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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第21回   第二十話 防衛装置(セキュリティーシステム)の牙 No2

セキュリティーシステムが起動し窮地に追いやられた神竜隊のメンバー達。しかし、これらのシステムは警告に過ぎなかった。最上階の社長室でセキュリティーシステムに足止めされているマサシとジゼル。足止めされてから既に数分が経過していた。

「クソッ!どうする・・・・!」

レーザーシステムは攻撃を止める事が無かった。マサシとジゼルは机に隠れたまま動けない。

「マサシ、どうするの?」
「もう少し待て、今考えてる・・・・・」

マサシは目を閉じ、必死でこの場を切り抜ける方法を考えている、そして。

「・・・・・試してみるか」
「どうしたの?」
「ジゼル、耳を貸せ」
「え?」

マサシがジゼルに小声で何やら話しかけている。しかし、相手が機械なのに小声で話す必要があるのだろうか。

「・・・・・わかった、やってみるわ」
「よし、いくぞ!」

そう言うとマサシは机から飛び出し出口のほうへ走って行った。当然システムのカメラもマサシを追った、勿論レーザーのリニアレンズも。だが、マサシはこれを狙っていたのだ、カメラがマサシを追った直後、隠れていたジゼルが飛び出し、机を踏み台にカメラの高さまで飛んび、トンファーで攻撃しシステムを粉々にした。

「フ〜、うまくいったな」

マサシが立ち止まり振り替えると目の前にジゼルが着地した。

「マサシが囮になって後ろからあたしが攻撃する、まさかこんな単純な作戦が成功するなんてね」
「セキュリティーと言っても所詮は機械だからな」

セキュリティーシステムを破壊し少し落ち着いた二人。すると出口のほうからガチャという鍵の開く音が鳴った。

「お、ロックが解除されたか」
「これで出られるね」
「ああ、早いとこ装置を見つけてユウタ達と合流しよう」
「うん」

マサシとジゼルが社長室のドアを開け廊下に出ると。

「ん?」

マサシが何かを感じ取り左を向くと、天井からまた妙な機械が姿を現した。しかも今度はレーザーシステムとは違うシステムだった。カメラの下に握り拳ほどの大きさの穴が二つ付いている。そしてカメラが二人を捉えると二つの穴から何かが発射された。

「!・・・まずい!!」

マサシは慌ててジゼルの腕を引き部屋へ戻った。そしてドアの前で小さな爆発が起きた。

「キャア!」
「・・・・・・ふぅ、間一髪だったぜ」
「な、なんなの?」
「ありゃ小型マイクロ弾だな、小さいが威力はある・・・・」

小型マイクロ弾
ヘルデストロイヤーが独自で開発した対物火気。小さいが人を死にいたらしめるほどの威力がある。

「アイツにもカメラが付いてた、つまり、そのレーザーシステムと同じで俺達を見つけたら攻撃してくるて事だ」
「じゃあ、さっきと同じ方法で・・・」
「いや、今度はそうはいかない、廊下に飛び出たらすぐにマイクロ弾を発射される」
「廊下が狭すぎて回避するだけのスペースが無いって事?」
「ああ・・・さて、どうしたモンかな〜」

マサシが気の抜けるよう声で考え始めるとジゼルが口を開いた。

「ねえ、マサシ、そのマイクロダンっていう物を撃ってくる機械は廊下のどっちにあった?」
「どっち?」
「右か左か、どっちだった?」
「ん?ああ、確か左だ」
「じゃあ、左のドアを盾にして反対側へ逃げればいいんじゃない?」

ジゼルが作戦を提案し、それを聞いたマサシも少し驚きの顔をしていた。確かに社長室のドアは二つのドアを開け閉めする大きめのドアだ、左側にシステムがあるのなら左のドアを盾にし、右側へ逃げればいい。

「・・・・・確かにそうだ、どうしてそんな簡単な方法に気付かなかったんだ・・・すごいぞ、ジゼル!」
「え?そ、そんな大げさな・・・・・」
「いや、こっちの世界に来てそんなに立っていないのにこんなに簡単にシステムの弱点に気付くなんても、すごいぞ本当に!」
「え、あ〜うん・・・・ありがとう」

