20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第166回   第百六十五話 最終決戦!マサシ&ジゼルVSディアボロス&ルシフェル! No4

最上級の契約魔法「フォーチュンヒーリング」を発動し全ての怪我、疲労を回復したマサシとジゼルは万全の状態で戦いを再開させる。それを見たディアボロスとルシフェルはマサシとジゼルの計り知れない能力に驚きを隠せないでいた。

「これでレベル・3を維持できる。さあ、戦いを再開しようぜ!」
「勝負はまだまだこれからよ!」

疲労も無くなり表情に明るさと気合が戻ったマサシとジゼル。そんな二人を見てディアボロスとルシフェルの表情は驚きから鋭い表情へ変わった。

「・・・・どうやら俺達はアイツ等を過小評価しすぎていたようだ」
「そうね、完全に見くびっていたわ・・・・」
「これは、俺達も本気で行かないとヤバイかもな・・・・」
「ええ、見せてやりましょう、あたし達の本当の力、そして本当の姿を・・・・」

低い声でマサシとジゼルを見ながらゆっくりと二人から離れるディアボロスとルシフェル。そして二人は体から黒い炎のような物が吹き出てきた。その炎は二人を包み込み、ディアボロスの炎は燃え上がりながら徐々に大きくなっていくが、ルシフェルの炎は大きさを変える事無く燃え続けている。そしてしばらく経つと炎はゆっくりと消え、中から姿を変えたディアボロスとルシフェルが現れた。

「あれが・・・・」
「アイツ等の本当の姿・・・・」

姿を変えたディアボロスとルシフェルを見てマサシとジゼルは驚いた。ディアボロスはマサシと同じ姿から黒竜の姿へ変わっていた。大きさは4m程で太い腕と脚に鋭く伸びる爪、長い竜尾と大きな竜翼、そして長い首と鋭く光る牙を生やした顔に銀色の角と真紅の眼。ディアボロスと契約を交わしていたマサシがレベル・5を使用した時と同じ姿だ。だが、今までと違うのはディアボロスの右手に巨大化したBX(ブラックエクスカリバー)が握られていた事だ。

「ディアボロスの奴、とうとうドラゴンの姿になったか・・・・」

マサシが姿を変えたディアボロスを睨んでいる時、ジゼルはルシフェルの方を見ていた。ルシフェルは大きさは変わっていないが、姿形は明らかに違っている。髪は銀色のツインテールからロングヘアーに変わり頭から小さな銀色の角が二本生えている。漆黒のレオタードの様な服装で両手には肘の辺りまである手袋、両足には黒い革製のロングブーツを履いている。そして長く伸びる悪魔の尻尾に背中には変身前と変わらない漆黒の天使翼が生えていた。

「あれがアイツの本当の姿・・・・」

変身を終えたディアボロスはマサシの方を見てニッと笑いながら話しを始めた。

「どうだ?久しぶりに見たこの姿、カッコいいだろう?」
「ああ、昔はそう思っていたが、今となっては醜い姿にしか思えない」
「フッ、随分な心変わりだな?ならお前にその醜い姿の俺に殺される権利をくれてやる」

マサシとディアボロスが話している時、ジゼルもルシフェルの会話していた。

「どう、ジゼル?あたしのこの姿、とてもキュートで魅力的でしょう?」
「・・・・あたしからすれば悪趣味な格好にしか思えないわ」
「あら、マサシ達の世界ではこの姿でスポーツの大会とかに出る女の子がいるのよ?」
「えっ?」
「あ、今一瞬『あたしが同じ姿ならマサシはどう反応するだろう』って思ったでしょう?」
「な、何言ってるのよ!今は戦いの真っ最中よ、真面目にやりなさい!」
「あらあら、図星を突かれて怒るなんて見っともないわよ」
「クッ・・・・!」

完全に馬鹿にしているルシフェルにジゼルはだんだん頭に血が上ってきた。だがそんな時彼女の手に温かい感触があった。フッとそれを見ると、マサシの手が自分の手を握る光景があったのだ。

「落ち着けジゼル、挑発に乗るな。感情的になると冷静な判断ができなくなって戦闘に支障が出る」
「ゴ、ゴメン・・・・」

マサシの言葉にジゼルは謝り、ゆっくりと冷静さを取り戻す。一方のマサシはジゼルに見られない角度で頬を赤くしていた、大方ジゼルのレオタード姿を想像していたのだろう。

「イチャつくのはそれぐらいにしろ」
「あたし達は早く貴方達と戦いたいんだから」

二人の会話を見ていたディアボロスとルシフェルは痺れを切らせたのか話に割り込んできた。それに気付いたマサシとジゼルは手を離し戦闘態勢に入る。

「言われなくたってそのつもりだ!お前達を倒してこの馬鹿げた戦いをさっさと終わらせてやる!」

マサシの言葉を合図にマサシとジゼルは契約魔法の演唱を始めるのと同時に右手を天に掲げるように上げた。

「闇を消し去る聖なる爆炎!エクスプロージョン!!」
「雷雲よ、敵を貫く剣となれ!サンダーソード!!」

マサシとジゼルは同時に演唱を終え、マサシの手の上に白い炎の火球、ジゼルの手の上には紫電の剣が現れ、二人は一斉にそれをディアボロスとルシフェルに向けて投げ付けた。火球と剣が迫ってくるにもかかわらずディアボロスとルシフェルはその場を動こうとしない。そしてディアボロスが左手を突き出し、飛んできた大きな火球と剣はディアボロスの左手に命中し爆発した。

