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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第66回   第六十五話 パラメドラ

サンドリアを出て5時間後、神竜隊はパラメドラに到着した。そして目的地である師団の駐留基地があるトトロム平原が見えた。平原の滑走路からは輸送機に向けて合図が送られている。それを確認して操縦士は進路を滑走路にへ向けた。

「着陸します、座椅子に座ってシートベルトを締めてください」

操縦士に言われてベルトを締めるマサシ達。ベルトを締めて数分後に機体がグラッと揺れた。恐らく滑走路に着いたのだろう。窓からマサシは滑走路を見た。

「しかし凄いよなぁ、たった数日でこんな滑走路を完成させちまうんだから」
「パラメドラの人達が協力してくれたらしいよ」
「そうなのか」

コンタの説明を聞いたマサシが納得していると、揺れが収まった。どうやら止まったようだ。止まってから数秒後にマサシ達の乗っている後部のドアが開き、マサシ達はベルトを外して外に出た。外には大勢のライトシンフォニアの傭兵達が敬礼をしてマサシ達を迎えてくれた。すると一人の傭兵がマサシ達の前に歩いてきた。

「お待ちしておりました、神竜隊の皆さん。司令がお待ちです、司令のテントまでご案内します」

傭兵がマサシ達を連れて司令官の居るテントへ向かった。歩き出してしばらくすると、周りのテントより少し大きめのテントが見えて来た。その大きめのテントの前に着くと傭兵が立ち止まった。

「司令、神竜隊の方々をお連れしました」
「入れ」
「ハイ!」

テントの中から男の声が聞こえ、傭兵がテントの中に入って行き、マサシ達も後に続く。中に入ると、髭を生やし短髪に幹部が椅子に座って大きな机に置かれている書類の整理をしていた。身長はマサシより高く、ユウタと同じくらいだ。書類からマサシ達に目をやった幹部は傭兵の方を見る。

「ご苦労、下がってくれ」
「ハイ、失礼します」

傭兵は一礼をしてテントを後にした。傭兵が去った後、幹部は立ち上がってマサシの前にやってきた。

「君がエミリア社長直属の特殊部隊、神竜隊隊長の秋円マサシだね?」
「ハイ」
「私はパラメドラ方面師団総司令官の市松カズオ大佐だ」
「よろしくお願いします」

マサシが挨拶をし手を出すと、市松も手を出し握手をした。

「それにしても、神竜隊は若い者が多いな・・・・」

市松がマサシの後ろに居るジゼル達を見て興味がありそうに言った。

「紹介します、俺の隣にいる彼女がジゼル・アルフォント。こっちの世界の住人です」
「ジゼルです」
「うむ、よろしく」

ジゼルが頭を下げて挨拶をすると市松も軽く頭を下げた。

「こっちの背の高いのが副隊長の金山ユウタです。その隣に居るのが月本コンタ」
「金山ユウタです」
「コンタです」
「よろしく」

ユウタとコンタの方を見て市松は挨拶をした。

「彼等の後ろに居るのが狐火シオンとレイナ・スズキです」
「私はシオンよ」
「レイナだ・・・・」

市松はシオンとレイナの顔を見て頭を下げた。

「そして彼女は・・・・」

最後にマサシがネリネを紹介しようとすると、市松が口を開いた。

「知っている、ネリネ・クリシェール。そこにいるジゼル君のお姉さんだろ?」
「え、知ってるのですか?」
「ああ、一昨日サンドリアから連絡があったよ。国や仲間の為にヘルデストロイヤーに仕方なく従っていたと聞いている」
「・・・・・・」

