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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第168回   第百六十七話 最後の反撃 聖夜の恋人達(ホーリーナイトラヴァーズ)!!
ディアボロスとルシフェルの最強の技「ゼログランドクロス」が放たれ、その恐るべき破壊力を目にしたマサシとジゼルは驚きを見せるが再び二人の目に光が戻る。そして二人はディアボロスとルシフェルとの戦いと因縁に終止符を打つために最後の反撃に出るのだった。

「今度こそお前達を叩き潰してやる!」
「悪いが負けるのはお前達二人だ!」

死の宣告をするディアボロスと光の宿った目で睨みながら言い返すマサシ。マサシはディアボロスとルシフェルを見てアロンダイトを構え、隣を飛んでいるジゼルもブリュンヒルドを纏った両手を握り顔の前まで持ってくる。それを見たディアボロスもBX(ブラックエクスカリバー)を構え、ルシフェルも上段構えをとった。

「それじゃあジゼル、打ち合わせどおりに行くぞ!」
「OK!」

最終確認を終えたマサシとジゼルはそれぞれ別のほうへ飛んで行く。ディアボロスとルシフェルは呆れたような顔をしていた。

「また別れて攻撃か?本当にワンパターンな奴等だ」
「ホント、馬鹿なカップル。でもこれだとあたし達を馬鹿にしてるようにも思えるわ」
「それなら、さっさと殺しちまおう、もう前置きなどは無しだ」

ディアボロスの言葉を合図にしたようにディアボロスはマサシを、ルシフェルはジゼルの後を追って飛んで行く。

「よし、追ってきてるな。そのままついて来い!」

マサシはディアボロスに聞こえない声で独り言を言いながら更に速度を上げる。

「逃げ切れると思ってるのか!ダークネスアロー!」

ディアボロスは空いている左手をマサシの背中に向けて黒い矢を放った。無数の黒い矢はマサシ当たりこそしなかったがすぐ近くをギリギリで通過して行く。マサシは前を向きながら自分の横を通過していく黒い矢をチラッと見た。

「クソ!急がないとやられちまう!」

少し焦りを見せたマサシは一気に上昇して果ての無い虚無宇宙(ゼロスペース)を上っていく。ディアボロスもその後を追い急上昇した。

「マサシ、上昇したみたいね・・・・」

離れた所ではジゼルがルシフェルの攻撃を避けながら飛んでいる。彼女の背後からはルシフェルが連続で攻撃を仕掛けてきていた。

「何時までこんな逃げてばかりの行動をしているつもり?いい加減に死になさい!天使の失楽!」

ルシフェルが前を飛んでいるジゼルに向かって無数の光球を放つ。光球はジゼルの直ぐ近くを通過しジゼルに当たる事はなかった。

「こっちも急がないと!」

ジゼルは急降下して虚無宇宙の見えない床のギリギリまで近づき超低空飛行で飛んで行く。ルシフェルもその後を追い超低空飛行で後を追った。

「フフフ、馬鹿にしないでよね。あたしだって超低空飛行ぐらいはできるわ」

笑いながらジゼルの後を追うルシフェル。しかしジゼルの本当の狙いは別にあった。勿論マサシの考えはジゼルと同じ。そして、ディアボロスとルシフェルは二人の作戦に気づいていない。ジゼルがしばらく超低空飛行で飛んでいると、彼女は上昇し続けるマサシの真下までやって来た。そしてその直後ジゼルはマサシに向かってもの凄い速さで急上昇した。

「ん?何をする気、急降下したら今度は急上昇するなんて」

ジゼルの考えが分からずルシフェルは後を追った。一方、上昇し続けているマサシも上昇してくるジゼルの姿を確認した途端に上昇を止めてジゼルに向かって急降下した。突然目の前を急降下していったマサシを見てディアボロスは一瞬驚くが直ぐにマサシの後を追った。

