日本の東京都。暗い夜、月も星も雲に隠れてて光を照らしていない、そんな闇の中で光を放つ摩天楼、その一つの高層ビルの一室で会話をする六つの人影。部屋は社長室の様な部屋で、電気もついていない、大きなガラスの窓から摩天楼の光が入っているだけ。時々その光が六つの人影の顔を照らすのであった。
「以上が今回の依頼回数です」
依頼の回数を話す男。依頼と言っているところから、彼は傭兵のようだ。しかし傭兵といっても彼の姿は忍者だ。黒い髪で片目を隠し、背中には忍者刀を背負っている。
「少しずつだが依頼回数が減ってきているな」
依頼回数の少なさに椅子に座ったまま不機嫌そうな声で別の男は言った。彼は全身に銀色の西洋甲冑をまとい、顔も仮面で隠している。
「ほとんどの客がライトシンフォニアに持ってかれちまったからな」
ボディビルダーのような体格で2m程の身長の大男がL字型のソファーに座りながら言った。
「そうねぇ〜。いっその事、総攻撃を仕掛けてライトシンフォニアを潰しちゃいましょうよぉ」
今度はボディビルダーの正面のソファーに座っている女が気の抜けたような喋り方で話に割り込んできた。しかも彼女はシオンやコンタと同じように狐の耳を生やしていた。
「バカなことを言うな。そんな事をしたら我が社も大きな被害を受ける。少しは考えてものを言え」
狐耳の女の後ろで壁にもたれながらもう一人の女が言った。髪は血の様に赤く、黒い鎧を装備している、その鎧の所々からは肌が露出している。
「冗談よぉ。そんな本気にならなくてもいいじゃない、それとも、ビビッてるの〜?」 「なんだと?」 「やめろ、社長の前だぞ」
二人の女が火花をぶつけようとした瞬間、その奥から男の声がした。だがその声の持ち主は人間だはなく、ロボットだった。全身を銀と黒、そして赤い装甲で覆われており、その身長はさっきのボディビルダーの大男を上回っている。
「そこまでだ三人とも。本題に入る」
西洋甲冑の男が話を進め始めた。どうやら彼が社長のようだ。
「例の『装置』は既に調整できているのか?」 「ハイ、後は作戦決行の時を待つだけです」 「ライトシンフォニアの様子は?」 「我々の計画に気付いている様子はないようです。それと、先遣隊からの報告では順調に計画が進んでいるとの事です」 「フフフフ、そうか・・・・では、最後の仕上げにかかれ」
「「「「「了解!」」」」」
五人は社長室を後にした。
「フッ、もうすぐだ、我等ヘルデストロイヤーの野望が成就するのは」
そう、彼等はマサシの勤めている会社、ライトシンフォニアのライバル企業、ヘルデストロイヤーの人間だったのだ。一体彼等は何を企んでいるのか、ライトシンフォニアの人々はなにも知らない。もちろん、ラビリアンにいるマサシもである。
一方、マサシはジゼルの住んでいる施設に泊めてもらい、朝早く彼女と一緒に傭兵の登録をするために酒場に来ていた。
「これで登録が完了したわ」 「ありがとう。これでマサシも正式に依頼を受ける事が出来るようになったわ」 「そうか、それで今日はどんな依頼が入ってるんだ?」
マサシは受付の女性店員に依頼の話をしようとした時、ジゼルが話しかけてきた。
「ねえ、今日は依頼を受けるのはやめて、昨日倒したユニフォリアの角を鑑定してもらいに行くんでしょ?」 「あ、そうだった。スッカリ忘れてた。」 「もう、とりあえず今日は鑑定屋に行った後、町を案内するから。さあ、行くわよ!」
ジゼルがそう言って店を出て行くと、その後ろ姿を見ながらマサシは心の中で呟いた。
(なんだか、アイツに振り回されてる様な気がする・・・)
しかし、実際彼は振り回されているであった。それから鑑定屋に行き、ジゼルの案内で街中をブラブラしていた。