ネリネが辛そうな顔で俯いた。少し居心地が悪いのだろう。

「宣戦布告をした事は大罪、だがそれは仲間を助ける為であって彼女の意思ではない。少なくとも私は当時の彼女の行いを正しいと思っている」
「!」

市松の口から出た言葉に驚いて顔を上げるネリネ。マサシ達も少し驚いていた。

「ん?どうしたのかね?」
「い、いえ。何でもないです」
「そうか?では早速だが本題に入らせてもらうぞ」

市松が調査隊襲撃の話しを持ち出し、自分が座っていた場所に戻った。マサシ達も机を囲むように座る。マサシ達の表情は鋭くなっていた。

「これを見てくれ」

市松は机に地図を広げてマサシ達に見せた。その地図のいたるところには目印のような物がついている。

「パラメドラの地図ですね?」
「ああ、ここが今我々のいるトトロム平原だ」

市松は地図の目印のついているところを指差して場所を説明する。

「そしてトトロム平原から西に500m行った所にサリム村がある。まずサリム村へ向かい、村の中隊長から話を聞いてくれ」
「分かりました」
「装甲車と数人の部下を用意する。使ってくれ」
「ありがとうございます」

マサシは市松に礼を言いながら頭を下げた。

「準備ができたらすぐに出発してほしい、それまで休んでいてくれ」
「ハイ」





十数分後、準備が終わりマサシ達は市松が用意した装甲車の中にいた。装甲車はサリム村に向かって走っており、その後ろを軽装甲機動車が2台走っている、市松が用意した傭兵達が乗っているのだろう。

「一体どんな奴なんだろうな・・・・」
「何が?」

突然喋ったマサシに問い掛けるコンタ。

「調査隊を襲った奴の事だよ」
「コンテナの中に入ってたらしいから、多分人間じゃないだろうな」

運転しているユウタがマサシに言うと、マサシはユウタの方を見て言った。

「どうしてそう思うんだ?」
「だってコンテナの中に普通の人間を入れたら窒息しちまうだろ?それに話によるとそのコンテナには沢山の穴が開いていたらしい人間には無理さ」
「なるほどね」

助手席に座っているシオンが納得し手をポンと叩いた。すると今度はレイナが口を開いた。

「私達と同じ契約者である可能性もあるのではないか・・・・?」
「それも考えられるが、契約者でもコンテナの中に長いこと居たら窒息死したまうさ」
「そうだな・・・・」

レイナも納得したのか頷いて椅子にもたれて目を閉じた。

「もうすぐサリム村よ」

助手席で地図を見ながら皆に伝えるシオン。再びマサシ達の顔が鋭くなった。それから10分後、サリム村が見えてきた。だがサリム村の少し前で2台の軽装甲機動車と数人の人影が見える、どうやら検問のようだ。検問の少し前でユウタはブレーキを掛け、道を塞ぐバリケードの前で装甲車を止めた。すると運転席に一人の傭兵が近づいてきた。

「失礼ですが、IDを拝見いたします」
「ほいよ」

ユウタはポケットからIDカードを出して傭兵に見せた。それを見た傭兵は少し驚いてIDカードを返した。

「神竜隊の方でしたか、ご苦労様です!お話は市松総司令から聞いております、どうぞ、御通りください」

傭兵は敬礼をした後にバリケード近くの傭兵に合図をして道を開けさせた。確認したユウタは装甲車を走らせ、その後を軽装甲機動車が続いた。またしばらく走り、村の入口で装甲車を止めるとマサシ達は装甲車を降りた。装甲車の近くでは傭兵達の乗る軽装甲機動車がゆっくりと停車した。それを見たマサシは軽装甲機動車に近づき、運転席の窓ガラスを軽くノックした。

「お前達はここで待っててくれ、すぐに戻る」
「「ハイ!」」

運転している二人の傭兵はマサシの命令を聞いて返事をした。マサシはすぐにジゼル達のところに戻り、村へ入って行った。村に入るとすぐに一人の傭兵が声をかけてきた。

「神竜隊の皆様、お待ちしておりました。隊長がお待ちです、隊長の所へご案内します」

傭兵に連れられてマサシ達は村の歩いていく。周りを見ると、建物などはサンドリアで見たのと同じような作業が行われていた。家の屋根には装甲板が取り付けられ、村の周りにはバリケードや機銃などが設置されている。しばらく歩くとマサシ達は大きな家に前い着いた。

