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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第154回   第百五十三話 迫り来る光弾 レイナVSカラミティ!

天空魔導城の各場所で神竜隊と魔人達の戦いが始まろうとしていた。各隊員が自分達の力を全て使い、最強の敵に立ち向かう。

「お前も私と同じ銃を使うのだったな」
「・・・・そうだが?」

渡り廊下の下にある中庭でカラミティとレイナがお互いの顔をジッと見ていた。二人の距離は約10メートル、既に二人は相手の間合いに入っている。いや、銃を使う二人にとって間合いなど関係ないだろう。

「ほぅ、SAAか。随分古い銃を使うのだな?」
「貴様のドラグーンよりは新しいのだがな・・・・」

ニヤリと笑いながら帽子を直し、レイナのホルスターに納めてあるSAAを見て挑発する様に言うカラミティ。それに対して表情を変えずに言い返すレイナ。二人の間ではもう戦いが始まっているのだろう。彼女達の周りの空気は少し重くなっていた。

「フフフフ、確かに私の銃のほうがお前の銃よりも早く作られたからな、古いと言えば古いか」
「・・・・・」

笑いながら話すカラミティを見たまま黙って彼女を睨むレイナ。笑っているのにカラミティには全く隙が生まれない、レイナは気付かないうちに彼女を恐れていたのだ。レイナがジッとカラミティを睨んでいると、カラミティが両手を納めてある二丁のドラグーンに近づけた。

「さて、そろそろ話しは止めにして始めるか」
「私はいつでも構わないと言ったはずだ・・・・」

カラミティと同じ様に両手をSAAに近づけるレイナ。それから二人はジッと相手を見て出方を待っていた。しばらく見合っていると、二人はほぼ同時に右手で自分の銃を取り引き金を引いた。これは西部劇でお馴染みの早撃ち対決に似ている。

「オーラショット!」
「メガオーラキャノン!」

レイナの銃口から黄色い光弾が、カラミティの銃口から緑色の光弾が放たれ、二つの光弾がぶつかった瞬間爆発した。

「「チッ!」」

弾が消滅し、相手が無傷だと知ったレイナとカラミティは同時に右へ跳び距離を取る、そして二人は連続攻撃を繰り出した。

「ムーンライトバレット!」
「ダブルリボルバー!」

レイナがもう一丁のSAAを抜き、二丁をカラミティに向ける。そして二つの銃口から同時に黄色の光線が放たれる。そしてカラミティの二丁のドラグーンからは先端の尖った緑色の光弾が吐き出され、二つの光弾は二つの光線とぶつかる。光弾はさっきのメガオーラキャノンよりも大きくはないが、その二つの光弾はレイナの光線を止めていた。そして二色の光はフッと消滅し、その場には再びレイナとカラミティの二人だけが残った。

「クッ、止められたか」
「まだこんなものではないぞ?」

攻撃を止められて悔しがるレイナに対し、余裕の表情を見せるカラミティは再び二丁のドラグーンをレイナに向ける。すると、ドラグーンが突然緑色の光を放ちだした。

「これが避けられるか?」
「何?」

カラミティの言葉を聞いたレイナは構える。そしてカラミティがゆっくりと引き金に触れた、次の瞬間。

「インフェニティショット」

二丁のドラグーンからとんでもない数の光弾が放たれた。視界を埋める程の数の緑色の光弾にレイナは驚き、瞬時に横へ跳んで攻撃を回避した。だが、カラミティの攻撃は止むどころかまだ続いている、回避したレイナを見てカラミティはドラグーンの銃口をレイナを追うようにずらす、当然ドラグーンから放たれ続けている光弾もレイナを追うように近づいてきた。

「クソッ!」

近づいてくる光弾を睨むレイナは走り出した。勿論カラミティもレイナを逃がさんと攻撃を続けながら銃口をずらす。

「無駄だ、お前がどんな行動をしようと、この無限の光弾(インフェニティショット)からは逃れられん」

逃げるレイナを見て静かに告げるカラミティ。だがレイナにはそんな事を聞く余裕はなかった。光弾は徐々にレイナとの距離を縮めてきた。すると、レイナはチラッとカラミティの顔を見た。

