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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第69回   第六十八話 肉塊の捕食者

坂木の無線機に救援の要請が入り、それを聞いた神竜隊は急いで現場へ向かった。

「確か西に20m位だったな?」
「ああ、無線ではそう言ってたぜ!」
「急ごう、まだ間に合うかもしれない!」

マサシ達は全力で広場に向かった。そして5分後、マサシ達は現場と思われる広場に着いた。そこで彼等は驚くべき光景を目の当たりにする。広場には大量の血と傭兵達が使っていたと思われるG36本体と大量の薬莢が落ちていた。しかし、謎の生命体と死体はなかった。

「・・・・・・遅かったか」

手遅れだった事を知ったマサシは目を閉じて言った。その時、何処からか男の声が聞こえてきた。

「う、うう・・・・・・」
「ん、誰かいるのか?」
「う・・・・た、たすけて・・・・・」
「マサシあそこ!」

ジゼルが広場の真ん中にある噴水のような物を指差すと、そこには血だらけで横たわっている一人の傭兵がいた。マサシ達は急いでその傭兵の下へ走った。

「おい!大丈夫か?しっかりしろ!」
「うう・・・・」
「コンタ!治療魔法を!」
「う、うん!」

マサシに呼ばれたコンタは傭兵に契約魔法をかけた。

「聖なる光よ、癒しの詩で傷を包み込め!ハートレスキュア!!」

コンタはハートレスキュアで傭兵の傷を治した。するとさっきまで呻き声を出していた傭兵がゆっくりと起き上がり元気な声を出した。

「す、凄い!これが契約者の力か・・・・」
「大丈夫ですか?」

コンタが起き上がった傭兵に尋ねると傭兵はコンタの方を見た。

「ああ、もう大丈夫だ。ありがとう」
「ところで、坂木大尉に連絡を入れたのはアンタか?」
「いや、アイツはやられちまった・・・・・・」
「正体不明の生命体って言ったんだ。一体どんな奴なんだ?」
「俺もよく分からない、体はまるで肉の塊で、体の彼方此方から沢山の触手が伸びていた。あんな化け物は今まで見たことない・・・・」

傭兵は少し声を震わせながらマサシ達に説明した。

「まだこの辺りにいるかもしれない。皆、手分けして・・・・・・」

マサシが話していると、突然地面が揺れた。

「ッ!何だ!?」

マサシ達は慌ててその場から離れると、マサシ達が立っていた場所がゆっくりと盛り上がってきた。そして盛り上がってきた所から何かが姿を現した。それは巨大な肉塊だった。大きさはマサシ達よりも二周り位大きく、色は肌色で血管が浮き上がっている。

「コ、コイツは・・・・!」

マサシが肉塊をいて驚いていると、傭兵がマサシの下まで駆け寄ってきた。

「コ、コイツだ!俺達を襲ってきた化け物は!」
「なんだって!?」

マサシが傭兵の話を聞いていると、肉塊は徐々に形を変えていき、人間の形になった。見た目は生まれたての赤ん坊のような姿だが顔の部分には何も無い、目も鼻も口も、ただ赤ん坊の姿をしているだけだった。そしてその体からは無数の触手、そして、なんと人間の頭部や腕、足などが飛び出していたのだ。

