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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第4回   第三話 異世界での初仕事

騒ぎから逃げ出してきた3人は傭兵達が集まる酒場にいた。そこには普通の客だけではなく、筋肉質な傭兵や、背の高い傭兵など色々な傭兵がいた。

「ここで傭兵達は依頼を受けてるんだよな?」
「そう、ここで契約を交わして依頼を遂行して報告したら報酬が貰えるの」
「確かアンタが受けた依頼の報酬は200ロドルだったわよね」
「200ロドル?ロドルってこっちの世界の金なのか?」
「ええ」
「ちなみに、200ロドルだと何が買えるんだ?」
「そうね・・・・馬一頭ってところかしら」
(馬一頭?・・・てことは少なくとも200万位の価値はあるのか?)

マサシが考えているとジゼルはカウンターに行き依頼完遂の報告をしていた。店員から小さな袋を二つを受け取ったジゼルが戻ってきた。

「どうだった?」
「うん、ちゃんと200ロドルもらったわ」
「そう、ところで、依頼を完遂できたのは彼のおかげなんでしょ?半分くらい彼にあげたら」
「そ、そうね・・・・マサシ、これ」

そう言ってジゼルはマサシに半分の100ロドルを差し出した。ジゼルが渡した袋の中にはコインの形をした金貨が入っていた。

「あ、いいよ。俺、こっちの世界の事まだ良く知らねえし」
「そう言わないで受け取って、でないと少し惨めになるから・・・」

ジゼルは借りを返さないと気がすまないタイプらしい。

「じゃ、じゃあ貰っておくよ」

マサシは渋々金を受け取った。報酬を受け取った後、3人は空いている席に座り、マサシが何者なのか、この世界の現状について話していた。

「つまり、マサシはこのラビリアンとは違う世界から来たってことなの?」
「うん、あたしも最初は信じられなかったけど、短機関銃だったっけ?あんな物見たら信じるしかないもん。シンディだってそう思ってるでしょ?」
「そりゃあ、まあね・・・」
「それじゃあ、今度はこっちの世界の事を確認するぞ?」
「うん、いいよ」
「ここはラビリアンという世界で、このユピローズ王国ではモンスターが大量発生している。町なんかを襲っては人々に迷惑をかけていて、それをなんとかするのが傭兵の仕事って事なんだな?」
「ええ、まあ仕事はモンスター退治だけじゃなくて、物運びとか護衛なんかも仕事に入っているの」
「それで、各依頼には危険度があってね、低い順に1から5ってなっているの。数字が高ければ高いほど危険が大きいって事なんだ」
「なるほど・・・」

マサシがジゼルとシンディの話を聞いていると、カウンターの方で声が聞こえてきた。

「おい、何時になったら傭兵は来るんだ?」
「そうは言いましても、この危険度でこの金額ではなかなか依頼を受ける傭兵は現れないんですよ」
「なんだろう?」

3人は席を立ち、カウンターの方へ歩いて行った。そこでは女性店員と髭を生やした中年の男が言い合っていた。

「早くしないと村が全滅しちまうんだぞ!」
「村長、ですからもう少し金額を上げていただかないと・・・・」
「おい、どうかしたのか?」

マサシは村長と呼ばれている男に話しかけた。

「ん、アンタ傭兵かい?」

マサシはラビリアンの人間ではないが、一応職業は傭兵なので。

「ああ、一応・・・」

とマサシは答えた。

「そうか!実は今、うちの依頼を受けてくれる傭兵を探していたんだ。でもなかなか受けてくれる奴がいなくて困っていたんだよ」

「その依頼って何なの?」
「ああ、実はソルック村の近くに凶暴な魔物が現れてな。村を荒らしているんだよ」
「ソルック村って言ったらこの町のすぐ近くにある小さな村よね?」
「ああ、私はその村の村長を務めていてな、その魔物を退治してもらおうとこうしてサンドリアまでやって来たんだが、依頼してから5日も経っているのにちっとも傭兵が来ないんだ」
「ですから、この危険度で依頼を受ける傭兵はいませんよ」
「それを何とかするのがアンタ達の仕事だろうが!」

