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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第46回   第四十五話 VS ステルス・ヴァルキリー

コンタ達(βチーム)はリーズの直属部隊、ステルス・ヴァルキリーと遭遇。五人の女戦士を倒す為に彼等は1つの教室へ移動、そしてその部屋で姿の見えない敵と戦う事になったのだ。

「皆、敵は何処から攻撃してくるか分からない、十分気をつけろ!」
「姿の見えない敵をどうやって気をつけろって言うんだよ!」
「意識を集中しろ!そうすれば何処に居るか分かる!」
「簡単に言うな!」

ユウタとダンは言い争いをしながらも窓際へ移動し、武器を取って辺りを見回した。窓際に居れば少なくとも背後から攻撃される事はない。

「・・・・・・」

コンタは辺りを見ながら耳を動かし、必死で敵の居場所を探っていた。

「・・・・・・」
「・・・・・・」

レイナが眼で「見つかったか?」と尋ねた。だがコンタはレイナの眼を見て首を横に振った、どうやら見つからないようだ。

「どうするんだ?このままじゃ・・・・」
「静かにしてください・・・・」
「な、何だよ?」
「今、敵の探しています・・・・」
「姿が見えないのにどうやって探すんだよ?」
「・・・・・・」

ダンの言葉を無視してコンタはあちこちを見ながら耳を動かしていた。空っぽの教室、机も椅子も無い、自分達は身を隠す事ができない、だが敵は隠れている。コンタは表情を変えずに必死で探していた。

「・・・・・・」

探し始めてからしばらくすると、教室の端で何かが擦れる様な音がした。コンタの耳はそれを逃さなかった。コンタは瞬時にファイブセブンを抜き音がした方を撃った。すると、音がした方からガタガタと音がした。敵が走ってその場から離れたのだろう。コンタの攻撃に続き、レイナがSAAの抜いて連続で音がする方に発砲した。

「ど、どうしたんだ!?」

ダンが突然攻撃を始めた二人を見て声を上げる。

「敵を見つけたんだ!」

ユウタがダンとアルトに伝えた。その時、ユウタが何かを感じ取った。攻撃しているコンタとレイナを見て壁際に背を向けているダンとアルトの方から何かが動く気配を感じたのだ。ユウタは慌てて腰の収めてある小型のチャクラムを取り、気配のする方へ投げた。すると、なにも無い、誰もいない場所でガキンという金属音をたてるチャクラムが弾かれた。

「な、何だ!?」

ダンとアルトは慌てて振り返り、その場から部屋の真ん中へ跳んだ。

「真ん中へ行くな!部屋の端へ行くんだ!」

ユウタの言葉を聞き慌てて部屋の橋へ移動する二人。するとさっきまで二人が立っていた場所に銃創が生まれた。

「あ、あぶねぇ〜」
「油断するな!また襲ってくるぞ!」

アルトが注意しながら辺りを見回した。彼の予想は正しかった、ダンの右側から何か音がして慌てて右を見るダン。しかし、そこには誰もいない、だが、誰かがいた。ダンは慌てて一歩下がると彼の頬に一本の切り傷が生まれそこから血が出てきた。敵が見えないナイフで攻撃してきたのだ。

「う、うわぁ!」

ダンはいきなり襲われて、驚きのあまりその場に座り込んでしまった。敵もそれを見逃さず、座り込んだダンに見えないナイフで斬りかかろうとした、だがガントレットを装備したアルトがその場所に攻撃した。しかしなにも手ごたえが無い、敵がとっさにかわしたのだろう。

「大丈夫か?」
「あ、ああ・・・・」

二人は急いでユウタ達の下へ走った。

「傷は?」
「だ、大丈夫、少し斬られてだけだ・・・・」
「そうか・・・・」

まだ少し驚いているダンを見た後、ユウタは再び辺りを見回した。コンタとレイナも攻撃を止めていた。弾が切れて補充をしていたのだ。だが銃を使うものにとって、弾層(だんそう)交換時が最も危険だ、敵もそれを見逃すはずが無く、弾を交換している二人の襲い掛かった。だが・・・・・。