「ア、アイツ素手で!」
「上級の契約魔法二つを止めたの!?」

ディアボロスの驚くべき行動に声を出すマサシとジゼル。そして爆煙が消えると、そこには契約魔法を止めた左手から少しの煙を上げ、そのままの態勢のディアボロスと何もせず飛んでいるだけのルシフェルがいた。

「馬鹿な!殆んどダメージを受けてない!」
「体が大きくなったせいか、上級の契約魔法の力も効き難くなったって事?」

全く痛みを感じた様子を見せないディアボロスと、その懐であくびをする小さなルシフェル。するとディアボロスが左手を下ろしてつまらなそうな声で言った。

「上級の契約魔法を二つぶつけてもこれが限界か。さっさと終わらせるぞ、ルシフェル」
「OK、じゃあアレお願い」
「ああ」

ディアボロスはBXの切っ先をマサシとジゼルに向けて契約魔法の演唱を始めた。マサシとジゼルはどんな契約魔法が来ても直ぐに対応できるように構える、だが今ディアボロスが演唱しているのは今までに無いタイプの契約魔法なのを二人は気付かなかった。

「雷帝よ、断末魔を放ち敵を衰弱させよ!パラライズダウン!!」

演唱を終えたディアボロスが魔法の名を叫ぶと切っ先から黄色い光のリングがマサシとジゼルの方へまるで波紋が広がるように大きくなり飛んでいく。そしてそのリングは二人を囲むように通り過ぎた。

「うわぁっ!」
「キャア!」

リングが自分達を通り過ぎた瞬間に体に走る痺れ、それを感じたマサシとジゼルは思わず声を上げた。そして二人は直ぐに体に起きた異変に気付いた。

「な、何だ?・・・・体が・・・・」
「痺れて・・・・動かない・・・・?」

マサシとジゼルの体はなぜか完全に麻痺して動かなかったのだ。その光景を見ていたルシフェルはクスクスと笑いながら二人に説明した。

「それはパラライズダウン、光のリングの中に入った標的の体を痺れさせて動きを封じる契約魔法よ。その魔法を受けたらしばらくはまともに動けないわよ」
「なん、だと・・・・?」
「言ったはずだ、さっさと終わらせる、とな」

ディアボロスはその巨体とは裏腹にとんでもない速さでマサシとジゼルに接近し、クルッと回り大きな竜尾で二人をなぎ払った。

「ぐわぁーーっ!!」
「キャアーーッ!!」

体が痺れていたせいで防御は勿論、回避すらできなかった二人はディアボロスの攻撃をまともに受けてしまった。だがこれだけでは終わらない、飛ばされた二人の背後にはルシフェルが先回りしていた。

「ディアボロス、一人で楽しまないでよね。受けなさい、心無き天使!」

天使の失楽に続いてまた聞いた事の無い技の名を叫んだルシフェル。すると、彼女の青紫の光を放つ無数のリングが現れた。まるで闇に染まった天使の輪のようだ。そしてそのリングが一斉に飛んでくるマサシとジゼルに向かって飛んで行き、二人に命中すると同時に爆発した。

「「うわあぁぁぁぁぁっ!!」」

背中から伝わる痛みの熱に叫びを上げたマサシとジゼルは爆発の勢いで見えない虚無宇宙(ゼロスペース)の地面に叩きつけられた。それを見届けたディアボロスとルシフェルはゆっくりと降下し見えない地面に着地し、叩きつけられたまま起き上がらないマサシとジゼルに向かって歩いていく。

「く、くそぉ・・・・」
「うう・・・・」

ディアボロスとルシフェルが近づいている事に気付いたマサシとジゼルだが、体中の痛みとまだ取れていない痺れのせいでうまく起き上がれないでいた。必死で起き上がろうとするが、その時既にディアボロスとルシフェルは二人の目の前まで来ていた。ディアボロスはその大きな左手で倒れているマサシをまるで人形を掴むように持ち上げ、長い首を動かし自分の顔をマサシに近づけた。ルシフェルも長い悪魔の尻尾をジゼルの首に巻きつけてゆっくりと持ち上げた。