村長が店員と言い争いを始めた。周りの客や傭兵が皆見ている。

「落ち着いて。それで、その暴れている魔物っていったいどんな奴なの?」
「それが・・・・ユニフォリアなの」
「ユニフォリアってあの凶暴な飛竜の?」
「ユニフォリアが相手だと危険度は4はあるわよ」
「ええ、確かに危険度は4よ。だからなかなか受ける人が出てこないの」
「そんなに凶暴な奴なのか?」
「ええ、頭に一本角が生えていてその角から電撃を出して攻撃してくるの。一流の傭兵でもかなり手こずる位なの・・・」
「へぇ〜・・・・」
「へぇ〜って・・・あなた、驚かないの?」
「だって、俺そのユニフォリアって魔物見た事ないし・・・・」
「あたしだって見た事ないわよ。あ、そっか・・・あなたはこっちの世界の人間じゃないから噂も知らないかぁ」

ジゼルはマサシが別の世界から来たことを思い出した。

「それで、報酬はいくらなの?」
「それが、700ロドルなのよ」
「な、700?いくらなんでも少なすぎない?」
「仕方がないだろう。ユニフォリアに町を荒らされて村の修復にほとんど使ってしまったんだ。これが限界なんだよ」
「・・・・・」

マサシは黙って村長の話を聞いていた。

「只でさえ危険度が高いのに報酬が700じゃ誰も受けないわよ」
「私もそう何度も言ってるのよ」
「じゃあアンタ達は私達を見捨てるって言うのか!?」

村長が店員と再び言い争いを始めると、黙っていたマサシが口を開いた。

「・・・・・分かった。その依頼、俺が受けよう」
「え?」
「ほ、本気なの!?」
「ああ、本気だ。やってやろうじゃねぇか」
「ほ、本当か?」
「ああ」
「ちょっとアンタ。ユニフォリアがどれだけ凶暴だと思ってるの?しかも報酬はたったの700ロドルなのよ!」
「俺の組織では依頼者の都合に合わせて仕事をするんだ。報酬だの危険度だの、そんな事は関係ない。困っている人を見捨てる。俺達はそんな事絶対にしない!」
「・・・・・」

マサシの真剣な表情にジゼルは少し驚きを見せた。

「それじゃあ、早速その村に案内してくれ」
「わかった。着いて来てくれ」

マサシは村長ともに酒場を出ようとした、すると。

「待って。あたしも行くわ」
「ジゼル?」
「ジ、ジゼル、アンタも行く気なの!?」
「うん。マサシならユニフォリアを倒せるような気がするの」
「で、でも・・・・」
「シンディ。あなたも見たでしょう。マサシの使う武器の凄さ。あれがあれば倒せるかも知れないじゃない」
「・・・・・」

ジゼルの納得のいく言葉にシンディは考え込んだ。そして。

「そうね・・・。コイツに賭けてみるのも悪くないかもね」
「うん・・・」
「それじゃあ、私も一緒に行くわ。コイツの実力をまだこの目で見てないし」
「じゃあ、決まりだな」

3人は村長の依頼を受け酒場を後にした。

「大丈夫かしら・・・・」
「オイ、アイツ等正気か?」
「さあな」
「死んじまうかもしれねえぞ」
「バカな奴等だよな」

傭兵達がヒソヒソ話している中、店員は心配そうに彼等を見送った。





サンドリアを出て数十分が経ち、ようやく村に着いた3人は唖然とした。目の前には壊れた家、修理中の家など台風にでも遭ったかのようにボロボロだった。

「ひでぇな・・・」
「うん・・・」
「ユニフォリアはその大きさとは裏腹にとんでもないスピードで飛び回るって言われているから・・・」
「おーい。みんな、傭兵の人達が来てくれたぞー!」