「アイツ、遊んでいるのか?一体何を・・・・・・ん?」

マサシの行動が理解できずにブツブツ言っているディアボロス。だが彼はすぐにマサシがジゼルに向かって急降下している事、ジゼルがマサシに向かって急上昇している事に気付いた。だがこの時点ではまだ二人が何をしようとしているのかまでは分からなかった。

「アイツ等、一体・・・・」

考えながらもマサシから視線を外さないディアボロスを見てマサシは自分に向かって上昇してくるジゼルの方を向いて目で合図をする。それを見たジゼルも目で合図をした。そして二人があと数mでぶつかるという所まで近づいた瞬間、二人は体を反らして掠るギリギリの間を残しお互いの真横を通過した。そう、この作戦は覚醒空間で最後の修練を受けた時に二人が考えた作戦だ。そしてマサシはルシフェルに、ジゼルはディアボロスに向かって飛んで行く。それを目にしたディアボロスとルシフェルの表情は急変した。

「何っ!?ぶつかる直前にかわしただと!」
「ま、まさか、さっき行動はあたし達に自分達の後を追わせるための・・・・!」
「今更気付いても遅い!白龍閃光拳(はくりゅうせんこうけん)!!」
「気付けなかった貴方達のミスよ!天馬崩来脚(てんまほうらいきゃく)!!」

マサシは黄色い光の纏った左手で握り拳を作りその拳でルシフェルにパンチを放ち、ジゼルは水色の光を纏った崩来脚が強化された蹴りを放った。ルシフェルはそのパンチを防ごうとしたが突然迫ってきたマサシに直ぐに反応ができずパンチをまともに食らってしまった。ディアボロスも突然のジゼルの蹴りを防ぐことができずに腹部に蹴りを受けてしまう。

「うわあああああっ!!」
「ぐおおおおおおっ!!」

ルシフェルはマサシのとんでもない力に、ディアボロスはその小さな体から想像もできない力に、ディアボロスは打ち上げられるように、ルシフェルは落下するように飛ばされた。

「よしっ!成功だな」
「うん、でもここまでうまく行くとは思わなかった」
「そりゃあ、この作戦は覚醒空間で契約を交わす前の俺達に通じたんだ。契約を交わす前の俺達と同じ戦い方をするアイツ等にも効果はあるさ」
「ん〜、よく考えたらそうだね」

空中で作戦の効力に驚きながら話し合うマサシとジゼル。一方で二人の攻撃を受けてそのまま見えない床に叩きつけられる形になったディアボロスとルシフェルは起き上がって空中のマサシとジゼルを睨んだ。

「ア、アイツ等ぁ!よくもぉ・・・・!」
「絶対に、殺してやるっ!」

受けた攻撃と屈辱に怒りの表情を見せる二人は翼を広げて飛んでいるマサシとジゼルに向かって急上昇しながら突っ込んでいく。それに気付いた二人は揃って向かって来るディアボロスとルシフェルに向かって飛んで行く。向かって来るマサシとジゼルも見たディアボロスは二人に向かってBXの先を向ける。

「調子に乗るなよ!雷帝よ、断末魔を放ち敵を衰弱させよ!パラライズダウン!!」

BXの切っ先から黄色い光のリングが二人に向かって飛んでいく。マサシとジゼルは咄嗟に左右に飛び光のリングを回避した。もし食らっていたらまた体中が痺れて動けなくなっていただろう。パラライズダウンを回避した二人はディアボロスとルシフェルの真横まで移動し二人を挟む形になった。そして二人は片手をディアボロスとルシフェルに向けた。

「アストラルストリーム!!」
「エターナルバースト!!」

マサシの片手から水色の光線が放たれ、ジゼルの片手からは桃色の光線が放たれた。

「クソッ!ルシフェル!」
「エンジェリックシールド!!」

ディアボロスに指示されて自分とディアボロスを被うように円形の結界を張ったルシフェル。赤い結界はマサシとジゼルの光線をなんとか防いでいるが、二人の光線の方が強力だあった為、結界を破った水色と桃色の光線は挟む様にディアボロスとルシフェルに命中し大爆発を起した。

