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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第44回   第四十三話 学園長室へ!!

「よし、作戦をお浚いするぞ」

本校舎へ続く門から少し離れたところでマサシは神竜隊と生徒会メンバーを集めて作戦会議を始めた。

「まず、俺達神竜隊が門の前にいる警備兵をたたく!その後は2つのチームに分かれる、俺とジゼル、シオン、そしてフランシス会長とチャンのαチームが正面から突っ込む。コンタ、レイナ、ユウタ、そして、ダン、アルトのβチームは裏から侵入する、分かったな?」
「うん、分かった!」

マサシの作戦を聞きジゼルが返事をする。

「よし、行くぞ!」

マサシの合図で神竜隊が門に向かって走って行った。

「な!正面から突っ込むなんて、アイツ等馬鹿か!?」

ダンが正面突破をするマサシ達を見て、驚くのと同時に呆れたような言い方をした。

「ん、なんだアイツ等は?」
「どうした?」

門を警備しているゼルキアスの兵士達が自分達に向かって走ってくるマサシ達を見つけた。

「止まれ!何だお前達は!」

ゼルキアス兵の言葉も聞かずにマサシ達はどんどん距離を詰めて行く。そしてマサシは黒龍刀と白龍刀を抜き、一番近くに立っているゼルキアス兵に走っていく。ゼルキアス兵は慌てて剣を抜こうとしたが、マサシのほうが早かった、ゼルキアス兵の顔の高さまでにジャンプし、顔に膝蹴りが命中し、ゼルキアス兵の一人が倒れ、そのまま気を失った。それを見た他のゼルキアス兵が剣を抜き、マサシに向かって剣を振り下ろした。マサシは二本の刀で振り下ろしを止めた。

「マサシ!」

コンタがファイブセブンでマサシと戦っている兵士の足を撃った。

「グワアッ!!」

兵士は痛みのあまりに剣を落とし、その場に倒れた。

「助かったぜ、コンタ!」
「どういたしまして」

礼を言ったマサシは別の敵の方を見て刀を構えた。コンタも敵の方を向き銃を構えなおす。ユウタとも愛用のチャクラムで次々に敵を倒していく。

「ハッ!タアッ!」
「グハッ!!」

ユウタがチャクラムを指で回し、敵の向かって投げた。ゼルキアス兵はチャクラムをかわす事ができずにチャクラムの刃の餌食になっていく。

「な、何なんだ、奴の使っている武器は!?」
「あの輪の様なもの事態がナイフになってるんじゃないのか!?」

チャクラムを見たの事が無いゼルキアスの兵士達は驚きながら剣を構えたままジッとしていた。すると、後ろのほうから声が聞こえてきた。

「アレはチャクラムって言うのよ」
「「!?」」

ゼルキアス兵が驚いて振り返ると、そこにはシオンが大型ナイフを握り立っていた。シオンは愛用の大型ナイフでゼルキアス兵を二人を斬りつけた。二人の兵士は何も出来ずに動かなくなった。そしてレイナも2丁のSAAを撃ち続け、ゼルキアス兵を次々に倒していく。戦いを始めてから約10分で十五人いたゼルキアス兵は倒された。

「す、すごい・・・・」
「たった五人で十五人の兵士を全員倒してしまうなんて・・・・」

フランシスと生徒会メンバーを驚きを隠せないでいた。

「あたしもはじめてマサシを見たときは驚いたわ、でも彼等と生活しているうちに、彼等はとても強いって事が分かったの。力も、心も」

ジゼルがフランシス達と一緒にマサシ達の戦いを見て、自分がはじめて見た時の事を振り返った。するとマサシが隠れているジゼル達に合図をし安全な事を伝える。ジゼル達が門に近づいく。

「敵は全部倒したの?」
「ああ、後は校舎に侵入して学園長室へ向かって敵の司令官を捕まえるだけだ」
「うん・・・・」

皆が本校舎へ向かって走っていく中、ジゼルが立ち止まった。敵の司令官、つまりネリネを、自分の姉と対峙する事を思い出し、ジゼルが少し暗くなった。立ち止まったジゼルを見てマサシがゆっくりジゼルの下へ歩いていく。