真顔で褒めるマサシの顔を見て少し頬を赤くするジゼル。二人は早速その方法でシステムから逃れ最上階を後した。





その頃、ユウタ&レイナチームは一階の捜索を終えて二階にあがる階段の前で足を止めていた。

「・・・・・」

ユウタは黙って赤外線ゴーグルを取り目にあて階段を見た。すると階段に無数の赤いレーザーが映り行く手を阻んでいた。

「赤外線レーザーが道を塞いでいる」
「触れた瞬間、トラップが発動、という仕掛けか・・・」
「多分な、どうする?」
「私にまかせろ」

レイナは階段をゆっくりと上がり赤外線レーザーの前で足を止めた。すると、何やら小声でぶつぶつ言い始めた。

「大地の守護者よ、我が手に無と化す力を宿せ、ペトロスワイト!」

レイナは契約魔法を唱えていたのだ。そして彼女の手が階段の壁に触れると、そこからみるみる石化していき壁に取り付けられてる赤外線レーザー装置が石化し無力化したのだ。ゴーグルで階段を見ていたユウタはレーザーが消えたことを確認した。

「見事だ」
「たいした事無い、先を急ごう」
「OK!」

ユウタとレイナは石化して赤外線レーザーを出さなくなった階段を一気に駆け上がる。そして二階についた二人は長い廊下を目の前にし立ち止まった。ところが、その廊下は部屋に入る為のドアが一つも無い、ただ長い廊下の一本道だけ、まるで部屋が一つも無いかのようだ。

「長い廊下だな・・・・しかもドアが一つも無い」
「明らかに怪しいな、気をつけろ・・・」

レイナはユウタの方を見て静かに言った、するとユウタは。

「誰に言ってるんだよ?」

ニヤリと笑いレイナに言い返した。

「フッ、そうだな・・・・」

レイナは小さく笑い再び前を見た。そして二人はお互いを顔を動かさずに目だけで見た、次の瞬間、ほぼ同時に走りだした。すると、二人が立っていた場所の床が開いて大きな穴が姿を現した、落とし穴だ。二人はそのまま走り続ける、廊下の床は次々に落ちていき、二人を追うように落とし穴は迫ってきた。

「ふん!単純すぎるんだよ!」

ユウタは走りながら罠の単純さを口にしていると、層化の先から何かが姿を現した。よく見ると、それは回転ノコだ。回転ノコは床から二つ並ぶように姿を現した、そして廊下から細長い穴のようなものが開き回転ノコはその穴をレール代わりにし沿いながら、ものすごいスピードで二人に迫ってきた。

「げっ!後ろから落とし穴、前から回転ノコギリかよ!
「単純ではなかったな・・・」
「チッ!跳ぶぞ!」
「ああ!」

回転ノコはすぐそこまで迫ってきている、そして二人の足に触れる瞬間、ユウタとレイナは大きく跳び回転ノコ跳び越した。回転ノコはレールを失い、そのまま真っ直ぐ落とし穴に落ちて行き、消えていった。

「よし、あとは落とし穴だけだ!」
「・・・・・・待て」

レイナは後ろを振り向いた瞬間、立ち止まった。するとユウタも立ち止まったのだ。

「おい!なに立ち止まってるんだ!早く走れ、でないと落とし穴が・・・・」
「もう、止まってる・・・」
「なに?」

ユウタは来た道を見ると、確かに落とし穴は止まっていた。

「どうなってるんだ?」
「わからん、だが落とし穴はあの『絵』の前で止まっている」
「絵?」

レイナの指先を見ると確かに一つの絵があった。ユウタとレイナは落とし穴を警戒しつつ絵に近付いて行く、二人にはこの絵がただの絵だとは思えないのだろう。

「この絵か・・・」

ユウタは絵を見た後に題名を見た。題名には『鉄の処女』とあった。そこには地獄絵と言ってもいい位のおぞましい絵が書かれてあった、ギロチンにかけられる男、十字架にかけられ火あぶりにされる女、そして女性の形をした人形に無理矢理入れられる男などと・・・・・。