「「解放!レベル・3!!」」

二人は敵の気配を感じ取った瞬間そう叫び、その場から消えた。

「!!」

コンタとレイナのいた場所に誰かが降り立つ様な音がした、姿を消した敵は声を上げずに驚いていた。

「ど、どうなってるんだ!?」
「二人が消えたぞ!」

二人を見ていたダンとアルトは突然消えた二人を見て驚きの声を上げた。しかし、ユウタは驚かなかった。

「アイツ等、レベル・3を解放したか」
「何なのだ、そのレベルスリーとは?」
「俺達の力の1つさ」
「「?」」

理解できず、辺りを見回すと、部屋の真ん中に二人はいた。だが、よく見ると、二人の体には光のラインが浮き上がっていた。コンタの体には青いラインが、レイナの体には黄色いラインが浮き上がっていたのだ。レベル・3を解放した事により二人の戦闘能力が増していた、そのおかげでさっきの攻撃を回避できたのだ。

「・・・・・・」

コンタは辺りを見回すと、何かを見つけたのか、黒板のある壁際に走って行った。彼は走りながら何かをブツブツ言い始めた。

「水の精霊よ、水滴の砲弾で敵を撃て!アクアバレット!!」

コンタは契約魔法の呪文を演唱していたのだ。演唱し終わると、彼の右手に大きな水塊(すいかい)が現れ、コンタはその水塊を黒板の方へ投げつけた。その水塊はなのも無い場所で、何かに命中した。

「うわあああ!」

突然、誰もいない場所から声が聞こえてきた。そして、その場所でバチバチと電気が発生、みるみるステルスが解除され、あの男勝りなヴァルキリーが姿を現した。しかも、戦闘能力が強化されているため、契約魔法の威力も増していため、彼女はかなりのダメージを受けていた。

「いって〜、クソッ!水でステルス装置がショートしたか!」
「フゥ、まず一人!」

コンタは敵を一人見つけて再び辺りを見回した。そしてレイナの後ろの風景が少し歪んでる事に気付いた。

「レイナ!」

コンタが叫ぶと、レイナは左手に持っているSAAをしまい、左手で拳を作り、その手の甲で自分の後ろを攻撃した。すると、何かに当たり、その風景が変わって、そこから別のヴァルキリーが姿を現した。そして、そのまま飛ばされ、壁に減り込んだ。

「グハァ!な、なんて力なの・・・・?」

ヴァルキリーはそのまま気を失った。レイナはそのまま眼だけで辺りを見回し始めた。

「す、凄い・・・・ただ手の甲で殴っただけなのに、あの力は・・・・」
「アイツ等は今レベル・3を解放している。その証拠に体に光のラインが体に浮かび上がっている、あの状態ではアイツ等の戦闘能力は上昇する。しかも強くなるのは身体能力だけじゃなく、五感も強くなる。だからあんなにアッサリ敵を見つける事ができたんだ」
「そうなのか・・・・?」

驚くアルトにユウタが詳しく説明する。説明し終わった直後、ユウタの後ろの風景が歪んだ、別のヴァルキリーがユウタを襲ってきたのだ。

「ムッ!」

ユウタが後ろを見た瞬間、その歪んだ場所に三つの銃創が生まれた。ユウタが再び前を見ると、ファイブセブンに弾を装填し終えて攻撃したコンタがいた。

「そ・・・・そんな・・・・あたいが・・死・・ぬ?」

弾は全て急所に命中し、挑発的な性格のヴァルキリーはそのまま倒れ、命を落とした。

「き、貴様!」

姿を消していたヴァルキリーが仲間を殺され熱くなり声を上げていた。勿論、コンタ達はその声を聞き逃さなかった。コンタは声のした方へファイブセブンの銃口を向けて引き金を引いた。そして弾はステルスで隠れていたヴァルキリーに命中した。

