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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第167回   第百六十六話 闇の究極魔法 ゼログランドクロス!
真の姿でマサシとジゼルに強襲を仕掛けたディアボロスとルシフェル。その恐るべき力に押されてしまうマサシとジゼルであったが決して二人は諦めなかった。世界を守る為に二人の黒い神に自分達の持てる全ての力をぶつけて戦うのだった。

「そんな体で何時まで持つかな?」
「お前達を倒すまで持って見せるさ!」

ディアボロスを睨みながら言い放ったマサシは大きく後ろへ飛び距離を作るマサシ。ジゼルもそれについて行く様にルシフェルから離れてマサシと合流した。二人はディアボロスとルシフェルの正面、そしてラビリアンと虚無宇宙(ゼロスペース)を繋ぐゲートの間にいた。ゲートの前には天空魔導城が浮いている。

「大丈夫?」
「ああ、でも変だな」
「何が?」
「さっきディアボロスはカオスアブソリュートを放ってきやがった。あの技は俺が奴と契約を交わしていた時の最強の技だ、それをさっき使ったのがどうも腑の落ちない」
「アイツ等も本気を出してきたんだから、最強の技を使ってきてもおかしくないんじゃない?」
「いや、奴等は俺達の精神をコピーして実体化したんだ、つまりディアボロスの考え方は俺と殆んど同じと言う事。俺なら相手を弱らせて二人まとまっている所に最強の技をぶつけて勝負をつける。でもさっきアイツは俺がジゼルと別れて一人で戦っている時の俺に使ってきた・・・・」
「もしあの技が最強の技ならあたしと一緒にいる時の使っていた筈?」
「ああ・・・・つまりアイツには」
「まだ奥の手がある・・・・」

二人は体力の回復と同時にディアボロスと攻撃を分析していた。そんな二人の様子をディアボロスとルシフェルはジッと見ながら話し合っている。

「アイツ等、また合流して作戦タイムかしら?」
「フッ、よっぽど二人一緒にいるのが好きらしい」
「だったら、二人一緒にいさせてあげましょう。死んだ後もね」
「・・・・『アレ』を使うつもりか?」
「そろそろ良いんじゃない?」
「奴等はまだ完全に弱りきっていない、今使っても簡単にかわされる。力の無駄だ」
「そうかしら?一度アイツ等に見せてあたし達と自分達の力の差を思い知らせるっていう心理攻撃にも使えるから、決して無駄にはならないはずよ」
「・・・・・・」
「その後にまた甚振って完全に弱った所にもう一発、というのも悪くないんじゃない?」
「・・・・分かった、お前がそこまで言うのなら良いだろう」
「ありがとう♪」

ルシフェルは自分より遥かに大きなディアボロスに向かってウインクをしながら礼を言うと、ディアボロスの大きな胸の前まで飛んで目を閉じて何かに集中するように目を閉じた。ディアボロスも自分の懐にルシフェルが来た事を確認するとマサシとジゼルの方を見たまま両手を横に伸ばした。それに気付いたマサシとジゼルは直ぐに構えてディアボロスとルシフェルに意識を集中させた。

「何?アイツまた何かをやらかす気!?」
「分からない、でも警戒を強め・・・・・・ッ!?」

警戒を強めるように言おうとしたマサシは悪寒を感じとり咄嗟にジゼルの手を掴んだ。

「マ、マサシ、どうしたの?」
「何かとんでもなくヤバイのが来る・・・・」
「ヤバイの?それって・・・・」

「どういう事?」と訊こうとしたジゼルはマサシの横顔を見ると途中で言葉を止めた。今までマサシが見せた事の無い程の大量の汗を流していたのだ。すると、今度はディアボロスとルシフェルの声が聞こえ、ジゼルは顔の向きを変えた。

「「触れよ、全てを無にする神の力」」

呪文のような言葉を低い声でピッタリと揃えて口にしているディアボロスとルシフェル。すると、ディアボロスとルシフェルの前後左右に巨大な紫黒(しこく)の光球が現れた。その光球は竜の姿になったディアボロスを飲み込んでしまいそうな程の大きさだった。

「ッ!ジゼル、来いっ!!」
「え、えっ!?」

叫んだマサシはジゼルの手を力強く握り急上昇した。ジゼルは理解できずに只マサシに引っ張られながら上昇する。そしてジゼルが上昇しながらディアボロスとルシフェルを見下ろした。そして次の瞬間、ジゼルはマサシの大量の汗の意味を理解するのだった。

「「鎖せ、ゼログランドクロス」」

技の名前らしき言葉を口にした瞬間、四つの光球から巨大な紫黒の光線が前後左右に一直線に放たれた。その内の一本がさっきまでマサシとジゼルがいた場所を通過した。

「う、嘘・・・・」

光線のあまりの速さと大きさに驚くジゼル。その光線はそのまま虚無宇宙のゲートへ向かって行き、天空魔導城の見張り台に掠り、ゲートの上部を破壊しそのままラビリアンへ浸入するように飛んで行く。そしてラビリアンの戦場から離れた所にある山に命中。すると、まるで核が爆発するような大爆発が起きて山頂を消し飛ばした。





