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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第163回   第百六十二話 最終決戦!マサシ&ジゼルVSディアボロス&ルシフェル!

自分の過去に、この世界の戦いに決着をつけるためにマサシとジゼルの最後の闘いが始まろうとしている。二人は自分達と同じ姿をしているディアボロスとルシフェルを見ていつでも動けるように構える。だがその一方でディアボロスとルシフェルは構えることもなく二人を見ていた。

「さてさて、どうやって殺してやろうかね」
「やっぱり時間を掛けてじっくり甚振るほうがいいんじゃない?」
「それもいいな」
「・・・・相手をどんな風に殺すかをあんな笑顔で話し合うとは」
「とんでもない奴等ね・・・・」

二人をどのように甚振り命を奪うか、不敵な笑顔を見せながら相談するディアボロスとルシフェル。そんな二人を見てマサシとジゼルは改めて二人が恐ろしい存在だと実感した。そしてマサシはそれを破るように口を開いた。

「おい!何時までそうやって話し合ってる気だ?」
「ん?ああ、すまんすまん。お前達をどんな風に殺すか話していたのさ」
「聞こえていたよ!て言うか、わざと俺達に聞こえるように話してたんだろう?」
「フッ、気付いているのなら話は早い。俺達はお前達を時間を掛けて殺すことにした」
「分かってるわよ!いちいち言われなくても!」
「それじゃあ、始めましょうか。最後の戦いを」

ルシフェルの言葉を合図にしたようにディアボロスとルシフェルは目にも留まらぬ速さでマサシとジゼルの背後に回りこみ、ディアボロスはBX(ブラックエクスカリバー)で、ルシフェルは拳で二人に攻撃を仕掛けた。だが、マサシとジゼルは瞬時に振り返り攻撃を防いだ。まるでディアボロスとルシフェルが後ろから攻撃してくる事を読んでたかのように。

「ほぅ、止めたか」
「なかなかやるわね」
「さっきのお前達とエミリア様とゾークの戦いを見てお前達は最初の一撃は背後から仕掛けてくると確信してたんだよ」
「だからこうやって止める事ができたってわけ」

マサシはアロンダイトでBXを払うと大きく後ろへ跳んで距離を作り、ジゼルもマサシに続いて後ろへ跳んだ。自分達から離れたマサシとジゼルを見てディアボロスとルシフェルは肩を並べて二人を見た。

「エミリアとゾークの戦いを見て俺達の攻撃パターンを読んだとはな」
「それなら、あの二人が知らないパターンで戦えばいいだけよね?」
「ああ」

ディアボロスは笑いながら左手を自分の顔の真横まで上げる。すると彼の左手から黒い霧が現れて形を変えていき、黒い霧は一丁のリボルバー拳銃へと変わった。そしてディアボロスはそのリボルバーの銃口をマサシに向けた。

「マサシ、この銃が分かるか?」

自分が作り出した銃を向けてディアボロスはマサシに銃の事を尋ねる。そしてその銃を見たマサシは表情を鋭くした。

「まさか、アレは『M500』か!?」

リボルバーの名を言い、マサシは表情を変えずに汗を垂らした。

M500(S&W M500)
世界最大と言われている超大型のリボルバー式拳銃。その破壊力と口径の大きさから「ハンドキャノン」とも言われている。しかしその反動の大きさから扱える者は殆んど居らず、ゾークの使うデザートイーグルなどの登場から「世界最強の破壊力」の名誉はすっかり色あせていた。それでもその強烈なインパクトは、一丁あたり1千ドル以上の高値にも拘らず、注文が全米各地から殺到し、発売当初は需要に供給が追いつかなくなる程でもある。

ディアボロスが作り出した銃を見てマサシは危険を感じ始めていた。

「マサシ、あの銃は?」

銃の事を訊くジゼルの方を向かずディアボロスを視界に入れたままマサシは答えた。

「アレはM500って言う世界最大のリボルバーだ。その破壊力はゾークのデザートイーグルを上回るほどだ。いくら俺達契約者でもあの銃に撃たれたら只じゃすまない」
「ええっ!?」

M500の恐ろしさを聞かされてジゼルは驚きの声を上げる。そしてマサシはディアボロスに意識を集中させながらアロンダイトを構えた。

「フフフ、流石は神竜隊隊長、銃の事は知り尽くしているか」
「銃の事は知っていてもM500(ソイツ)を使う奴と戦うのは初めてだよ。それよりもお前、そんなゴツイ銃使いこなせるのか?」
「ご心配ありがとう。お礼にこの銃の恐ろしさをその身をもって教えてやろう」

軽口を叩き合うマサシとディアボロスであったがすぐに殺気の篭った空気に戻り、ディアボロスはマサシに向けてM500の引き金を引いた。M500の銃口から大口径の弾丸が吐き出されマサシに迫っていく。マサシは意識を向かって来る弾丸に向け、命中する直前にアロンダイトで弾丸を弾いた。

