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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第49回   第四十八話 聖天使 ジゼル

ジゼルとネリネ、姉妹の戦いが始まり、ネリネの口から自分の中に、伝説の聖天使人の血が流れていると知らされるジゼル。そして、同じ聖天使人の血を引く姉の攻撃を受け、致命傷を負ったジゼル。そして彼女の中に流れる聖天使人の力が覚醒した。

「ジ、ジゼル・・・・」

致命傷を負い、意識不明だったジゼルが目を覚まし、ネリネと同じような姿に変わったのを見て驚くマサシ。

「まさか、こんなに早く覚醒するとはな・・・・」
「予想外だった・・・・」

覚醒したジゼルを見て少し驚きを見せるハヤテとリーズ。ネリネも言葉はないが驚いていた。銀色の髪に体から赤い光を出すジゼル、マサシに抱きかかえられていたが、何事もなかったかの様にゆっくり立ち上がり、立ち上がった直後、彼女の体から赤い光が消えた。

「・・・・・・」

立ち上がったネリネは黙ったままジッとハヤテ達を見ていた。しかし、彼女の目には光がなかった。まるで自分の意思で動いてるのではなく、誰かに操られている人形の様だ。ジゼルはゆっくりと三人に向かって歩き出した。

「フン・・・・ネリネ」
「・・・・・・」
「どうした?奴を殺せ」
「・・・・・・」

ハヤテの命令が聞こえているが、なかなか実行しようとしないネリネ。一度、致命傷を与えてしまった事で少し抵抗を感じているのだろう。

「貴様は部下のために戦っているのではないのか?」
「・・・・・・ッ!」
「・・・・やれ!」
「クッ!」

ネリネは歯を食い縛り、再び右手をジゼルに向けた。その右手には再び青い光が集まり始めた。ジゼルはネリネを見て少し離れた場所で立ち止まった。

(・・・・ジゼル、あなたを倒さなければ多くの部下が殺されてしまう、私はあなたを殺さなければならない。私を怨んでくれてもいい、私はあなたを・・・・妹を殺したという罪を背負って生き続ける・・・・・・ジゼル・・・・許して!!)

ネリネは心の中でジゼルに謝罪し、彼女目掛けて光球を放った。青い光球はジゼルに向かって真っ直ぐ迫っていき、あと数cmいうところでまで来ていた。

「ジゼル!!」

マサシがジゼルの後ろで彼女の名を叫ぶが、ジゼルは攻撃を回避しようとしない、それどころか、動こうともしなかった。そして攻撃が当たる直前、ジゼルの目が赤く光だし、ネリネの放った光球が目の前で止まった。

「なっ!止まった?」

自分の攻撃が止められ驚くネリネ。だが、止められただけじゃない、ネリネの放った光球がゆっくりと動き出し、ジゼルの右の方に移動していく、ジゼルはその光球を手に取るかの様にゆっくりと手に取った。そして、それをネリネに向かって投げつけた。

「・・・・・・ッ!」

ネリネは慌てて両手を迫ってくる光球の前に黄色い光の壁を作り出した。青い光球は黄色い光の壁に当たり緑色の光を放ち爆発した。

「ウウッ!」

爆発によって起こされた風に飛ばされないように足に力をいれるネリネ。そして風が収まり前を見た、だがそこにはジゼルはいなかった。ネリネが辺りを見回すと、視界には膝を付いているマサシしかいなかった。そして、ネリネの後ろにジゼルが現れた。ジゼルは光球を投げた後、彼女はもの凄い速さでネリネの背後に移動したのだ。