「しかしアレには驚いたな。確か・・・2000ロドルだったっけ?」 「うん、ユニフォリアはこの季節になると凄く凶暴になるから危険だってお店の人が言ってたからね」 「ああ、そんで、俺達が取ってきたあの角はその中でも長く生きてきた奴のだったから角も長く頑丈になってたからな。値打ちも有ったんだろうな」 「ええ、これなら当分お金にも困らないわね。ところで、次は何処に行く?」 「そうだな〜。じゃあ次は・・・」
マサシが行き先を考えていると、後から聞き覚えなある声がした。
「二人ともー!」 「「ん?」」
二人が振り返ると、シンディがもの凄い勢いで走ってきた。
「あ、シンディ!てんめぇ昨日はよくも一人で・・・・」 「ハァハァ・・・それどころじゃないのよ!」
息切れをするまで全力で走ってきたシンディを見て、なにかがあったのだと二人も一目で分かった。
「シンディ、なにかあったの?」 「ハァハァハァ・・・・・じ、実は・・・・」 「落ち着けよ。まず大きく深呼吸しろ」 「う、うん・・・・スーハー・・・」
深呼吸をして少し落ち着いたのかシンディの顔色が少し戻った。
「落ち着いたか?」 「ええ・・・・」 「それでどうしたの?」 「実は、さっき酒場に奇妙な情報が入ってきたの」 「奇妙?」 「うん、なんでも依頼に行っていた傭兵が二人、依頼を終わらせて帰る途中に襲われたのよ」 「襲われた?何に?」 「それが、襲われた傭兵達の話では、鉄でできた怪物だって」 「鉄でできた怪物?」
シンディの言葉にジゼルは聞き返した。
「ええ、しかもそれだけじゃないのよ。その二人が襲われる前にこの近くで悪事を働いていた盗賊団が全滅したって」 「盗賊団?」 「ええ、盗賊団の連中はほとんどが死んでいたって、その中で生き残っていた奴も『鉄の怪物』って言い残して息絶えたそうよ」 「同じ怪物に襲われたってわけね・・・・」 「・・・・・」
ジゼルが怖がっていると、その横で深刻な顔をして何かを考えているマサシにジゼルが気付いた。
「マサシ?どうしたの?」 「ん?ああ・・・・ちょっとな」 「?」 「その鉄の怪物にちょっと心当たりがあるんだ」 「え、本当?」 「ああ。シンディ、その鉄の怪物が今何処にいるか分かるか?」 「え?ううん、私は知らないけど襲われた傭兵達なら何か知っているかもしれないけど」 「その傭兵達は生きてるのか?」 「ええ、突然襲われた上に自分達の攻撃が効かなかったらしいから逃げてきたみたいよ。今は病院で手当てを受けてるわ」 「攻撃が効かない・・・・その傭兵達から居場所を聞いてきたくれないか?」 「ええ、それは別に・・・・・・ちょっと待って。居場所を聞いてどうするの?アンタまさか・・・」 「ああ、この目で直接見てくる」
マサシの考えに二人は驚いていた。
「ア、アンタ本気なの?」 「ああ、もし俺のカンが当たっていたら、恐らくその鉄の怪物は俺にしか倒せない」 「え?」 「シンディ、頼むよ」
マサシの真剣な眼差しを見てシンディはとうとう折れた。
「わかったわ。じゃあ行って来るから二人は酒場で待ってて」
シンディは来た道を再び走り出した。
「ねえマサシ」 「ん?」 「貴方にしか倒せないって言ったけど・・・・もしかして貴方の世界に何か関係があるの?」
ジゼルの読みにマサシは少し驚きの顔を見せた。
「ああ、俺個人の問題だ。だから今回は俺一人で行く。お前は関わらない方がいい」 「・・・・・あたしも行くわ」 「だめだ。今回は危険すぎる。下手すれば命を落とすかもしれないんだぞ!」 「傭兵として命を賭けるのはいつもの事よ」 「簡単に言うな!命を賭ける事がどれだけ危険なのか、お前ならわかるだろ!」 「・・・・あたし、貴方の役に立ちたいの」 「ん?」 「昨晩、貴方があたしと同じ思いをして生きてきた事を聞いて、貴方の役に立ちたいって思ったの。あたしも貴方も家族を失って辛い思いをしてきた。そんな人にこれ以上辛い思いをしてもらいたくないのよ・・・」 「!」
