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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第45回   第四十四話 襲来!ステルス・ヴァルキリー

本校舎へ侵入し、順調に4階へ向かうマサシ達(αチーム)。そして裏口から侵入したコンタ達(βチーム)。果たして彼等は無事に学園長室へたどり着けるのか?

「よっこらせっと!」

シオンが投げた大量の手榴弾によって崩れてしまった階段をゆっくりと上がっているマサシ達。少しでも揺れたり、衝撃を与えたら崩れてしまうと言ってもいいくらい微妙なバランスで保たれていた。

「ジゼル、手を伸ばせ」
「う、うん」

階段を上りきり、一番上でマサシが手を伸ばす。マサシの手を取りゆっくりと上っていくジゼル。

「そのままゆっくりと上がれ」
「うん・・・・」

バランスを保ちながらゆっくり上がっていき、ジゼルは一番上にたどり着いた。

「フウ・・・・」
「大丈夫か?」
「うん、なんとかね・・・・」
「そうか」
「マサシー!早くぅ!」
「わかった、わかった」

マサシは下で騒いでいるシオンに手を伸ばした。

(・・・・・・コンタ達は大丈夫か?)

手を伸ばしながらコンタ達の事を考えていたマサシ。





その頃、コンタ達は2階の別の階段から3階へ向かおうとしていた。

「さっき向こうの方から大きな爆発音が聞こえてきたけど・・・・」
「多分マサシ達が罠を解除したんだろう」
「そうだな、こっちもここまで来るのに多くの罠を解除してきたからな・・・・」

階段の前でコンタ、ユウタ、レイナがマサシ達の事を話していた。三人の後ろではダンとアルトがコソコソ話している。

(コイツ等、どう思う?)
(そうだな、ここまで軽々と罠を見つけて解除してきたからな、もしかしたら、奴等(ゼルキアス)の仲間かもしれない)
(ああ、もう少し警戒しておこう)

二人がコソコソ話していると、コンタが近づいてきた。

「どうしたんですか?」
「いや、なんでもない・・・・」
「そうですか?」

コンタはそう言って階段の前へ歩いて行った。そして階段の前に罠を探しているレイナにコンタは声をかけた。

「どう?」
「C4が2つ、階段の一番上と真ん中の端にセットされている・・・・」
「どうやって解除する?」
「こうするんだ・・・・」

レイナは静かにSAAを抜いてC4を狙った。そしてゆっくりと引き金を引いた。銃口から吐き出された弾丸はC4に命中、C4は爆発し、その衝撃でもう一つのC4も爆発した。

「これで通れるな」
「ああ・・・・」
「先を急ごう、早くマサシ達と合流しないと!」
「ああ」

コンタ達は罠を解除した階段を上っていった。そして階段を上がり、3階の廊下へ出た瞬間、先頭のコンタが何かを感じ取り、後ろへ跳んだ。その直後、コンタがさっきまで立っていた所に無数の小さな穴が生まれた、銃創だ。

「コンタ!どうした?」
「敵だよ・・・・」
「敵!?」

コンタの口から敵という言葉を聞き驚くダン。コンタはファイブセブン抜き、廊下へ出るのと同時に銃を構えた。しかし、銃撃のあった方には誰もいない。コンタは驚きの目をして辺りを見回した。

「・・・・誰もいない」
「なんだって?」

コンタの言葉を聞いてユウタも廊下へ出たが、彼の言うとおり、何処には誰もいなかった。

「どういうことだ?一体何処から銃撃が?」
「・・・・・・」

レイナも廊下に出て辺りを見回した。

「どうだ、敵はいたか?」

ダンが恐る恐る廊下に出てユウタに尋ねた。

「いや、いない・・・・」

ユウタが警しながら辺りを見回している。そんな時、アルトがダンに再び小声で話しかけた。

(おいダン、もしかして、コイツ等、ゼルキアスの仲間じゃないのかもしれないぞ?)
(どうしてそう思うんだ?)
(本当に仲間だったら、廊下に出た奴等に攻撃されるわけ無いだろ?)
(敵と間違えたって攻撃されたって事も考えられるんじゃないか?)
(だとしても、確認はするだろう?)
(まだ分からない、もう少し様子を見よう)
(あ、ああ・・・・)

ほんの少しコンタ達の事を信用しかけているアルトと、まだ疑っているダン、彼等の心にも少しだけ変化が出てきた。小声で話している二人を見ながら周りを警戒するコンタ、彼も少しだけ自分達が彼等にどう思われているのか気になっているのだろう。