同時刻、天空魔導城内ではマサシとジゼルを行かせる為に親衛隊の足止めをしていた神竜隊が城に伝わる衝撃と振動に戦闘を止める。

「な、何だ今の衝撃は!?」
「この城の中じゃない、外からだ!」

突然の衝撃にユウタとレイナが天井を見上げて声を出す。他の三人と親衛隊も戦いを止めて天井を見上げた。

「外で戦いが起きてるの?」
「ありえないわ、認めたくは無いけどこの城の防御力はとても高いわ。私達が城に来る事さえ難しかったのに、この城にここまでの衝撃と揺れを起す程の攻撃を連合軍(こっち)にできる筈無いもの」
「確かに、じゃあこの衝撃は一体・・・・」

コンタ、シオン、ネリネもそれぞれの考えを口にすると、ドラゴンナイトの一人が嬉しそうな声で言った。

「おおっ!遂にディアボロス様とルシフェル様が最強の技をお使いになられた!」
「ディアボロスとルシフェル!?」
「それってどう言う事よ!」

ドラゴンナイトの言葉にユウタとシオンが睨みながら聞き出そうとするが、ドラゴンナイトはニッと笑いながら騎士剣を構えた。

「知りたければ直接見に行ったらどうだ?最も、我々を倒す事ができなければ話にならないがな」

ドラゴンナイトの後ろには別のドラゴンナイトが大勢騎士剣を構えて立っている。最初の時と比べると数は少し減っているがまだ多い方だ。

「もうっ!何でコイツ等こんなに強いの!?」
「いくら親衛隊だからって、コイツ等の強さは今までの雑魚とは比べ物にならない!」

親衛隊のあまりの強さに文句を言い出すシオンとコンタ。すでに神竜隊の体力は魔人との戦いの後のため限界に近く、持っている銃弾の予備も無くなりかけているのだ。それなのにまだ数人のドラゴンナイトを倒す事しかできていない事に神竜隊も焦り始めているようだ。

「フフフ、知りたければ教えてやろう」

ドラゴンナイトの一人が笑いながら喋りだし、神竜隊全員がそのドラゴンナイトを見た。

「我々親衛隊は体内に擬似魔封石を埋め込んでいるのだ」
「「「!!」」」

擬似魔封石という言葉を聞いた神竜隊の表情は急変した。

「擬似魔封石だと?」
「擬似魔封石って、ヘルデストロイヤーが作り出した魔封石のコピーっていう?」
「そのとおりだ、我々親衛隊は擬似魔封石を埋め込まれている為、身体能力は貴様等契約者と同じだ。しかもヘルデストロイヤーの作っていた出来損ないと違い、我々は細胞固定薬が無くても状態を維持できるのだ!」

完璧な擬似魔封石の存在に神竜隊の焦りは更に酷くなった。自分達と同じ契約者の力を持つ竜の騎士達が自分達に剣を向けているのだから。

「ど、どうするのユウタ」

コンタがユウタにどう対処しするかを尋ねると、ユウタも汗を垂らしながら新しいチャクラムを取り出して考えた。

「どうするもこうするも、戦うしかないだろう。皆、レベル・3は使えるか?」

ユウタの問いにネリネ以外の神竜隊は頷いた。それを見たユウタは親衛隊の方を見て構える。

「レベル・3を発動するぞ!マサシとジゼルも命を賭けて戦ってるんだ、俺達も全力でコイツ等と戦うんだ!」
「で、でも・・・・」
「マサシとジゼルは俺達を信じて行ったんだ!俺達も二人に信じろと言った、だったら最後まで自分達の意志と信念を貫け!」

ユウタに渇を入れられコンタや他の神竜隊も汗を垂らしてはいるが表情に鋭さが戻った。レベル・3を発動した神竜隊は世界のために、マサシとジゼルに再会するために、親衛隊に向かって行った。





天空魔導城の外ではディアボロスとルシフェルの最強技であるゼログランドクロスを目にしたマサシとジゼルが驚きのあまり表情を固めていた。

「な、何なのよ・・・・今のは・・・・?」
「まさか、アレがアイツ等の奥の手か・・・・?」

巨大な光線が虚無宇宙からラビリアンへ放たれ、山一つを消し飛ばしてしまう程の破壊力に二人は空中で驚くしかできなかった。

「前後左右に巨大な光線を放ち攻撃する技。しかも極めて強力、大きさも今までの技とは桁違い、これじゃあ迂闊に・・・・・・ジゼル?」

マサシはふと自分の腕の中にいるジゼルに目をやった。彼女の体はひどく震えている。顔をマサシの胸に埋めるようにし、目元には微量の涙が溜まっている、ゼログランドクロスを目にして恐怖を感じ始めたのだ。

