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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第37回   第三十六話 コルヘルス解放任務

新しい任務により召集を受けた神竜隊。ユウタに呼ばれたマサシとジゼルは謁見の間に向かった。三人が謁見の間に着いたとき、部屋にはエミリアとハイドリア、そして残りの神竜隊の三人がいた。

「エミリア様、マサシとジゼルを連れてきました」
「ありがとう、これで全員揃ったわね。ハイドリア陛下、説明をお願いします」
「うむ」
「陛下、我々を呼んだという事は新しい任務ですか?」

呼び出された訳を尋ねるマサシ。

「そうだ、これからおぬし達には『コルヘルス』という街に向かってもらいたいのだ」
「コルヘルス?」

ハイドリアの口から出てきた街の名前。そう、リーズがネリネに制圧を命じた街だ。しかし、マサシ達はその事を知らない。

「コルヘルスって、ゼルキアスの南部にある街ですか?」
「そうだ、あの街はまだヘルデストロイヤーの支配下にはなかった街だったのだが、昨日の夜、ヘルデストロイヤーに制圧されてしまったのだ。あの街にはヘルデストロイヤーに制圧された街から逃げてきた者たちが集まっているのだ」
「そうだったのですか・・・・。それで、私達はその街で何をすれば?」
「ヘルデストロイヤーを倒し、コルヘルスを解放してきてほしいのだ。奴等に支配されてしまった国におぬし達を向かわせるのは気が引けるが、おぬし達しか頼れる者がおらんのだ、頼む」

ハイドリアはそう言って頭をゆっくりと下げた。

「あ、頭を上げてください!」
「そ、そうですよ、上げてください!それに、僕達は『いいえ』と言う気はありません」

マサシとコンタが慌ててハイドリアに頭を上げるように言う。

「おお!では、神竜隊の諸君、この任務を受けてくれるのだな?」

「ハイ!」

マサシは力強く返事をし、ジゼル達の方を見ると、ジゼル達も頷いた。

「では、すぐにコルヘルスへ向かってほしい。サンドリアからコルへルスまでは歩いても三日はかかる、急いで向かってくれ」
「「「ハイ!!」」」

神竜隊は一斉に返事をした。そんな時、エミリアが手助けをしてくれた。

「マサシ、私が連れてきた部隊の武器と車を持っていきなさい、そうすれば少しは時間を短縮できるはずよ」
「ありがとうございます!では、失礼します」

そう言ってマサシ達が退室しようた時、ハイドリアが言い忘れた事を言うように口を開く。

「そうだ、言い忘れた事がある。コルヘルスは武術学園がある街なのだ、ユピローズの方からコルヘルスに入るには『イヴルの門』を通るしかないのだ」
「イヴルの門?」
「うむ、コルへルスにはイヴルの門と『アダリムの門』という二つの門がある、アダリムの門は男子寮に続く男子生徒の、イヴルの門は女子寮に続く女子生徒専用の門なのだ。アダリムの門は王都方面にある、そっちはヘルデストロイヤーに占拠されて危険なのだ。だから・・・・コルへルスに入るには警備の薄いイヴルの門から入るしかない」
「そうですか・・・・・ん?ちょっと待ってください、イヴルの門は女性専用なんですよね?」
「そうだ」
「・・・・・・」

マサシはコンタとユウタを見た。そして彼らの頭の中に「女装」という言葉が浮かんだ。

「すみません、俺ちょっと用事を思い出したので・・・・・・」
「僕も、ちょっとトイレに行ってきます・・・・・・」
「俺も今後の事でちょっとやらなければならない事が・・・・・・」

マサシ達は急用を思い出したかのように任務を断り部屋を退室しようとした。明らかに女装を嫌がってこの任務からに逃げようとしている。

「大丈夫です、問題ありません」

そんな中、ジゼルが何事も無かったように話を進めていく。

「おお、そうか頼もしいな」
「ハイ、あたし達に任せてください!」
「いいえ・・・・」

ジゼルの話に割り込みマサシが任務を断る。ついさっき「いいえと言わない」と言っておきながら、いいえと言うマサシ。

「必ずコルヘルスを解放して見せます。ね、二人とも?」
「ええ、勿論」

ジゼル達はマサシが聞こえないのか話を進めていく。

「私達にかかればたいした任務ではないな・・・」
「そうよね♪」
「うん!」
「では、頼んだぞ、神竜隊の諸君!」
「「「いいえ!!」」」

必死で断ろうとするマサシ、コンタ、ユウタの三人。しかしそんな彼らの抵抗も虚しく、話は終わってしまった。

「頑張ろうね皆!」
「OK!」
「もちろんだ・・・」
「「「ええ〜〜〜〜〜!!?」」」

気合を入れるジゼル、シオン、レイナの三人と、情けない声を上げるマサシ、コンタ、ユウタの三人、こんな状態で任務は成功するのだろうか?