「・・・・・・」

レイナは自分達以外に誰いない廊下を黙ったまま警戒している。

「・・・・・・五人だ」
「五人?」
「ああ、近くに居る・・・」
「だが、誰もいないぞ?」

ダンが周りを見て誰もいないことをレイナに伝えた。

「・・・・ステルス・ヴァルキリーだ」
「「なっ!?」」

レイナに口から出た言葉を聞き声を出してしまったユウタとコンタ。ダンとアルトは分からず、お互いの顔を見ている。

「何なのだ、そのステルス・ヴァルキリーとは?」

アルトはコンタに尋ねた。

「ステルス・ヴァルキリー、敵の精鋭部隊の一つです。姿を消して、敵に気付かれないように奇襲を掛ける事を得意とする隠密部隊ですよ」
「姿を消す?」
「ハイ・・・・」
「どういう事だ?分かりやすく説明してくれ」

アルトがコンタにもっと分かりやすく説明するよう頼んでいると、レイナがSAAを構えて言った。

「こう言う事だ・・・・」

そう言った瞬間、引き金を引いた。すると、弾はなにも無いはずの廊下で何かに命中。その命中した所でバチバチと音を立てて電気が発生、その電気が発生した所から、まるで水で汚れを落とすかの様にみるみる周りの風景と消えていき、そこから人間が姿を現した。タクティカルスーツを着た若い女だ、年はユウタやレイナに近く、胸にサバイバルナイフ、腰には拳銃が納められていた。

「な、何だ!?」
「さっきまで誰もいなかった所から突然人間が現れたぞ!?」
「コレがステルス・ヴァルキリー部隊だ・・・・」

レイナが再び静かに敵部隊の名を口にした。すると、レイナの攻撃で姿を見せたヴァルキリーの隊員が喋った。

「流石だなレイナ・スズキ、こんなアッサリ見つかっちまうなんて」

すると、その近くから新たなヴァルキリーが四人姿を現した。

「大丈夫?」
「ああ、かすっただけだよ」
「レイナ・スズキ、リーズ准将が気になさるのも当然か・・・・」
「プップ〜♪でも所詮はあたい達と同じガキでしょ?余裕よ、余裕♪」
「油断はするな」

さっきの男勝りなヴァルキリーに、仲間を気遣うヴァルキリー、レイナのように静かな声で喋るヴァルキリー、ユウタ達を見下して笑うヴァルキリー、注意しながら煙草を吸い始めたヴァルキリーと色々な性格のヴァルキリーがいた。

「お喋りな奴等だな」
「ホント、隠密部隊として、それはどうかと思いますよ?」

レイナの後ろで挑発するように言うユウタとコンタ。

「うるせぇな!男とガキは引っ込んでろよ!」
「さっき自分達の事をガキだって言ってたじゃないですか」
「うっ!」

コンタに痛い所を付かれ一歩下がるヴァルキリー。

「挑発にのるなと言っているだろう」
「ワ、ワリィ・・・・」
「それよりも、我々ステルス・ヴァルキリーはリーズ准将の命でお前達を始末しに来た」

煙草を吸っていたヴァルキリーが前に出た。どうやら彼女がリーダーの様だ。

「・・・・リーズ」

レイナがゆっくりとリーズの名を口にすると、他のヴァルキリー達も一歩前に出て口を開いた。

「あなたとリーズ准将にどんな因縁があるかは分かりません、ですが命令である以上、あなた達を抹殺します」
「て言うか、アンタ、最初っからリーズ准将に相手にされてなかったんじゃないの〜?」
「・・・・・・」

今度は挑戦的なヴァルキリーがレイナを挑発するように言ってきた。レイナはただ黙って目を瞑っていた。

「何黙ってんだよ?言い返すこともできねぇか?」
「フゥー、では・・・・・・始めるぞ」

煙を吐き、リーダーが吸いかけの煙草を捨てると、ヴァルキリー達は再び姿を消した。その直後、レイナは目を開け、振り返り走り出した。ユウタ達はそれを見て慌てて彼女を追いかける。

「お、おい!どうしたんだよレイナ!?」
「狭い廊下ではこっちが不利だ、何処かの教室に入ってそこで奴等と戦うぞ・・・・」

ユウタに冷静のまま自分の考えを伝え、一つの教室に入ったレイナ。ユウタ達もその後に続き教室に入った。

「ここは・・・・」

最後に入ったコンタがドアを閉め、ゆっくりと教室の真ん中へ歩いた。その教室には机も椅子も無い部屋だった。

「ここは使われていない空きの教室だ、ここなら十分戦える」
「でも、姿の見えない奴等とどうやって戦うんだ?」

アルトがユウタ達にヴァルキリー達への対処法を聞くと、窓際に立っていたレイナが振り返った。

「来たぞ・・・・」
「「「「!」」」」

レイナの言葉を聞き、教室の真ん中にいたユウタ達は慌てて振り返ると、教室の前後のドアが勝手に開いたのだ、姿を消したヴァルキリー達が入ってきたのだろう、五人はとっさに自分達の武器を手にした。姿の見えない敵と、どの様にして戦うのだろうか?そしてレイナとリーズの因縁とは!?


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