ゾークとの戦いで傷ついたコンタ達を治療する為に基地へと向かうマサシとジゼル。そんな中、ジゼルはマサシに対する自分の想いを伝えた。そしてマサシもジゼルに自分の想いを伝える。だがその瞬間、二人は虚無宇宙(ゼロスペース)へ飛ばされディアボロスとルシフェルに再会した。
「折角再会したの何だその顔は?」 「当たり前だ、人の記憶を勝手に消した奴と再会して喜ぶ奴がいると思うか?」 「いや、いないな」
マサシは自分と同じ顔をしたディアボロスを睨み、ディアボロスは自分のと同じ顔をしたマサシを見てニヤリと笑いながら言う。
「よかったわねジゼル、やっと自分の想いを伝えられて」 「ええ、貴方達が出てこなければもっとよかったのに・・・・」 「そう、ゴメンね。あたし、相手の期待を裏切ったり、邪魔をするのが好きなの♪」
自分をジッと見るジゼルを見て笑うながら言うルシフェル。
「それで、今度は一体何の様だ?」
マサシがディアボロスとルシフェルに尋ねると、ディアボロスがルシフェルの肩に手を乗せて言った。
「いやなに、相思相愛になったお前達を祝福してやろうと思ってな。なぁルシフェル?」 「ええ、折角ラブラブになれたんだもの、祝ってあげなくちゃ。ウフフフフ」
自分の肩に乗っているディアボロスの手に自分の手を乗せてディアボロスの顔を見るルシフェル。そんな彼女の頬は少し赤くなっていた。
「・・・・・・」
マサシはそんな二人を見ながら握り拳を作っていた。なぜかとても腹が立つのだ。
「ふざけてないで真面目に答えて!」
マサシの横で突然力の入った声で喋るジゼル。彼女の顔にも怒りが現れている、腹が立っていたのは彼女も同じのようだ。
「フッ、つれねぇな。まぁいい、今回お前達を呼んだのは礼をするためさ」 「お礼?」
ディアボロスの口から出た言葉を聞き真剣な表情のまま聞き返すジゼル。
「ああ、お前達がお互いを愛し合ってくれたおかげで俺とルシフェルはより強い力を手に入れることができたのだ」 「どういう事だ?」
理解できず、今度はマサシが聞き返す。
「あたし達の力の源は貴方達の『思い』よ」 「思い、だって?」 「そう、貴方達の全ての思い。愛する人への思い、誰かを助けたいという思い、敵を怨む思い、色々あるわ。その中でも貴方達のお互いを愛し合う『想い』があたし達の大きな力を与えてくれた」 「お前達がお互いを愛し合う、それは即ち、お互いを守る為に強くなりたいという思いの事。お前達が強くなりたいと思えば、お前達と繋がっている俺達も強くなる。という事だ」 「そんな事が・・・・」
自分達の想いがデイァボロスとルシフェルに力を与えた、それを知ったジゼルは少し驚きの表情を見せる。
「だから、一言礼を言おうと思ってお前達を再び虚無宇宙に招待したって訳だ」 「・・・・・・」
ディアボロスとルシフェルの説明を目を閉じたまま聞いているマサシ。そして説明が終わった後、ゆっくりと目を開いた。
「それで、他に用事はあるのか?」 「ん?」 「マサシ?」
サラリと話を流してしまうマサシを見て彼の顔を見るジゼルとディアボロス。
「お前達が俺達の想いで強くなろうと、そんな事俺とジゼルには関係ない。お前達が強くなろうと、俺達の想いはその上を行く。」 「マサシ・・・・」
自分の想いが原因で敵を強くしてしまった事に少し自己嫌悪していたジゼル。だがマサシの言葉を聞いて彼女は少し笑顔になった。
「ほぉ、カッコいいぜマサシ」 「ありがとう。さて、話を戻すが、他に用事が無いのなら帰してくれ。俺達は仲間の傷を治す為に基地まで運ばなくちゃいけねぇんだ」 「慌てるな、まだ用はある」 「え〜、まだあるのかよ?」
ディアボロスの話を嫌々聞くマサシ。
「お前達の紹介したい奴がいる」 「誰だ?」 「フフフフ、来い、タツノスケ!」 「タツノスケ?」
名前を聞き首を少し傾げたジゼル。すると、マサシとジゼルの後ろに鬼の仮面を被り、刀の刃をマサシの首に付ける侍、そう、タツノスケだ。いきなり現れたタツノスケに驚き、彼の方を向いてトンファーを取り構えるジゼル。しかしマサシは動こうとしなかった。
「・・・・・・」
マサシは気配を感じなかった事、刀を首に付けられている事、そしてとてつもない殺気を感じて汗を垂らしていた。
(あっぶねぇ〜。もし驚いて首を動かしたら頚動脈が切れてたな・・・・)
心の中で驚くのと同時に一瞬焦るマサシ。
「ディアボロス様と同じ姿をしているから、それなりにできると思ったが、この程度か・・・・」
少しガッカリする様な口調で言うタツノスケ。そしてゆっくりと刀を下ろした。
「な、何なのコイツ?」 「彼はタツノスケ、ディアボロスが作った『魔人』よ」 「魔人?」
ルシフェルの口から出た魔人という言葉、ジゼルはルシフェルの方を見て聞き返す。