村長の声に反応し、多くの村人達が3人の側に集まってきた。

「村長。ようやく傭兵が来てくれたんですね!」
「ああ、彼等がユニフォリアを倒すと言ってくれたんだ」
「それは頼もしい!」

村長達の会話を聞きながらジゼルがマサシに小声で話しかけた。

(ねえ、マサシ)
(ん?)
(あんな事言ってたけど、正直ユニフォリアを倒す自信はあるの?)
(さあな)
(さあなって・・・・まさかあなた、自信も無しにこの依頼を受けたの?)
(バカ、戦った事のない相手に自信もクソもあるか。俺は只自分のやり方を貫くだけだ。それに、俺の武
器なら倒せるかもって言ったのはお前だぞ?すこしは信じろよ)
(ハァ、確かにそうね・・・・)

ジゼルがマサシの答えを聞き小さな溜め息をついたその時、見張り台から鐘のなる音が聞こえてきた。

「来たぞー!またユニフォリアが村にやってきたぞー!」
「なんだって!?」
「早速アンタ達の出番だ。我々は家の中に隠れている。頼んだぞ!」

村長達は各自、自分達の家の中へ避難した。そして上空に大きな翼を広げた飛竜が姿を現した。体の鱗や甲殻は緑色で首は長く、そして頭にはユニコーンの角のような様な一本角が生えていた。ユニフォリアはマサシ達に気付いたらしく村の中央にゆっくり降りてきた。マサシ達との距離は15m位だ。

「アイツがユニフォリアか」
「ええ、気を付けて。アイツの電撃は強力よ」

シンディはそう言って剣を抜いた。ジゼルも腰のトンファーを取り構えた。

「コイツは確かに厄介そうだな」
「のんきな事言ってないで、来るわよ!」

ジゼルの声を聞き、マサシはP90を取り構えた。すると、ユニフォリアの真上の雲だけが黒くなり雷が鳴り始めた。

「なんだ?」
「ユニフォリアは雷を起こしてその雷を角に溜めて敵に放つの」
(雷を?おいおい、雷の電圧は1億ボルト近くあるぞ。そんなもんくらったら一発でアウトだ!)

マサシが心の中で呟いているとユニフォリアの角に雷が落ち、ユニフォリアはマサシ達目掛けて首を大きく縦に振り電撃を放った。

「来た!」
「かわして!」
「クッ!」

3人はギリギリで電撃をかわした。だがその威力は想像以上だった。マサシ達が村へやって来るために使った道は電撃で消し飛んでいた。

「ウ、ウソ・・・・」
「・・・・・・ん、ジゼルは?」
「え?・・・・・あそこ!」

シンディが指差した所にはジゼルが倒れていた。マサシ達とは反対の方向へ回避したようだ。

「ジゼル!大丈夫!?」
「うう・・・・」

ユニフォリアが1人離れて倒れているジゼルを見つけ再び自分の角に雷を落とした。

「大変!アイツ、ジゼルに電撃を食くらわせるつもりよ!」
「!!」

それを聞いたマサシはジゼルの元は走り出した。この時マサシはなぜかジゼルを死なせたくないと思ったのだ。

「グギャーーーー!」

ユニフォリアが大きく咆哮を起こし、電撃をジゼル目掛けて放った。

「!!」
「ジゼル!」

ジゼルの名前を叫び、マサシは彼女の前に立った。

「な、何やってるの!早く逃げなさい!」
「バカを言うな!お前を置いて逃げれるかよ!」
「え?」

マサシは向かってくる電撃にP90の銃口を向け乱射した。すると弾は電撃に当たる直前に四方八方に逸れて行った。そして電撃も弾に吸い寄せられるかのように逸れ、電撃は二人に当たることなく消滅した。

「・・・・・どうなってるの?」
「電気が鉄に反応して方向を変えたんだ。乱射して様々な方向へ弾を飛ばせばその弾に引かれるんだよ」

マサシはそう言って腰にP90を収めた。

「さて、今度は俺達の番だ。ジゼル、俺がアイツの動きを封じる。お前はシンディと一緒に奴の角を折れ。出来るよな?」
「う、うん」

マサシはそう言ってカバンからRPGを取り出した。

RPG7
ソエビトが1960年代に開発した個人携帯可能な肩付け式対戦車/軽装甲火気。弾頭と発射機の2つで構成され、弾頭発射後は発射機に再度弾頭を装着する事で何度も発射可能。発射された弾頭は発射後10mほど前進した後、安定翼を開くと共に推進用の火薬に引火し目標に向けて再加速していく二段式である。命中すれば300mm程の装甲を貫く威力を持つ。

