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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第55回   第五十四話 女戦士 デリィ

ヘルデストロイヤーに襲われている女を助けてたマサシ達。女を助けてその場を離れた彼等は裏路地で休んでいた。

「フゥ、ここまで来れば大丈夫だろう・・・・」
「そうだね、ハァ、走ったから疲れちゃった・・・・」

少し疲れたのか、その場に座り込むマサシとジゼル。コンタはファイブセブンの残弾を確認し、新しい弾倉をセットしている。そんな彼等を見て壁にもたれていた女はマサシ達の方を見た。

「・・・・ありがとう、助けてくれて」
「気にするな」
「・・・・ええ」

女はやはり元気がなかった。仲間が死んだ事でやはり心を痛めているようだ。

「・・・・お友達の事、お気の毒です」

コンタはファイブセブンを納めて女の方を見て静かに言った。

「仕方がないわよ、彼等だって覚悟していたはずだもの・・・・」
「そうですか・・・・」

コンタは何も言う事のできない自分に少し罪悪感を抱いたのか口を閉じてしまった。そんな時、マサシが静かに女に尋ねた。

「そういえば、まだ名前を聞いていなかったな、アンタ名前は?」
「私はデリィ、デリィ・ファリスよ」
「デリィか、俺は秋円マサシだ」
「あたしはジゼル・アルフォント」
「僕は月本コンタです。よろしく」
「ええ、よろしく」

自己紹介を終えた四人。そしてマサシはデリィを見てこんな事を言い出した。

「アンタ、これからどうするんだ?」
「私?私は・・・・」
「もしよかったら家まで送るぜ?」
「え?」

意外の言葉を聞き少し驚くデリィ。

「これだけ大騒ぎになっているんだから一人で帰るのは危険だろう。いいよな、二人とも?」

マサシがジゼルとコンタの方を見て尋ねた。マサシの方を見ていた二人はお互いに見合って再びマサシの方を見て言った。

「あたしはいいよ」
「僕も賛成」
「決まりだな。というわけで、送るぜ」
「あ、ありがとう・・・・」

四人は立ち上がり、警戒しながら裏路地を出た。敵に見つからないように移動し、デリィの案内で彼女の家に向かった。そんな時、移動している最中にデリィがマサシ達を見ながら尋ねてきた。

「あなた達」
「「ん?」」
「何ですか?」

デリィに呼ばれ、声を合わせながら返事をするマサシとコンタ。そしてその後に返事をするジゼル。

「あなた達、見たことない服を着ているけど、何処から来たの?」

タクティカルスーツを着ている三人を見て、何処から来たのか尋ねたデリィ。

「実はこの街を制圧した奴等も似たような格好をしていたんだけど、あなた達まさか・・・・」
「勘違いするなよ」

デリィが言おうとしている事を察したのか、マサシは少し声に力を入れて言った。

「俺達は奴等とは違う」
「まだ何も言ってないわよ?」
「言わなくたって分かるよ、俺達の事を奴等の仲間だと思ったんだろ?」
「・・・・・・ええ」

考えている事を見抜かれた少し力のない声で返事をするデリィ。

「自分を助けてくれた人を疑うなんて、少し失礼じゃないのか?」
「・・・・ゴ、ゴメンなさい」
「ま、仕方ないよな。俺達は奴等と同じ世界から来たんだから」
「え?どういう事?」

マサシの言っている事をいまいち理解できないデリィは再びマサシに尋ねた。

「俺達は・・・・」

マサシはデリィに自分達が何者なのか、何の為にこの世界に来たのかを説明した。そしてそれを聞いたデリィは驚きの顔をしていた。

「信じられないわ・・・・」
「でも本当なの、あたしも最初は信じられなかったけどね」

マサシの隣で当時自分がマサシ達を見ていたのか話した。話しながら敵に見つからないように裏路地を進んでいくと、小さな広場に出た。その広場の真ん中に小さな穴がある、それは下水道の入口だった。