マサシは昨晩、ジゼルも、自分と似た悲しみと孤独の過去を持っていることを聞いたのを思い出した。
「それに言ったでしょ?『辛い事があったらあたしに話して』って」 「・・・・・でも今回は別に辛い事じゃ・・・」
マサシはジゼルの顔を見ると、彼女の瞳が潤んでいた。昨晩の話を思い出してしまったのだろう。
(・・・・・俺は、何やってるんだ?また女の子を泣かせて。・・・・・・そうだよな、辛い事じゃなくても、同じ思いを持っているもの同士助け合わないと。関係ないから巻き込みたくない、なんて彼女を信じていない証拠だ。でないと『あいつ等』との関係だって偽りになっちまう) 「・・・・わかった」 「え?」 「連れて行くよ、ジゼル」 「本当?」 「ただし、危険だと思ったら迷わず逃げるんだぞ、いいな?」 「あ・・・・うん、ありがとう」 (礼を言うのは俺だよ・・・・) 「え?何か言った?」 「いや、何でもない。ほら、酒場に行くぞ」 「うん」
マサシは小声で礼を言って酒場に向かった。これで、マサシとジゼルの絆は更に強くなったのかもしれない。
酒場でシンディの到着を待っている二人は昨日に一件以来すっかり有名になってしまったのか、周りの傭兵や客達に囲まれていた。そこへシンディが到着し、二人はその難から逃れる事ができた。
「ハァ〜、なんとか落ち着いたな」 「うん、お店に入った途端大騒ぎだもん」 「朝は人が少なかったからそれほど騒ぎにはならなかっからよかったけど・・・・昼はなぁ」 「うんうん」 「二人とも、話はそれくらいにして、例の鉄の怪物の件だけど・・・」
シンディの鉄の怪物の話を聞き二人は顔色を変えた。
「病院に行って傭兵達から聞いてきたわ。その怪物を見たのは『死者の大地(デッド・グランド)』と言われる荒野らしいわ」 「死者の荒野・・・」 「ベルおばさんから聞いたことがあるわ。ここから南東にあって、その荒野には動物も植物も水もない砂と岩だけの場所だって・・・」 「そこにいるのか?鉄の怪物が?」 「さあ。その傭兵が最後に見たって言うだけだから確実じゃないでしょうね」 「そっか、もしかしたらもうそこには居ないかもしれないからね」 「う〜ん・・・・とりあえず一度その死者の大地に行ってみようぜ」 「そうね、なにも無いって言うだけで別に危険ってわけじゃないし」 「じゃあ、早速行きましょ!」
ジゼルの声と同時にマサシとシンディは席を立ち武器を装備して三人は店を出た。
サンドリアを出て歩くこと数十分。三人は死者の大地に着いた。そこはまさに死者の大地と呼ぶに相応しい場所だった。木々や水は枯れ、あちこちに動物の骨が転がっている。
「すっげ〜な・・・・」 「ここは昔は水もあって草花や色々な動物達がいっぱい居たんだけど、数年前に大きな天変地異が起きてこんな風になったんだって」 「天変地異か、恐ろしいな・・・・」
ジゼルの説明を聞きマサシは深刻な顔をして荒野を見ていた。するとシンディが突然声をかけてきた。
「シッ!二人とも隠れて、何か近づいてくるわ!」 「「!!」」
三人は慌てて近くの大きな岩に身を隠した。するとなにやら変わった音が聞こえてきた。
「これ何の音?」 「さあ、聞いたことのない音ね。何かを引きずってる音に聞こえるけど?」
ジゼルとシンディが聞いたことの無い音を聞いて頭を悩ませている中、マサシだけは深刻な顔をしていた。
(ちがう、これは引きずる音じゃない。これは・・・・・キャタピラの音!?) 「あ、見てマサシ!何か来たよ!」 「!」
ジゼルの声を聞き、マサシとシンディは岩からそっと顔を出してジゼルの見てる方を覗いた。すると、マサシの目に飛び込んできたのは。
(な!・・・・・ウソだろ?アレ・・・・・『M1戦車』じゃねえか!!)