発射機に弾頭を装着し終え、狙いをユニフォリアに定めた。

「それは?」
「まあ見たなって」

ユニフォリアがまた角に雷を落とし、電撃を放とうとしていた。

「マサシ!」
「させるかよ!」

大声でそう言い、RPGが発射された。弾頭はユニフォリアの翼に命中し大きな穴が開いた。

「グギャーーーー!!」
「!!」
「なっ!!」
「まだ行くぜ!」

再び弾頭を装着しもう片方の翼を狙い発射した。そしてもう片方の翼にも大きな穴が開いた。ユニフォリアはあまりの痛みに電撃を放つことも出来なくなりその場に倒れた。だが死んだはいなかった。

「・・・すごい」
「よし、これで奴はもう飛ぶことは出来ない!あとは頼んだぜ!」
「え・・・う、うん。シンディ!行くよ!」
「わ、わかったわ!!」

ジゼルとシンディは同時に走り出し、動けなくなったユニフォリアに一気に近づき角を攻撃した。

「くらえ!臥龍粉砕撃(がりゅうふんさいげき)!!」

ジゼルのトンファーに何かが集まり、少しずつ黄色く光り始めた。そして、勢いよくユニフォリアの角に打撃を与えた。するとユニフォリアの角は大きな音を立てて折れた。

「ハッ!アイスブレード!!」

シンディの剣に冷気がまとい、シンディはその剣でユニフォリアの顔に斬撃を与えた。

「グギャーーー!!」

ユニフォリアは斬撃の痛みと冷気の冷たさに耐えられず大きな断末魔を上げた。

「やった!?」
「この程度で死ぬ奴じゃないわ」

シンディの読みは当たった。ユニフォリアは断末魔を上げた後すぐに自分達の方を向いた。

「二人とも!下がれ!」

マサシの声を聞き振り返る二人は、愛刀「黒龍刀」「白龍刀」を抜いているマサシを見た。

「何する気なの?」
「トドメは俺がさす!」
「無茶よ!飛べなくなったとはいえ、アイツまだあんなにピンピンしてるのよ」
「俺を信じろ!」

マサシの真剣な顔を見てシンディはジゼルの肩に手を置いた。

「ジゼル、彼を信じましょう」
「で、でも・・・」
「ね?」
「・・・・うん」

ジゼルは少し納得のいかない顔をしてユニフォリアとマサシの前からどいた。しかし、ユニフォリアもそれを見逃そうとしなかった。

「グギャーーー!!」
「オイ!お前の相手はこっちだ!!」

マサシはそう言いながらユニフォリアに向かって走っていった。ユニフォリアはマサシに気付きマサシの方を向いたが既に遅かった。

「双竜剣奥義!烈空凱覇斬(れっくうがいはざん)!!」

マサシは黒いオーラを出す黒龍刀と白いオーラを出す白龍刀で同時にユニフォリアの顔に斬撃を与えた。

「グギャーーー!!!」

ユニフォリアは致命的なダメージを受けたのか、そのまま大きく倒れ動かなくなった。

「・・・・・やったの?」
「さ、さあ・・・」

すると、二人の前に折れたユニフォリアの角を持ったマサシが歩いてきた。

「ふう、終わったぜ」

マサシは少し気の抜けた声で肩を鳴らしながら言った。
外が静かになり、村人達が家の中から顔を出し覗きだした。

「お、おい見ろ!あの3人ユニフォリアを倒したぞ!」
「ほ、本当だ!」
「やったー!これで村に平和が戻るぞー!!」

倒れているユニフォリアを見て村人達は騒ぎ始めた。

「みんなすごく喜んでるわね」
「当然よ、あの凶暴なユニフォリアに村を襲われてたんだから、嬉しさも大きいわよ」
「うん」





村人達の喜ぶ顔を見てホッとしたジゼルは武器をバックにしまうマサシの元へ歩いていった。

「マサシ、お疲れ様」
「ああ、お前もな」
「・・・・・ね、ねぇマサシ」
「ん?」
「さっき言った言葉って、どういう意味?」
「さっき?何の事だ?」
「言ってたでしょ?『お前を置いて逃げられるか』って、あのことよ」