「ヌウオオオオオオッ!!」
「キャアーーーーーッ!!」

二人の上級技を受けて叫び声を上げるディアボロスとルシフェル。命中したのを確認したマサシとルシフェルは再び合流してディアボルスとルシフェルの方を向いた。

「やったね!」
「ああ、契約魔法や普通の技は効かなくても上級の技であるアストラルストリームとエターナルバーストは通じた・・・・」
「でもどうしてあの二つの技は通じたの?いくら上級の技でも一緒に同じ所に攻撃したほうが効果があるんじゃないの?」
「ルシフェルの結界は強力だ。でも弱点が無いわけじゃない、結界やバリアなんかは一点からの攻撃には強い抵抗力があるけど別々に正反対の方向から攻撃すれば抵抗力が弱くなって結界を破ることができるって訳だ」
「へぇ〜そうなんだぁ。・・・・ちょっとまって、よくよく考えたら戦い始めた直後にそうすれば最初のうちに楽に戦えたんじゃない?」
「・・・・・・あ」

ジゼルに言われ、マサシは間抜けな声を出して気付いた。そんな少し気楽な会話をしていた二人は何かの気配に気付きフッと首を動かした。二人の視線の先には先ほどの攻撃によって舞い広がった黒い爆煙から飛び出てきたディアボロスとルシフェルだった。二人は体中傷だらけで彼方此方に焦げ跡があった。

「・・・・貴様等ぁ、とうとう俺達を、本気で怒らせてくれたな!」
「・・・・もう余興も遊びも終わりよ!跡形も無く消し飛ばしてあげるわ!」

完全に怒りが頂点に達したディアボロスとルシフェルはマサシとジゼルを睨みながらゆっくりと空中で移動を始める。ルシフェルはディアボロスの胸の前まで移動し、ディアボロスもBXを捨てた。そして二人はマサシとジゼルを睨みながら何かに意識を集中させる。

「マサシ、あの二人の隊形!もしかして!」
「ああ、ゼログランドクロスが来る」

ディアボロスとルシフェルは再びゼログランドクロスを発動しようとしていたのだ。マサシとジゼルはチャンスと確信し、ゼログランドクロスが発動する前に攻撃を仕掛けようと一気に近づいた。

「「迎えよ、弱者を消し去る破滅の時」」

ディアボロスとルシフェルの前後左右に紫黒(しこく)の巨大な光球が現れた。マサシとジゼルは巨大な光球の隙間、つまり斜め前からディアボロスとルシフェルに向って再び片手を向ける。

「これで終わりだ!アストラルストリーム!!」
「今度こそ最後よ!エターナルバースト!!」

マサシとジゼルはディアボロスとルシフェルに再び水色と桃色の光線を放った。二つの光線がディアボロスとルシフェルに近づいていき命中しすると思われた、次の瞬間、信じられない事が起きた。紫黒の巨大な光球の間に紫黒の結界が突然現れて二人の光線を防いだのだ。

「何っ!?」
「ウソッ!?」

最大のチャンスと思われていたタイミングの攻撃が通じなかった。マサシとジゼルは驚きを隠せなかった。だが驚いている暇は無い、二人は急いでディアボロスとルシフェルから離れた。