「グウッ!」

アロンダイトから伝わる衝撃にマサシは思わず声を漏らす。相当重い衝撃だったようだ。

「マサシ、大丈夫?」
「ああ、なんとかな。だけどあんな銃撃、何度も防げるもんじゃない」

マサシは衝撃の重さからM500の銃撃は弾かずに避ける事にした。そして再びアロンダイトを構えて小声でジゼルに話しかける。

(ジゼル、俺はディアボロスの銃撃を避けながらアイツと戦う。ルシフェルの方はお前一人に任せることになっちまうが、大丈夫か?)
(大丈夫、アイツはあたし自身だもん。どんな攻撃をしてくるか大体想像がつくわ)
(なら、そっちは任せるぜ。だが気を付けろ、今アイツ等は恐らく、いや間違いなくマッハ4の速さで移動していない。何時速さを上げるか分からない以上、油断はするなよ)
(それは貴方もでしょう?あたしの方は大丈夫だから貴方はディアボロスだけに集中して)
(ああ)

お互いを信じ合い、小声で話し合うマサシとジゼル。そんな二人を見てディアボロスとルシフェルはからかう様な喋り方で話しかけてきた。

「ちょっと〜!なにイチャイチャしてるのよう〜!」
「敵を目の前にして、じゃれ合うとは、余裕だな」

笑いながら二人にM500を向けて引き金を引くディアボロス。だがその瞬間に二人はもの凄い速さで別々の方へ走りだした。マサシはディアボロスの左側に、ジゼルはルシフェルの右側にそれぞれ挟む形で走り出したのだ。

「分かれて戦うか。ルシフェル、ジゼルは任せたぞ?」
「OK、貴方はマサシを可愛がってあげて」
「お互い、思う存分楽しもう」
「ええ、勿論」

ディアボロスをルシフェルはニヤリと笑いながらそれぞれの相手に向かって走り出した。そしてマサシとディアボロス、ジゼルとルシフェルのそれぞれの戦いが始まった。

「お前がどれだけ強くなったのか確かめてやろう。せいぜい俺をガッカリさせないよう頑張るんだな」

軽口を叩きながらディアボロスはM500の引き金を連続で引いた。銃口から三発の弾丸が吐き出されマサシに迫っていく、だがマサシはその弾丸を全て回避し一気にディアボロスへ近づきアロンダイトをディアボロスの頭上から振り下ろす。

「ハアァッ!!」
「甘いぞ」

ディアボロスはマサシのアロンダイトを右手に持っているBXで防ぎ小さく笑った。マサシは左手で腰に納めてあるシグザウアーを抜きディアボロスに向けて引き金を引こうとした瞬間、ディアボロスはM500の銃口をシグザウアーの銃口に重ねるように付けて銃撃を阻止した。

「何っ!?」
「お前の考える事などお見通しだ。剣を止められた場合お前は間違いなく空いている方の手で攻撃してくるだろうからな」
「成る程、長い事俺の中で生きてきたんだ、俺の考えも知り尽くしてるって訳か」
「ああ」
「だけどそれはお前と契約を交わしていた時の俺だ。今の俺はお前の知らない俺に変わったんだぜっ!」

マサシはBXとM500を払い大きく後ろへ跳びながらシグザウアーの引き金を引いた。しかし弾丸はディアボロスに当たる前にBXで全て弾かれてしまった。マサシは着地した直後に銃撃に備えてアロンダイトを構えるが、ディアボロスはM500を撃ってこない。

(・・・・やっぱりな。M500の装弾数は五発、普通のリボルバーよりも一発少ない。さっきの連射で全弾使い果たしたんだ、これで暫くあの厄介な銃は使えないって事だ)

離れた所でディアボロスの銃の弾が無くなったと気付いたマサシは一安心する。ディアボロスは弾の無くなったM500を見て面倒そうな顔をする。

「チッ、弾切れか。仕方ない新しい弾を入れるとしよう」

M500のシリンダーから薬莢(やっきょう)を捨てるディアボロス。その姿を見たマサシはチャンスと思いディアボロスに視線を向けたまま小声で契約魔法の演唱を始めた。

(チャンスだ、リボルバー式拳銃の欠点は再装填(リロード)に時間が掛かること。この間に契約魔法の演唱を済ませて強力な一撃を・・・・)

そう考えていたマサシであったが、彼の考えは甘かった。ディアボロスが薬莢を捨てた直後にシリンダーに黒い霧状の物体を流し込み始めた。そして黒い霧が消えるとさっきまで空だったシリンダーに五発の弾丸が装填されたのだ。ディアボロスはニッと笑いながらシリンダーを戻して銃口をマサシに向ける。

「!!」

銃口を向けたディアボロスを見たマサシは嫌な予感がして咄嗟に演唱を中断、大きく横へ跳んだ。そしてディアボロスのM500から大きな銃声が虚無宇宙(ゼロスペース)に響いた。

(馬鹿なっ!今M500には弾が入っていないはずだ。それに俺はアイツをずっと見ていたが弾を装填した様子も無かったし両手は塞がっていた、弾を入れることなんてできない筈・・・・ッ!まさか、アイツは両手が塞がっていても再装填(リロード)ができるのか!?)

