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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第43回   第四十二話 名前をパクリった生徒会!?

「お待ちなさい!」

何処からか聞こえてきた若い女性の声。マサシ達は声の聞こえる方を見た。二階に続く階段から一人の女子生徒が下りてきた。金髪のロングヘアーにお嬢様的な雰囲気をした生徒だ。

「あなた達の事をまだ信用したわけではありません」
「な、なんだこの子は?」

突然自分達に不信を訴える女子生徒を見て少し驚くマサシ。

「これ!口を慎まんか、フランシス」

シュルツがフランシスと呼ぶ女子生徒を階段を下りてマサシ達の前にやって来た。

「誰だ彼女は?」

マサシは目の前にいる女子生徒を見てガストに尋ねる。

「彼女は学園長のお孫さんで、フランシス・ベーテル。俺達の学園の生徒会長をしているんだ」
「生徒会長?学園には無くてはならないキャラだな」
「は?」

生徒会長という言葉を聞き少し興奮するマサシを見て首を傾げるガスト。

「私はあなた達の事をまだ信用していないとおっしゃってるのです」
「フランシス、口が過ぎるぞ」
「おじい様は黙っててください!大体おじい様は他人を簡単に信用しすぎなのです!」

シュルツとフランシスの会話を見てコンタがマサシの背中から飛びつき、肩から顔を出してマサシに話しかけてきた。

「また面倒な事になっちゃったね」
「ああ、まあ仕方ないけどな・・・・」

マサシとコンタが話していると、フランシスがシュルツと会話を終え、再びマサシ達の方を向いた。

「あなた達、私達もついていきますわ」
「何だって!?」

突然の同行宣言に驚く神竜隊。

「何かまずい事でもお有りですの?」
「そうじゃない、敵には俺達の世界の装備をした連中もいるんだ、ついて行くのは危険だ」
「それは、私達の力では彼等に勝てないと仰りたいのですか?」
「違う、危ないと言ってるんだ」
「危険は覚悟のうえですわ、それに危険なのはあなた達も同じのはず」
「・・・・・・」

フランシスの最もな事にしばらく黙るマサシ。すると・・・・。

「分かった」
「マサシ!本当に連れて行くの」

連れて行く事にしたマサシに驚きながら聞き返すジゼル。

「ああ、どの道俺達はこの街の事を何も知らない、知っている人を連れて行くほうがいいだろう」
「そうだな、連れて行こう」

マサシの考えにユウタが賛成すると、後ろにいたシオン達も頷いた。

「それでは、私とあと三人連れて行きましょう」
「誰を連れて行くの?」

ジゼルがフランシスに尋ねるとフランシスが手をパンパンと叩いた。すると彼女が下りてきた階段から三人の男子生徒が下りてきた。

「誰だ?」
「生徒会のメンバーだよ。全員が会長の親衛隊なんだよ」
(親衛隊・・・・・・ああ、ファンみたいなもんか)

心の中でマサシは呟いた。

「紹介しますわ、彼は我がコルヘルス学園生徒会副会長、『気撃王』ですわ」
「気撃王?」
「気功と剣を操って戦闘試験でも凄い成績を出してるんだ、それで付いたのが気撃王ってわけだ」
「なるほど・・・・」

ガストの説明に納得するマサシの前にその気撃王が歩いてきた。見た目は水色の短髪に学生服、腰には一本の騎士剣が納めてあった。

「お前等か、このコルヘルスを解放するとか言う連中は?俺は生徒会副会長、『気撃王 チャン・プリン』だ!」
「チャップリン?」

マサシが副会長の名前を聞き返す。

「違う、チャン・プリンだ!」
「チャプリンは『喜劇王』だよ」
「あ、そっか!」

肩から顔を出したコンタに言われ間違いに気付くマサシは手を叩いて思い出したような顔をする。

「ねえマサシ、そのチャップリンってなんなの?」
「ん?ああ、チャップリンは・・・・」

チャップリンの事を知らないジゼルがマサシに尋ね、マサシが説明しようとすると。

「コラッ!なに訳の分からない事を話してるんだ!人を馬鹿にしてるのか?」
「お止めなさいチャン、生徒会の人間ならもっと冷静になりなさい」
「す、すみません会長・・・・」
「次は生徒会風紀委員の『防剣王』ですわ」

今度は黄緑の髪をした男子生徒がチャンの隣に立った。背中には大きな剣を背負っている。

「今度は誰だ?」
「風紀委員の防剣王だよ、彼が持っているのは『ディフェンダー』って言う防御と攻撃の両方に使える武器なんだ。彼の使うディフェンダーから付いたのが防剣王なんだ」
「へえ〜、そうなんだ」

