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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第29回   第二十八話 モンスター討伐依頼!

酒場でシンディと再会したマサシとジゼル。そしてジゼルは地球で自分がどんな経験をしたのかをシンディに話し始めた。

「へぇ〜、そんな事があったんだ」
「うん、始めて見た時はあたしも驚いたわ」
「う〜ん、そのユウエンチやキッサテンとかいう所、私も見てみたかったわ。どうして行く時に声をかけてくれなかったのよ〜?」
「い、今更言っても・・・・・それにあたしは遊びに行ったんじゃないんだよ」

シンディと楽しそうな雰囲気で話すジゼル。そんな彼女を見ながらマサシ達は今後の事を話している。

「マサシ、これからどうするの?」
「う〜ん、これと言ってやる事はないしなぁ」

コンタがマサシに尋ねるとマサシは力のない声で言うと、シオンが声をかけてきた。

「じゃあさ、せっかくだからここで依頼を受けてみようよ」
「そうだな、こっちの依頼ってのがどんな物なのか、俺も気になってたんだよ」
「私もそれでいい・・・」

シオンの提案にユウタが賛同すると、レイナも相変わらず興味の無さそうな態度で言った。

「じゃあ、そうするか。おいジゼル、俺達はこれから依頼を受けるつもりだけど、お前はどうする?」

マサシがシンディと話しているジゼルに尋ねた。

「え?そうね、せっかく来たんだから受けていこう。シンディも一緒に受けようよ」
「ええ、いいわよ。それでどんな依頼を受けるの?」
「そうだな、まずどんな依頼が入っているのか訊いてみようぜ」

マサシは受付の女性店員の所まで行き、どんな依頼が入っているか尋ねる。

「よう」
「あ!あなたはマサシ、久しぶりね。登録してから依頼を受けてくれないから少し心配してたのよ」
「色々と事情があってな、ところで、今はなにか依頼は入ってるか?」
「ええ、今入ってるのは、危険度が2と3の依頼が一つずつ入ってるわよ」
「2と3は一つずつかぁ・・・・・・どんな依頼なんだ?」
「危険度2は密林越えのキャラバン隊の護衛よ。危険度3はモンスターの討伐依頼よ」

女性店員が依頼の内容を説明していると、ジゼル達がやって来た。

「マサシ、どんな依頼があった?」

ジゼルが尋ねるとマサシは依頼の内容を説明した。

「護衛任務とモンスター討伐依頼の二つか」

ユウタが腕を組んで依頼内容を口にすると、コンタがユウタの背中に飛び乗り、肩から顔をチョコンと顔を出した。

「二つとも受けちゃえば?」
「それは無理よ」

コンタが両方とも受ける事を提案するが、ジゼルがそれを止めた。

「どうして?」
「傭兵は一度に一つの依頼しか受けられないのよ」
「一度に二つ受けると依頼の日にちが重なったり、他の傭兵と揉め事が起きるからなの」
「そうなのか・・・」
「納得・・・」

ジゼルとシンディの説明にコンタとユウタは納得した。そんな中、マサシがどっちの依頼を受けるか訊いてきた。

「それで、どっちにするんだ?」
「そうだねぇ・・・・・・じゃあ、モンスターの討伐にしよう」
「コンタは討伐依頼だな、ジゼルはどっちにする?」
「あたしはどっちでもいいよ」
「そういう答えが一番困るんだが・・・・・」
「そう?じゃあ、討伐依頼でいいよ」
「ジゼルも討伐依頼な。みんなは?」

マサシはみんなの意見を聞いた。

「俺も討伐依頼だな」
「私もそれでいいわよ」
「私もだ・・・」

ユウタに続き、シオンとレイナも討伐依頼を希望した。

「シンディは?」

ジゼルがシンディに尋ねると、シンディは少し気の抜けたような言い方で言った。

「私もそれでいいわよ。それに、みんなが討伐って言ってるのに私だけ護衛任務って言えないでしょ?」
「アハハハ・・・・そうね」

ジゼルが苦笑いをすると、それを聞いたマサシは女性店員に受ける依頼を伝えた。

「じゃあ、モンスター討伐依頼を受けるよ」
「わかったわ、それじゃあ依頼の内容を簡単に説明するわね」
「ああ」

女性店員がマサシ達に依頼の内容を説明し始めると、彼らは真剣な目で内容を聞いた。

「依頼主はサンドリアの南にある『シェルメリン村』っていう小さな村の長老よ。その村の近くに『ブラスコル』の群れが住み着いてるらしいの」
「ブラスコル?」
「ブラスコルは毒を持った昆虫型のモンスターよ。群れで行動して獲物に一斉に襲い掛かるとても賢いモンスターなの」

首を傾げるマサシに詳しく説明するジゼル。

「毒を持ったモンスターか・・・・・」
「毒と言っても殺傷力はないの、体が麻痺するだけで命に別状はないわ」
「それでも毒があると少し不安だな、解毒剤はあるのか?」

毒を受けた時の事を考え、ユウタは解毒剤の事を聞いてみた。

「確か『七星草』っていう薬草の実を食べれば毒が消えるわ」
「七星草は確かこの街でも売ってるわよね?」

シンディがサンドリアの店で売っている事を思い出す。

「ええ、村に行く前に買って行くといいわよ」
「よし、それじゃあその七星草とやらを買って、シェルメリン村に行きますか」

マサシが出発しようとすると、ユウタがそれを止める。

「待て待て、一旦城に戻って準備を整えてからだろ?」
「あ、そっか・・・・うっかりしてた」
「おいおい・・・・」

ユウタは相変わらずチャランポランな性格のマサシに呆れている。

「それじゃあ、各自準備をしてから南門に集合って事でいいか?」
「うん、あたしとシンディは七星草を買ってくるね」
「ついでに水とか簡単に食べれる食料も買ってくるわ」
「わかった、俺達は城に戻って準備してくる。それじゃあ解散!」

