Gbs(ガバス)との戦いを終えたマサシ達はGbsからヘルデストロイヤーの軍団はすでにラビリアンへ向かったという事を知らされる。彼ら急いで支部へ戻った。
「なんて事なの・・・・・」 「・・・・・・」
マサシ達から真実を知らされエミリアもショックを隠しきれないでいた。ジゼルもショックのあまり黙って下を向いている。
「申し訳ありません、ラビリアンにいる時、俺がその事に気付いていれば・・・・・」 「あなたのせいじゃないわ、私にも責任があるもの・・・・・」
謝罪するマサシにエミリアは静かな声でそう言った。しかし状況は絶望的、しかも、ライトシンフォニアはラビリアンへ向かう為の、ヘルデストロイヤーを倒す為の軍の編成はまだ完了していない、編成し終わってからラビリアンへ向かっては確実に手遅れだ。
「このまま中途半端な編成でラビリアンは向かってもヘルデストロイヤーには勝てないわ。せめてあと二日あれば・・・・・」
エミリアは必死に対策を考えていた。すると、さっきまで黙っていたマサシが口を開いた。
「エミリア様、俺達に行かせてください」 「え?」 「俺達が先に行ってヘルデストロイヤーの侵攻を少しでも食い止めます、エミリア様はその間に軍の編成を急いでください」 「・・・・・」
マサシはラビリアンの人達を救うために今の自分にできることを方法を上げた。それを聞いたエミリアは目を閉じて黙りこんだ。
「今の僕達にできる事は、すぐにでもラビリアンへ向かって、向こうの人達を助けてあげる事ですよ!」 「そうよ、このままじゃジゼルの世界がメチャクチャにされちゃうわ!」 「マサシ、コンタ、シオン・・・・・ありがとう」
コンタとシオンもマサシと同じ考えだったようだ。ジゼルもそんな三人の強い意志を聞き涙声で礼を言った。しかしユウタとレイナは・・・・。
「ちょっと待て、相手はヘルデストロイヤーだぞ、何の準備もせずにラビリアンへ向かったってどうする事もできない」 「同感だ、今の私達が行ったところで奴等とまともに戦う事なんてできない」 「ちょ、ちょっと待ってよ、じゃあこのままラビリアンの人達を見殺しにするって言うの!?」 「そうだよ!奴等はラビリアンには存在しない武器を使ってるんだよ、このままほっといたら確実にラビリアンはヘルデストロイヤーに侵略されちゃうよ!」 「見殺しにするなんて言ってない!今の俺達が行って、なにも出来ずに俺達が全滅しちまうって言ってるんだ」
意見がまとまらず、とうとう言い争いを始めてしまったコンタ達。
「み、みんな、やめ・・・・」
ジゼルは四人がもめているのは自分の世界が原因があることに罪悪感を感じたのだろう、四人の言い争いを止めようとした時、マサシが止めに入った。
「やめろみんな、これから大事な時だっていうのに俺達が言い争ってどうする?それに・・・・」
マサシは言い争いを止め、ジゼルの方をチラッと見た。
「あ・・・・・・ゴメン」 「そうね・・・・・ゴメンね」 「・・・・悪い」 「・・・・・」
コンタ達は自分達の争いがジゼルを苦しめている事に気付き反省した。
「だけど、マサシもラビリアンに行くべきだって言ったじゃないか」 「ああ、言った。俺はラビリアンに行ってラビリアンに住む大勢の人を助けたい、たとえどれだけ不利な状況でも無理だと決め付けたらそれで終わりだろ?そんな風に考えるくらいなら少しでも可能性のある方にかけるさ」 「・・・・しかし」
マサシのラビリアンを救いたいという強い思いにユウタは黙り込む、そして黙っていたエミリアが口を開いた。
「・・・・・・わかったわ」 「え?」 「神竜隊、すぐにラビリアンへ向かいヘルデストロイヤーの侵攻を食い止めなさい」 「エ、エミリア様!?」
エミリアの答えにユウタは驚いた。
「エミリア様、今の状況では我々に勝ち目はありません」 「そうね、普通に考えたらね。でも、マサシの言うようにもしかしたらって、私も考えちゃうのよ」 「エ、エミリア様まで・・・・・」
エミリアの考えにガックリと肩を落とすユウタ。
「ユウタ、いい加減に諦めろよ♪」
マサシはニヤニヤ笑いながらユウタの方にポンと手を置いた。
「お前・・・・・なんか楽しそうだな・・・・・?」
ユウタはマサシの楽しそうな表情を見て、睨むような目でマサシを見た。
「はぁ・・・・わかったよ、俺の負けだ」
マサシのチャランポランな正確とエミリアの考えに押され、ユウタはとうとう折れた。
「決まりね。さあ、時間がないわ、今から30分以内に準備を済ませて。30分後に第四支部へ向かうわよ!」 「ハイッ!」
マサシは大声で返事をし、神竜隊のメンバーも一斉に敬礼をし、部屋を出て各自準備に取りかかった。ユウタとコンタは武器、弾薬の準備、シオンとレイナは水や食料を、そしてマサシとジゼルは通信機や探知機の準備に取りかかっていた。倉庫で通信機とそのバッテリーを探しているマサシ、その後ろで暗い顔をしながら探知機を握るジゼル、マサシはそんなジゼルに気付きゆっくりと彼女に近付く。
「ジゼル・・・・」 「・・・・・」 「大丈夫だ、絶対に間に合う。だからそんな暗い顔をするな」 「・・・・・どうして」 「ん?」 「どうして分かるの?」