「えっ!?」

ネリネが慌てて振り返るが、ジゼルの蹴りが彼女の横顔に命中した。

「グワァ!!」
「速い!」
「何て速度だ!」

突然背後から姿を現したジゼルを見て、ハヤテとリーズは多く跳んで距離をとった。

「・・・・・・」

蹴り飛ばされ、3m近く飛ばされたネリネ。そんなネリネを光のない目で、黙ったままジゼルは見続けていた。

「グ・・・なんて速さ・・・・覚醒したばかりなのに・・・・」
「・・・・・・」

光のない目でネリネを見続け、ゆっくり近づくジゼル。ネリネは立ち上がり覚醒した妹を見つめた。

「ジ・・・・ジゼル・・・・」
「・・・・・・」
「覚醒したばかりで我を失っている・・・・?」
「・・・・・・」

ジゼルはゆっくりと右手の人差し指でネリネを指した。すると、指先に青い光が集まり、そこから一本の細い光線が放たれ、ネリネの左腕を貫いた。

「グワッ!」
「・・・・・・」
「クッ・・・・」

腕を貫かれ、傷を押さえるネリネ。彼女はジゼルから距離をとり、銀色の翼をはばたかせ、高く飛んだ。そして、翼から無数の銀色の光の矢をジゼルに向けて放った。ジゼルは雨の様に降ってくる矢をもの凄い速さで避けている。ジゼルに命中しなかった矢は床に穴をあけた。

「速い、かすりもしていない・・・・」

マサシは離れた所で攻撃を避けているジゼルを見て驚いている。

「あ、当たらない!速すぎる!」

空中から攻撃しているネリネはジゼルの速さに驚いて思わず攻撃を止めた。その瞬間、またジゼルが消えた。ネリネは慌てて下を見回すがマサシ、ハヤテ、リーズの三人以外見当たらない。探すネリネは再び背後から気配を感じた。後ろを向くと、そこには自分同じように銀色の翼で飛んでいるジゼルがいた。

「い、いつの間に!」

驚いた直後、ジゼルはネリネの背中にパンチを打ち込んだ。

「グハァ!!」

ネリネはジゼルのパンチの力でそのまま床に叩きつけられた。ジゼルは少しはなれた所にゆっくりと着地し、ネリネに近づいていく。

「う・・・・」
「・・・・・・」

ダメージが大きいのか、ネリネは仰向けに倒れたまま、動く事ができない。ジゼルはゆっくりと近づいて行き、右手で手刀を作った、すると、そこから青い光の刃が生まれた。

「・・・・ッ!ジゼル、まさか!!」

離れた所でジゼルの背中を見てマサシは嫌な予感がした。

「ジゼル!」
「・・・・・・」

マサシはジゼルの名を呼んだが、彼女には聞こえていないようだ。そしてジゼルはネリネの前で立ち止まった。

「・・・・・・」
「間違いない!アイツは!」

マサシは確信した、ジゼルは「ネリネを殺そうとしている」と。マサシは立ち上がり、慌ててジゼルの下へ走った。そして、彼女が右手の刃を高く上げて、振り下ろそうとした、次の瞬間。

「やめろ!!」

マサシはジゼルを背後から抱きしめた。

「・・・・・・ッ!」
「ジゼル、正気に戻れ!」
「・・・・・・」
「しっかりしろ!お前はせっかく再会できた姉さんを殺すつもりか!?」
「・・・・ねえ・・・・さん・・?」
「そうだよ!しっかりするんだ!ジゼル!!」