「残念だが、ここまでだな?マサシ」
「ぐわぁ!ぐうぅぅっ!」

力の入るディアボロスの左手がマサシの体をミシミシと締め上げていき、その痛みにマサシは思わず声を漏らした。

「あたし達を本気にさせて事は褒めてあげるけど、到底あたし達に届くほどではなかったわね」
「ううっ・・・・ああっ・・・・!」

長い尻尾でジゼルの首を絞めながら笑うルシフェルと苦しさに顔を歪めるジゼル。

「フォーチュンヒーリングを使ったとしても、その場凌ぎにしかならなかったな。これど本当に最後だ」

ディアボロスは右手で握っているBXの切っ先をマサシの首に近づけて止めを刺そうとする。だがマサシはディアボロスの顔を睨みながら低い声で言った。

「勝ち誇ってんじゃねぇよ」

マサシがそう言った瞬間にディアボロスの周りに無数の火球が現れてディアボロスを包み込んだ。それに気付いたディアボロスは目だけを動かして火球の数を調べた。

「囲まれた?」
「受けてみろ!シャイニングフレイム!!」

技の名を叫んだ直後に無数の火球がディアボロスに向かって飛んで行きそのまま命中、ディアボロスの体は爆発と炎に包まれた。それと同時にディアボロスの左手の力が弱まりその隙にマサシは手の中から逃げ出した。

「うおぉぉっ!!」
「ディアボロス!」

ディアボロスの叫びを聞きルシフェルが思わず名を叫ぶ。その瞬間を狙っていたのか、ジゼルはがら空きのルシフェルの腹部に蹴りを入れてルシフェルを蹴り飛ばした。

「うわぁっ!」
「隙ありよルシフェル!」

マサシとジゼルは敵の拘束から逃れると竜翼を広げて再び空へ舞い上がった。どうやら痺れは消えたようだ。そして空中で合流した二人はディアボロスとルシフェルに警戒しながら互いの安否を確認した。

「大丈夫、マサシ?」
「ああ、ちょっと油断したぜ」
「あたしも」
「・・・・それにしても、相手の動きを封じる契約魔法を使ってくるとはな」
「あれはなんとかしないとこっちが一方的に不利になっていくわ。どうしよう?」
「う〜ん・・・・」

マサシがパラライズダウンの対処方法を考えていると、地上からディアボロスとルシフェルがもの凄い勢いで上昇し、マサシとジゼルから少し離れた空域で止まった。高さは同じ、いつでも攻撃できるポジションだ。

「チッ!人間如きが随分と手こずらせてくれる」
「どうするの?」
「もう一度パラライズダウンでアイツ等の動きを封じる、今度は全力で奴等を叩き潰す、二度起き上がれないほどにな」

再びBXの切っ先をマサシとジゼルに向けるディアボロス。それに気付いたマサシはアロンダイトを構えてディアボロスの方を向いた。

「こうなったらアイツがパラライズダウンを使う前に演唱を止めるしかない!ジゼル、また別れて戦うぞ、固まったらまた二人一緒に動きを封じられる!」
「分かったわ、気をつけて!」
「お前もな!」

マサシは左に飛びジゼルは右に飛んで横から挟む様にディアボロスとルシフェルに向かっていく。ディアボロスは演唱を止めてマサシの方を向きルシフェルもジゼルの方を向いた。

「また別れて戦う気か?コロコロと攻撃パターンを変える奴等だ」
「でもこれなら相手も先手を打ち難くなるから、アイツ等も少しは考えてるって事じゃない?」
「フン、そんな甘い考えは俺達に通用しない事をその身に分からせてやる!カオスアブソリュート!!」

ディアボロスは大きな口を開け、赤い光線をマサシに向かって放った。この技もマサシがディアボロスと契約を交わしていた時に使った技だ。その為マサシは軽々と光線を回避してディアボロスに近づいていく。

「そんな単純な攻撃は通用しないぞ!」

ディアボロスの目の前まで近づいたマサシはディアボロスの顔に向かってアロンダイトを振り下ろした。だがディアボロスはアロンダイトの何倍もあるBXでマサシの斬撃を止めた。

「さっきの言葉、そのままお前に返してやる!」
「クッ!」

反対側の少し離れた場所ではジゼルとルシフェルが激戦を繰り広げていた。ジゼルとルシフェルはお互いに攻撃と防御を繰り広げ一瞬の隙も作らなかった。

「どうしたのジゼル?フォーチュンヒーリングで回復したんじゃなかったのかしら?」
「クッ!そっちこそ、さっき大きな隙を見せたくせに随分と威張ってるじゃない!」

ジゼルは一度距離を取り体勢を立て直そうとしたが、ルシフェルは離れたジゼルに向かって飛んで行き、体勢を直す隙を与えようとしなかった。

「逃がさないわ!天魔滅砕拳(てんまめっさいけん)!!」
「ッ!天竜破砕撃(てんりゅうはさいげき)!!」

ルシフェルの青紫の気を纏った右パンチにジゼルは黄色い気の纏った右パンチで応戦。二人のパンチがぶつかり高い音と衝撃が虚無宇宙に広がった。

「悪いけど、俺達は!」
「あたし達は!」
「「負けるわけにはいかない!!」」

自分達の意思をぶつけるマサシとジゼル。

「いいや、お前達は」
「貴方達は」
「「ここで死ぬ!!」」

二人に死の宣告をするディアボロスとルシフェル。遂に真の姿を現したディアボロスとルシフェル。そのおぞましき力と姿にマサシとジゼルは押されてしまう。だが二人は決して諦めようとしなかった。この激しい死闘は何時まで続くのか、マサシとジゼルは闘志を燃やす続けるのだった!


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 185