マサシの隣で説明を理解したジゼル。

「俺は生徒会風紀委員、『防剣王 ダン・キーチ』!」
「ああ、そう言えば、そういう名前の漫画が昔あったような・・・・」
「『冒険ダン吉』?」
「そうそう!思い出した!」

またしても話が脱線し、生徒会のメンバーをほったらかしにしているマサシとコンタ。それを見ていた生徒会のメンバーにもイライラが見えてきた。

「コ、コイツ等〜!!」
「俺達をナメやがって〜!!」
「お止めなさい!」
「し、しかし会長・・・・」
「冷静さを失ってはなりません、彼等はきっと私達を試しているのです。でしたら私達の実力がどれ程の物か見せ付けてやりましょう」
「「「ハ、ハイ!!」

勝手に試されていると思い込んでいる生徒会のメンバー。最後にオレンジ色の髪をした男子生徒が前に出た。

「コイツは何だ?」
「彼は生徒会の会計を務めている『鉄腕王』だ」
「鉄腕王!?」
「ああ、ガントレットを使って攻撃するのが得意で、頭の回転も早いんだ。攻撃するとレンガの壁をも粉々にする事から、鉄の腕を持つ男、鉄腕王と言われるようになったんだ」
「あっそう・・・・」

マサシは最後に力の無い声でそう言った。

「フハハハ、では改めて紹介をさせてもらうぞ。俺の名は・・」
「いいよ、言わなくて・・・・」
「なんだと!貴様、人が名前を言おうとしているのに何だその態度は!」
「大体想像は付いてるからいい・・・・」

マサシは力の無い声のまま首を横に振っている。

(『鉄腕』って言葉が出てきた時点で名前は大体分かるんだよ・・・・)

マサシは心の中で呟いていると、鉄腕王が勝手に自己紹介を始めた。

「とにかく聞け!俺の名は『鉄腕王 アルト・ムー』だ!」
「やっぱり・・・・」
「最後は『鉄腕アトム』だったね・・・・」

コンタも想像がついていたのか、彼の声にも少し力が無かった。

「はぁ、これでついて行く奴等は全員か?」
「ええ、私とここに居る生徒会の三人です」
「よし、それじゃあ、簡単に作戦を説明するぞ・・・・」





数十分後、ユウタ、シオン、チャンの三人がイヴルの門の近くに隠してあったライトシンフォニアの装甲車にやって来た。

「よし、ここまで敵には気付かれなかったな」
「うん、でもここに来るまでの間、街中が騒がしかったわよ」
「やっぱり、奴等は俺達に気付いていたか」
「そうみたいね、さすがハヤテとリーズだわ」

ユウタとシオンが敵に感心していると二人の後ろを付いてきたチャンが声をかけてきた。

「おい、何話してるんだ?さっさとやる事をやって会長達と合流するぞ!」
「うるさいわね、分かってるわよ。ユウタ、早くドアを開けて」
「ハイハイ・・・・」

ユウタは機嫌の悪そうなシオンに返事をして後部のドアを開けた。そして中から軍用の大型ケースを三つ取り出して二人に渡した。

「とっとと、やけに重たいな、何が入ってるんだよコレ?」
「武器とか色々な物よ」
「よし、急いで戻るぞ!」

ケースを全て取り出したユウタ達は急いで来た道を戻りマサシ達を居るところへ向かった。





女子寮から70m程離れた所にある本校舎と女子エリアを分ける大きな門の前にマサシ達はいた。大きな門の近くをゼルキアスの兵士達がウロウロしており、そこから10m離れた所にマサシ達は隠れていた。

「やっぱり警戒厳重だな」
「そうだね」

マサシとジゼルが物陰から少し顔を出して門を見ている。

「ここは毎日15人程の人数で警備していますの、私達もここまで近付いて事はありませんわ」
「う〜ん・・・・」

再び物陰に隠れ腕を組みながら考え込むマサシ。すると、彼等が来た道のほうから声が聞こえてきた。

「マサシ、皆、待たせたな」
「ユウタ、どうだった?」
「ああ、装甲車は見つかっていなかった。武器や弾薬は無事だったよ」
「よし、これならなんとかなるだろう!皆、寮で説明したとおりに動いてくれ!」
「分かったわ!」
「まっかせて!」
「派手にやってやろうぜ!」
「腕が鳴るわ!」
「さっさと終わらせよう・・・・」

マサシの声に続いて、ジゼル、コンタ、ユウタ、シオン、レイナが気合を入れ返事をした。その後ろでは生徒会のメンバーが黙って見ていた。

「お〜い、生徒会長さん、返事は?」
「・・・・分かりましたわ」
「よし、作戦開始!!」

遂に始まったコルヘルスの解放作戦。しかし、彼等はまだ知らなかった、ハヤテとリーズの二人の直属部隊までもがこのコルヘルスに来ているということを・・・・・・。


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