「さすがヘルデストロイヤー、飾る絵も悪趣味な物だな」
「同感だ、しかし、落とし穴はなぜこの絵の前で止まったのだ?」
「単なる偶然じゃねえのか?前からは回転ノコギリが来るんだから追う必要が無くなったとか」
「・・・・・」

レイナはどうも納得がいかず、その場で腕を組み考え始めた。

「おいレイナ、こんな絵の事は放って置いて早く次元移動装置を探そうぜ」

ユウタはレイナに先を急ぐよう言うがレイナはまるで動こうとしない、レイナが絵の周りを見ていると、彼女の視界にある物が入った。小さな隙間だ、しかもその隙間から小さな風音が聞こえてきている。

「隠し扉だ・・・」
「え、隠し扉?」
「間違いない、この絵の後ろに道がある」
「なるほど、隠し扉の前なら落とし穴が止まるのも説明が付くか」
「もしかするとこの先に装置が・・・・・ユウタ、すぐにマサシ達に連絡を」
「だけど、ジャミングが掛かってて通信機が・・・・」
「『ブレイト通信』なら使えるはずだあれを使えばいいだろ」
「ブレイト通信、それがあったか!」

ブレイト通信
ジャミングなど電波妨害どの時に一定時間だけ通信が出来る通信システムだ。しかし、まだ試作段階の為、長くても二分が限界だった、そのためマサシはすんなりと使うことが出来なかったのだ。





ブレイド通信でユウタの通信を聞いたマサシ&ジゼルチーム、コンタ&シオンチームは無事に二階にいるユウタとレイナの二人と合流。通信の時に色々聞いたのか合流してすぐに話しに入りだした。

「この先にあるのか?」

マサシは絵の前で考え込むレイナに問い掛けた。

「まだわからんが調べてみる価値はある」
「それで、どうやって入るの?」

ジゼルがレイナに入り方を訊いたがレイナは首を振った。

「まだわからねぇんだよ」
「いっその事、扉ごと壊しちゃう?」

シオンが提案を出すがユウタはそれを却下した。

「ダメだ、こんな狭い廊下で扉を壊したら隠し扉の床まで壊れて落とし穴にまっ逆さまだろ」
「それに、もしこれがなにか重要な部屋に繋がる扉なら敵もかなり強固にしてあるはずだ」
「破壊は無理ですか・・・・」

コンタが力のない声で落ち込むように言うとマサシが絵に近付いた。

「・・・・・タイトルは『鉄の処女』」

マサシが絵に顔を近付けると、彼は何かを見つけた。女性の形をした鉄の人形の顔が少し膨れているのだ。

「・・・・・・・!!」
「マサシどうしたの?」

ジゼルがマサシの驚いた顔に気付き彼に声をかけた、するとマサシが口を開いて言った。

「これがスイッチだ」

マサシが鉄の人形の顔を指で押しと、顔がへこみ、絵が飾ってある隠し扉がゆっくりと開いた。

「開いた!」
「マサシ、どうしてわかったんだ?」
「ヒントはこのタイトルさ」
「タイトル?」

ジゼルが問い返す。

「そう、この絵に描かれているのは全て拷問もしくは死刑に使われる道具だ。その中にあるこの女性の形をした筒状の人形、これは『アイアンメイデン』と言われる死刑道具だ、そしてこのアイアンメイデンを日本語にすると・・・・・『鉄の処女』」
「あ!この絵のタイトルも!」
「これが答えさ」
「なるほど、タイトルが答えだってのか」
「そういうことだ。さぁみんな!扉も開いた事だし、先へ行こうぜ!!」
「「「「「おう!!」」」」」

マサシ達は隠し扉をくぐり暗い廊下を進んで行った。しかし、その先にはこの本社を守る番人の部屋につづくのだった・・・・・。


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