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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第60回   第五十九話 戦士達の帰還

コルヘルスを解放してサンドリアへ戻るマサシ達。ハインドの中ではユウタ達がマサシに色々と質問をしている、ジゼルの本当の名前の事、聖天使人の事など、質問攻めをされマサシは少し疲れを見せている。

「なるほどな」

マサシの話を聞き、ハインドを操縦しながらユウタが納得するように言った。

「悪かったな、今まで隠してて・・・・」

今まで黙ってた事でユウタ達に謝罪をするマサシ。そんな時ユウタとシオンが静かに口を開いた。

「まあ、どうして黙ってたのかはだいたい想像はつくけどな」
「うん、ジゼルの為を思って黙ってたんでしょ?聖天使人と周りの人が知ったら、その人達がジゼルを避けたりして、今までどおりに接してこないかもしれないって思った、違う?」
「ああ・・・・」

ユウタとシオンの話を聞いてゆっくりと頷くマサシ。

「でもどうして名前の事まで黙ってたの?」
「そ、それは・・・・」

今度はコンタから名前の事で質問されて言葉に詰まるマサシ、するとマサシの隣でジゼルが代わりに答えた。

「あたしがマサシに頼んだの、黙っててって」
「どうして?」
「・・・・・・」

言葉に詰まるマサシに続き、黙り込んでしまったジゼル。そんな時、助け舟を出すかのように話しに加わるレイナ。

「自分がジゼル・クリシェールと名乗ってしまえば、自分を育ててくれた人との思い出が無かった事になってしまうと思ったからじゃないのか・・・・?」
「!」

まるで心を読まれたようにレイナに言われ、驚きの表情を見せるジゼル。

「図星か・・・・まったく、お前は優しい奴だな・・・・」

銃座席で前を見ながら喋るレイナ、顔は見えないがきっと笑っているのだろう。そん彼等の会話を見ているネリネ。

(ジゼル、いい仲間に出合ったわね。あなたが強くなれたのは自分自身の力であり、彼等のおかげなのかもしれないわ)

優しい目でジゼルを見ているネリネを見てマサシが語りかけた。

「ネリネ」
「え?な、なに?」
「どうしたんだ?」
「い、いいえ。なんでもないわ」
「せっかく再会したんだ、もっとネリネと話せばいいじゃないか」
「で、でも数日前まで私はあなた達の敵だったのよ、そんな軽々しく話をするなんて・・・・」

数日前にサンドリアの城でリーズと共に宣戦布告をしてコルヘルスではジゼルを傷付けてしまった、ネリネはそんな自分と彼等との間に距離を置いているのだろう。マサシとネリネの会話を見てジゼル達が加わってきた。

「姉さん、あたし達はもう気にしてないよ」
「そうですよ、あなたは仲間を助ける為にヘルデストロイヤーの言いなりになっていたんですから。そしてあなたはジゼルのお姉さん、僕達の仲間でもあるんですから」
「そうよ、だからそんなに自分を責めないで。ね♪」

話に加わってきたコンタとシオンは笑いながらネリネを励ますように言うと、ネリネは少しだけ笑顔を見せる。そんな時ユウタとレイナも話しに加わってきた。

「水を注すようで悪いが、俺達が気にしなくてもエミリア様や陛下が許すかどうか分からないぞ」
「確かにな、敵国の兵士だった人間をすぐに受け入れる事はできないだろうな・・・・」
「あ・・・・」

そうだった、と気づき声を漏らすジゼル。それと同時に皆の視線が二人に行った。するとさっきまでネリネと話していたマサシが口を開く。

「とりあえず、エミリア様にネリネの事を話してからにしよう。俺達も命令を無視した事でエミリア様に話があるからな」
「そうだね・・・・」
「うん・・・・」

マサシの話を聞いて静かに返事をするジゼルとコンタ。そんな彼等を乗せてハインドはサンドリアに向かって飛んでいくのだった。





ロードグランを出てから3時間後、車ではもっと時間が掛かるがヘリでは3時間でサンドリアに着いた。ハインドはサンドリアの近くにある大きな広場に向かった、その広場には無数のテントや戦車、ヘリ、装甲車、トラックなどが大量に止められていた。ライトシンフォニアの駐留基地だろう。

「な、何だアレは!?」

ハインドの窓から広場を見て驚きの声を出すマサシ、それをマサシと一緒に窓から見ているジゼル達も驚きの顔をしている。するとユウタが操縦しながら言った。

「アレはライトシンフォニアの駐留基地だ。ちゃんとした場所が決まるまではあの広場に駐留してるんだってさ」

ユウタは説明しながらハインドを広場にあるヘリポートへ着陸させる。ヘリポートの近くではライトシンフォニアの傭兵がライトを振ってハインドに合図を送っている。そしてハインドは傭兵に誘導されながらゆっくりと着陸した、着陸が無事に終わった事を確認し後部のドアを開けてマサシ達は外に出ると、マサシ達の姿を見た傭兵が敬礼した。