「な、何あれ!?」
「多分奴に襲われた人達だろう・・・・」

ユウタと隣でシオンが口を押さえながら驚く。

「俺達が奴を見たときもあんな姿だった。奴は触手で俺の仲間の体を貫いて、殺した後に死体を体に取り込んでいきやがったんだ・・・・」

傭兵は怯えながらマサシに自分がどんな目にあったのかを話すとマサシは肉塊を睨みながら言った。

「成る程、それなら死体が見つからなくて当然だ、何しろ犯人が死体を持ち歩いてるんだからな・・・・」
「マサシ、どうする?」

ジゼルがマサシにどうやって戦うかを聞くと、マサシは黒龍刀と白龍刀を抜き、大声で言った。

「勿論倒すさ!皆、戦闘態勢にはいれ!」

マサシの命令を聞き、ジゼル達は自分の武器を取った。

「ユウタ、シオン!奴の背後に回りながら攻撃して注意を逸らしてくれ!」
「分かった!」
「任せて!」
「コンタ、レイナ!奴がユウタとシオンの方を向いたら奴の頭の部分を狙って撃て!」
「OK!」
「分かった」
「俺が奴の足元に斬りかかるからジゼルとネリネは奴の腹の部分を聖天使人の力で攻撃してくれ!」
「うん!」
「分かったわ!」

遂に始まった神竜隊と謎の生命体の戦い。彼等は初めから全力で行くようだ。

「行くぞ!」

ユウタはチャクラムを指で回し始め、生命体の背中から生えている触手に向かって投げた。チャクラムの刃は触手を切り落とし、触手は地面に落ちた。生命体はゆっくりとユウタの方を振り向いた。だが振り向いた瞬間、シオンが呪符を取り出して生命体の顔に投げた。すると呪符は生命体の顔に張り付き、それを確認したシオンは呪文を唱え始める。

「界・陣・滅・罪・善!煉獄爆炎符(れんごくばくえんふ)!!」

唱え終わると、生命体に貼り付いた呪符は爆発して顔面を焦がした。だが生命体はほとんどダメージを受けていないようだ。ふらつく事も無くユウタとシオンの方を向いて1歩1歩二人に近づいていく。

「効いてない?」
「意外とタフだな」
「二人とも、感心してる場合じゃないよ!」

生命体の背後の方からコンタの声が聞こえ、二人がコンタの方に視線をやると、コンタがファイブセブンを抜いて生命体の背中を狙っていた。その隣ではレイナがSAAを二丁抜いてコンタと同じように背後を狙っている。

「くらえ!妖狐気功弾(ようこきこうだん)!!」
「オーラキャノン!!」

コンタが引き金を引くと、銃口から青い光の弾が放たれ、その弾は徐々に狐の形に変わっていく。レイナの銃からは黄色く光る大きな弾が放たれた。その2つの弾は生命体の背後に命中し、大きな爆発音を上げた。だが、生命体の背中は焼け焦げてはいるがそれ以外の傷はなかった。

「ウッソー!」
「確かにタフだ・・・・」

驚くコンタ。その隣でユウタと同じように感心するレイナ。すると、生命体の背中から三本の触手が生え、その触手がコンタとレイナに迫って来た。二人は大きく後ろに跳んで触手の攻撃を避けた

「あっぶないな〜」
「背中から触手が生えてくるとは・・・・」

攻撃を避けて地面に着地するコンタとレイナ。生命体は触手を縮めて再び背中の中に戻し、再びユウタとレイナの方をヘ向かって歩いていく。

「クッ!シオン、一旦距離を取る!」
「OK!」

ユウタとほぼ同時に後ろに大きく飛んで距離を作るシオン。それでも生命体はゆっくりと二人に近づいていく。

「待て!今度は俺が相手だ!」

マサシが黒龍刀と白龍刀を構えて側面から生命体に向かって走り出した。生命体はマサシの方を向いて、再び背中から触手を生やし、その触手でマサシを攻撃した。だがマサシは迫ってくる触手を全て避けて生命体の足元へ一気に近づいた。

「双竜剣奥義!烈空凱覇斬(れっくうがいはざん)!!」

黒と白のオーラを纏った日本と刀で同時に生命体の両足を斬りつけると、生命体は力が抜けた様にガクリと倒れた。そして倒れる直前にマサシは大きく後ろに跳んで距離を取っていた。