銃を使う者にって最も危険なのは弾を装填する間だ。だがディアボロスはその装填、しかも時間の掛かるリボルバーの装填を簡単に終えてしまった。それはディアボロスと戦うマサシにとって大きな脅威となってしまった。

(クソッ!まずあのM500をなんとかしないと、勝機は無い。だがどうすれば・・・・・・)





マサシがディアボロスのM500に苦戦している頃、ジゼルはルシフェルと拳をぶつけ合っていた。

「タアッ!」
「フッ!」

ジゼルの右の拳とルシフェルの右の拳がぶつかり小さな衝撃波を生み出した。ジゼルが鋭い目でルシフェルを見ている一方でルシフェルはクスクスと笑っている。

「フフフ、やるわね。ベンヌで戦った時とは全然違うわ」
「当然でしょ?あの時あたしには力が無かったんだから、貴方に奪われせいでねっ!」

ジゼルはルシフェルの顔に左上段蹴りを放つがルシフェルは右手を顔の横に持ってきてジゼルの蹴りを止める。そこへジゼルが更に右ストレートを撃ち込むがルシフェルはそれを左手で止めた。

「どうしたの?全然当たらないわよ?」
「なら、これならどう!」

ジゼルは左足で今度はルシフェルの腹部に蹴りを放つ。だがこの蹴りもルシフェルに止められてしまった。ジゼルは今右手を左手で、左足を右手で掴まれている状態だ。自分から離れることは出来ない状態になっている。そしてルシフェルはそのままジゼルを大きく振り飛ばした。

「うわあっ!」

振り飛ばされて宙を舞うジゼルにルシフェルが右手の人差し指を向ける、すると彼女の指先に黒い光が集まりだした。それを見たジゼルは何か来ると察し、背中から薄い黄色の竜翼を生やして体勢を立て直した。

「体勢を立て直しても無駄よ」

ルシフェルがそう言った瞬間、ルシフェルの指先から黒い光線が放たれた。それを見たジゼルはブリュンヒルドで守られた手の甲でその光線をギリギリで防いだ。

「こ、これって、シャイニングレーザー!?」

聖天使人だった時の自分が使っていた天使魔法と同じ魔法をルシフェルが使った事に驚きを隠せないジゼル。ジゼルの聖天使人の力は彼女とルシフェルが分離した時に全て持ってかれてしまった、その為ルシフェルが聖天使人の力を使うことを察しがついていたが、実際使う姿を見ると驚いてしまうのだ。

「まさか、本当に天使魔法を使ってくるとはね、驚いたわ」
「それはよかったわ。貴方が驚く姿を見ると凄く気分がいいの。それよりどう?あたしの『ダークネスレーザー』は?」
「ダークネスレーザー?」
「そう、闇のシャイニングレーザー、堕天使魔法って言っておくわ」
「堕天使魔法・・・・」

堕天使魔法、闇の天使魔法の存在を聞かされてジゼルは恐怖、もしくは危険を感じながら息を飲み汗を垂らした。

「天使魔法とは素晴らしい物よ。人を助ける力があれば全てを破壊する力もある。貴方はこの力を人を救うために使おうとしたかもしれないけど、貴方では天使魔法も聖天使人の力さえも完全に使いこなす事はできなかった。でもあたしは完全にこの力を使いこなしているわ。最もあたしは世界を破壊するために力を使うけどね」
「そんな事、絶対にさせない!聖天使人の力は人々を幸せにする為の力よ、貴方なんかにその力を使う資格は無いわ!」
「だったら、止めてみなさい。ブラックスフィア!」

ルシフェルは左手に黒い円盤状の光球を作り出し、それを飛んでいるジゼルに向かって投げてつけた。すると光球は無数の小さな光球となりジゼルに迫って来た。

「今度は黒いホワイトスフィア!?」

また天使魔法と同じ闇の天使魔法を使ってきた事に驚くジゼル。だが直ぐに戦いに意志を戻して飛んでくる光球を全て回避しルシフェルに向かって急降下した。

「今度はこっちの番よ!天空の使者、我が下に白き光を集めよ!ヘブンズビーム!!」

ジゼルは契約魔法の演唱を終えて魔法の名を叫んだ。すると、彼女の周りに八つの白い光球が現れ、その光球から一斉に白い光線が放たれルシフェルに向かっていく。

「単純ね、エンジェリックシールド!」

ルシフェルが片手をジゼルの方へ向ける。すると彼女の前に赤黒い結界が張られ八つの光線を防いだ。

「今度は闇のエンジェリックシールド、なんでも有りって訳ね・・・・」
「この程度の魔法なら避ける必要も無いわ。さて、地上での戦いも厭きたし、あたしも空へ行こうかしら」

ルシフェルは笑いながら背中から漆黒の天使の翼を生やしジゼルに向かって急上昇した。それを見たジゼルは体を反らしてルシフェルの横を通過、衝突をギリギリで回避した。

「今度は空中戦ってわけ?」
「ええ、あたしも貴方と同じステージで戦うことにしたわ。さぁ、楽しみましょう」

マサシとジゼルはそれぞれの闘いを始める。だがディアボロスとルシフェルはまだ本気ではない、二人は一体どのような闘いを繰り広げるのだろうか!まだ闘いは始まったばかりだ。


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