M1戦車(M1エイブラムス) 1980年にアメリカ陸軍に初納入され、アメリカ海兵隊も使用している主力戦車である。砲塔前面装甲は避弾経始を考慮した形状で傾斜してあり、戦車としては珍しくガスタービンエンジンを搭載していることが特徴的である、その結果、この戦車は最高時速が70 km/hまでにもなる。主砲には51口径105mmライフル砲M68A1が装備せれており、副武装に12.7mm重機関銃M2(対物・対空)が装備されている。おまけに暗視装置付きペリスコープや自己位置特定システム、その他高度な電子機器を備えている。
鉄の怪物と言われていた物が自分の世界にしか存在しない兵器だあったことを知ったマサシは驚きを隠せずただ戦車を呆然と見ていた。
「マサシ、大丈夫?」 「あ、ああ・・・・大丈夫だ」 「一体何なのあの怪物?あんな生き物見たことないわ」 「あれは生き物じゃない、兵器だ」
シンディの言葉に続いてマサシが怪物の正体を明らかにした。
「兵器?どうしてアンタがそんなこと知ってるの?」 「やっぱり、アレってマサシの世界の物なの?」 「ええ?そうなの?」 「ああ、間違いない。でもどうして・・・・」
マサシはどうしてこの世界に戦車があるのか考え始めるとシンディが話しかけてきた。
「そんなことより、これからどうする?アンタの世界の兵器じゃ私達はチンプンカンプンだし・・・」 「うん、マサシ。これからどうする?」 「・・・・・」
自分の世界の兵器でも人々に害を与えている事は事実。マサシはどうやってM1戦車を黙らせるかを考えていた。
(もしあの戦車に乗っている奴等が俺の世界の奴等だったらアイツ等から帰る方法を聞きだせる。もしくは一緒に連れて帰ってもらうか。だが、まずどうして人を襲ったのかを捕まえて吐かせるか!しかしどうやって・・・・・・)
マサシは知恵を振り絞ってM1戦車の攻略をするか考えていると、マサシは何かをひらめいたのか、突然顔を上げた。
「マ、マサシ?どうしたの?」 「なにかいいアイディアでも浮かんだ?」 「ああ、ちょと耳を貸せ。いいか作戦はこうだ」
マサシはジゼルとシンディの耳元で小声で作戦を伝えた。
M1戦車がマサシ達の隠れている岩場に近づいてきた時、マサシはジゼルとシンディに合図をした。そして二人はM1戦車に目掛けてマサシから渡されたグレネード(手榴弾)を投げた。グレネードはM1戦車の斜め前で爆発した。
「な、なんだ!?状況を報告しろ!」
M1戦車には男が四人乗っていた。その中のリーダーらしい男が仲間から状況を聞いた。
「10時の方向から敵襲!あの岩場からのようです!」
再びジゼル達はM1戦車目掛けてグレネードを投げた。グレネードは戦車の真横で爆発した。
「いい感じよ」 「うん。でもマサシは大丈夫かな?」 「アイツなら心配ないわよ」 「う〜ん・・・」
数分前。マサシは二人にこのような作戦を伝えていた。
『はいよ』 『何コレ?』
ジゼルはマサシに手渡された球体を見ながら問いかけた。
『コレは手榴弾っていう俺の世界の爆弾だ。このピンを抜いてから数秒で爆発する、ピンを抜いたらすぐにコイツを戦車に目掛けて投げるんだ。いいな』
マサシはジゼルとシンディに二個ずつグレネードを渡した。
『マサシはどうするの?』 『俺はお前達が奴の気を引いてくれているうちにアイツの背後に回りこんでコイツを投げ込む』 マサシは自分が持っている手榴弾を見せて上着のポケットにしまいこんだ。
そして現在。戦車に持っている全てのグレネードを使った二人は再び岩の影に隠れた。
「こっちは二つとも使ったよ」 「こっちも。それにしても、マサシのヤツ、私達を囮にするなんてどういうつもりかした?」 「仕方ないよ、アレに止められるのはマサシだけなんだから、ここは彼に言うとうりにしよう、ね?それより、マサシうまく行ったかな?」 「わからない。ちょっと覗いてみようか?」 「ちょ、危ないよ!」