「ジゼル!ネリネ!今だ!」
「分かった!姉さん!」
「ええ、行くわよ!」

マサシに呼び声に答えてジゼルとネリネが聖天使人の力を解放させ、二人は右手を生命体に向けた。すると二人の手に青い光が集まりだした。

「「聖なる蒼き光よ、邪悪な者を滅せよ!シャイニングレイザー!!」」

二人の聖天使は声を揃えて叫び、彼女達の右手から青い光球が放たれた。その光球は生命体に命中、大きな爆発を起こした。

「やったか?」

マサシは生命体の方をジッと見ていた。生命体のいたところからは灰色の煙が上がっており、生命体の姿は確認できない。

「倒したの?」

ジゼルがマサシの隣までゆっくり歩きマサシに尋ねる。

「分からない・・・・」

マサシ達は生命体のいた場所をジッと見ていると、次第に煙が消えていく。そして彼等の目に飛び込んできたのは体のいたるところが焦げている生命体だった。そして近くには肉片が飛び散っている。しかも肉片がピクピクと動いている、どうやら生きているようだ。

「な、何て奴だ、聖天使人の魔法を受けといてまだ生きているなんて・・・・」

生きている生命体を見て驚くユウタ。そして一番大きな肉片、つまり奴の本体から無数の触手が生え、飛び散っている小さな肉片を集め始めた。すると肉片からも小さな触手が生え、本体と繋がっていく。

「あれは・・・・」
「体を再生している?」

体が徐々に再生していく生命体を見て驚くマサシとジゼル。すると、何処からか声が聞こえてきた。

「ヒャーハハハハ!驚いたか、ライトシンフォニアの屑ども!」
「「「!」」」

マサシ達が笑い声のした方向を見ると少し離れた建物の屋根の上にドルイドが立っていた。

「お前はドルイド!」
「あいつが?」

ドルイドを初めて見るコンタがマサシの方を見る。

「何なんだ、こいつは!」

マサシがドルイドを睨んで叫んだ。するとドルイドは笑いながら答える。

「そいつは『スペクター』、我等ヘルデストロイヤーが生み出した生体兵器だよ、お前等ライトシンフォニアを皆殺しにするためのなぁ!ハハハハハ!」
「スペクター・・・・」

ドルイドから生命体の事を聞かされて名を口にするマサシ。

「よくこんな化け物を作る事ができたな?」
「どうやって作ったか知りてぇか?」

マサシをバカにするかの様な言い方をするドルイドを見てコンタが小声でレイナに話しかけた。

(なんかムカつく奴だね?)
(確かにな、私もあまり好かん性格だ・・・・)

二人が小声で話していると今度はユウタがドルイドを見て叫んだ。

「ふざけてないで答えろ!」
「チッ!うるせぇガキだな、そこまで言うなら教えてやらぁ。そいつはこの世界の連中を材料にしたんだよ!」
「「「!!」」」

ドルイドの口から予想もしなかった答えが出て、驚きの表情をする神竜隊。

「この世界って・・・・・・ラビリアンの人達か!?」
「当たり前だろ?そんな事も分からないのか?意外とバカだな、おめぇ、ハハハハハ!」

マサシをあざ笑うドルイド。その時、ネリネが何かを思い出したように声を出した。

「あっ!ま、まさか・・・・」
「どうしたの、姉さん?」
「もしかして・・・・こいつはロードグランの人達を使って・・・・」
「え?どういう事?」

よく分からず聞き返すジゼル。

「私がコルヘルスを制圧する数日前にロードグランの兵士達が何人も行方不明になっている事は以前話したわよね?」
「うん・・・・・・あっ!」

ジゼルが何かに気づき、驚きの顔をする。二人の話を聞いていたマサシ達も察したのかスペクターを見た。

「ヒャハハハハ!気づいたようだな、そうだよ!そいつはロードグランの兵士達を材料にして作ったんだよ!」

生命体スペクターを秘密を聞かされ驚く神竜隊のメンバー。そして彼等は、驚きと同士にヘルデストロイヤーの非道なやり方に怒りを抱くのだった。


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