「ご苦労様です!エミリア様がお待ちしております、中央のテントへ向かってください」
「分かった、ありがとう」

傭兵に礼を言って、マサシ達は中央にある大きなテントに向かって歩いていった。ユウタとレイナも操縦席と銃座席から降りてマサシ達の後を追った。そして中央のテントの前に着いたマサシ達。

「エミリア様、マサシです?」
「入りなさい」

エミリアに呼ばれてテントの中に入っていくマサシ、それに続いてテントに入っていくジゼル達。中に入ると、真ん中に大きなテーブルがあり、一番奥には椅子に座っているエミリアがいた。そしてテーブルを囲むようにライトシンフォニアの幹部が三人立っていた。

「秋円マサシ、ジゼル・アルフォント、月本コンタ、ただいま帰還いたしました」
「おかえりなさい、とりあえず無事に戻って来てくれてよかったわ」
「ご心配をおかけしました・・・・」

マサシが深く頭を下げるとそれに続いてジゼルとコンタも頭を下げた。エミリアはマサシ達を見ると、ゆっくりとユウタ達の方を向いた。

「ユウタ達もお疲れ様」
「ハイ」
「ところでジゼル、あなたの後ろにいるのは、あなたのお姉さんのネリネさんかしら?」

エミリアは目をジゼルに向けて隣に立っている女性が誰なのかを尋ねる。するとネリネがマサシの前に出てエミリアに頭を下げた。

「はじめまして、ジゼルの姉のネリネ・クリシェールです」
「よろしく、あら?クリシェールって名字が違うけど、マサシ、どういう事?」

名字が違う事に気づきマサシの向いて尋ねると、マサシはエミリアに全て話した。聖天使人の末裔である事やジゼルの本名など、エミリアには話していない事を全て正直な話し始める。説明は約数分で終わった。

「なるほどね、よく分かったわ。聖天使人、私達契約者に匹敵する力を持つ民族、ジゼルとネリネさんがその末裔だったとはね・・・・」
「黙っていて申し訳ありません」
「別にいいのよ、彼女の為を思って黙ってたんでしょ?」
「・・・・・・」

エミリアの顔を見た後、黙ってゆっくりと下を見るマサシ。するとエミリアは優しく言った。

「それがあなたのいいところの一つよ」
「ありがとうございます・・・・」
「そして今回の出撃もジゼルの為を思ってやった事・・・・・・でも」

さっきまでとは違ってエミリアの声に少し力が入った。

「だからと言って、あなたのやった事を見過ごすわけにはいかないわ」
「すみません、如何なる処罰も覚悟しております」
「待ってください、僕も同罪です!ですからマサシ一人に処罰を与えないでください」
「あたしもです!」

マサシは覚悟していた。それを見たジゼルとコンタがマサシの隣に立って話に加わってきた。するとエミリアはゆっくりと目を閉じて言った。

「いいわ。それでは、マサシ、ジゼル、コンタ、あなた達三人を無断での出撃、装甲車の無許可使用の罰として48時間の独房収監の処置とします」

下されて処罰を聞いたマサシは1歩前に出た。そしてマサシは2本に愛刀とシグザウアーをテーブルに置いて1歩下がる。マサシに続きジゼルはトンファーとマサシから受け取ったシグザウアーを置き、コンタもファイブセブン2丁と弾倉を置き二人は1歩下がった。それを確認したエミリアは隣にいる幹部に目で合図をすると三人の幹部は三人の後ろについた。

「さあ、行くぞ」

幹部がポンとマサシの肩に手を置くと、マサシはゆっくりと振り返り、テントの出口に向かって歩き出した。ジゼルとコンタもそれに続く。するとマサシが一緒にテントから出ようとするジゼルとコンタに語りかけた。

「すまないな、二人とも」
「気にしないで」
「そうだよ、僕達も最初から罰を受けるつもりだったから」

三人は話しながらテントを出て行き、その姿を見送ったユウタ達が再びエミリアの方を向いてユウタがエミリアに尋ねた。

「エミリア様、マサシ達はどこに?」
「サンドリア城の独房よ、お城には後で私から話しておくわ」
「そうですか・・・・」
「さて、今度はネリネさん、あなたの事についてよ」
「ハ、ハイ!」

突然自分の話になり驚くネリネ、エミリアはゆっくり立ち上がりネリネの方を見た。

「ジゼルのお姉さんでも、あなたはリーズと一緒にこのユピローズ王国や他国に宣戦布告をした身、あなたの行いを無罪にするわけにはいかないわ」
「・・・・・・ハイ」
「エミリア様、彼女はどうなるんですか?」

ネリネの後ろでシオンが心配そうに尋ねた。

「・・・・・・」

エミリアは黙って目を閉じる、四人はエミリアをジッと見ていた。無事に戻って来たマサシ達。だが、マサシ、ジゼル、コンタに待っていたのは無断出撃の処罰。そしてかつて敵国に居たネリネはどうなるのだろうか?


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