重装侵略要塞機ベンヌ。姿の見えない敵の巨大な要塞機をどのようにして撃ち落すのか!?


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 185