「ジゼル・・・・」
「ゴメンね、これから大事な作戦なのに」
「いいよ、仕方ないさ」

マサシはそう言ってジゼルの頭にポンと手を置く。

「マサシ、あたし、やっぱり・・・・」
「姉さんと会う事に抵抗があるか?」

ジゼルの言葉を引き継ぐように言った。それを聞いたジゼルが小さく頷く。

「長いこと生き別れになっていた姉妹がようやく再会するのに、その二人が敵対する立場にあるんだ、無理も無いさ」
「うん・・・・」
「ジゼル・・・・」

なにも言えないマサシはただゆっくりジゼルを抱き寄せる事しかできなかった。

(俺はなにも出来ないのか?ただこうやって彼女の側にいることしかできないのか?・・・・・・)
「・・・・・・」

自分の胸の中で目を瞑っているジゼルを見るマサシ。

(・・・・・・俺は無力だ)

マサシは心の中で無力な自分を憎んだ。すると、マサシの後ろから声が聞こえてきた。

「二人とも〜!早く!敵の増援が来ちゃうよ!」

コンガが少し離れたところで手を振ってマサシとジゼルを呼んでいる。

「行こう・・・・」
「うん・・・・」

離れた二人は本校舎の方を向いた。すると突然ジゼルがマサシを名を呼んだ。

「マサシ」
「ん?なんだ」
「・・・・・・ありがとう」
「へ?」

突然礼を言われ、理解できずに頭に?マークを浮かべるマサシ。

「マサシのおかげで少し落ち着いたよ」
「え?そ、そうなのか?」
「うん!さあ、行こう、皆が待ってるよ!」

ジゼルはニコッと笑いコンタ達の方へ走って行った。マサシは理解できずにキョトンとしていた。校舎の入口の着いたマサシ達は輪を作って作戦の確認をした。

「よし、もう一度作戦を言うぞ、俺達(αチーム)はこのまま入口から正面突破だ。コンタ達(βチーム)は裏口から侵入しろ。いいな?」
「分かった、気を付けてね?」
「ああ」
「会長、お気をつけて」
「大丈夫ですわ、あなた達も気をつけてください」
「「ハイ!」」

力強く返事をするダンとアルト。

「お前達、会長にもしもの事があったら承知しないぞ!」
「分かってるよ」

ダンに忠告されながらも普通に返事をするマサシ。作戦会議が終わり、βチームは自分達の侵入口へ向かった。

「よし、俺達も行くぞ!」

マサシ達は正面玄関から中へ侵入して行った。マサシ達は順調に進んで行った。そして2階へ行く為の階段の前に着き、立ち止まった。

「どうしましたの?早く学園長室へ行きましょう」
「慌てるな、ここまで何も起きずに進んで来たんだ、必ずどこかに罠があるはずだ。学園長室は4階、そして4階に行くには階段を使うしかない。だとしたら、必ず階段に罠を仕掛けてあるはずだ」
「そ、そんな事分かっていますわ!」

フランシスは腕を組みながら背を向けた。マサシは装甲車から持ってきたケースから赤外線ゴーグルを取り出して覗きこんだ。すると、階段の所に赤い光の線が映った。

「赤外線が張られている」
「赤外線?」

赤外線を知らないジゼルが首を傾げた。

「赤外線ってのは電磁波の一種だ。目では見る事はできないけど、この赤外線ゴーグルなら見ることができるんだ」

そう言ってマサシがゴーグルをジゼルに手渡した。ジゼルはマサシの真似をし、ゴーグルを覗き込んだ。

「うわっ!なに、あの赤い線?さっきまでは無かったのに!」

ジゼルはゴーグルを外して見る、覗いて見るを何度も繰り返した。そんな姿を後ろで見ているフランシスとチャンはコソコソと何かを話している。

(会長、アイツ等何してるんでしょう?)
(分かりませんわ、こんな所で時間を潰している訳にはいきませんのに!)

話を終え、二人はまたチラッとマサシ達の背中を見た。

「う〜ん・・・・」

階段の前で何かを考え込んでいるマサシにフランシスが少し慌てるように声をかけてきた。

「こんな所でグズグズしてないで、早く4階に行きましょう!早くしないと敵に見つかってしまいますわ!」
「ああ、それなら大丈夫だ。ここに来る前に外で思いっきり暴れてきたから、敵のほとんどはそっちに向かってるはずだ。その証拠に、ここまで一人も敵と出くわしてないだろ?」
「た、確かに・・・・」

チャンが納得して頷いた。そんな時、ゴーグルを覗いていたジゼルが何かを見つけた。

「マサシ、アレ何だろう?」
「え、どれだ?」

マサシはジゼルが指差している先を見つめると、階段の端に白い小さな四角い物が置いてあった。大きさは手の平に乗る位の大きさで、その四角い物は小さな機具とコードで繋がっている。そして四角い物には英語で何かが書かれていた。

