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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第42回   第四十一話 合流

警備を片付けてコルヘルスに入ることが出来たマサシ達。しかし、敵のも自分達の潜入がバレてしまった。

「この先に女子寮があるんだ・・・・」
「よし、急ごう!」

ガストに案内されて拠点である女子寮へ向かうマサシ達。そんな時、コンタがイヴルの門の方を振り返って言った。

「でも、よかったね、女装する必要が無くなって」
「・・・・・・だな」

コンタの話を聞きマサシが力の無い声で返事をする。女装する事を覚悟していた神竜隊の男子三人。しかし、門に居たのが街を制圧した敵兵だった為、力尽くで通る事ができたので、女装することが無くなりホッと一息ついた。

「ちょっと残念だったなぁ、三人の女装姿が見れなくて♪」
「なんだって?」

シオンの残念そうな声が聞こえ、振り返ってシオンを睨むユウタ

「冗談よ、冗談♪」
「お前が言うと時々冗談に聞こえないんだよ・・・・」
「そうですよ・・・・」

ユウタとコンタが力が抜けていく様に言うと、ハリュスが話に加わってきた。

「アンタ達、何の話をしているんだ?」
「なんでもないです・・・・」

ハリュスが尋ねるとコンタが力の抜けた声のまま言った。コンタは遠まわしに「聞かないで」と言ったのだろう。

後ろでコンタ達の会話を聞いて、マサシも小さく溜め息をつく。その隣でジゼルがニヤニヤしながらマサシの横顔を見ていた。

「どしたの、そんなにニヤニヤして?」
「ううん、見てみたかったな〜って思ったの、マサシの女装姿」
「お前もかよ、勘弁してくれよ、もぉ〜」
「アハッ、ごめんね♪」

ジゼルもシオンと同じ事を考えていたため、マサシの声からも力が抜けていった。

「・・・・・・楽しそうだな」

マサシ達の会話を聞いてガストが目を細くして言った。

「楽しくねぇよ・・・・」
「まったく・・・・・・見えたぞ、アレだ」

ガストが指差した先に赤い屋根の建物が見えた。ドアや窓が沢山あり、階段で各階にいけるようになっている。

「皆は一階の食堂に集まってるんだ、急いで行こう」
「分かった・・・・・・おい、何時までやってるんだ?行くぞ」

後ろでまだ言い合いをしているコンタ達は置いていかれてる事に気付き、慌ててマサシ達の後を追った。

「敵に見つからないように寮に行けるの?」
「大丈夫だ、女子寮の辺りは俺達の抵抗の拠点があるからゼルキアスの連中も迂闊に近寄れないんだ」
「じゃあこの辺りは安全なんだな?」
「ああ、だから隠れて進む事は無いんだ」
「なるほど、道理でここまで来て敵の気配を感じなかったわけだ」

ガストの説明を聞いて納得したマサシとジゼル。話しながら歩いていき、ようやく寮の一回にある食堂についたマサシ達。食堂のドアの前に立ちノックをするガスト。するとドアの向こうから若い男の声が聞こえてきた。

「合言葉、剣士は?」
「剣」
「弓兵は?」
「弓」
「狂戦士は?」
「斧」

合言葉のやりとりをガストの後ろで聞いているマサシ達。合言葉が終わり、ドアが開くとガストと同じ年くらいの男子生徒が顔を出した。

「おま、ガスト!?」
「よう」
「どうしてここに居るんだ?街から出て助けを呼びに行ったはずじゃ・・・・」
「ああ、ちょっと訳があって戻ってきたんだ・・・・」
「どんな訳だよ?と言うか、後ろの連中は何なんだ?」

男子生徒がガストの後ろに居るマサシ達の気付いて尋ねる。

「その事なら中で話すよ・・・・」

そう言ってガストはマサシ達を連れて寮の食堂へ入って行った。中にはガスト、ハリュス、ネリーと同じ制服を着た男女、そして年配の教師や子連れの親など沢山の人がいた。みんな戸惑いや敵なのかを疑うような視線で見ていた。

「ガスト!」

奥から髭を生やし、茶色い短髪をした男が歩いてきた。服装からして学園の教官だろう。

「バルク教官!」

ガストがその教官らしき男をバルクと呼んでいる。

「どうして戻ってきたんだ?」
「実は彼らがユピローズ王国からコルヘルスを解放する為にやって来た傭兵なんです」
「彼らが?」
「ハイ」

バルクはマサシ達を見てガストを手招きし、奥に連れて行き、小声で何かを話し始めた。

(本当なのか?たったアレだけの人数で、しかもあの格好、街を制圧して来た奴等と似ているぞ、信用できるのか?)
(俺達も最初は信じられませんでしたが、アイツ等の強さや考え方を見ているうちに信用してみようって思ってきたんです。勿論、俺達も完全に信用したわけではありません、用心はしています」
(・・・・そうだな、確かに用心は必要だ)

奥でコソコソ話しているガストとバルクを見ていたマサシ達もコソコソ話し始めた。

(なあ、やっぱり俺達、信用されてねえのか?)
(仕方ないさ、この街を制圧した奴等と同じ作りの服や装備をしているんだから・・・・)