シンディはジゼルが止めるのも聞かず岩から少し顔を出して覗いてみるとM1戦車の後にマサシが隠れながら近づいて行ってるのが見えた。すると戦車に乗っている男の一人が後から近づいてくる物体に気づいた。
「隊長、6時方向から何か近づいてきます」 「なんだ?」 「これは・・・・生命反応あり!この反応だと人間です!」 「なに?・・・・そうか、さっきの攻撃は囮か!そっちに気を取られて気付くのに遅れた!」
しかし彼らが気付いた時は既に遅かった。マサシは既に戦車の1メートルも無い所まで近づいていた。
「気付くのが遅いんだよ!」
マサシが持っていたグレネードの安全ピンを抜きそれをキャタピラの近くに投げ込んだ。そして数秒後グレネードが爆発した。キャタピラは爆発の衝撃で機能を停止した。戦車が動かなくなった事を確認したマサシはジゼル達に合図をした。
「マサシからの合図よ」 「じゃあ成功したんだね!」
ジゼルとシンディは岩場からマサシの下まで走ってきた。二人と合流したマサシはM1戦車に向かって話しかけた。
「おーい!最近この辺りで傭兵や盗賊団を襲っていたのはお前等だろ?何処でそんな物を手に入れたのか、出て来て教えてくれねーか?」
すると戦車のハッチが開き、男が一人出てきた。その男は黒いヘルメット、ガスマスク、アサルトスーツといったマサシの世界の装備品を使用していたのだ、明らかにマサシと同じ世界の人間であった。
「おい、貴様等!どういうつもりだ!いきなり攻撃を仕掛けてくるとは!」 「いやゴメンゴメン、最近この辺りで暴れてると聞いたから少し説教を・・・・・」
マサシがふざけ半分で謝っているとマサシの目に信じられない物が飛び込んできた。アサルトスーツについているマーク、赤いドクロマークに二本の鎌のマーク。そのマークの下にはこう書かれていた。
「ヘル・・・・デストロイヤー・・・」 「!!・・・貴様どうして我々の組織の名前を知っている!?」 「どうした?一体なんだったのだ」
ハッチからもう一人の男が顔を出した。
「隊長!この男が我々の組織の名を!」 「なに?・・・・・こ、この男は!」 「な、なに?どうしたの?」
マサシの顔色が突然変わった事にジゼルが驚いていた。
「隊長、この男をご存知で?」 「コイツは秋円 マサシ!我等ヘルデストロイヤーに敵対する最上級危険人物だ!」 「な!なぜそんなヤツがこんな所に?」 「そんな事はどうでもいい!!ヤツを殺せ!殺せば一気に幹部まで昇進だぞ!!」
隊長の合図で残りの二人も戦車から飛び出し三人を囲んだ。
「な、なに?どうなってるの・・・?」 「さ、さあ。でもヤバイって事は間違いないわね・・・・」 「・・・・・・」
アサルトスーツの男達に囲まれている中、マサシは小声でジゼルに話しかけた。
(ジゼル・・・) (な、なに・・?) (すまん、やっぱり巻き込んじまった) (・・・・・) (コイツ等は俺一人で何とかする、その隙にお前はシンディと一緒に町へ逃げろ) (・・・・・・・嫌よ) (おい!冗談抜きで今回は本当に危険だ!コイツ等は俺と同じ世界の人間だ。使っている武器も装備品もお前達の使ってる武器とは比べ物にならないくらいの性能だ。それに約束しただろ?ヤバイと思ったらすぐに逃げろって!!) (・・・・・・・ええ、約束した。) (じゃあ!) (でもそれはヤバイと思ったら、でしょ?) (!?) (あたしは、怖くない!それに死ぬ気も無い!) (・・・・・)
その時マサシは彼女の瞳を見た。確かに恐怖は無い、むしろ勝ちたいという強い意志が見られる。
(・・・・・どうなっても知らないからな) (ええ、覚悟して来たんだもの)
暴れていた鉄の怪物とはM1エイブラムス戦車だった。しかもその戦車に乗っていたのはマサシの組織、ライトシンフォニアに敵対するヘルデストロイヤーだった。マサシ達はこの絶体絶命の状態をどのように切り抜けるのだろうか・・・・。
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