「ッ!アレは・・・・『C4』じゃねぇか!!」
「え!?・・・・C4って、あのC4?」

マサシの口から出た「C4」という言葉を聞き驚いて聞き返すシオン。

「ああ、多分な・・・・」
「マサシ、そのC4って何?」

驚く二人を見てマサシに訪ねるジゼル。すると、マサシはゆっくりと口を開いた。

「爆弾だよ・・・・」
「「「ば、ばくだん!?」」」

ジゼルだけでなく、後ろにいたフランシスとチャンも驚いて声を上げた。

C4
世界的に多く使われている軍用のプラスチック爆弾。粘土状の固体で自由に形を変えることができ、C4が3.5kgあれば幅200mmの鉄筋の柱を破壊することができる。

マサシは再びゴーグルで階段を見て、C4が階段に三つ取り付けられていることを確認した。

「赤外線に触れた瞬間、ドカン!って訳か・・・・・・」
「どうするの?」

ジゼルが心配そうにマサシに尋ねた。

「大丈夫だ、目には目を!爆弾には爆弾をだ!こっちには爆弾のスペシャリストのシオンがいる」
[OK!爆弾なら任せて♪」

シオンはケースの中から手榴弾を取り出した。

「アレって、この前、戦車と戦った時に使った?」
「そう、手榴弾だ」

マサシとジゼルが話していると、シオンが安全ピンを抜いて手榴弾を階段の一番上に投げた。数秒後、手榴弾が爆発し、近くにあったC4もその衝撃で爆発した。

「OK、これで大丈夫よ!」
「よし、行くぞ皆!」

マサシは爆発で少しボロボロになった階段を上り2階へ向かった。その後にジゼルとシオン、フランシスとチャンが続いた。それから、赤外線ゴーグルで廊下やドア、階段を確認し、赤外線があれば手榴弾で爆破し、罠を壊しながら先へ進んで行った。そして、3階へ向かう階段の前でシオンが突然立ち止まった。

「待って!ここから先は危ないわ!」
「何!敵がいたのか!?」

マサシが少し驚いてシオンに尋ねた。ところが・・・・・・。

「ううん、私が持っていた手榴弾を全部使っちゃったから」
「ズゴッ!!」

マサシはシオンの間抜けな答えを聞き、その場でズッコケた。

「数を考えて使えよな!!」

コケたマサシは立ち上がってシオンに突っ込みを入れる。





それから数分後、何処からか農作業などで使う籠を持ってきたシオンが、その中に溢れるくらい手榴弾を入れ、それを背負って戻ってきた。

「今度は大丈夫!もう1個のケースに入っていた手榴弾をあるだけ持ってきたから!」
「お前は農作業に行くおばさんか?それに何でケースのまま持ってこないんだ?」
「アレじゃあ、もし後ろから攻撃されたら、この校舎ごと吹っ飛ぶよ・・・・・・」

籠を背負ったシオンを見て、ツッコミを入れるマサシと青い顔をするジゼル。そしてシオンは籠から手榴弾を取り出し、それを階段の一番上に目掛けて投げた。ところが、シオンが投げた手榴弾の数が多すぎたせいか、爆発が思ったより大きく、階段が崩れてしまった。

「だあああああ!馬鹿野朗!階段壊してどうすんだ?数が多すぎるぞ!」
「でも、万一に備えて、安全のためにと思って・・・・」
「それは分かるけど、一度に8個も投げるんじゃない!発破工事やってんじゃないんだぞ!?」
「ゴメ〜ン、もう少し力を抜くわ・・・・」

マサシに起こられているシオンを見て苦笑いをするジゼル。それを見て呆れたような顔をするフランシスとチャン。二人は心の中で思った「こんなのでこの先大丈夫なのか?」と。





4階の学園長室には、ハヤテとリーズ、そしてネリネがいた。

「何?さっきの音は!?」
「俺達の仕掛けた罠に誰かが掛かったようだな、或いはそれを破壊されたか・・・・」
「いずれにせよ、敵は既にこの校舎に侵入しているようだ」

慌てるネリネと違い、冷静に状況を考えているハヤテとリーズ。

「リーズ、偵察に向かわせた兵士達は?」
「外の騒ぎで混乱しているようだ、こちらに戻るには時間が掛かりそうだ・・・・」
「仕方ない、俺達の部隊を動かすしかないようだな」
「そうだな・・・・」

そう言って、座っていたハヤテとリーズが立ち上がり通信機で何処かへ連絡し始めた。遂に動き出すヘルデストロイヤーの精鋭部隊、マサシ達はどうなるのだろうか!?


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