マサシと小声で話しながらユウタが自分の服と武器を見て言った。

「何コソコソ話してるの?」

小声で話しているマサシとユウタを見てネリーが尋ねる。

「何でもない、ところでこれからどうするか作戦を立てたいんだけど・・・・」
「うん、早くこの街からヘルデストロイヤーを追い出さないと」
「そうですな、始めましょう」

マサシとジゼルが作戦会議を始めるように頼みだした時、奥から声が聞こえ、老人が歩いてきた。長い白髭を生やし、白髪の長髪に眼鏡をかけた男だ。

「あなたは?」
「学園長!」

マサシが老人の名を尋ねた時、バルクが老人を学園長と呼んだ。

「学園長?」
「ハイ、私はコルヘルス武術学園長、シュルツ・ベーテルです」
「どうも、俺はユピローズ王国から派遣された特殊部隊、神竜隊隊長の秋円マサシです」

マサシとシュルツは軽く握手をした。すると、バルクがシュルツに話しかけてきた。

「学園長、お待ちください。彼等がまだ我々の味方かどうかも分からないのに、いきなり作戦会議など・・・・」
「バルク教官、失礼ですぞ!彼等の前で・・・・」
「し、失礼しました」
「それに彼等の目を見れば私には分かる、彼等は人を人を騙すような人ではありません」
「ハ、ハイ・・・・」
「マサシ殿、無礼をお許しください」
「いいえ、仕方が無い事ですよ・・・・私達はこの街の制圧した奴等と同じ世界から来たのですから」

シュルツがバルクの代わりに謝罪をし、マサシも小さく首を横に振る。

「同じ世界とはどういうことですか?」
「ハイ、俺達は・・・・・・」





「なるほど・・・・」

食堂の大きなテーブルを囲むように座り、シュルツはマサシ達が、ヘルデストロイヤーが違う世界の住人である事を聞かされて目を瞑った。

「つまり、あなた方はゼルキアスを乗っ取ったヘルデストロイヤーと言う組織を倒す為にこの世界に来たのですね?」
「ええ・・・・」
「・・・・・・」

マサシから話を聞かされてシュルツは再び目を瞑り考え出した。

「とりあえず、まずはこのコルヘルスを解放する事を考えましょう」
「そうですな、ではまず現状を簡単に説明しましょう。まず、敵の拠点ですが、我が学園の本校舎となっています。女子寮の辺りには近づいて来ませんが本校舎、男子寮の周辺には数え切れないほどの敵が居ます。潜入を試しましたが、近付く事すらできませんでした」
「そうですか・・・・・ところで、敵の司令官は誰だか分かりますか?」
「確か、ネリネという女性でした」
「「「!!」」」

ネリネの名前を聞き、神竜隊のメンバーは一斉に驚いた。

「どうかしましたか?」
「い、いえ・・・・何でもないです」
「そうですか」
「ハイ・・・・・・ちょっと失礼します」

マサシは神竜隊のメンバーを手招きし、輪を作るように集まった。

(聞いたか!?)
(うん・・・・)
(確かネリネって、ジゼルのお姉さんの名前じゃなかたっけ?)
(ああ、確かヘルデストロイヤーに人質を取られて言いなりになってたんだよな?)
(でも、まさか敵の司令官がジゼルのお姉さんだったなんてね)
(どうするつもりだ?向こうにはハヤテとリーズも居るのだぞ・・・・)

マサシ達は集まったまま小声で話している。

「どうなさったのですか?」
「いえ、今後の事でちょっと話を・・・・・・」
「それで、どうするんだ?」

ガストがマサシに今後どうするかを聞くとマサシが作戦を説明し始めた。

「俺達が奴等の気を引きながら敵の司令官を叩きます、そしてこの街から追い出します。皆さんはここの残ってこの拠点を死守してください」
「お待ちください、本気ですか?たった六人で敵の拠点に飛び込むなんて無謀すぎますぞ!」
「大丈夫です、奴等の扱いには慣れています」
「しかし・・・・」

シュルツとバルクはお互いを見合うとガストが口を開けた。

「学園長、彼らに任せましょう」
「ガスト?」
「俺達はコイツ等の戦いを見て思ったんです、コイツ等なら街を解放してくれるかもしれないって」
「俺もです」
「私もそう思います」

最初は疑っていたガスト、ハリュス、ネリーが突然彼等を信じると言い出し驚く一同。そしてシュルツが小さく笑って言った。

「そうか、では彼等に任せてみよう、皆もそれでよろしいですかな?」

シュルツが周りの生徒や教官に聞くと、最初は小声で話し合っていた一同も次第に話がまとまり、全員マサシ達を信じる事を選んだようだ。

「マサシ殿、ここに居る者、全てがあなた方に全てを託す事を選びました」
「ありがとうございます、それではこれから・・・・」
「お待ちなさい!」

何処からか若い女の声が聞こえてきた。学園の人達と合流し、街の解放作戦始めようとした直後、またしても問題発生か!?


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