「クリスタルノクターン!」

突然技の名前を叫んだレイナ。それを見たカラミティは足元から何を感じ取り、銃撃を止めて大きく跳んだ。すると、足元から水晶の欠片が打ち上げられた、リーズとの戦いで使ったレイナの奇襲技だ。

「下からの攻撃か・・・・」

着地すると、再び跳んでその場所から離れるカラミティ、すると再び足元から水晶が打ち上げられた。カラミティがレイナの方を見ると、彼女の目にSAAを自分に向けているレイナが映った。

「オーラショット!」

レイナのSAAから再びオーラショットが放たれた。ジャンプでクリスタルノクターンを避けていため浮いているカラミティは避けられない、これは当たった、と思ったレイナ。だがカラミティは小さく笑いドラグーンを向かってくるオーラショットに向ける。

「メガオーラキャノン」

静かに技の名を言って引き金を引くと、ドラグーンから大きな緑色の光弾が放たれた。そしてオーラショットに命中して爆発した。

「甘いぞ、最初に同じ事があった事を忘れたか?」

笑いながら着地するカラミティはレイナの方を向いた。オーラショットとメガオーラキャノンがぶつかって起きた煙が消えると。さっきまでレイナが立っていた場所に彼女はいなかった。カラミティは目だけを動かしてレイナを探しだした。すると、背後から何かの気配を感じた。

「後ろか」

カラミティは振り返りドラグーンを向けて引き金を引き緑色の光弾を撃った。だがそこには誰も居らず、光弾は渡り廊下の壁に命中した。

「居ない?」
「こっちだ」
「!」

再び背後から声が聞こえ、首を動かして後ろを見ると、そこにはゴールドエングレーブのSAAを構えているレイナが立っていた。

「オーラショット!」

引き金を引いて光弾を発射させようとするが、カラミティは華麗に体を反らして光弾を回避する。

「何っ!?」
「惜しかったな」

カラミティはレイナに銃口を向けて引き金を引く。銃口から緑色の光弾が発射された。だがレイナはギリギリで体を反らしたため、肩を掠める程度で済んだ。

「クッ!」
「ホゥ、この距離でかわすとは、なかなかやるな。だが・・・・」

カラミティが大きく後ろに跳びながら再びレイナにドラグーンを向けて引き金を引き、緑色の光弾を放つ。だが今度の光弾は今までの光弾と違って小さかった。小さかったためレイナはその光弾を簡単に回避できた。

「そんな小さな弾では私には当たらんぞ」
「フッ、それはどうかな?」
「何?」

レイナはカラミティの言葉の意味を考えようとした瞬間、背後から緑色の光弾がレイナの左肩を貫いた。

「グワァ!?」

突然の攻撃に回避することができずにまともに攻撃を受けたレイナはそのまま膝を付き、痛みに耐えながら左肩を見た。

「な、何だ、今のは・・・・?」
「さっきの私の光弾だ」
「さっき?私がかわした?」
「そうだ、再びお前に向かって飛んできたのだ。こんな風にな」

カラミティはドラグーンに引き金を引いて小さな光弾を撃ち、レイナはその光弾を目で追った。そしてレイナは自分の目を疑った、なんとその光弾は渡り廊下の壁に当たった瞬間に光弾が跳ね返りレイナに向かって飛んできたのだ。まるで壁に当たったゴムボールが跳ね返るように。

「なっ!?」

飛んでくる光弾を見てレイナは咄嗟に地面を蹴りその場から離れ、なんとか光弾を回避した。

「跳弾だと・・・・?」

自分の立っていた場所を見て汗を垂らすレイナ。そして再びカラミティの方を見ると、カラミティが自分を狙ってドラグーンを構えている姿を見た。そして再びドラグーンの銃口から小さな緑色の光弾が吐き出される。レイナは再び大きく跳んでその光弾を回避、そしてSAAをカラミティに向けて引き金を引こうとした、がまた背後から緑色の光弾がレイナの背後から迫ってくる。その事に気付いたレイナは狙いをカラミティから光弾に変えて引き金を引きオーラショットを撃ち、カラミティの光弾を掻き消した。

