午前0時40分、マサシ達は第四支部からヘルデストロイヤーの本社がある東京の第六支部の支部長室にいた。
「みんな揃ったわね」
支部長室の椅子に座ってるエミリアは真剣な顔で神竜隊のメンバーを見て言った。
「はい、神竜隊、いつでも行けます!」
マサシは返事をし、ジゼル、コンタ、ユウタ、シオン、レイナもマサシの後ろで一列に並んでいる。マサシ達は普段着から潜入用の黒と紺色のタクティカルスーツを着て、自分達の愛用の武器を装備していた。タクティカルスーツを始めて着たからかジゼルは身体を少しくねらせていた。
「どうしたのジゼル?」
エミリアは不思議そうに彼女に問い掛けた。
「は、はい・・・着心地が悪くて、初めて着る上、身体に密着しているから余計に・・・」 「何度も着ていればそのうち慣れるさ、少しだけ我慢してくれ」
ジゼルの感想を聞き、マサシは笑いながら言った。
「それじゃあ、話を戻すわね。ここから敵の本社までは車で約1時間、今から出発して本部の近くに潜伏し2時に作戦開始。いいわね?」 「「「「「「はい!」」」」」」
神竜隊は同時に返事をした、すでに意気投合している。
「それじゃあ、地下駐車場のA-4の車へ行き、ヘルデストロイヤー本社へ向かって!」 「わかりました。それでは行ってきます!」 「健闘を祈ります」
マサシ達は支部長室を出て駐車場へ向かった。駐車場へ向かい、コンタ達の後ろをマサシとジゼルがゆっくりと歩いていると、ジゼルがマサシに話しかけてきた。
「マサシ」 「どうしたジゼル?」 「これからヘルデストロイヤーの本社へ行くんだよね?」 「ああ」 「どんな所なんだろう・・・」 「さあな、俺達も本社にへ侵入するのは初めてだからな・・・・。だがこれだけは言える、敵の本拠地だから警戒は厳重なはずだ」 「・・・・・・」 「ジゼル、お前はこっちの事をほとんど知らない、だから作戦中は俺と一緒に行動してくれ、絶対に一人で行動しようとするなよ?」 「うん、わかった・・・」 「よしっ!行こうぜ」 「うん!」
マサシとジゼルは地下駐車場へ向かって行った。
支部の地下駐車場から車が出て敵の本拠地へ向かって1時間後、午前1時40分、本拠地の入口から10mほど離れた所で待機していた。
「ここからならよく見えるな」
運転席から入口を眺めながら言った。
「見張りは警備員の男が二人、武装はMP5、腰にグレネード。たいした敵ではないな・・・」
隣の助手席でレイナが腕を組みながら警備員を観察している。しかし、MP5を所持している時点で彼らは警備員とは言えるのだろうか?
「そっちはどうだ?」
後ろの席で作戦を練っているマサシ達の様子を見るユウタ。マサシ達はヘルデストロイヤー本社の構造図、本社付近の地図を見ていた。
「脱出ルートは決まった」 「あとは潜入するだけだね?」
コンタは脱出ルートを決めたマサシに潜入を問い掛けた。
「いや、たとえ潜入できたとしても装置の場所がわからないんじゃすぐに迷って敵に囲まれちまう。装置がどこにあるか見つけないとな」 「あ、そっか」 「でもどこにあるのかしら?次元移動装置は・・・」
シオンが次元移動装置の設置場所を考えているとジゼルが口を開けた。
「解らないなら、やっぱり直接探すしかないんじゃない?」 「・・・・・・そうだな、危険だの囲まれるだの言ってても仕方がない」 「じゃあどうするの?」
コンタが改めてどのように行動するかマサシに聞いた。
「・・・・・こうなったら手分けして探すしかない。二人一組になって分かれて探すぞ、戦力は少なくなるが、見つかる可能性は低くなる。それでいいな?」 「OK」 「わかったわ」 「俺もOKだ」 「私もだ・・・」
各メンバーの意見を聞きマサシは小さく笑って言った。
「よし作戦開始だ!」
車の時計は既に2時になっていた。
「ジゼル、お前は俺と一緒に行くぞ」 「わかった!」
神竜隊メンバーは一斉に車から降り、入口にゆっくりと見つからないように近付いて行った。チームはマサシとジゼル、コンタとシオン、ユウタとレイナという分け方になった。ユウタとレイナのチームは裏口から、マサシとジゼルのチームとコンタとシオンのチームは正面玄関から入ることに決まった。