「「奏でよ、ゼログランドクロス」」

名を口にした直後に前後左右に紫黒の巨大な光線が放たれた。命中はしなかったが光線から出てくる衝撃が二人を襲った。

「「うわあーーーーっ!!」」

マサシとジゼルは衝撃に叫びを上げながら宙を舞った。そして巨大な光線が消え、体勢を立て直したマサシとジゼルは再び合流してディアボロスとルシフェルの方を向いた。

「大丈夫?」
「ああ、だけど、ヤバイ事になったな。最大のチャンスと思っていた時に攻撃が効かないなんて」
「どうして攻撃か効かなかったの・・・・?」

理由が分からないマサシとジゼルにディアボロスとルシフェルはその場を動かずに喋った。

「俺達が演唱中の隙に対してなんの対策もしていないと思ったか?馬鹿め」
「演唱中はあたし達に近づいたり攻撃することができないように斜めの隙間には結界が張られるようにしてある、斜めからの攻撃は結界で全て掻き消されるよ」
「そんな・・・・」
「クソッ!迂闊だった、そんな単純なことに気付かなかったなんて・・・・」

自分のミスに気付いたマサシは握り拳を作り自分の愚かさを憎んだ。しかし、マサシとジゼルに構う事無く再びゼログランドクロスの演唱を始めた。





その頃、天空魔導城では神竜隊と親衛隊の戦いが続いていた。

「ウインドグレネード!!」

ユウタが風の纏った腕で最後のドラゴンナイトに右ストレートを放ちドラゴンナイトを突き飛ばした。

「グワオーッ!!」

突き飛ばされたドラゴンナイトは壁に叩きつけられそのまま黒い霧となり消滅した。

「ハァハァ、コイツで最後か・・・・」
「うん、これでようやく片付いたね・・・・」

疲れきった顔で状況確認するユウタと座り込んで一息つくコンタ。他の三人も疲れ果てた様子で自分達の状態と武器を確認した。

「でも危なかったわね、もう呪符が無くなってライトダガーも刃こぼれしちゃったし」
「こっちももう少しで弾切れになるところだった。正直助かった、魔人との戦いの後に光弾は使いたくなかったからな」

既に魔人との戦いで体力を使い果たした為、気力を使いたくなかったシオンやレイナにとってこの戦いは極めて危険な戦いだったのだろう。

「そうだ、マサシとジゼルは!?」

ネリネが折れた剣を鞘に収めてユウタ達の方を向き二人の事を気に思い出した。

「そうだ、確か二人はディアボロスとルシフェルと戦っているはずだよ」
「でもさっき親衛隊がディアボロスが最強の技を使ったって言ってたよね?」
「ああ、そしてさっきの衝撃は外からのもの、つまりアイツ等は外で戦ってるって事だ!」
「急ぎましょう、二人が心配だわ!」

ネリネの言葉にコンタ達は一斉に頷き城の外へ出て行った。五人が外へ出ると虚無宇宙に紫色の光が広がるのが見えた。

「キャア!な、何なのこの光は!?」
「もしかして、これが親衛隊の言っていた最強の技!?」

光の驚き目を閉じるシオンとネリネ。すると、レイナが何かを見つけたのか城の上を指差した。

「おい、あれを見ろ」
「ん?」

レイナの指差し方角を見るユウタ。コンタ達もそれにつられて見上げた。そして五人は城の遥か上のほうで黒い竜と向かい合うマサシとジゼルを見つけた。

「マサシとジゼルだ!」
「お、おい、アイツ等が向かい合っているあの黒い竜って前にマサシが契約を交わしていた時の竜の姿じゃないのか?」
「それじゃあ、あれがディアボロス?」
「じゃあ、アイツの懐にいる小さな悪魔っ娘は・・・・」
「「「悪魔っ娘ぉ?」」」

レイナの発言にネリネ以外の三人は目を点にして彼女の顔を見た。

「ん?どうした?」
「う、ううん、何でもない・・・・」
「アンタ、今回の戦いでボケに目覚めたんじゃないの?」

首を振るコンタとレイナの変わり様に苦笑いをするシオン。するとネリネが慌てた様子で話に割り込んできた。

「それよりも、早く二人を助けに行かないと!」
「あ、ああ、そうだったな!」

気付いたユウタとシオンが竜翼を背中から生やしユウタがコンタを、シオンがレイナを背中から抱き上げて上昇する。ネリネも天使の翼を生やして後を追った。だがしばらく上昇していると、突然シオンが見えない何かにぶつかり空中で体勢を崩した。