マサシが解散と言うと、一同は酒場を後にした。





20分後、全員が南門に揃った。

「これで全員そろったな?」
「うん、準備は万全だよ」
「よし、行くか!」

マサシ達はそれぞれの装備と少量の荷物を持ちシェルメリン村へ向かった。歩き出してから15分後、マサシ達は目的地のシェルメリン村に到着した。そして彼らはそのまま長老の家に向かった。

「ここが長老の家か?」
「ええ、村の入口にいた人に聞いたらここだって言ってたから」
「よし、それじゃあ長老に会って詳しい事を聞こう」

マサシは長老の家のドアをノックした。

「すいません、誰かいますか?」

マサシが二回ほどノックするとドアが開き、中から一人の老人が出てきた。

「なんじゃ、お主達は?この村の者ではないな」
「サンドリアの傭兵です。この村の近くで村人がブラスコルの群れに襲われていると聞いて来てのですが」

マサシの後ろでシンディが事情を老人に説明した。

「おお、そうじゃったか!よく来てくれたな。さあ、上がってくれ」

マサシ達は老人に案内されて家の中に入っていく。リビングのような広い部屋で老人は椅子に座った。

「まあ、適当にかけてくれ」
「ありがとうございます」

老人に言われマサシ達は椅子にかけた。

「挨拶が遅れたな、ワシがこの村の長老のラモンじゃ」
「あなたが長老だったのですか?」
「フォフォフォ、驚かせてしまったかのう?」
「え、ええ、少し・・・・・・」

目の前にいたのが依頼主の長老だった事を知り、マサシ達は少し驚きの顔をしたが、すぐに落ち着いた表情に戻った。

「早速だが、依頼の内容を説明しよう。報酬は1000ロドル、ブラスコルの群れはこの村の近くの沼地に住み着いておる、村の者達の目撃では15匹はいたとの事だ」
「沼地?」
「『フォントニス』という沼地じゃ、普段から霧と湿った空気に包まれておる。しかもそこにはブラスコル以外にも毒を持つモンスターが住んでいるんじゃ・・・・・」
「毒を持つモンスターですか?」
「うむ、だがそいつ等は普段沼地から出てくる事は無い、しかしブラスコルは夜になると沼地から出てきて沼地の近くを通りかかる旅人を襲うんじゃ・・・・・この村の者も数人やられている」
「・・・・・・なるほど、ところでブラスコル以外の毒を持つモンスターにはどんな奴がいるのですか?」
「フォントニスに最も多いのは『ポイズンリザード』じゃな。そいつ等は毒は持つがこちらから手を出さない限り襲ってはこない、他に『デスレシア』という毒の花粉を持つ大きな花じゃ。デスレシアは動く事はない、まず襲われる事は無いな」
「ポイズンリザードにデスレシアか・・・・・・」

マサシが二つの毒を持つモンスターの名を口にして俯いた。その時ユウタがラモンにある質問をした。

「長老、その二つの毒を治す解毒剤はあるのですか?」
「うむ、これじゃ」

ラモンはそう言って目の前のテーブルに青い液体の入った小瓶を置いた。

「これを飲めばポイズンリザードとデスレシアの二つの毒を治す事ができる。しかし、これはあくまで二つの毒を治す薬、ブラスコルの毒は七星草でなければ治らん、それだけは覚えておいてくれ」
「大丈夫です、七星草は用意してあります。」
「そうか、ではこれを渡しておくぞ」

ラモンはそう言って小瓶を手渡し、マサシはそれを受け取った。

「それでは、早速行って来ます」
「うむ、気を付けてな。フォントニスは村を出て西に少し歩いて行った所にある。」
「わかりました」

マサシがそう言って席を立つをジゼル達も席を立ち、玄関へ向かい家を出た。





村を出て少し歩くと、マサシ達は沼地に着いた。そこは一目で分かるほど雰囲気が違っている。霧に包まれ、湿った空気、そして草木はほとんど枯れている。恐らく住み着いているモンスターの毒の影響を受けたのだろう。

「ここがフォントニスか、不気味な所だな・・・・・」
「な、なんか凄く酷い臭い・・・・・」
「ほ、本当ね・・・・・」

沼地を見て、鼻を押さえているコンタとシオン。

「大丈夫か、二人とも?」
「そんなに酷い臭い、する?」

シンディが不思議そうに臭いを嗅ぐが、これといって臭いはしなかった。

「二人は妖狐、つまり狐の血を引いているから鼻が敏感なんだ、私達には分からない臭いもコイツ等に分かるんだ・・・・・」
「へぇ、そうなんだ〜」

不思議そうにしていたシンディに分かりやすく説明するレイナ。シンディも納得したようだ。

「二人とも、あまり無理するなよ?」

マサシが振り返ってコンタとシオンを心配して言うと。

「大丈夫、少し経てば慣れるから」
「ええ、心配しないで」
「そうか?じゃあ、行くぞ!」

久しぶりに傭兵の仕事を受けてモンスター退治をする事になったマサシ達。果たして、ブラスコルとはどんなモンスターなのだろうか?


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