「アレは?」
「マンホールだな」
「そう、あそこが入口よ」
「え?あなたの家が?」

デリィに尋ねるジゼル。家に向かうつもりがなぜか下水道に連れてこられてしまった。

「私の家はもうないの、ヘルデストロイヤーに壊されちゃって・・・・だからここが私達の隠れ家なの」
「そうだったんだ・・・・・・ん、私達?」

まるで自分以外にも住んでる者がいるような言い方を聞き、訊き返すジゼル。

「私はレジスタンスの一員なの」
「「「レジスタンス?」」」

デリィが何者なのかを聞き声を揃えて訊き返すマサシ達。

「来て、私の仲間に紹介するわ、それに助けてくれたお礼もしたいし」
「いや、お礼なんて」
「うん、それにあたし達、急いでるから・・・・」
「そうなの?」

デリィが先を急いでいるマサシ達に訪ねると、ジゼルが真剣な目で言った。

「あたしの姉さんが今日の正午に処刑されるの、だからそれまでに助けないといけないの」
「お姉さんが、そうなの・・・・」

処刑されてしまうという事を知り、俯くデリィ。その時、俯いているデリィが顔を上げてジゼルの方を見て聞き返した。

「ちょっと待って、正午に処刑される人の名前って、ネリネさんじゃないの?」
「え?姉さんを知ってるの?」
「ええ、王宮の騎士の中では最も実力があるから街でも有名なの。しかも数年前にこの街に伝説の聖天使人の末裔がいるって噂がなわれているの、そのネリネさんが末裔なんじゃないのかって言われてるわ。正午に城の処刑場で処刑されるみたいよ」
「「!!」」

処刑場の事、聖天使人の事を聞き驚くマサシとジゼル。

「なんですか、その聖天使人って」

コルヘルスでマサシから聖天使人の事を聞かされていないコンタは何も知らずにデリィに尋ねる。

「伝説の戦闘民族よ、数百年前に突然姿を消してしまったの」
「そうなんですか、マサシは知ってた?」
「え?い、いや、初めて聞いた」
「ジゼルは?」
「う、ううん、あたしも知らなかった」

聖天使人の事を聞かれ、慌てて否定するマサシとジゼルを見てコンタは頭に?マークを浮かべる。

「だったらやっぱり一緒に来て」
「ん?」
「実は下水道に城への侵入口をあるの」
「「「ええっ!?」」」

デリィの口から思いもよらぬ言葉を聞き、驚きの声を上げるマサシ達。

「本当なの!?」
「え、ええ・・・・」

興奮しながら顔を寄せるジゼル。デリィは驚きながら返事をする。

「おいジゼル、落ち着け!」
「あ、ゴメン」

興奮するジゼルを止めるマサシ。ジゼルは落ち着きを取り戻してデリィから顔を離す。

「と、とりあえず、私の仲間に会って。話はそれからと言う事で・・・・」

デリィはマンホールの蓋(ふた)を開け、ゆっくりとハシゴを下りて行き、マサシ達もその後に続いてハシゴを降りていき、最後にハシゴを下りたコンタは蓋を閉めた。ハシゴを下りた後、暗く、生臭い臭いがする下水道を歩いていくマサシ達。

「う〜、グザイ・・・・」
「我慢して、もうすぐ隠れ家の入口だから・・・・」

臭さに文句をいながら歩くコンタに案内しながら言うデリィ。

「私達はここ数日でこの街のいる敵に抵抗してきたんだけど、まるで奴等には効いていないの・・・・」
「そう、お城の人達はどうなったの?」
「必死に奴等と戦ったけど、まるで歯が立たなかったの。多くの人達が殺されたわ・・・・」
「「「・・・・・・」」」

ヘルデストロイヤーの力の前に命を落とした多くの人達の事を考え、黙り込むマサシ達。すると、デリィが小さなドアの前で立ち止まった。

「ここよ」
「ここが・・・・」
「レジスタンスの隠れ家・・・」
「ええ」

マサシ達がドアをジッと見ていると、デリィがドアをノックした。すると、ドアについている覗き穴がパカッと開いて誰かがドアの外を覗いた。

「デリィ!無事だったか?」
「ええ」
「ん?なんだ、その後ろの連中は?」
「彼等は私を助けてくれた人達よ」
「そうなのか・・・・ところでバズーとリックはどうしたんだ?」
「・・・・死んだわ」
「なにっ?」
「・・・・・・」

バズーとリック、撃たれて殺された二人の男の事だろう。彼等の事で落ち込んでしまったデリィ。

「とにかく入れ。アンタ達も入りな、聞きたい事が沢山あるんだ」
「ああ、お邪魔するぜ」

ドアが開き、デリィ、マサシ達は隠れ家へ入っていった。レジスタンスの女戦士デリィを助けたマサシ達は彼等の隠れ家に案内された。彼等は城への侵入口を知っていると言っている、果たしてどの様に城に侵入するのか?マサシ達はネリネ救出に間に合うのか!?

ネリネの処刑まで、あと5時間30分


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