「コンタ、聞こえるか?」 「うん、よく聞こえるよ」
マサシは少し離れているコンタに通信機で語りかけている。
「俺とジゼルが囮になって見張りをおびき出す、お前とシオンは玄関の横に隠れて背後から攻撃してくれ」 「まかせて」
マサシは作戦を伝えて通信機を切った。
「ジゼル、行くぞ」 「うん」
マサシがジゼルを連れて正面玄関に向かい、コンタとシオンも見張りに見つからないように正面玄関の横へ回った。正面玄関を警備している見張りがマサシ達に気付きゆっくりと近付いていく。
「おい、お前達そこで何をしている?」 「その姿、ただの民間人ではないな。我が社の傭兵か?」 「・・・・・」
マサシは警備員の質問に答えようとせずに黙っている。
「何を黙っている?」 (マサシ・・・) (大丈夫だ)
ジゼルが少し不安になりマサシに小声で話しかけるが、マサシは冷静に大丈夫だとジゼルに伝える。二人の小声で話し合う姿を見た警備の男達が銃口を二人に向けた。
「何をコソコソと話している?おい、ADカードを見せろ!」 「ADは無いが、用ならあるぜ」 「なに?」
警備員が問い返した直後、コンタとシオンが警備員に向かって走り出した。足音に気付き振り返るが二人は既に警備員の1m近くまで来ていた。銃口を向けようとしたが既に遅かった、コンタの蹴りが警備員の顔に直撃し一人の警備員は3mほど飛ばされ動かなくなり。もう一人もシオンのパンチが腹部に命中し、その場に倒れた
「グフォ・・・!」
警備員達はなにも出来ずに動かなくなった。
「さすがだな、二人とも」 「すごい・・・」
ジゼルは二人の実力を見て改めて驚いた。
「こんなのたいした事無いわ♪」
シオンが得意そうに言うとマサシの通信機が発信音を鳴らしている。マサシは通信機を取り返事をした。
「俺だ」 「ユウタだ。裏口の警備は片付けた」
ユウタからだった。ユウタとレイナは裏口の警備を黙らせたことを伝えるために通信をしたのだ。彼らの周りには気絶して倒れている警備員を姿があった。レイナは裏口のロックを小道具を使って解除している。すると、裏口の扉がピッと音を鳴らした。
「ユウタ、ロックを解除した・・・」 「わかった。俺とレイナはこれから中へ潜入する」 「OK、装置を見つけたら通信をくれ、俺達もそっちへ行く」 「ああ、それじゃあ後でな」
そう言いユウタは通信を切り、レイナと友に社内に入って行った。
「ユウタから?」
ジゼルが通信相手を確認する為に尋ねた。
「ああ、あっちの警備は片付いたみたいだ」 「相変わらず早いね、あの二人が組むと」 「そうね、私達も少し見習わなくっちゃね」 「そうだな。さて、俺達も急ごう、いずれ警備からの連絡が途絶えた事に監視の連中も気付くだろう。早く見つけて、破壊して引き上げよう」 「うん」
マサシ達は正面玄関に近付き扉を開けようとした、だが・・・・。
「開かない、ロックがかかってる」 「なんだって?」
扉を開けようとしたコンタはロックがかかっている事に気付いた。
「どうやって開ける?」 「・・・・・」
シオンがどうやって開けるかマサシに尋ねるとマサシは周りをキョロキョロみてカード式のロック装置を見つけた。
「・・・・・もしかしたら」
マサシは気絶している警備員のポケットを調べると懐のポケットからカードキーを見つけた。
「これかな?」
カードキーを装置に差し込むと、ピッという音が鳴り、ロックが解除された。
「ビンゴ!」 「これで中に入れるね」 「ここからが本番よ、みんな気を引き締めていきましょう!」 「ハイ!」
四人は正面玄関から社内へ潜入することに成功した。遂にヘルデストロイヤーの本社に潜入した神竜隊。しかし彼らはまだ気付いていない。その先に恐ろしいトラップと敵が待ち構えている事に・・・・・・。
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