「グアッ!し、しまった・・・・」

攻撃を受け、ステルスが解除されてクールなヴァルキリーはその場にうずくまった。

「あと一人・・・・」

コンタは静かに再び辺りを見回した。すると、コンタの後ろから最後の一人、ヴァルキリー達のリーダーが自らステルスを解除しコンタの細い首に腕を回した。

「油断したな、ここまでだ」

ユウタ達は捕まったコンタを見て武器を構えた。しかし、ヴァルキリーリーダーがナイフを握りコンタの頬にナイフは刃先を頬に突きつけた。

「動くな、動くとコイツを殺す!」
「人質とは卑怯だぞ!」

ダンがヴァルキリーを睨みながら言い放った。

「我々は勝つ為には手段を選ばん、どんな手を使っても勝利を掴む!」

ヴァルキリーがダンに言い返すと、コンタはまたブツブツ言い始めた。

「舞い上がれ、敵を捕らえて氷河に沈め!シルバーロヴィッシュ!!」

演唱を終えると、コンタの体から冷気が放出された。すると、その冷気を浴びたヴァルキリーリーダーの体はみるみる凍っていく。

「な、何だ体が・・・・凍って・・・・」

言葉を終える前にヴァルキリーリーダーの体は完全に凍り付いてしまった。コンタが少し動くとヴァルキリーリーダーの体は粉々に砕けた。

「ク・・クソォ・・・・」

コンタが自分の銃撃でうずくまったヴァルキリーの前までゆっくり歩いて立ち止まった。

「急所は外してあります」
「ふ、ふざけた真似を・・・・」
「僕達は無益な殺生は好んでいません」
「仲間を殺しておいてよく言う・・・・」
「そうですね・・・・否定はしません。ですが、僕達も死ぬわけには行かないんです。ですから生き抜くためならば、命だって奪います・・・・」

鋭い視線で自分の前に立つコンタを睨みながら言うヴァルキリー。コンタも人の命を奪った事に心を痛めているのか、悲しそうな顔で言った。二人の会話を少し離れた所で見ていたダンとアルト。

「アイツ、まだ幼いのに今まであんな思いをしてきたのか・・・・」
「俺達、少しアイツの事を誤解していたかもしれない・・・・」
「ああ、まだ子供だから辛い目に遭っていないと思っていた・・・・」

コンタへの見かたを反省したダンとアルトを隣で見ているユウタ。するとレイナが体のラインを消して銃を納めて教室を出ようとしていた。

「皆、行くぞ・・・・」
「ま、待て・・・・まだ勝負はついていないぞ・・・・」

レイナはヴァルキリーを無視して教室を出た。それについて行くように教室を出るユウタ達。

「ググッ・・・・・・」

歯を食い縛り悔しがるヴァルキリー、コンタ達は再び学園長室へ向かって走り出した。





その頃、マサシ達(αチーム)は遂に4階までたどり着いた。

「ようやく4階に着いたな」
「うん」
「さあ、早く学園長室へ参りましょう!」
「ああ!」

マサシ達は急いで学園長室へ向かった。そして学園長室へ向かう為の廊下に立ったマサシ達の後ろから声が聞こえてきた。

「ここから先へは行かせんぞ」
「ムッ!」

マサシ達は声の聞こえた方を向くと、そこには四人の忍者が立っていた。

「い、何時の間にそこに!?気配を感じませんでしたわ!」
「さすが忍者だな・・・・」
「ニンジャ?」
「忍ぶ者と書いて忍者、偵察や暗殺、そして気配を消す事を得意とする影の戦士だ」
「影の戦士・・・・」

マサシの説明を聞いて驚くフランシス。

「フフフ、我々『暁忍者隊(あかつきにんじゃたい)』がいる限りここから先へは通さんぞ」
「暁忍者隊・・・・ハヤテの直属の忍者隊か」
「その通りだ」
「チッ!まずいな、敵の精鋭部隊が来たとなると・・・・」

マサシが舌打ちをして愛刀に手を伸ばした。すると、シオンがマサシの前に立った。

「マサシ、ジゼル、ここは私達が食い止めるから、早く学園長室へ向かって!」
「だ、だけど、奴等はハヤテの直属部隊だ!お前一人じゃ・・・・」
「私だけじゃないわ、フランシスとチャンも一緒よ」

シオンはそう言ってフランシスとチャンの肩に手を置いた。

「ちょ、ちょっとお待ちください!どうして私達まで!?」
「そ、そうだ!会長が学園長室へ行くべきだろう!?」
「な、に、か!文句があるの・・・・?」

シオンがまるで神でも射殺すかのような眼で二人を睨んだ。

「い、いえ・・・・」
「ない・・・・」
「よろしい♪」

そしてシオンは二カッと笑い忍者達の方を見て大型ナイフを抜き、フランシスも腰のレイピアを、チャンも腰の騎士剣を抜いて構えた。

「・・・・わかった!行くぞジゼル!!」
「え?・・・・う、うん!」

少し戸惑いながらもジゼルはマサシと一緒に学園長室へ走って行った。ステルス・ヴァルキリーを倒したβチーム、そして暁忍者隊と対峙したαチーム。マサシとジゼルは忍者達をシオン達に任せて学園長室へ向かうのだった。


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