マサシはジゼルを抱きしめた続けた。マサシは今のジゼルを見て、なぜかとても胸が苦しく感じた。次第にジゼルの目に光が戻ってきた。

「マサシ・・・?」
「ジゼル!正気に戻ったか?」
「あたし、何してたの?」
「え?お前、何も覚えてないのか?」
「覚えてないって何を・・・・・・ッ!!」

正気に戻ったジゼルは目の前で倒れているネリネを見て目を疑った。

「ね、姉さん・・・・もしかして・・・・あたしが姉さんを・・・・?」
「・・・・・・」

無意識のうちに自分の姉を傷つけてしまった事によるショックが彼女を襲った。ジゼルは泣きながらネリネの下へ駆け寄った。

「姉さん!しっかりして!姉さん!!」
「うう・・・・ジ、ジゼル・・・・」
「姉さん!ゴメンね!あたしのせいでこんな傷だらけに・・・・ゴメンね・・・・」

泣きながら仰向けに倒れているネリネに寄りかかるジゼル。ネリネはジゼルの頭を優しくさすった。

「大丈夫よ、ジゼル」
「でも、この傷・・・・」
「大丈夫だってば・・・・ほら」

そう言ってネリネは自分の傷を見せた。すると、傷がみるみる治っていく。

「す、凄い・・・・」
「聖天使人は回復力も優れているって聞いたけど、これ程とは・・・・驚いた」
「うん・・・・」

聖天使人の回復力の凄さを見て驚くマサシとジゼル。傷がある程度治ったのかネリネはゆっくりと立ち上がった。

「姉さん・・・・」
「大丈夫よ。ほら、いつまでもそんな顔してないで、立ちなさい」
「う、うん・・・・」

ネリネは座り込んでいるジゼルに手を差し伸べて立たせた。

「姉さん・・・・」
「ジゼル、本当に強くなったわね」
「姉さん、あのね・・・・」
「ん?」
「あの、あたし達と一緒に・・・・」

ジゼルが何かを伝えようとした次の瞬間、ネリネが背後から何者かの攻撃を受けた。

「うわああああ!!」
「「!!」」

突然の攻撃に驚くマサシとジゼル。ネリネが攻撃を受けてそのまま倒れると、彼女の後ろにはハヤテとリーズが立っていた。

「ハヤテ!リーズ!」
「まったく、役に立たない奴だ」
「全くだな・・・・」
「姉さん!」

倒れるネリネに手を差し伸べようとしたジゼル。だがその直前にハヤテが右手の人差し指から電撃を放たれ、その電撃がネリネに命中した。

「うわああああ!!」
「姉さん!!」

倒れているネリネに更に攻撃を加えるハヤテ、だが聖天使の血を引くネリネの傷は少しずつ回復していく。だが、ネリネは既に気を失っている。

「さすが聖天使の血を引く女だ、こんな軽い攻撃ではダメだな・・・・」
「もっと強力な攻撃をするのか・・・・?」
「いや・・・・連れて帰って処刑する」
「なに?」
「この街はもう使えない、ロードグランに戻って別の街を探すよう社長に話す」
「そうか・・・・」
「異議無しか?」
「ああ・・・・」
「では、引き上げるぞ。解放!レベル・5」

なんと、ハヤテがレベル・5を発動した。自然の四塔(フォースド・ガイア)は全員が契約者、ハヤテも当然契約者だ。すると、ハヤテの体が黄色く光だし、その光の中から黄色い大きな翼が出てきた、更にその光が消えた時、そこには体に電気をまとった黄色い巨鳥がいた。

「な、なに?この鳥?」
「コイツがハヤテの契約相手、幻獣種『サンダーバード』だ・・・・」
「サンダーバード・・・・」

変身したハヤテを見て驚くジゼル。

「ハヤテ、部下達はどうするのだ?」
「大丈夫だ、さっきそこの姉妹が戦っている時に無線機で撤退命令を出しておいた」

サンダーバードに変身したハヤテはリーズを見下ろして撤退命令を出した事を伝えた。

「それならいいが・・・・」
「それじゃあ、戻るぞ」

ハヤテは大きな足で倒れているネリネを掴み、天井を向いて、くちばしから電撃を天井に向けて放った。そして天井に穴を開けた。リーズはネリネを掴んでいないほうの足に乗った。リーズが乗るとサンダーバードは大きな翼をはばたかせ。

「うわあっ!」
「ううっ!」

マサシとジゼルは、はばたきで起こされた風に吹き飛ばされそうになりながらも必死でその場に踏み止まっている。

「ね、姉さん!」
「秋円、アルフォント!この女は俺達が連れて行く!取り返したかったらロードグランまで来い!もっとも、来る根性があれば、だがな。ハハハハハ!」

サンダーバードに変身したハヤテは最後に笑い、凄い勢いで飛び立った。足には気を失っているネリネがいる。

「姉さーん!!」

連れていかれる姉の名を大声で叫んぶジゼル。ジゼルの聖天使の力が覚醒した、だがハヤテとリーズはネリネを連れて撤退してしまった。マサシとジゼルはこれからどうするのだろうか!?


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