ジゼルは少し顔を赤くして質問した。するとマサシは。

「別に意味はないよ。ただ死なせたくなかっただけだ」
「・・・・・・」

予想していた言葉とは全く違う言葉にジゼルは目を丸くした。

「あっそ・・・」
「ん、どうかしたのか?ふてくされて」
「なんでもないわよ」
「?」

ジゼルの不機嫌な態度に首をかしげるマサシ。女心がわかっていない。しばらくして村長が村の人達を全員集めて3人にお礼を言っていた。

「本当にありがとう。感謝してもしきれないよ」
「そ、そんな大げさな」
「いいや、本当に感謝しているよ。あ、それからこれは約束の報酬だ。」

マサシは村長から報酬の700ロドルを受け取った。

「う〜ん、やっぱりちょっと少ないわねぜ〜」
「ちょっとシンディ!ここの人達は村の復旧にお金を使ってたのは知ってるでしょ」
「それは勿論知ってるけど・・・・」
「・・・・・」

マサシはシンディに報酬を渡してユニフォリアの死体に近づき、ジ〜っと死体を見ていた。

「どうしたの?」
「いや、コイツの甲殻や鱗、うまく町で売ればかなりの金になるんじゃないかなと思って」

マサシの言葉にジゼル達は驚きの顔をしていた。

「そうよ、ユニフォリアを倒せる傭兵なんてそうはいないわ。それだけ凶暴なモンスターの鱗だったらきっと高く売れるわよ」
「その金で村を復旧させればいいんじゃないか?」

マサシのアイディアに村人達は騒ぎ始めた。

「だ、だが、ユニフォリアを倒したのアンタ達だ。だったらアンタ達が持って帰るべきじゃ・・・」
「言ったろ?俺の組織は依頼人の都合に合わせるって、もらうべき報酬はもらった。それはアンタ達のモンだよ」
「そうそう♪」
「う〜ん、少し納得がいかないけど・・・ま、いっか」
「し、しかし・・・・じゃあせめて、あの角だけでも、もらってくれないか?」

村長はジゼルが折ったユニフォリアの角を指差して言った。

「う〜ん、どうしようマサシ?」
「あの角はお前が折ったんだからお前がもらっとけよ」
「そうよ、もらっときなさい」
「そ、それじゃあ遠慮なく・・・」

ジゼルはユニフォリアの角を受け取る事にした。だがジゼル1人で大きな角を運ぶ事はできない。

「ところで・・・・どうやって持って帰ろうか」
「そ、そうよね・・・私達だけじゃとても・・・」
「俺が持ってってやるよ」

マサシは大きな角を片手で持ち上げ肩にかつで歩き始めた。彼の人並みはずれた力にジゼル達は再び目を丸くした。

「いい!?」
「い、一体彼は何者なんだ?」
「わ、私達も詳しくは・・・・」
(確かにあの強さと力、普通の人間じゃないわね・・・・あ、そういえば彼、初めて会ったとき『契約者』って・・・)

ジゼルはマサシの「契約者」という言葉を思い出し考えていると、マサシがジゼルとシンディを呼んだ。

「おーい、二人とも行くぞー」
「あ、ちょっと待ってよー!」

二人はマサシのもとへ走り出した。そして後から村人達の声が聞こえた。

「ありがとうございましたー!」
「このご恩は一生忘れませーん!」
「ありがとうー!」

3人は村の方を振り返り、笑いながら手を振り、サンドリアへ帰っていった。


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