「あたし達の直属として生み出した闇の戦士、あたしとディアボロスは魔人と呼んでいるわ」 「闇の戦士・・・・だって?」
ルシフェルの話を聞きながらタツノスケをチラッと見て驚くマサシ。自分の後ろに立っているタツノスケから出てくる殺気と闇に力を感じているのだろう。
「お前達、パラメドラでヘルデストロイヤーの中隊が何者かの襲撃を受けて全滅したのは知ってるな?」 「・・・・!やっぱりお前達も知ってたか」 「当然、貴方とジゼルの目を通してあたしとディアボロスも見てたんだもの」 「覗きとは感心しないな・・・・」
自分達の目を使って今までの光景を見ていたディアボロスとルシフェルを睨むマサシ、その隣でジゼルも二人を鋭い目で見ていた。
「その中隊を壊滅させたのが、そこにいるタツノスケだ」 「何!?」 「コイツが・・・・?」
ディアボロスが自分達の後ろに立っているタツノスケを指差し、驚きながら振り返るマサシとジゼル。
「信じられない、たった一人でヘルデストロイヤーの部隊を壊滅させちゃうなんて・・・・」 「でも本当の事よ」
驚くのと同時に信じようとしないジゼルを見ながら笑いながら話すルシフェル。そんな時、マサシはゆっくりとディアボロスの方を向き直して静かに話し出した。
「・・・・それで、紹介してどうするんだ?俺達と戦わせる気か?」
汗を1滴ポタリと垂らしながらディアボロスを見て尋ねるマサシ。するとディアボロスはまたニヤリと笑いながら言った。
「戦いたいのか?」 「・・・・・・」
笑いながら言うディアボロスを見て彼をジッと睨むマサシ。
「フフフフ、残念だが、今お前達とコイツを戦わせる気はない」 「ほぉ、それは残念・・・・」
残念そうに言うマサシ。だが彼はホッとしていた、今の自分達では目の前の侍には勝てないと気付いていたからだ。
「さて、紹介も終わったんだ、さっさと元の世界に戻してくれ」 「そうよ、早くしないと姉さん達が・・・・」
こんな所に1秒も居たくない、二人は心の中で思いながら元の世界に戻す事を要求する。
「まったく、付き合いの悪い奴等だ。まぁいい、望みどおり戻してやる。但し、またここでの記憶を消させてもらうぞ」 「「なっ!」」
再び記憶を消される、それを聞いて驚くマサシとジゼル。そんな二人の心に少しだけ怒りが込み上がる。
「また俺達から記憶を奪う気か・・・・?」 「安心しろ、お前達がお互いに告白し合った時の記憶は残しておいてやる」 「そう、消すの虚無宇宙での記憶だけ♪」
ふざけた様子でディアボロスとルシフェルが話していると、今度はジゼルが二人に怒りをぶつけながら言った。
「ふざけないで!これ以上貴方達にあたし達の記憶を弄ばれてたまるもんですか!」 「じゃあどうするの?あたし達と戦う?」 「う・・・・!」
戦う、再びその言葉を聞き1歩下がるジゼル。マサシも下がりはしてないがまた汗を垂らす。
「「・・・・・・」」
何も言い返せずに黙り込むマサシとジゼル。
「記憶はまた再会した時に戻してやる。まぁもっとも、その時はお前達の運命は大きく変わってるかもしれないがな」 「何?どういう事・・・・」
尋ねようとした瞬間、マサシとジゼルの目の前にディアボロスとルシフェルが一瞬で移動した。
「クッ!ま、また・・・・!」 「なんて速さなの!」 「フン、この程度の速さも見きれないようではまだまだだな」 「ええ、これではあたし達に傷を負わせることもできないわね」
ディアボロスとルシフェルはゆっくりと右手をマサシとジゼルの顔の前まで上げた。
「それじゃあな」 「またね」
ディアボロスとルシフェルの目が赤く光だした。そしてマサシとジゼルの目から光が消え、二人は意識を失った。
「「・・・・・・」」
ゆっくりと目を開ける二人の前にはお互いの顔があった。二人の背中には気絶しているユウタとネリネ、そしてマサシの腕にはシオンとレイナ、竜尾でコンタを持ち上げている。
「あれ?俺達、さっきまで何してたんだっけ?」 「分からない、確か、あたしがマサシに好きって言って・・・・・・あ!」
さっきマサシに告白した事を思い出して頬を赤くするジゼル。そんな彼女を見てマサシも頬を赤くした。
「そ、それよりも、早くコンタ達を基地に連れて行かねえと!」 「そ、そうだね!急がないとエミリア様が危ない、急ぎましょう!」
二人は急いで駐留基地に向かった。勿論、二人はディアボロスとルシフェルの事は覚えていない。ディアボロスとルシフェルに再会し、自分達の力の源の事、魔人の事を聞かされた。だが二人は覚えていない、果たしてディアボロスとルシフェルの目的は一体何なのだろうか?そしてゾークと戦っていたエミリアは無事なのだろうか?
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