「イタタタッ!な、何なのよ?」
「・・・・これは、結界か?」
「結界にしちゃあ随分と平らだったわよ」

見えない物に行く手を阻まれたシオンとレイナ。そこへユウタとコンタ、そしてネリネが追いついた。この時神竜隊はディアボロスとルシフェルが作り出した見えない床の事を知らなかった為、これ以上先に進めず空中で止まってしまった。

「一体どうすればいいんだ?」
「おーい!マサシー!ジゼルー!」

コンタが見えない床の先にいる二人に向かって大声で叫ぶと、マサシとジゼルはそれに気付き見えない床を見下ろしコンタ達の姿を見つけた。

「皆!無事だったのか!」
「当たり前だ!約束しただろう、絶対に死なないってな!」
「よかったぁ・・・・」

ユウタ達の笑う顔を見て安心するマサシとジゼル。だがそんな光景を見たディアボロスとルシフェルはニッと笑い再びゼログランドクロスの力を溜め始める。

「フッ、役者が揃ったか。お前達に見せてやるぜ!」
「貴方達の希望であるこの二人の死ぬ瞬間をね!」

コンタ達にそう告げたディアボロスとルシフェルはマサシとジゼルの方を向いて演唱を始めようとする。それに気付いたマサシとジゼルは少し慌てるような表情で構えた。

「マサシ、また来るよ!」
「クゥ〜!コンタ達は見えない床の下だから安全だけど、このままじゃ俺達は持たないぞ早く片をつけないと!」
「でもこっちの攻撃が効かないんじゃ埒が明かないよ、どうすれば・・・・・・そうだっ!」
「ん?どうした?」
「マサシ、『アレ』を使うのよ!」
「アレ・・・・・・ッ!まさか、あの技か!?」

ジゼルの「アレ」の意味を理解したマサシは慌てるような顔で訊き返した。ジゼルは頷いてマサシをジッと見る。

「そう!覚醒空間から出てエミリア様の修行を受けている時にあたしと貴方で編み出したあの技よ、アレなら闇の力を持つゼログランドクロスを打ち消すことができるわ」
「・・・・・・」
「斜めからの攻撃が効かないなら正面からあの光線を打ち消して攻撃すればいい。マサシ、あの技を使いましょう!」
「ヤダッ!!」
「わたたたたたっ!」

突然大声を出すマサシにジゼルは思わず驚き体勢を崩す。だが直ぐに体勢を直してマサシの方を向いた。

「ど、どうしたのよ?」
「二人だけの時ならまだしも、神竜隊(アイツ等)の見ている前であの技だけは絶対に使いたくない・・・・」
「あ、あのねぇ!こんな時に何言ってるのよ、もうこれしかアイツ等を倒す方法は無いのよ!?」
「それでも!アイツ等の前で・・・・『あの呪文』を演唱するのだけはイヤだ・・・・」
「あ、貴方ねぇ・・・・」

マサシの考えを理解したのか、ジゼルは頭を抱えだした。どうやら技の呪文に何か問題があるようだ。そんな二人のやり取りを見えない床の下から見ている神竜隊。

「何ブツブツ言ってるんだろう?」
「呪文がどうのこうのって言ってるわよ」
「呪文に何か問題でもあるんじゃないのか?」
「だとしても、あのマサシがあそこまで嫌がるなんて、なんか変だぞ」