「でかい家だな」
「ここは村長の家です、今隊長は村長と今後の事で相談していますので、しばらくお待ちください、今呼んでまいります」

そう言って傭兵が家の中に入ろうとすると、家の中から声が聞こえてきた。

「その必要はない」
「「「!」」」

声の聞きその場にいた全員が驚いた。するとドアが開き、中からライトシンフォニアのタクティカルスーツを着た一人の男が出て来た。年は市松と同じくらいで茶色い髪をし眼鏡をかけていた。

「隊長、村長とのお話は終わったのですか?」
「ああ、村長は今回の事件で相当動揺している。またこの村に近づいてくるのか不安のようだ」
「そうですか・・・・・・あ、そうでした!隊長、こちらが市松総司令が仰っていた神竜隊の方々です」
「おお、そうか」

傭兵に紹介され、マサシが隊長の前まで歩き頭を下げた。

「神竜隊隊長の秋円マサシです」
「私はサリム村中隊隊長を務めている坂木アキトシ大尉です。よろしく」
「こちらこそ」

お互いに挨拶をした二人は握手をした。

「早速事件の事を詳しく聞きたいのですが・・・・」
「・・・・ここでは何かと話し辛いので、話は私のテントでよろしいですか?」

マサシと坂木が辺りを見回すと、村の人達が自分達の方をチラチラと見ている。

「・・・・分かりました、場所を変えましょう」
「では、こちらへ」

坂木は自分のテントの場所までマサシ達を案内し出し、マサシ達も坂木の後をついて行った。歩き出してから数分後、マサシ達はライトシンフォニアのテントに着いた。

「さあ、中へどうぞ。詳しく説明します」

坂木に言われてテントの中に入ると、そこには通信機やレーダーを見ている傭兵が居た。彼等は坂木が戻った事に気づくと彼の方を向いて敬礼をした。

「ご苦労、周囲で何か変わった事はあったか?」
「いえ、今のところ異状はありません」
「そうか。では皆さん椅子にかけて下さい」

坂木は以上がない事を聞くとマサシ達を真ん中にある大きな机に座るよう言った。マサシ達も坂木に言われるとおりに椅子に座るのだった。

「まず調査隊が襲われた夜の事です。報告を聞いていると思いますが調査隊を襲ったのはヘルデストロイヤーです。近くにヘルデストロイヤーのマークが書かれていたコンテナがあったのです」
「ええ、エミリア様から聞きました、あと襲われた調査隊の傭兵達の死体が消えたと・・・・」
「ハイ、周囲を捜索しても見つかりませんでした・・・・」
「そうですか・・・・・・」

その時、レーダーのほうからピピピピッという音が聞こえてきた。それを聞いたマサシ達はレーダーの方を向いた。

「坂木隊長!」
「どうした?」
「『ガーリムト』の中隊から救難信号が送られてきました!」
「救難信号!?」

マサシ達は驚きながら立ち上がった。

「救難信号という事は、何者かに襲われたのか?」
「恐らくそうでしょう・・・・」

マサシに訊かれて深刻な顔をして答える坂木。

「ところでガーリムトって何処なんですか?」
「サリム村から北に400m行った先にある小さな商人の町です。この時間には多くの人達が食材などを買いに来るらしいです」
「その多くの人が食材などを買いに来る時に救難信号が出たって事は・・・・・・」

マサシが嫌な予感をしていると、ジゼルがマサシに言った。

「マサシ、すぐにガーリムトへ行こう!」
「もちろんだ!皆もそれでいいよな?」

マサシがコンタ達に訊くとコンタ達は迷う事無く頷いた。

「坂木大尉、一緒に来てくれませんか?パラメドラの事は俺達より詳しいですから」
「分かりました、すぐに準備をします。準備ができ次第、出発しましょう」

マサシ達は立ち上がってテントを出た。ようやくパラメドラのサリム村に来たマサシ達だったが、村に着いた直後に商人の町ガーリムトの中隊から救難信号が送られてきた。一体何が起こったのか!?


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