ジゼルは暗い顔をしながら、悲しみの宿った声で問い掛けて来た。
「どうして分かるの?あの時、もうアイツ等はラビリアンに来てたんだよ?もしかしたら、もうユピローズを襲ってるかもしれないんだよ?なのに、なのにどうして大丈夫だって思うの!!?」
ジゼルはいつの間にか自分を忘れて感情的になっていた、そんな彼女の目には悲しみと悔しさの涙が流れている。
「ねえ、どうしてマサシはそんな風に前向きで入られるの?悔しくないの?ねえ、どうして!!?」 「・・・・・・」 「あ・・・・・」
ジゼルの悔しさが伝わってくる。マサシはそう考えながらジゼルを顔を真剣に見つめている。そしてジゼルも、ようやくマサシに八つ当たりしている事に気付きハッとした。
「ゴ、ゴメン・・・・・あたし・・・・・」 「いや、いいんだよ。自分の故郷が危ないんだ、誰かに当たりたくなるのもなるさ」 「・・・・・・」 「ジゼル、俺は思ってるんじゃない」 「え?」
マサシの突然の言葉に問い返すジゼル。
「俺はラビリアンが無事だと思ってるんじゃない、信じているんだ」 「信じる?」 「ああ、ラビリアンの人達はきっと大丈夫だと信じているんだ。俺達が信じないで、誰が信じるんだ?」 「あ・・・・・!」
ジゼルは自分がラビリアンの人達の事を気にしているだけで、信じていない事にようやく気付いたのだろう。改めて彼女は自分が何をするべきか知った。
「そうだよね、あたし達が信じなきゃね・・・・・!」 「ああ、そうだ!」 「うん、ゴメンね、あたし・・・・・」 「気にするなって。さあ、早いとこ、この通信機を運んで待ち合わせ場所に行こうぜ」 「わかった」
いつもの明るさを取り戻したジゼルを見て、マサシは少しホッとしたような顔をし、通信機の入ったダンボール箱を持ち上げ、二人は倉庫を後にした。そして二人は待ち合わせ場所である駐車場へ行きコンタ達と合流する。彼らは既に準備し終わっていた。
「これで全部揃ったな?」 「ああ」 「それじゃあ、出発しましょう!」
神竜隊は全員車に乗り込み、第四支部へ向かって発進した。駐車場から出て支部へ向かっていく彼らの車をエミリアは支部長室の窓から見ていた。
「ごめんなさい・・・・・あなた達にだけ危険な任務を任せてしまって・・・・」
エミリアは悲しそうな目でマサシ達に謝罪している。
「あなたはどれだけあの子達を苦しめ気なの?・・・・ゾーク」
彼女が語った名前、果たしてそれは誰なのだろうか・・・・。
第六支部を出て数十分、ようやくマサシ達は次元移動装置がある第四支部へ到着し、装置のある実験室へ走って行った。
「お待ちしておりました!」
実験室に入ると、研究員が待っていた。既にエミリアから連絡を受けていたようだ。
「起動準備はできてるのか?」 「はい、いつでも行けます!」 「よし、早速頼む!」 「了解しました!」
研究員は近くのコンピュータへ駆け寄り、パソコンのキーボードを叩き始めた。そしてマサシ達も次元移動装置の真ん中に立った。
「いよいよだな・・・」
マサシは深刻な声で呟くとジゼルが声をかけてきた。
「マサシ、顔、暗いよ?恐いの?」 「いや、そうじゃない・・・・改めて思うと、俺達これから敵の大軍隊と戦うんだろ?緊張しちまってな・・・・・」 「へぇ〜、マサシが緊張するんだ?」
マサシの後ろでシオンがからかうように言った。
「おいおい、俺だって緊張ぐらいするさ・・・」 「アハハ、そうね、ゴメンゴメン♪」
シオンが笑いながら謝罪をする。すると今度はコンタが口を開く。
「でも、マサシの言うとおり、やっぱり敵の本隊と戦うんだから、緊張や不安にだってなりますよ」 「そうだな、今までのような小隊なんと違って今度は4個師団だからな・・・」 「敵の全戦力と行ってもいい位だ、心してかからないと・・・」
コンタに続いてユウタとレイナも緊張の入った声を出す。するとジゼルはが明るい声で言った。
「大丈夫だよ!みんな、自分の力を信じて戦おう!あたし達ならできるよ!」
ジゼルの前向きで元気な声を聞き、マサシ達は少し驚きの顔を見せた。
「・・・・・・そうだな、俺達ならできるよな!」 「うん!」 「よし、みんな!気合入れていくぞ!!」 「OK!」 「頑張ろう、みんな!」 「そうだな・・・行くか!」 「ああ」
シオン、コンタ、ユウタ、レイナの四人もマサシの声を聞き士気を取り戻したのか、顔に明るさが戻った。
(ジゼル、ありがとな・・・・・さっきの言葉、俺が第六支部で言った言葉に似てたよ・・・・・信じようって言葉がな・・・・)
マサシが心の中でジゼルに礼を言っていると、装置の設置されている部屋の隣の部屋から研究員が語りかけてきた。
「準備完了です!」 「よし、やってくれ!」 「はい、神竜隊のみなさん、健闘をお祈りしています!」
研究員がコンピュータのスイッチを押すと、装置が起動し六人を緑の光が包み始めた。そして光が彼らを完全に包みきると、光はまるで花火のようにパッと消えた、彼らはラビリアンへ向かって行ったのだ。
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