マサシの動きに首を傾げる神竜隊。その一方でディアボロスとルシフェルはマサシとジゼルの会話を聞き鋭い目で二人を見た。

「アイツ等、何かを仕出かす気の様だ。ルシフェル、早いとこ終わらせるぞ」
「OK」
「「受け入れよ、覇者が下す悪魔の鉄槌」」

ゼログランドクロスの演唱を始めるディアボロスとルシフェル。それを見たジゼルは急いでマサシを説得する。

「マサシ、アイツ等演唱を始めたよ!早く!」
「うう〜・・・・」
「マサシ!!」
「・・・・あ〜もうっ!分かったよ、やればいいんだろう!!」

遂に観念したマサシはアロンダイトを鞘に納めてジゼルと共に技の発動準備に入る。マサシとジゼルはお互いに向かい合い、マサシは左手をジゼルの腰に回し、ジゼルは右手をマサシの腰に回してお互いの体を寄せ合う。そして残った右手と左手を指を絡ませながらに繋ぎ、その手をディアボロスとルシフェルに向ける。そして技の演唱を始めた。

「光の使者、命を授ける聖母となり」
「き、希望の勇者、人々に平和を授ける聖者となる」
「女神の奏でる無償の愛」
「夢を叶える・・・・恋人達」

突然呪文なのか分からない言葉を口にする二人。明らかにマサシは恥かしがっている、そんな二人を見た神竜隊は・・・・。

「ア、アレって呪文なの・・・・?」
「呪文というか、ポエムじゃないですか?」
「ど、どちらにしても、恥かしい言葉を並べてるなぁ。特に最後・・・・」
「これならマサシが嫌がるのも頷ける」
「そ、そうね・・・・」

と、各自色々な意見を口にしていた。そんな時、ディアボロスとルシフェルに向けられているマサシとジゼルの手の先に深緑の光が集まりだした。ディアボロスとルシフェルはマサシとジゼルも切り札を出してくると察し更に力を高めた。

「アイツ等も切り札を出してきたって事か」
「いいわ、あの技を打ち消してアイツ等の真の絶望をくれてやりましょう」

低い声を出すディアボロスとルシフェル。そして遂に二人は技を発動した。

「「塵と化せ!ゼログランドクロス!!」」

マサシとジゼルに向って巨大な紫黒の光線が放たれた。その瞬間、マサシとジゼルも切り札である技を発動した。

「「闇を消し去る聖夜となれ!ホーリーナイトラヴァーズ!!」」

二人の手の先から白銀の粒子を纏った深緑の光線が放たれた。大きさは紫黒の光線よりも小さく力が劣っている、と普通の人間は思うだろう。だが、深緑の光線と紫黒の光線がぶつかった瞬間、深緑の光線が少しずつ紫黒の光線を掻き消しながらディアボロスとルシフェルに迫っていく。

「な、何だと!!?」
「そ、そんな!あんな小さな光線にゼログランドクロスが押されている!!?」

驚くディアボロスとルシフェル。そんな二人を見てマサシとジゼルが静かに口を開いた。

「教えてやるよ、このホーリーナイトラヴァーズは闇に抵抗する力に特化した技だ」
「他の力を捨てた分、全ての闇を打ち消す力がこの技にはあるのよ!」
「闇の力を扱うお前達の技にとってコイツは天敵って事だよ!」

深緑の光線は巨大な紫黒の光線を打ち消して行き、遂に光線その物を消滅させルシフェルに迫った行った。

「そ、そんな・・・・うわぁーーーーーーっ!!」

深緑の光線はルシフェルを飲み込み跡形も無く消滅させるとそのままディアボロスに向って行きディアボロスの大きな腹部に命中しディアボロスを貫通した。

「ば、馬鹿な!俺達が、こんな人間どもにぃーーーーー!!」

無念の叫びを残し、ディアボロスの大きな体は爆発に飲み込まれた。その光景を離れた所で確認したマサシとジゼルの顔から、心の底から笑っていると言える程の笑顔が現れた。

「やった・・・・」
「あたし達、勝ったのね・・・・」

遂に長かったディアボロスとルシフェルとの戦いが終わった。世界を消滅させようとしていた銀河騎士団エクス・デストロとの戦いも遂に終わりを迎えようとしているのだ!!


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