「また背後から・・・・」
「どうだ、私のバウンドショットは?」
「バウンドショット・・・・」
「この光弾は威力を抑えるとの引き換えに、反射能力を加え、貫通力を高める技だ。例えお前でも私と背後からの攻撃を避けて戦うのは無理だろう」
「クッ・・・・!」

カラミティは小さな光弾を渡り廊下の壁に向かって乱射。無数の光弾は壁に当たるのと同時に跳ね返りレイナの背中に迫ってくる、レイナはチラッと後ろを見て走り出した。だが、カラミティは走り出したレイナにドラグーンの銃口を向けて光弾を発射し、大きな光弾がレイナに迫っていく。レイナはSAAを光弾に向けて引き金を引き、自分の光弾でカラミティの光弾を掻き消した。だが、跳ね返ってきた光弾を止める事はできず、レイナに襲い掛かる。その内に一発がレイナの左足を掠った。

「うっ!」
「どうした?さっきまでの調子は何処へ行った?」
「・・・・調子に乗るな」

レイナはカラミティを睨み、彼女に両手のSAAの銃口を向けて引き金を引く。二つのSAAの銃口から黄色い光弾が放たれカラミティに飛んで行く。カラミティは慌てた様子も見せずに二丁のドラグーンを光弾に向け、緑色の光弾を放ちレイナの光弾を掻き消した。だがその時、光弾同士の激突で舞い上がった煙の中でレイナは契約魔法の演唱を行っていたのだ。

「雷速の回路よ、主を導け、クイックロード!」

レイナは演唱を終え、契約魔法のクイックロードを発動した。彼女の足元には電流の道ができ、カラミティの頭上にまるで橋が架かるように伸びてレイナはその上に飛び乗ると雷速の速さでカラミティの頭上まで移動、そして電流の道から飛び降りたレイナはカラミティの真後ろに着地して彼女の背中にSAAを向けて引き金を引いた。銃口から黄色い光弾が発射されカラミティに迫っていく。これでカラミティに傷を負わせることができる、レイナはそう思った。だが現実は甘くなかった。カラミティはまるでレイナの動きを読んでいたかのように水色の髪をなびかせてクルッとレイナの方を向いてドラグーンの引き金を引いて緑色の光弾を放ちレイナの光弾を再び打ち消した。

「何っ!」
「お前の行動パターンを完全に呼んでいる。どんな攻撃をしようと私にお前の攻撃は届かない」
「それはどうかな?」
「?」

レイナの言葉の意味を考えるカラミティ。すると、彼女の足元が光りだし、水晶の欠片が打ち上げられた。クリスタルノクターンだ。欠片は直撃したかと思われたが、カラミティはギリギリで回避したため左腕を掠った程度の傷しか負っていなかった。

「・・・・私に傷を負わせたか」
「貴様は一度通しなかった手を私は二度使わないと思っていた様だが、それは大きな間違いだ。確かに今までの私だったら同じ手を通用しないと判断していただろう。だが私はエミリア様から修行を受けて様々な戦略を得たのだ貴様が思っているほど私の動きは単純ではない」
「・・・・成る程、ディアボロス様からお聞きした情報はもう意味は無いという事か」
「それはどういう事だ?」
「私達魔人はお前達神竜隊を倒すために創られた存在だ」
「・・・・バジリスクがそんな事を言っていたな」
「私達はディアボロス様とルシフェル様がマサシとジゼルの目を通して見たお前達の行動パターンを研究して創られた存在、だがらお前達のどんな行動にも対応できる様になっていたのだ」
「それは気の毒だったな?」
「いや、そうでもない。その方がより戦いを楽しめうと言うものだ」
「フン、好戦者め」
「お前達契約者も同じだろう?」
「私達は貴様等と一緒にするな!」