「・・・・勝てるわけない、こんな化け物に・・・・勝てるわけないじゃない」
「ジゼル!しっかりしろ!」

怯えきっているジゼルを正気に戻そうとマサシはジゼルの肩を揺さ振りながら彼女に語りかけた。そんな光景をディアボロスとルシフェルは不敵な笑顔で見ていた。

「フフフ、ほらね。あたしの睨んだおとおりでしょう?」
「ああ、ジゼルは完全に動揺している。マサシも少しは動揺していたようだが、アイツにはジゼルの状態にたいしていの方が動揺が大きかったようだ」
「このチャンス、早速使わせてもらいましょう♪」
「フッ、当然だ」

ディアボロスとルシフェルはマサシとジゼルに向けて攻撃準備を始める。その事に気付いていないマサシは必死でジゼルに語り続けていた。

「しっかりしろ!諦めたらそれでお仕舞いだぞ!?」
「だって・・・・あんな攻撃をどうやって・・・・・・」
「そんなの後から考えれば良い!今は生き抜く事だけを考えろ!俺達がここで諦めたら・・・・」

語っている最中にマサシは殺気を感じディアボロスとルシフェルの方を向いた。自分達に向かって赤黒い光線と無数の青紫の光のリングが飛んでくるのが見え、マサシはジゼルを抱えながら急上昇し攻撃を回避した。

「あっぶね〜っ!」

ギリギリで回避することができてホッとするマサシは再びディアボロスとルシフェルの向いて睨みつける。二人が翼を広げて自分に向かって飛んで来るのを確認したマサシは加速し二人から離れ、再びジゼルに語りかけた。

「俺達が諦めたら誰があの二人を止めるんだ?アイツ等を止められるのは俺とお前だけなんだぞ!」
「でも・・・・・・」
「思い出せ!俺達は何を背負って戦ってるんだ!?」
「ッ!・・・・・・ラビリアンとラビリアンに住む人の・・・・運命」
「そうだ、俺達が死ねばより多くの人が死ぬんだ、彼等の為にも俺達は生きなければならない!だから諦めるな、諦めなければきっと勝機は生まれる!」
「・・・・そう、だったね。ゴメン、分かりきっていた事なのに」
「よしっ!それじゃあ放すぞ?」
「うん!」

マサシは両手を広げてジゼルを放した。ジゼルは竜翼を広げてマサシの隣まで上昇し、同じ速度まで加速した。二人は後ろを向きディアボロスとルシフェルが追って来ている事を確認する。

「何時までそうやって逃げ回る気だ?」
「逃げてるだけじゃ勝てないわよ?」
「チッ!」

舌打ちをするマサシは再び前を見て速度を上げる。ジゼルも彼に合わせる様に速度を上げた。

「マサシ、どうする?」
「さっきの巨大な光線は強力だが発動するのに時間が掛かる。アイツ等があの大技を使おうとすれば必ず隙ができるはずだ、その時にこっちも大技を仕掛ける!」
「奴等があの光線を使うまで逃げ回るの?」
「いや、アイツ等の事だ。今度は確実に仕留める為に俺達が弱るまで使ってこないだろう」
「そ、それじゃあ、わざとアイツ等の攻撃を受けるの?」
「まさか、俺達はそこまでお人好しじゃないだろう?」
「じゃあどうするの?」
「使ってこないなら使わせる状況に作ればいい」
「もってえぶらないで!」
「奴等は俺達が動揺していると思い油断しているはずだ。そこで俺達が奴等に大ダメージを与えて追い込めばいいんだ。そうすれば奴等は必ず使ってくる」
「ダメージを与えるって、どうやって?普通に戦ってもアイツ等には殆んど傷を終わる事ができなかったんだよ?」
「俺達が今まで使わなかった戦法で攻めればいいのさ」
「どんな戦法?」
「それはな・・・・・・」
「・・・・・・成る程」
「それじゃあ、その戦法で行くぞ?」
「ええ!」

マサシとジゼルは急停止してディアボロスとルシフェルの方を向く、だがディアボロスとルシフェルは止まる事なく二人に向かって飛んで来た。

「観念したようだな!」
「なら、そこを動かないでよ、また逃げられると面倒だから!」
「誰が逃げるか!」
「貴方達に見せてあげるわ、あたしとマサシのコンビネーションを!」

ディアボロスとルシフェルの最強の技、ゼログランドクロスが炸裂。だがマサシとジゼルはその最強の技を自分達の勝利へのチャンスにしようとしている。二人はディアボロスとルシフェルを倒せるのか?最終決戦は遂にクライマックスを迎えようとしていた!!


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