十数分後、マサシ達はサンドリアの正門の前に装甲車を止め、そこで準備をしていた。

「この車、大きいね」
「これはライトシンフォニアのオリジナル装甲車で陸上自衛隊の96式装輸装甲車を強化したものよ」

シオンが装甲車を指差してジゼルに説明している。

96式装輪装甲車
1996年に制式化された陸上自衛隊の装甲車である。自衛隊初の装輪式を採用した装甲車でもあり、現在は主に北海道の普通科連隊に配備されている。搭載されている武装は12.7mm重機関銃M2、96式40mm自動てき弾銃の二つである。

その装甲車に嫌々武器や食料を載せる男子三人(マサシ、コンタ、ユウタ)が二人の目に入った。

「三人とも、どうしたの?さっきからずっとその調子だけど・・・」
「・・・・・・いや」

ジゼルが首を傾げて尋ねると、マサシは力の無い声で返事をした。

「陛下の話を聞いてからその調子ね、本当にどうしたの?」
「・・・・・・なんでもないって」
「「・・・・・・?」」

三人を見ながら考えるジゼルとシオン。その時、装甲車を動かす準備をしていたレイナがゆっくり歩いてきて静かに口を開く。

「おおかた、イヴルの門から入るのが嫌になったのだろう・・・」
「え?どういう事?」
「??」

いまひとつレイナの言っている事がわからないジゼル。すると、隣で考えていたシオンが何かに気付いたらしく、話に加わってきた。

「もしかして、アイツ等、女装する事を嫌がってるの?」
「そういうことだ・・・」
「じょ、女装?」

ジゼルがシオンの言葉を聞き彼女のほうを向いた。そして、彼女達の会話を聞き取ったのかマサシ達が荷物を積み終えて近付いてきた。

「ハァ〜、俺達に女装しろと来たもんなぁ・・・」
「僕達、今までいろんな任務をこなして来たけど、女装するなんて初めてだよ・・・」
「でも仕方ないでしょ?他に方法が無いんだから」

ヤル気の無い声で喋るマサシとコンタを納得するように言うシオン。

(でも、マサシ達の女装、見てみたいかも・・・・・)

心の中で呟くジゼル。

「諦めろ。それに女装したからって死ぬわけではないのだ・・・」
「相変わらずきついな、お前・・・」

冷たい口調で言うレイナに弱い声でツッコミを入れるユウタ。そんな会話をしながら神竜隊の六人は準備を進めていくのだった。

「でも、どうしてイヴルの門は警備が薄いんだろう?」

ジゼルの言葉に耳を傾ける一同。確かに、アダリムの門は警備が厳重なのにイヴルの門の警備が薄いのは少し妙だ。

「陛下の話ではコルヘルスの街はアダリムの門のほうに校舎があるみたいなんだ、ヘルデストロイヤーの連中はその校舎を占拠しているらしいんだ」
「つまり、校舎と男子寮は奴等に取られて、街の人達は女子寮の方へ避難したってこと?」
「そうみたいだ・・・」

マサシの説明を聞き、状況を考えるコンタ。

「だから奴等もイヴルの門の方へは近づけないって事ね・・・」
「でも、どうしてイヴルの門が女性専用という事は変わってないんだ?非常時なんだから男女両方が使えるようにしたらいいじゃないか・・・」

と、愚痴を言うマサシ。やはり女装は避けたいみたいだ、それは彼の後ろにいるコンタとユウタも同じのようだ。

「はいはい、愚痴はそこまで。早く車に乗って」

そう言って三人を車に乗せようとするシオン。

「お前、何か嬉しそうだな?」
「え〜、そんなこと無いよ〜♪」
(いや、明らかに嬉しそうだな・・・)
(うん・・・)

シオンの嬉しそうな話し方を見て明らかに自分達の女装姿を見たがっているとコソコソ話しているコンタとユウタ。





その頃、コルヘルスの武術学園の本校舎にある学園長室では、ネリネが学園長の椅子に座り、暗い顔でうつむいていた。

「ハァ・・・これでよかったの?私は罪も無い学園の生徒や教師を手にかけて街を制圧してしまった・・・・・・」

ネリネがコルヘルスを制圧したことを後悔していると、誰かが部屋をノックした。

「入って・・・」

ネリネの許可を得てネリネ配下の騎士が入室してきた。


「失礼します。ネリネ隊長、ヘルデストロイヤーの使者が来ました」
「なんですって?」
「隊長に会わせろと言っていますが、いかがいたしましょう?」
「・・・・・・」
「追い返しますか?」
「誰を追い返すって?」
「「!!」」

突然、入口のほうから声が聞こえてきて振り返るネリネと騎士。目の前に自然の四塔(フォースド・ガイア)のハヤテ、リーズの二人がいた。

「調子はどうだ?」
「制圧は成功したようだな・・・」

静かに、そして冷静にハヤテとリーズ。

「何の様・・・・?」

緊張が走る学園長室、またしても自然の四塔がマサシ達の前に立ちはだかろうとしている、マサシ達は無事にコルヘルスを解放できるのか?


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