レイナは力の入った声で言いながらゴールドエングレーブのSAAをカラミティに向け、オーラキャノンを放った。黄色い光弾はカラミティに向かって飛んで行くが、カラミティは高くジャンプして光弾を回避、そしてドラグーンをレイナに向け、緑色の光弾を放った。その光弾は今までのと違いゆっくりとレイナに向かっていく。そして放たれたから数秒後、光弾は小さな無数の光弾へ姿を変えて広範囲に豆粒バラ撒く様に飛んでいった。しかも小さくなった光弾は一気に速度を上げてレイナに迫っていく。

「何!?」

突然のしかも広範囲の攻撃にレイナは回避できず、雨のように上から降り注ぐ光弾を食らってしまった。だが、たとえ反応はできても回避まではできなかっただろう。なぜならその小さな光弾はレイナのいる中庭全体に放たれたのだ。レイナの立ている中庭は一瞬で砂煙に包まれ見えなくなってしまった。

「どうだ?私のクラスターショットの威力は?このクラスターショットは戦闘機に搭載されているクラスター爆弾と同じ様に広範囲に光弾をバラ撒く技、回避はほぼ不可能だ」

空中で中庭を見下ろしているカラミティは笑いながらドラグーンをホルスターに戻す。そして砂煙が完全に消えると、中庭の真ん中でレイナがうつ伏せに倒れていた。それを見たカラミティは中庭に着地しゆっくりと倒れているレイナに近づいた。

「う、うう・・・・」
「流石のお前も中庭全体を攻撃するこの技は避けられなかったみたいだな?」
「お、おのれ・・・・」

レイナは痛む体を必死で起こしカラミティの方を向きSAAを構える。しかしカラミティは慌てずゆっくり立ち止まり腕を組んだまま彼女をジッと見ていた。

「その体でまだ戦うか」
「当たり前だ、この命燃え尽きるまで私は諦めん」
「くだらない、なら望みどおり地獄へ送ってやろう」

カラミティは再び高くジャンプし中庭全体を見渡せる高さまで来た。そして再びクラスターショットを撃とうとする。だがレイナも同じ手を何度もくらう程愚かではない。レイナは目を閉じてブツブツ小声で呪文を言い出した。

「大いなる砂塵、我が下に集い龍と化せ、サンドドラゴン!」

レイナは演唱を終えると彼女の足元から三つの砂でできた巨大な竜の首が現れ、跳んでいるカラミティに向かっていく。それを見たカラミティはクラスターショットを撃つのを止めて銃口を砂の竜へ向け、緑色の光弾を放った。光弾が命中した砂の竜の頭は吹き飛んだ。すると左右からもう二つの砂の竜が迫り、カラミティはもう一丁のドラグーンを抜いて左右の砂の竜を同時に光弾で撃ち抜いた。三つの砂の竜全てを吹き飛ばしたカラミティは再びレイナを見下ろした。しかし、中庭にレイナの姿がなかった。カラミティは辺りを見回すがやはりレイナはいない。すると背後から気配を感じ、カラミティは振り返る。彼女の背後にはレイナではなく、もう一つの砂の竜が自分に迫ってくる。

「さっきの三つの竜は囮か!だが、甘いな!」

カラミティはドラグーンを砂の竜に向け緑色の光弾を放った。背後から迫ってきた砂の竜も光弾を受けて吹き飛ぶ。そして再びレイナを探そうとした、その時。突然頭上から七色の光が降り注いだ。カラミティはフッと上を向くと、そこには七色に輝く気を纏っているSAAを握るレイナがいた。

「何!」
「そのサンドドラゴンも囮だ」

レイナがSAAを構えながら静かに言う。彼女の足にバチバチと電気が走っていた。どうやらクイックロードでカラミティの頭上まで移動したのだろう。そして彼女はカラミティを狙って引き金を引いた。

「プリズムキャノン!!」

SAAから七色の気を纏う光弾が発射されてカラミティに向かっていき、大爆発を起した。カラミティはそのまま地上に叩きつけられるように落下した。

「流石の貴様も私が二重に囮を仕掛けるとは思わなかったのだろうな」

レイナは地上に着地し金髪のロングヘアーを靡(なび)かせてSAAを構えながらカラミティの落下した場所を見た。落下した場所からは砂煙が上がり何も見えない。すると、砂煙の中からカラミティの被っていたカウボーイハットが飛んで来た。レイナが足元に飛んで来たカウボーイハットに一瞬目をやると再び砂煙を見と、砂煙の中から水色のロングヘアーを揺らしながら傷だらけのカラミティが出てきた。

「少々甘く見すぎたか・・・・」
「プリズムキャノンの直撃を受けて立っていられるとはな」
「直撃ではない、当たる寸前にメガオーラキャノンをぶつけてダメージを和らげたのだ」
「成る程」

少し悔しそうな声を出すレイナ。やはり魔人は簡単には倒せないようだ。そしてレイナはカラミティの持っているドラグーンを見た。右手の一丁は無事だが左手の一丁は銃身が粉々になっていた。

「チッ、さっきので使えなくなったか・・・・」

カラミティは使えなくなったドラグーンを捨ててもう一丁のドラグーンを構える。

「どうやらお前を倒すには『これ』を使うしかなさそうだ」
「?」

カラミティの言っている事が分からず二丁のSAAを構える。そしてレイナはカラミティのドラグーンに異変がある事に気付いた。カラミティのドラグーンの銃身がバチバチと電磁波を纏い始めたのだ。

「まずは見せてやろう、私の最強の技、デスレールガンを!」

カラミティは技の名を言い、レイナから少し狙いを反らして引き金を引いた。だが・・・・。

「・・・・・・何だ?」

レイナはSAAを下ろしてカラミティの行動を変に思った。実はカラミティが引き金を引いた後、何も起こらなかったのだ。銃口から弾が発射された様子もない、何よりも銃声すらしなかったのだ。

(何も起こらないだと?銃声すらないなんて、こけ脅しか?)

レイナは必死でカラミティが何をしたのか考えた。すると、カラミティが笑いながら話しかけてきた。

「どうやら理解できないようだな?後ろを見てみろ」
「?」

レイナはカラミティを警戒しながら後ろを振り向いた。そして彼女は目を疑った、彼女の後ろにある城壁に大きな穴が開いていたのだ。

「な、何だ、あの穴は?」

さっきまで開いてなかった穴を見てレイナは目を丸くする。それだけではないその穴は焦げ跡や削れた跡もない綺麗な穴だったのだ。

「フフフ、もう一度見せてやろう、今度はあの城壁を見ていろ」

そう言ってカラミティは自分の右側にある城壁に銃口を向ける。再び銃身にバチバチと電磁波を纏い始め、そしてカラミティが引き金を引いた。次の瞬間、レイナは再び自分の目を疑った。カラミティのドラグーンの銃口の先の城壁にさっきの穴と同じ穴が一瞬で開いたのだ。

「な、何だと!?」
「フフフフ、驚いたか?さて、何時まで持ち堪えられるだろうな?」

笑いながらカラミティはドラグーンの銃口をレイナに向ける。そして銃身が電磁波を纏い始めるのを見て、レイナは咄嗟に走り出した。

「解放、レベル・3!」

走り出した直後にレイナはレベル・3を発動させた。彼女の体に黄色い光のラインが浮き上がり身体能力を高くなった。

(クッ!マズイ、私の予想が正しかったら奴を視界から外した瞬間、終わりだ!)
「フッ!例えレベル・3を発動しても無駄だ。デスレールガンからは逃れられん」

カラミティはレイナの走る先にドラグーンを向けて引き金を引く。そしてレイナの走る先の足元に大きな穴が突然現れた。勿論、銃声なども一切せずに静かに穴が開いた。

「クッ!」

レイナはカラミティを視界から外さず走ってきた道を戻り再び走り出す。そしてカラミティは再びドラグーンをレイナの走る先に向けて引き金を引いた。すると、やはり音もせず静かに大きな穴が開いた。レイナは立ち止まりカラミティの方を向いてSAAを構えた。

(やはり!アイツのデスレールガンは銃声が聞こえず、とんでもない速さで発射されている!そしてその速さのおかげで貫通力も増して焦げ跡や削れた跡も無い。何より銃声が聞こえないのなら、視界から外したら反応も回避もできない。奴を視界から外したら・・・・私は死ぬ!)

デスレールガンの恐ろしさを頭の中で考えレイナは汗を垂らしながらSAAを構える。しかしそんなレイナにお構いなしにカラミティはまた銃身に電磁波を纏わせてデスレールガンを撃とうとする。レイナは撃たれる前にオーラショットを撃った。黄色い光弾がカラミティに迫っていくがカラミティは光弾に向けてデスレールガンを撃った。その瞬間、光弾は掻き消されレイナの左腕を掠めた。

「ぐわああああっ!!」

掠っただけなのに想像以上に左腕に伝わる激痛にレイナは叫び声を上げて膝をついた。何より、さっきのオーラショットは失敗だったのだ。オーラショットの光弾がカラミティに放たれたときレイナの視界から見てカラミティの姿が光弾で隠れてしまった。そのせいで反応が遅れてしまい左腕にくらったのだ。膝を付くレイナを目にしたカラミティは笑みを浮かべて再び銃身に電磁波を纏わせる。

「これで終わりだな、レイナ・スズキ」

カラミティがデスレールガンを撃とうと引き金をゆっくりと引こうとした、その時、レイナは大声で叫んだ。

「猛れ、大地を揺らす王者の咆哮!グランドブレイク!!」

契約魔法の演唱を終えて魔法の名を叫ぶ、するとレイナの目の前の地面から先の尖った岩がカラミティに向かって次々に突き出てくる。だがカラミティはそのまま引き金を引いた。岩の先端が全て無音で消し飛んでレイナに迫っていく、と思いきやレイナの姿はなかった。グランドブレイクによって突き出てきた岩がレイナの姿を隠していたのだ。そのおかげでカラミティに狙われずにすんだのだろう。カラミティは辺りを見回してレイナを探すが、彼女の姿は無い。

「どこだ?また上か?」

カラミティは頭上を見上げる。だがレイナの姿は無かった。

「チッ!何処だ!?」
「ここだ」
「!?」

レイナの声が聞こえて前を見ると、いつの間にかレイナはカラミティの目と鼻の先の近くまで近づいていた。

「いつの間に!だが、例え近づいても今更お前に勝機は無い!」

カラミティは目の前にいるレイナの腹部にドラグーンを突きつけて引き金を引く。だがレイナは咄嗟に体を反らした為、脇腹を掠める。だが掠めたと言っても傷は深い、傷口からドクドク出血している。

「ぐうううぅ!!」
「急所に当たらなかった?」
「離れていれば回避は難しいが、零距離なら指の動きを見て引き金を引くタイミングを計ることができる、回避も可能だ。貴様が私にデスレールガンを見せたのはこの弱点を私の注意から反らすためだろ?そしてもう一つ、デスレールガンは連射ができない。間合いを詰められたら反撃もできないという事だ!」
「ッ!たった数回の攻撃で見切ったというのか・・・・」
「まだ私を甘く見ていたようだな?これで終わりだ!プリズムキャノン!!」

レイナはカラミティの胸にゴールドエングレーブのSAAの銃口を突きつけ、七色に輝く光弾を放った。七色の光弾はカラミティの胸を突き抜け大きな風穴を開けた。

「グアァーーーー!!」

カラミティの叫びが中庭中に響き、レイナはカラミティからゆっくりと離れて倒れていくカラミティを見た。

「バカな、魔人の私が・・・・人間、如きに・・・・敗れ・・・・た・・・・・・」

カラミティは自分の敗北を信じられないかの様に言いながら倒れる。そして体は黒い霧状になり完全に消滅した。

「ハァハァ、流石に今回は危なかった・・・・グフォ!」

勝利した後、レイナはSAAをホルスターに納めた。するとレベル・3は自然に解ける。体に走る痛みと倦怠感に襲われレイナは吐血をしそのまま倒れてしまった。

「すまないマサシ、皆、しばらく・・・・眠るぞ」

レイナはそのまま眠りに付いた。レイナとカラミティの戦いはレイナの勝利で終わった。だがレイナの傷は深かった、他の神竜隊も同じ様な戦いを行うのだろう、果たして他の神竜隊は大丈夫なのだろうか?


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